「カインズピックアップ」も設置、カインズ羽生店に見るウィズコロナ時代の戦略

2020.08.28

更新:2020.08.29

カインズが埼玉県羽生市内1号店となるカインズ羽生店をオープンした。8月25日にプレオープン、翌26日にグランドオープンを迎えた。

岩瀬土地区画整理事業地内の新しい街、「安心」「賑わい」「癒し」をテーマとした「愛藍(あいあい)タウン」内への出店。この出店で、埼玉県内では29店目体制となった。

衣、食、住関連がそろう大型モール内への出店で、カインズ羽生店を核店に、コスモ石油、眼鏡市場、吉野家などが同時オープンした他、年内にはユニクロ、ABCマート、スターバックスコーヒーなども順次オープンする予定。また、隣接した敷地にはニトリが7月22日にオープンしている他、今秋にはスーパーマーケットのベルクを核店としたショッピングセンターのフォルテもオープンするなど、次第に集積度が高い商業エリアとなっていく。

標準型のHC、約1万㎡の売場に約7万5000アイテム

カインズとしても複合商業施設の強みを生かしてにぎわいを創出していくと共に、商品とサービス、店舗空間で、自分らしい「ものづくり」の体験や、店内で過ごす時間の楽しさを提供し、地域のお客の「くらし」がより豊かに楽しくなるよう尽力していきたいとしている。

店舗は、ホームセンター(HC)の標準店として約1万㎡の売場に約7万5000アイテムを展開。資材のアイテム数が多めになっているという。

最近の店の特徴として、グループ会社が展開する直営のカフェ「CAFÉ BRICCO(カフェ・ブリッコ)」とインテリアグリーン売場を融合させたカフェ&ガーデンのスペースを店内入口付近に配置。「緑のあるくらし」を提案し、カフェで一息つきながら体感できる場所になっている。

カフェ・ブリッコにはイートインスペースも設けられていて、核商品はホームメイドマフィンで9種類展開。他に「濃い」お茶シリーズやレモネード、コーヒーなどの飲料、アフォガートやソフトクリームなども提供

売場は正面の入口付近から中のゴンドラにかけて、日用品や調理器具など購買頻度の比較的高い商品が配置され、周囲の壁面売場にはカインズが強みとするコーナーがそれを囲むように配置される。めりはりの付いた売場構成で、それぞれの専門分野に対応する。

入口右手には医薬品売場を配置。売場前面にはPB商品のマスクを大量陳列
全社的に家事を楽に、楽しくするための商品を提案する「楽カジ」を強化中。入口から入った正面付近のゴンドラエンドではフライパンを販売。最近では「取っ手が外せる」など特徴ある商品化も進めるPBのストーンマーブルシリーズは16年の登場以来累計販売数100万枚のヒット商品。現在は、フライパン、鍋、蒸し器になるストーンマーブルマルチパン(24㎝2980円、総額、写真左)を売り込む
同様にゴンドラエンドで包丁も展開。切り離れがよいディンプル加工で、包丁を研ぐサービスも行うPBの包丁を売り込む。新型コロナウイルスの影響で内食回帰の動きがあることもこうした商材への関心を後押ししている

カフェ&ガーデンの売場の隣りには「CAINZ工房」を設置。戦略的なコーナーとして、15年4月に全面改装した鶴ヶ島店(埼玉県鶴ヶ島市)からデジタル機器の導入を図ったり、お客が入りやすいような設計とするなど強化を図ってきた。誰でも気軽にモノづくりにチャレンジできるスペースとしてDIY(ドゥイットユアセルフ)を提案する。

DIY用品売場の「カインズDIYスタイル」を隣接して配置し、「くらしを自分らしくDIYするインスピレーションを誘発する空間」として展開。工房内では各種工具や専門機器を貸し出す他、さまざまなDIYワークショップも定期開催し、「作る」「教わる」「知る」「繋がる」をコンセプトとして、物販と併せ場の提供にも努める。

右手奥には、ペット関連の「ペッツワン」を設置。得意とするフードやウェアなどのペット用品の他、生体の販売、さらにトリミングやペットホテルなどサービス機能を充実させ、「ペットとのくらし」をトータルサポートする売場としている。敷地内にはドッグランも備え、ペットオーナー同士のコミュニティの場も創造する。

また、戸建て比率が高い地域のニーズへの対応として、エクステリアとリフォームの売場を強化。

リフォームを提案する「デザインセンター」は店の奥に設置、ディスプレーも通常より豊富に提案する。修繕(リフォーム)はもちろん、「くらしにオリジナリティをプラスする」という発想に基づいた居住空間のアレンジ(リノベーション)の提案にも踏み込む。

外売場の「エクステリアプラザ」では、物置やカーポート、外構工事など、専門知識を持つ担当者が相談を受け付ける。

その他、右手奥には、ワインを含め、プライベートブランド商品を中心とした酒売場の「カインズリカー」をコーナー化。壁の色も周囲と変え、落ち着いた雰囲気を作り出している。また、周囲には、アイテムはわずかであるが、米などグロサリー系の食品も販売している。

正面の奥には家具・インテリアの「ホームデザイン」コーナーを設置。

ヒット商品のスタックボックスのキャリコなどカラーも豊富なホームファニシングを展開。気軽にカラーコーディネートができるのも、自社で商品開発しているからこそ
「快眠」も重要なテーマ。お薦めは「新感触まくら」として訴求される「弾力性に優れたやわらかいまくら」。TPE樹脂をハニカムメッシュにした、むれにくく、通気性に優れた新素材を使うことで高い弾力性を実現した
「枕にもなる背もたれイス Lepoco(レポコ)」(3980円、総額)も売り込み商品。用途を広げた提案商品

店舗受け取り(BOPIS)をオープン時から設置

カインズでは、ネットで注文し、店舗受け取る「カインズピックアップ」の導入を進めている。BOPIS(Buy Online Pickup In Store)と呼ばれる取り組みで、特に海外では広まりを見せている。日本では導入を検討する企業は多いものの、実際に導入に至る企業は少ないが、カインズでは19年12月から浦和美園店(さいたま市緑区)で試験導入を開始、導入店数を少しずつ拡大してきた。羽生店ではオープン時からコーナーを設置した。

アプリなどを使ってインターネットで注文し、店舗に受け取りに来るものだが、現状、決済機能は付けていない。注文後、受け取る店舗や希望日を選択、取り置きが完了したらメールが送られる。来店後、店内に設置されたロッカー内にある商品をメールにあるQRコードをかざすことで受け取れる仕組み。商品を受け取ったら、そのままレジで精算するという流れになる。

宅配の場合、買上金額が7000円未満の場合500円の送料がかかったり、代引きの場合はさらに手数料がかかる他、届くまでに日数がかかるといったことがあるが、カインズピックアップの場合、当然、送料がかからない他、店に在庫があれば最短で当日に受け取れることが強みだ。

店ではレジを通る必要があるものの、お客にとっては、商品を確認してから購入できるという面と店頭で探す手間が省けるという面などでメリットがある。新型コロナが発生し、できるだけ買物も効率的に、混雑や接触を避けて行いたいという意識が高まりを見せる中、そうした意識に応える取り組みとしても拡大に拍車がかかるものとみられる。

入口右手には仕切りを設け、自転車売場の「サイクルパーク」を設置。その中に店舗受け取りのコーナーを設置

ウィズコロナ時代、約7200品目を大幅値下げ

カインズは、9月2日から「くらし応援値下げ宣言」として、約7200品目(従来企画比で2倍に相当)を対象に大幅な値下げを実施する。ウィズコロナ時代の経済的な不安を払拭し、少しでも安心して過ごしてもらうために、家計の負担軽減を実感できるような取り組みとして展開。しかも、一時的な値下げではなく、継続的な取り組みとする。

カインズでは、新型コロナウイルスの拡大によって、家計に対する不安が増加していると判断し、「地域のくらしを支える」という企業としての使命を果たすために、「新しい日常に合った新しい価格への見直し」を行うことにしたという。

「くらし応援値下げ宣言」の対象企画は、「生活応援価格」(約3900点)、「Super Low Price」(約2600点)、「カード会員価格」(約200点)、「プロ会員価格」(約500点)。

新型コロナの影響で、住環境に関するDIYへの関心も高まっている。手軽に張り替えられる壁紙などは値下げ幅も大きくなっている

新型コロナによる影響で、生活必需品を販売する業態の店には多くのお客が訪れ、多くの買物をした。カインズの店舗でもそうした傾向がみられたというが、新型コロナの影響、さらにはそれによってもたらされる経済的な困難を考えると、今後、価格に対してはよりシビアな見方が広がると考えられる。

7月にはライフスタイル軸の新フォーマットとして「スタイルファクトリー」を開発した同社。8月末には「C’z PRO(シーズプロ)」というプロ職人専門の「会員制卸売業態」フォーマットをオープンし、従来型のHCと合わせ3フォーマット体制となる。生活必需品の低価格販売は、中でも特に従来型HCのディスティネーション化にとって重要な取り組みになるだろう。

カインズ羽生店概要

所 在 地/埼玉県羽生市大字小松388

オープン日/2020年8月25日(プレ)、26日(グランド)

営業時間/9時30分~20時

駐車場台数/696 台

敷地面積/4万8067㎡

売場面積/1万64 ㎡(外売場含む)

店長/飯塚純一

従業員数/116人(正社員10人、専任社員5人、パート社員28人、アルバイト社員74人)

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