ライフカメイドクロック店、駅前大型商業施設への出店、同社最大級の品揃えの旗艦店クラス

2022.05.16

ライフコーポレーションがゴールデンウィークに入る直前、4月28日にカメイドクロック店をグランドオープンした。同社の店数は首都圏127店、近畿圏161店の全288店となる。

亀戸駅から徒歩2分に立地する商業施設「KAMEIDO CLOCK(カメイドクロック)」の地下1階への出店。カメイドクロックは衣食住を包括的にサポートする全136のテナントから構成される多層階の大型商業施設で、駅前であることに加え、総戸数934戸の分譲マンションのプラウドタワー亀戸クロス大型マンションの他、小学校とも隣接するなど、商、住、学、遊、広場が集まる非常に厚い商圏となる。

また、同エリアにはバスの停留所が多く、1時間で100本以上のバスが発着する時間帯もあるという。

500m圏内は直近5年間で人口が105.8%と増加傾向にある人口密集エリアで、さらに今後も増加が見込まれている地域だという。

店舗から1km圏内は単身世帯比率が48.5%、2人世帯比率が25.4%と全体の7割が少人数世帯となっている。年齢別人口構成は40代が16.7%と最も高く、次いで30代が16.5%となっている。

大型商業施設のため当然、広域商圏ターゲットとなるが、西側の東京都心側には大型の競合も多いことから特に東側の広域から集客をしたい意向だ。

周辺には最も近い950mに亀戸店(東京・江東)の他、1.8kmに旗艦店フォーマットのセントラルスクエア押上駅前店(東京・墨田)を含む6店の自社店が出店するドミナントエリアだが、他社競合店にはディスカウントを強みとする店も多い。

また、カメイドクロック内の隣接した区画には、青果の「フレッシュダイトー」、商業施設初出店となる鮮魚の「本庄鮮魚」、精肉の「牛蔵」の生鮮三品とグロサリーの「パントリー」という各専門店が集積するなど、ライフとしては生鮮専門店との施設内競合も存在する。

そうした中、ライフコーポレーションとしては、健康にこだわった商品や高品質な商品、簡便商品など圧倒的な最大級の品揃えでお客に「選ぶ楽しさ」を提供することで「地域一番店」を目指す戦略を採る。

そのため、売場面積は563坪とそこまで大型店ではないが、取扱商品数は合計1万7015と生活関連や衣料品が少なめの食品主体の店としてはかなり多い。1万9870をそろえるセントラルスクエア恵比寿ガーデンプレイス店(東京・渋谷)ともそん色ないものとなっている。

内訳は農産800(野菜550、果実220、花30)、水産380(鮮魚220、塩干160)、畜産460(精肉280、加工180)、惣菜285(寿司35、弁当75、フライド65、要冷110)、ベーカリー80、加工食品8300(加食4500、菓子1800、酒2000)、日配商品3320(和日配850、洋日配940、冷食アイス1040、卵20、パン和洋菓子470)、生活関連3390(日用雑貨2160、家庭用品1000、文化用品200、ホームファニシング30)。

今回のように店内加工も多数手がける大型店から小型店まで、整備してきたセンター、あるいは惣菜のサテライトキッチンを活用しながらさまざまな店に対応できることはライフコーポレーションの強みとなっている。

商業施設内の区画のため入口の設定が難しいが、広い間口を生かし、生鮮と惣菜を一体化したレイアウトを採用。店の奥の反対側には駐輪場直結の出入口がある
ベーカリーは80SKUで同社最多の品揃え。先頭の平台はお客の変化に合わせて昼間は昼食用のバーガーを展開し、夕方にかけておやつ用のミニクロワッサンやサーターアンダギーなどに切り替える
ベーカリーでは果物売場で販売している果物を使用したフルーツサンドを品揃え
駅前立地ということもあって、「地域ナンバーワンの弁当売場」を目指し、惣菜売場の先頭は弁当の平台を3台設置。売場昼間人口は多くはなく、昼食需要はそれほど大きくはないが、16時以降から夜の需要が当初の見込みより大きかったという。施設自体は21時閉店だが、ライフは24時まで営業していることも夜の需要が大きくなっていることに影響しているとみられる。また、平日の客数は4500人ほどと想定より多かった
弁当の平台の1つはアジアンメニューでくくる。商品開発が進んだ結果、コーナー展開が可能になった。他の弁当の平台も、健康にこだわった弁当や高品質弁当など位置づけを明確化した上で展開
プライベートブランド(PB)の「ライフプレミアム」の長期熟成のみそを用いた惣菜を新しいマーチャンダイジングとして展開。ドリアにもみそを使っている
惣菜の握り寿司では、PBの「濃厚つゆ」「白出汁」で味付けした「店内漬け込み!」の漬け寿司を首都圏で初展開
同様に惣菜の握り寿司では、ローストビーフや豚バラ肉を使用した肉寿司といった商品も展開する
農産売場内、バナナやマンゴーなど種類を拡大した「世界の果物」コーナー。なじみのない商品のため、商品ごと食べ方の説明を記している。さらに英語、中国語の外国語対応もしている
農産部門の店内製造のサラダを充実。恵比寿ガーデンプレイス店でも展開する食べられる花を打ち出した商品や店内で蒸したスチーム野菜など展開した華やかな売場
農産売場はバックヤードが売場とつながっているような構造としている
「オーガニック・ローカル・ヘルシー・サスティナビリティ」をコンセプトとするBIO-RAL(ビオラル)コーナーは3尺24本分と、店内のコーナーとしては最大規模での展開となる。食品500、生活関連100の600SKUの展開
ビオラルコーナーでは菓子などをスイーツの売場を拡大し、充実させている
同様にビオラルでは重曹、クエン酸、歯ブラシなど日用雑貨の商品のPB商品の開発を進めている
有機農産物やビオラル下ゆで野菜をビオラルコーナーと連動する形で設置。
農産のミールキットはオイシックスの商品と共に恵比寿ガーデンプレイス店でも展開しているオリジナルの「八百屋さんのミールキット」を展開。現在は留め型だがPB化も視野に入れる
ビオラルで人気の有機ピーナッツバターを展開(展開場所はチーズハウスの隣り)。店内で搾り、提供する
水産は、対面販売コーナーを充実させるなど地域一番店を意識させるものとなっている。お客の要望に応じた調理サービスやそれぞれの魚に合った食べ方などを提案する
水産部門が手掛ける「うを鮨」は惣菜部門の寿司とは差別化し、水産売場での展開。握りから海鮮丼まで展開。週末には家族用の握り寿司の盛り合わせなども充実させる
水産では埼玉県加須市の自社センターで製造する冷凍のミールキットなど、オリジナルの冷凍の商品を強化している
水産売場と畜産売場の間には、生鮮部門が手掛ける魚惣菜と肉惣菜をコーナー化。大型店ではこのように個別に売場を設けることが多い。カメイドクロック店からの新商品としてPBの「濃厚つゆ」を使用した煮干し素揚げやほほ肉塩焼きなどを展開
大型焼肉コーナー「焼肉四葉苑」を設置。さまざまな種類を取りそろえることで「焼肉と言えばライフ!」と想起してもらう売場を目指します。焼肉の需要が高い商圏ということで壁面で大々的にコーナー化
通常は焼肉商品が展開されることが多い平ケースではローストビーフなど冷蔵の肉惣菜をコーナー化している
畜産では生野菜と肉を合わせたチルドタイプのミールキットをカメイドクロック店から新発売。埼玉県加須市のセンターの野菜と埼玉県久喜市のセンターの精肉を久喜市のセンターでアッセンブルしている
畜産では大量目の品揃えも充実させる。豚肉、鶏肉を中心にセンター供給のアウトパックも併用している
冷凍食品、アイスクリームは1040SKUと恵比寿ガーデンプレイス店より多い。昼食や夕食のニーズに対応したミールキットや冷凍スープ、ワンプレート、米飯、麺類などライフ最大級の品揃えを実現。旅行や外食気分を味わえる世界のグルメや専門店の味コーナーも設置している
既存店でも好評を得ている北海道の銘産品を集めた「北海道ふるさと味巡りコーナー」を設置している
酒は、日本酒、焼酎、ワイン、クラフトビールなどライフ最大級の品揃え
ワインはワインセラーのような空間を設け、希少な商品も取り扱う。最高価格は本体価格22万円。15℃で温度管理されたケースで販売
チーズコーナーのチーズハウスはカットする部屋も設ける本格展開
生活関連はしっかり売場を確保。ベビー用品を幅広く取りそろえる他、キッチン用品はデザイン性や機能面を重視した「ジョセフジョセフ」「コフィル」などのブランド商品も品揃えする

ライフカメイドクロック店概要

所在地/東京都江東区亀戸6-31-6カメイドクロック地下1階

オープン日/2022年4月28日

売場面積/1861㎡(563坪)

営業時間/9時30分~24時

駐車場/約300台(施設内一般)

売上目標/36億円

店長/山内徳久

従業員数/168人(社員25人、パートナー143人)

レジ台数/15台(セミセルフ12台、サービスカウンター1台、ベーカリー専門2台)

お役立ち資料データ

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