元祖グローサラントが約3年ぶりの新規出店「イータリー HARAJUKU」

2022.04.12

2020.08.07

飲食と物販を融合させたフォーマットを40店展開し、世界各国の出店地域で存在感を放つイータリー。日本では2008年に1号店をオープンしたものの、その後、事業縮小。15年にイータリー・アジア・パシフィックとして再出発し、17年8月に約450㎡(約136坪)のグランスタ丸の内店をオープンした。

ちょうどそのころ、スーパーマーケット(SM)の競争激化によって「食の機会」の争奪戦が発生したことなどが重なって、SMが外食の分野への侵攻を本格化していた。「グロサリーストア(SM)」と「レストラン」を合わせた造語である「グローサラント」といった言葉も定着し、イータリーはその大本命ともいえる存在だった。

ただし、大型のゾーンを多数擁するような海外の大型店と異なり、約450㎡のグランスタ丸の内店は「飲食と物販の融合」を本格的に融合するにはやや狭いようにも思えた。グランスタ丸の内店に続いて中型店の旗艦店を出店することも視野にはあったが、果たして今回、約3年ぶりにオープンした最新店は、グランスタ丸の内店と比べても飲食店の色彩の濃い店となった。

物販はやや縮小だが、約500アイテムを凝縮して展開

「EATALY HARAJUKU(イータリー原宿)」は6月9日、JR原宿駅前に開業した複合施設「WITH HARAJUKU(ウィズ原宿)」の3階にオープンした。「ウィズ原宿」はNTT都市開発が開発した店舗の他、住居などからなる複合施設で、ユニクロやイケアなども出店している。

イータリーは写真左手の3階部分に出店

イータリーの面積は、店内が240㎡(約73坪)、テラス席が190㎡(約62坪)。トータル430㎡と、グランスタ丸の内店より一回り小さい。大きな特徴は73席分もあるテラスで、開放的な空間で食事を楽しむことができる。

イータリー・アジア・パシフィックでは、同店の業態を「イタリアンレストラン&マーケットプレイス」と定義している。前述のように飲食店の色彩が濃いが、「マーケットプレイス」とあるように、ところどころに物販の要素がちりばめられている。また、レストランメニューについても「持ち帰り需要」にも対応する。

物販ではワインや量り売りの生ハム、チーズ、オリーブオイル、パスタ、バルサミコ、菓子などのイタリア食材を約500アイテム取り扱う。これは丸の内店の約650アイテムと比べてやや少ない。「立地と客層の想定からマーケットエリア(物販)の品揃えはかなり絞り込んだ」(同社)という。

グランスタ丸の内店では、新型コロナウイルスの影響もあって自家需要が伸び、物販の売上比率が4割を超えるまでに高まっている。同社によると、「長期の在宅期間により、自宅の時間を豊かにする消費者側の工夫が見られ、ある程度の高単価のグロッサリー商材や、ワインなどのし好品の売上げが伸びた」という。

通常営業時は、1500 円の抜栓料を払えばレストランへマーケットエリアのワインの持ち込みも可能としているため、ワインの売上げが伸びる要因となっている。また、レストランで食べて気に入って、その食材を購入していくケースも多いという。

飲食と物販の相乗効果で売上げを高め、結果としてより多くの食の機会で店を利用してもらうことができれば、戦略としてのグローサラントの目的を果たすことができる。

物販のアイテム数は約500。ワインが140アイテム、グロサリーが300アイテムといった内訳
原宿駅前という立地から、おみやげになるような菓子などを増やした
物販の客単価はグランスタ丸の内店では3000円弱と高め。生ハム、チーズ、ワインなどの高単価の商品があるためだが、原宿の店では立地的にもそれよりは低めになると想定している

「エノガストロノミー」を表現する文化事業

もともとイータリーは、フィロソフィーとして「食べる」「買う」「学ぶ」の3つを掲げている。この3つの行動を通じて、企業としてスローフードを含むイタリアの食文化を正しく世界に広めることを目指しているのである。

さらに、自社を「単なるフードマーケット」ではないとする。イタリアの歴史の中で継承されてきた『エノガストロノミー(ワインを意味する「エノ」と美食学、料理法、食習慣などを意味する「ガストロノミー」を合わせた語)文化』を表現する文化事業として、イタリアでも特にピエモンテ州、リグーリア州を中心とする地域から輸入された食品をメインに打ち出すなど、随所にこだわりを持っている。

その意味では、同社が「グローサラント」の形を採っているのは、あくまでこのフィロソフィーを実践するための結果であって、グローサラント自体が目的ではない。

そのイータリーの本来の目的である「イタリアの食文化を伝える」という点では、今回、原宿の店限定のメニューとして、ローマの名物菓子「MARITOZZO(マリトッツォ)」とイタリアのストリートフード「FRITTO MISTO(フリット・ミスト)」を出来たてで提供する。もちろん、これらは店内でも食べることができる他、持ち帰りもできる。

マリトッツォはローマで愛されている菓子。BAR(バール)でエスプレッソやカップチーノとともに楽しまれている。伝統製法にこだわるムリーノマリーノ社の小麦粉を使用し、店内で焼成した生地にクリームを挟んでいる。生地にはオレンジの風味が付けられている。381~436円(本体価格)
フリット・ミスト。素材の味を生かしたサクサクのフリットで、揚げたてを手軽に楽しめるスタイルで提供する。スナッキングのトレンドにもマッチした商品。シーフード、 野菜、 生ハムの3種類の展開で、各618円(本体価格)
パニーニなど軽食類もカウンターで販売している

また、伝統的なイタリアンフードカルチャーと原宿のクリエイティビティとを融合させた象徴として、原宿店のオリジナルグッズ「ICONIC HARAJUKU COLLECTION(アイコニック・ハラジュク・コレクション)」を発売。

イラストレーターでアーティストの長場雄氏が、イタリアの古典絵画の構図やポーズを参照しながらさまざまな人々が各々好きなように食事を楽しむ姿を表現し、グッズに落とし込んだ。イタリアンフードカルチャーを身近に感じさせてくれるコレクションになっているという。

レストランスペースではグランスタ丸の内店と同様、オープンキッチンを採用。ピザ窯も用意
レストランメニューの「アンティパストミスト Eataly原宿」(本体価格1800円、写真は撮影用のハーフサイズ)。「EAT BETTER, LIVE BETTER(よい食事は人生をより豊かにする)」は、イータリーのマニフェスト
ピッツァの定番「マルゲリータ」(本体価格1709円)。日本でも一般化しているピザやパスタのようなメニューはとりわけ競争力を発揮できる分野だ

EATALY HARAJUKU概要

所在地/東京都渋谷区神宮前1-14-30ウィズ原宿3F

営業時間/11時~23時(ラストオーダー22時)

※当面の間は11時~21時(ラストオーダー20時)

店舗面積/230㎡

総席数/152席(店内:スタンド席除くカフェ&カウンター6席、レストラン55席、テラス:カフェ&カウンター34席、レストラン34席)、貸し切り可

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