フレッセイ朝倉店オープン、前橋市内に自社開発NSC核店、700坪超の大型店で出店

2022.11.05

アクシアル リテイリンググループのフレッセイは群馬県前橋市にフレッセイ朝倉店を10月28日にオープンした。同店のオープンでフレッセイの店数は群馬県45店、埼玉県3店、栃木県3店の計51店となる。

自社開発のネイバーフッドショッピングセンター(NSC)「前橋朝倉モール」の核店としての出店で、売場面積は700坪超の大型店。同社最大級のマーチャンダイジング(MD)が展開されている。年商目標は18億円。

SCは同じ建物内にドラッグストアのスギ薬局、しまむらグループの3フォーマット「バースデイ」「シャンブル」「ディバロ」、100円均一のワッツが出店している他、道を挟んだ別棟にヤマダデンキテックランドが出店するなど、比較的広域からの集客が見込める。

商圏特性は40代~50代が群馬県平均より高く、その分、60代が県平均よりやや低い。SCの集客力を生かして40代~50代を取り込みたい意向だ。SCテナントのしまむらも、子どものいるファミリーを想定したものだ。

商圏人口は2km圏で約4万人、約1万8000世帯。周囲には自社他店もあることから、商圏は2、3km圏からをメインに想定する。

売場は第1主通路に農産と惣菜を配置したパターン。最近の同社の新店では定番となっているパターンで、グループの原信とも近い形になっている。

フレッセイは今年のMDの柱として、「おいしさ軸」「健康軸」「簡便軸」「ローカル軸」の4つを定めている。それぞれ、該当商品は売場でも訴求されている。

フレッセイの大きな特徴に、水産部門で握り寿司を展開している点がある。ちょうど第1主通路の壁面が惣菜からスタートするため、そこに続く形で寿司売場を設置。寿司処「魚の匠」コーナーとしてたねの質、寿司飯にもこだわった水産の握り寿司や巻き寿司、丼物を展開している。

核売場の1つといえる寿司は、製造している様子が見える構造
水産で寿司を展開していることから、丸物を寿司に商品化するといった商品化にも対応しやすい

水産は丸物を含め強化中で、今回、目玉の1つとしてベニズワイガニの水揚げが日本一といわれる鳥取県の境港港からベニズワイガニの他、大衆魚などを引いて展開を始めた。

また、こちらは惣菜での「おさかな惣菜」も今回、強化した分野。煮る、焼く、揚げると手間をかけた魚の惣菜には需要があると考えており、アイテム数をこれまでの10ほどから20程度にまで増加。

グループで開発した「極醸塩銀鮭」などは積極展開。水産で販売する他、焼いて惣菜でも展開している

また、各部門で仕入先を共有する「素材共有」の取り組みも一部で始まっている。また、例えば生鮮の素材を惣菜にするといった部門間でのやり取りも視野に入っていて、日によって素材の状況が異なる中、商品ごとのレシピなど対応法のリストなどを用意している。

その際、例えば水産の素材を惣菜にする場合、水産で一次加工をしたとするとその分の手数料が水産に入るようにする。特に丸物を強化中の水産でのさまざまな商品での展開に期待している。

冷惣菜では、栃木県の「下野農園」の商品をコーナー化の形で導入した。彩り豊かで味も良い惣菜の展開につながっているとみている。下段で大きく打ち出す「にんじんラペ」などは良く売れているという。

畜産では和牛など牛肉を売り込む他、差別化商品と位置付ける鶏肉のつくねをリニューアル。以前はミキシング工程を手作業で行っていたものをインストアベーカリーで使っていたスクラッチの機械を転用。製造量が大幅に増加し、機会ロスが減ることが期待できる。

今後、生ハンバーグのミキシング工程もこの機械で行うようにする予定で、同様に製造量の増加による機会ロスの削減を見込む。

畜産ではレディトゥクックについても強化し、店内製造のミールキットをコーナー化し「ちゃんとKANTAN」コーナーとして展開している。

鶏肉は自社のプロセスセンターで深絞りのノントレーの商品を製造。空気に触れないことから通常と比べて鮮度維持が期待できる。上段にはマリネーションによる味付けの商品も展開している

惣菜では、店内で切る「ローストビーフ」を使った丼や握り寿司を提供する他、鉄板焼きコーナーをセットし、店内の鉄板で焼き上げた卵焼きや、焼きそば、お好み焼きなどを提供。こうしたMDは、既存店で磨き上げてきたものだ。

惣菜に隣接し、入口先頭にレイアウトされたインストアベーカリーでは、「上州名物」として打ち出す「みそパン」や品揃え豊富なバーガー、専用の窯で焼き上げた本格ナポリピザなどを展開。

また、ベーカリーでは、スイーツのワッフルがこれまでよく売れていたことから、フルーツサンド、デザートピザを展開。

さらに店内製造スイーツとして、北海道産小豆を使用した手作りおはぎの他、自家製とろけるプリンなど和洋のこだわりスイーツを開発、展開、強力な売場となっている。プリンはあえて硬めにした「レトロ風プリン」や「ドライフルーツのミルク杏仁」といった商品も展開。

また、今回、部門横断で、中身を増量した「具マシマシ」の打ち出しを開始。具を増やしたおにぎりはチラシを入れ、特価を打ち出したこともあってオープン日に400個以上販売するなど手応えを得ている。

もともと巻き寿司から始まり、惣菜、ベーカリーなどに広がりを見せている。鉄板焼きのお好み焼きでは「海鮮マシマシ」のお好み焼きを展開。おいしさに加え食べ応えを重視した。

揚げ物などは個包装ではなく、ふた付きのケースでばら販売を復活させている

農産の地元生産野菜の展開はMD方針の「ローカル軸」の一環といえる。店舗近郊の生産者が野菜や果物を毎日直接納品する。

その他、前述のみそパン、惣菜で展開する焼きまんじゅう、鶏めし重なども「ローカル軸」の品揃えだ。

需要が高まっていることから強化している冷凍食品は540アイテム。地元の飲食店「めの娘」のギョーザなども「ローカル軸」の商品。また、業務用需要も見込み、冷凍の素材を展開している。

農産と惣菜が第1主通路にあるため、第3主通路までの回遊が課題となるが、冷凍食品を充実させることで核売場にしたい意向だ。

グロサリーでは「成城石井」コーナーを展開していたが、今回は商品ごと、棚割りに混ぜ込むようにしている。今後、チルド、冷凍の商品の導入も視野に入れているという。

ゴンドラエンドの1つでは「久世福商店」の商品も展開している。

量販スペースのゴンドラエンドは、在庫が少なくてもボリューム感が出る仕様の什器を使用している

部門別のSKU数は、水産430、うち寿司43、畜産392、うち加工品130、農産409、内訳は野菜316、果物63、花30、惣菜280、うち冷惣菜109、ベーカリー70で、生鮮計1581。

洋日配1714、うちパン・和菓子385、和日配1415、うち冷凍食品540で、デイリー計3129。

加工食品4900、菓子1497、酒1291、米72で、加工食品計7760。住居が2982で、グロサリー計1万3871。

総SKU数は1万5452と多い。

また同店は、ネットスーパーを12月から開始予定で、客単価5000円で1日50件、20万円強の利用を見込む。ネットスーパーは他店に広げる形ではなく、同店で群馬県全域を対象とする予定。配送はヤマト運輸に委託する。

フレッセイ朝倉店概要

所在地/群馬県前橋市朝倉町923

オープン日/2022年10月28日

営業時間/9時~22時

駐車台数/592台(SC全体)

敷地面積/3万8452.37㎡(1万1631.84坪、SC全体)

売場面積/2322.75㎡(702.63坪、フレッセイ)

店長/藤村健一

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