ニトリ池袋サンシャイン60通り店がオープン、あえて都心に最大級の大型店を出店した狙いとは?

2022.11.15

ニトリは、東京三大副都心(新宿、渋谷、池袋)でニトリ最大級の売場面積を誇る旗艦店舗となる「ニトリ池袋サンシャイン60通り店」をオープンした。11月14日午後からソフトオープン、18日にグランドオープンする。

 JR池袋駅35番出口から徒歩5分、サンシャイン60通りに面するというアクセスの良さを生かし、1日約250万人という池袋駅の乗降客に加え、豊島区、練馬区、文京区、板橋区などからの車での来店を含む比較的広域からの集客を見込む。商圏人口は約298万3000人と設定。

1階から8階の全8層、約1810坪の大型店舗での出店となった。4月にオープンした都内最大級の売場面積を持つニトリ目黒通り店と同等の1万2670SKUを取り扱う。

これまで池袋には約1000坪の東武池袋店、約400坪の池袋サンシャインシティ店があったが、「290万人のお客さまがいらっしゃる商圏でニトリの商品を全部見せることができなかった。全部見ていただけるお店が造れたらいいなとずっと願っていたので大変うれしく思う」(武田政則・ニトリ社長/ニトリホールディングス取締役グローバル商品本部本部長兼グローバル販売事業推進室室長海外販売事業管掌)

オープン内覧会に臨む武田政則社長

既存2店はすでに閉店し、今回の店に集約した形となった。特に東武池袋店は11月13日の閉店で、その機能をそのまま引き継ぐ形となる。従業員も同店で働いていた人が移行。ワンフロアから多層階になったことからソフトオープン期間を訓練期間と位置付けている。

店頭の外側には大型のデジタルサイネージを設置し、サンシャイン60通りを通行する人に季節ごとの情報をタイムリーに提供する。

同店のコンセプトは、「あなたの欲しいが見つかる・自分らしい過ごし方がきっと見つかる」。暮らしの変化に合わせ、自宅での時間をより快適に、心地良く過ごすための売場を展開。

実際のコーディネートをイメージできる部屋型プレゼンテーションは全10部屋展開。今回は特に都心の部屋に合わせた6畳、12畳を増やした。加えて生活シーンに合わせたコーディネート提案を14カ所設けている。

あえて地代の高い都心部に大型店を出店することで、商品を実際に展示するのには実際に「体感」してもらうことが重要であると考えるためだ。商品の絞り込みもせず、全ての価格帯、品種を用意し、総合的な品揃え、サービスにこだわった。例えば、体感が重要になる電動リクライニングパーソナルチェアや電動ベッドなども売場を広く取って展開。

インテリア用品では生活に彩りを加える商品や不平、不満、不便を解決する商品も数多く取りそろえ、さらにそれを実際に見て、触れることで使用イメージができ、使用感や機能などを納得した上で買える売場であることを意識した。

ニトリアプリの新機能「お部屋deコーディネート」を店舗初設置

また、ニトリアプリの新機能となる「お部屋deコーディネート」を体験できるモニターを4階カーテン売場、5階寝具・寝装品売場に初めて設置。

アプリの「お部屋deコーディネート」は、着せ替え感覚で簡単に部屋のコーディネートをイメージできる仕組み。自宅の部屋の色に合うかといった、色や柄の組み合わせを確かめた上で買物ができることを目指した。

アプリのデモンストレーション

ニトリアプリは2014年3月からサービスを開始し、22年10月末段階で会員が1500万人を突破、特に20年、21年にはそれぞれ約400万人、今年もそれに近い人数の会員が増加するなど急増中。

従来のプラスチックのカード会員からのシフトも進んでいるというが、プラスチックカードの会員とアプリ会員を合わせると4000万人超に上るという。

アプリには「店内モード」の機能もある。店を指定すると売場のレイアウトが表示され、探している商品がどこにあるのか、在庫の状況などが確認できる。商品のバーコードをスキャンすることで、そのまま注文することもでき、さらに配送、店舗受け取りなどの選択ができるようになっている。注文が確定するとバーコードが表示され、それをレジで会計する流れ。

特に家具などは実際に現物で「体感」することが重要との認識があり、その点で全国に店舗網を持つことは強みになる。

アプリの機能は充実させていくが、ニトリにとってそれはEC(電子商取引)に移行するということではなく、あくまで店舗を資産と捉え、それを生かした形でのより便利な買物の追求ということになる。

8層に渡る池袋サンシャイン60通り店の売場をフロアごと見て行こう。

1階では「季節用品」を展開。季節ごとにテーマを変えていく。オープンの11月中旬は暖かさを打ち出す「Nウォーム」のシリーズやクリスマス商品を展開。

2階は「ダイニング用品」「キッチン用品」の売場。調理器具から収納用品まで提案している。人気のキッチンマグネットはニトリ全店の中で一番大きな売場で使い方の提案まで行う。

ニトリ全店で最大の売場を設けたキッチンマグネットのコーナー
館内にはニトリ最大級となる21台のセルフレジを設置。2階には16台が並ぶ

3階では「バス・トイレ用品」「衣類収納用品」「組立家具」「洗濯・掃除用品」「家電製品」「収納整理用品」「時計」を展開。広い売場を生かして、床に商品を置くことで実際の大きさが分かるようにしている。都心の池袋でこれを実施することは念願だったという。

家電も品揃えする。白、黒のシンプルな色のため、コーディネートもしやすい

4階では「カーテン・ブラインド」「インテリア雑貨」「テーブル・チェア」「ラグ・カーペット」「季節用品」「座卓・こたつ」を展開。カーテンはニトリ最大級の売場で、全650シリーズを展開。新宿、渋谷の店ではカーテンの売上高構成比が高いことから池袋でも支持が高いとみて大きな売場とした。

「お部屋deコーディネート」を初導入。売場で部屋のコーディネートのイメージができる。個人でログインするアプリとは違い、こちらは直接ECには移行せず、選んだ商品についてはバーコードが掲示され、それをアプリでスキャンして買物するようになっている

5階では「寝具」「キッズ・ベビー用品」「クッション・スリッパ」「玄関整理用品」を展開。キッズ・ベビー用品は注力分野。駅近ということで、発送カウンターを設置している。

敷き布団や枕を実際に試すことができる
「Nウォーム」はシリーズ累計販売4000万枚以上のヒットシリーズ

6階は「ソファ」「リビングルーム家具」「収納家具」。コーディネート提案は都市部ということを考慮し、6畳と12畳に設定。パーソナルチェアは以前はそれほど売れる商品ではなかったが、コロナ禍もあって自宅でくつろぐという観点もあって大ヒット商品に変貌した。

7階では「ダイニング家具」「ホームオフィス」「システムキッチン」「キッチン家具」「学習机」を展開。シーン別に提案している。

ゲーミング家具売場も設ける他、コロナ禍で需要が高まっているワークチェアも展開している。ワークチェアは当初は低価格の商品が売れたが、コロナ禍の長期化もあってより座り心地の良いものということで買い替え需要が増えている。こういう点からも、現物で確認することの重要性を感じている。

ゲーミング家具売場では「東京ゲームショウ2022」に初出店した際のブースを再現している

8階は「ベッドルーム家具」売場。シングルとダブルの組み合わせや親子ベッド、電動ベッドとプロジェクターの演出などの提案を実施している。

電動ベッドも売上げが高まってきている商品の1つ

今回、池袋サンシャイン60通り店のグランドオープンを記念し、全国で「生活応援キャンペーン」を開始。11月18日~12月31日まで期間限定で開催する。

家具については、合計で税込み5万円以上の大型家具の購入で配送料が無料(組立家具、システムキッチンを除く)になる他、最大710アイテムを期間限定価格で提供、インテリア用品については暮らしに役立つアイデア商品360アイテムを期間限定「お試し価格」で提供する。

ニトリ池袋サンシャイン60通り店概要

所在地/東京都豊島区東池袋1-28-10

延べ床面積/約3700坪

売場面積/約1810坪

売場構成/1~5階ホームファッション売場、6~8階家具売場

オープン日/2022年11月18日グランドオープン(11月14日~17日プレオープン)

営業時間/10時~21時(11月14日12時~21時)

取扱SKU数/1万2670 SKU(家具1362SKU、ホームファッション1万1308 SKU)

お役立ち資料データ

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