【2021年】恵方巻の大量廃棄問題への対応はどうなる?各企業の施策を紹介

2021.01.25

店頭で繰り広げられる「恵方巻商戦」は、すっかり節分の恒例となった。だが、その風物詩に異変が起きているのをご存じだろうか? キーワードとなるのが「大量廃棄問題」だ。2021年の恵方巻商戦が抱える課題について解説する。

恵方巻の大量廃棄問題とは?

2月初めの節分の食べ物として、定着した感のある「恵方巻」。節分直前になると、百貨店やスーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの売場に、大量の恵方巻が並べられる姿も、お馴染みになった。ところが、そうした当たり前の光景に今、異変が起きている。

例えば、前回の2020年の節分では、恵方巻が売り切れる店舗が続出した。恵方巻を食べる人が増えたからではない。小売店の多くが、需要に見合った販売量に抑えたからだと見られている。その背景にあるのが、2018年頃からクローズアップされるようになった、売れ残りの恵方巻の大量廃棄問題である。

関西大学は2019年2月、宮本勝浩・同大学名誉教授が、節分を過ぎて廃棄される恵方巻の金額が全国で約10億2800万円に上ると試算したと発表(恵方巻の全国売上高は約257億円と推計)。 余った恵方巻用食材の廃棄や、廃棄にかかる運搬や焼却のコストなども含めれば、恵方巻廃棄で生じる経済的な損失は、それよりもはるかに多いと指摘する専門家もいる。

では、そもそも恵方巻の大量廃棄は、どうして問題視されるのだろうか? それは近年、「食品ロス」を減らそうという機運が、世界的に高まっているからだ。

経済力のある先進国が、世界各国から大量の食糧を輸入しながら、そのうちの相当量を使わずに廃棄している状態は、実は、長年続いてきた。例えば、農水省によれば、平成28年度の日本の食品ロスは643万トンで、食品小売業から発生した食品ロスが、その1割以上を占めていたという。

しかし、発展途上国を中心とした人口爆発や地球温暖化による異常気象、国際紛争や経済摩擦の頻発などによって、世界の食糧事情は悪化している。発展途上国で多くの国民が飢餓に苦しむ中、食品ロスを放置することは、人道上許されないという国際世論が広がってきた。さらに、コロナ禍によって、世界の食糧事情は、いっそう危機的状況に陥る懸念がある。実際に、日本でも現在、毎日の食料品にも事欠く貧困層が増えているといわれている。

そればかりではない。食品ロスにかかるコストは、実は、食料品の売価に転嫁され、消費者が負担している。つまり、食品の価格は、予想される廃棄ロスを織り込んで設定されているわけだ。食品ロスがなくなれば、食料品の価格はそれだけ安くなり、国民生活や日本経済にもプラスをもたらすと、考えられるようになった。

そうした中、日本でも、2019年10月に「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行され、挙国一致で食品ロスに取り組むことが決まった。食品ロスへの消費者の意識や関心も、急速に高まりつつあるというわけだ。

ところで、正月のおせち料理、バレンタインデーのチョコレート、桃の節句のひなあられなど、食べる期間がごく限られるシーズン食品は、恵方巻のほかにもたくさんある。そうした中、どうして恵方巻は、とりわけ、大量廃棄が発生しやすいのだろうか? 

要因の一つは、基本的に巻き寿司であるため、“日持ちがしない”というネックがあるからだ。おせちの栗きんとんやひなあられであれば、後日までとっておけるが、恵方巻は、節分の直前に買い込んで、節分までに食べ切らなければならない。そのため、どうしても販売が短期集中になって、需給コントロールが難しくなってしまう。

もう一つの要因は、需給コントロールの難しさとも関連するが、恵方巻を欠品が生じないように、多めに作っておくようにしたからだと考えられる。小売店は、廃棄ロスよりも機会ロス、顧客のクレームや満足度の低下のほうを恐れていたともいえる。恵方巻やその食材を納入しているメーカーも、小売店の要望に応えるため、在庫を多めに抱えることになったのだろう。  しかし、流通業界のそうした慣行は、食品ロスに厳しい目が向けられる中、転換を余儀なくされている。

恵方巻の大量廃棄問題への各社対応

恵方巻の大量廃棄問題を重く見た農水省は2019年1月、流通関係の業界団体向けに「恵方巻きのシーズンを控えた食品の廃棄を削減するための対応について」を発出。

シーズン後に小売店に実施した調査によれば、予約販売の実施、当日のオペレーションやサイズ・メニューの工夫などによって、回答した75社のうち、恵方巻の廃棄率については87%が「前年度より減少した」、そのうち、31%が廃棄率を「6割以上削減」と答えたという。

農水省は、2020年も小売業者に対して、恵方巻について予約販売など需要に見合った販売を呼びかけ、PR資材の提供などを行ったところ、1月15日時点でセブン‐イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマート、マルエツなど26事業者が、ロス削減プロジェクトに参画した。2021年も、引き続き同プロジェクトを進めるとしている。

では、百貨店やスーパー、コンビニなどの小売業は2021年、恵方巻の廃棄ロスを減らすために、どのような取り組みをしているのだろうか? 目立つのは、「数量限定」などをうたい文句にした予約販売、食べやすくて価格も手頃な少量サイズの強化のようだ。

●イトーヨーカ堂

予約販売は、ネットスーパーで1月28日まで受け付け。予約で買うと、買い物のとき、買い上げ商品の中で最も高い商品が、10%引きになるクーポン券をもらえる。そのほか、「セブンカード」や「nanaco」の会員の場合、ボーナスポイントを付与するケースがある。

2021年の恵方巻は、同社100周年記念の海鮮25種入りの「超・極太巻き」(1本・税別4980円)など、付加価値を追求したラインが特徴。

●マルエツ

予約販売は1月31日18時で受け付け締め切り、2月2日10時から引き渡し。シャリよりも具材が多い「大漁海鮮太巻」(1本・税別1980円)は、Tポイントが300ポイントもらえる特典付き。ハーフサイズも販売。

●関西スーパーマーケット

1月28日に農水省の「恵方巻きのロス削減プロジェクト」に参画すると発表。予約販売の告知の強化、前年販売実績に基づく生産・販売計画の精度アップなどに取り組むとした。

●ポプラ

予約販売は、1月28日22時まで(商品引き渡しは2月1~3日)。活きじめのアナゴ1本が入った「特上恵方巻」(1本・税別1000円)を予約すると、「アサヒ十六茶」が1本もらえる。また、キャンペーン対象の恵方巻を3品目買い上げると、100円引きになる特典もある。

●大丸東京店

1月20~30日に恵方巻の予約販売を実施。一部はネット予約販売ができるようにした。タキモトの「恵方巻ハーフ3種」(税込み1550円)は限定50個。アナゴをおぼろ昆布で巻いた太巻きなど3種類の味が楽しめる。

まとめ

2021年の商戦からも、恵方巻は今後、数量限定の予約販売が主流になると考えられる。そのため、量よりも質を追求し、味覚やこだわりの具材などで差別化が図られ、価格帯もアッパーゾーンにシフトすると予想される。

一方で、コロナ禍の影響もあって、家庭向けの「手作り恵方巻セット」などが、普及する可能性もある。余った食材は、春分以降も有効活用できるため、食品ロス対策の観点からも、注目されるのではないだろうか。

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