改めて知る、来店不要の『VRコマース』とは?新しいショッピング形態として注目される仕組み

2021.01.26

2021.01.27

新しいショッピング形態として注目されているVRコマースを知っているだろうか?オムニチャネルは、リアルな実店舗とインターネットのECサイトを融合した販売戦略として定着してきた。

実店舗で品切れの商品をECサイトから購入できたり、ECサイトの購入品を実店舗で受け取ったりできるのが顧客にとってのメリットだ。一方で、実店舗を利用するためには移動しなければならず、ECサイトでは実物を見られない点がデメリットである。

VRコマースは、実店舗に来店しなくてもリアル感覚でショッピングを楽しめるのが魅力だ。オムニチャネルのデメリットを解消した進化形の販売戦略といえるだろう。VRコマースとはどんな仕組みなのだろうか?

VRコマースでリアルに近いショッピング体験

VRコマースとほかの販売戦略にはどんな違いがあるのだろうか。

VRコマースとECサービスの違い

ECサービスは、実店舗に次ぐチャネルとして登場した。カタログから商品を選ぶ感覚で、いつでもどこでもショッピングができる。手軽で便利な反面、実店舗と同じように店内をまわることはできない。

「Virtual Reality」を略したVRは、仮想現実と訳される。表面上は仮想でありながら、本質的は現実といった意味だ。バーチャルな空間に店舗を実現したVRコマースは、実店舗にいるような感覚でショッピングを楽しめる。

限りなくリアルに近い体験を得られる点が、VRコマースとECサービスとの大きな違いである。また、VRコマースはPCやスマートフォンからも利用可能なものが多く、専用ゴーグルは必要ない。

MコマースやVコマースとの違い

電子商取引であるEコマースは、「Electric Commerce」の略だ。一般的にネットショッピングを意味しており、Eコマースからの派生にはVRコマース以外にもさまざまな種類がある。

Mコマースは「Mobile Commerce」の略で、モバイル端末を利用したオンライン取引のことだ。インターネット環境がない場合でも、スマートフォンからECアプリなどを通じてショッピングができる。

Vコマースは「Voice Commerc」の略で、声紋認証技術を使った仕組みだ。Webやモバイルに続く手段として導入され、音声で決済を完了できる。

CG技術との融合でリアル感を実現

 リアルなショッピング体験ができるVRコマースは、CG技術を組み合わせることでさらに可能性が広がる。

実店舗でのショッピングは、「エモさ」を感じられるのが魅力だ。店内をまわりながら、偶然出会った商品に一目惚れして購入するケースは珍しくない。購入予定がなかったものでも、エモーショナルな感覚から衝動買いをしたという経験を持つ人は多いのではないだろうか。

VRとCGを活用すると、バーチャルな空間にリアルな店舗の内装を再現できる。入り口のドアやショーウィンドウを配置したり、外の街並みを再現したりすることも可能だ。顧客は店舗を訪れたときと同じように、商品との出会いを楽しめるだろう。

VRコマースを導入するメリット

VRコマースによってバーチャルと実店舗を融合することは、顧客と店舗双方にさまざまなメリットがある。

人間の五感にアプローチする情報を提供

VRコマースでは、視覚や触覚など五感へのアプローチが実現できる。たとえば、360度カメラでの撮影によって、実際に店内で買いまわりしているような視覚体験が可能だ。特殊な撮影技術では数千倍のズームが可能で、よりリアルに素材や質感をチェックできる。音声案内をプラスすることで、聴覚への働きかけも実現した。

また、グローブ型や指輪型などのデバイスで触覚の再現が可能だ。ヘッドマウントディスプレイやゴーグル式デバイスに香りを加えて、嗅覚にアプローチする技術も登場している。香りの影響を利用して味覚体験ができる仕組みも開発された。

来店不要で収益を拡大するチャンス

商業施設に出店している場合、休館日は収益を得られず、閉店後も営業ができない時間が発生する。VRコマースを導入すれば、実店舗を開けておく必要がない。顧客は来店しなくてもリアルなショッピング体験ができるので、店舗にとって収益拡大のチャンスが生まれる。

ほかにも、CGを活用すれば会員限定用のバーチャル店舗を設置することが可能だ。スペシャルサービスの提供やクーポンの配信といった使い方にも活用できる。

顧客がいつでもどこでも利用できる

VRコマースでは、実店舗とECサイトの融合により、顧客ごとに合わせた接客が可能である。利用機会がなかったユーザー層にアプローチできるので、新規顧客の開拓に役立つのもメリットといえるだろう。

また、実店舗を訪れたいと思いながらも、距離がネックというユーザーにも利用機会が生まれる。遠方に住んでいる場合でも、営業時間や交通費を気にせずに訪問できるのが魅力だ。身体が不自由な人など、移動が難しい場合でも問題ない。顧客は、どこにいてもいつでもリアルなショッピング体験ができるのだ。

VRコマースの先進事例を紹介

世界初のVR百貨店「Virtual Reality Department Store」

米eBay(イーベイ)は、2016年にオーストラリア大手百貨店MYER(マイヤー)社と連携し、世界初のVR百貨店「Virtual Reality Department Store」を立ち上げている。

VRデバイスを通して、MYER社の1万2500点以上の商品を3Dで閲覧でき、デザインや質感など商品理解を深めている。決済はeBayのアプリで完了することができる。

アパレルや小売業のオンライン接客での活用

アパレルや小売業界の実店舗には接客スタッフが欠かせない。接客を受けることで顧客の購買意欲にもつながる。ECサイトには接客スタッフが存在しないが、VRコマースではバーチャル接客が可能だ。

VRオンラインコマースの構築支援を行う「ESCAPE TOKYO」では、VRコマースにZOOMなどのオンラインサービスを組み合わせたオンライン接客を提案している。EC販売を強化するとともに、スタッフの新しい働き方が実現可能だ。家庭の事情で実店舗に勤務するのが難しくなった人が仕事を継続できるなど、スタッフ視点で考えた場合にもメリットがある。

バーチャルタグで案内や演出をプラス

実店舗を訪れると、キャンペーンや季節モチベーションの案内が目に入るように演出されている。たとえば、「送料無料キャンペーン」の案内を天井からぶら下げると、大型商品やまとめ買いを促進するのに効果的だ。

店舗デザインや設計などを行う「TUG Group」では、VRコマースのデモンストレーションとしてバーチャルタグの演出動画を公開している。実店舗の商品を素材として使ったVRコマースの演出が実現可能だ。タイムセール開催時には、バーチャルタグを商品につけるといった仕掛けもできる。

まとめ

実店舗とECサイトを融合したVRコマースは、企業と顧客の双方にメリットがある販売戦略だ。企業はバーチャル空間に実店舗の映像をリンクすることで、来店機会がなかった新たな客層にもアプローチできる。営業時間外に収益を得られるのも大きなメリットといえるだろう。

顧客にとっては、いつでもどこにいてもアクセスできるため、実店舗を訪れるのが難しい場合でも利用しやすいのがメリットだ。ステイホームしながら店舗にいるようなショッピング体験ができるVRコマースは、顧客層が広がる新しいショッピングの形である。

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