三越伊勢丹がリユース可能な容器での販売を実験した狙いとは? 東京都が推進するプラスチック削減の取り組みに参画

2021.03.10

三越伊勢丹は、 ループ・ジャパンが進めている「Takeout Bento Project」に参画し、2月15日~28日、「日本橋三越本店」の本館地下1階食品フロアの一部ショップにおいて、リユース容器を使った惣菜の販売を実施した。

日本橋三越本店周辺にはオフィスも多く、ランチタイムや夕方以降はオフィスワーカーの利用も目立つ

お客がリユース可能な容器での購入を希望した場合、まずデポジット代として330円(総額)を支払い、専用什器を入手。商品を詰めてもらい持ち帰り、後日、来店時に空き容器を持参し店頭へ返却し、その際デポジット代分の優待券を受け取るというもの。

100gと300gの容量の2種類の容器を用意した。返却された容器はループ・ジャパンにより、回収・洗浄したのち店舗へ配送、再利用する。

新型コロナウイルス感染防止策として、容器は十分に洗浄、乾燥・殺菌を行う他、洗浄後の容器は定期的に衛生検査をし、クリーンルームにて検品し梱包する。

対象となるショップは中華料理「桂林プレミアム」と洋惣菜「サルメリア ガリバルディ」。

ショップの店頭にはPOPを掲示しアピールしている
デポジット代分の優待券は、利用したショップのみで使える

リユース可能な容器で惣菜を販売し、空き容器を回収・洗浄したのち再利用するという仕組みにより、使い捨てプラスチック削減につなげていく。

現在、東京都は「持続可能な資源利用」を進める観点から、ワンエー(使い捨て)プラスチックの削減などにかかわる取り組みを推進している。

脱プラ・減プラと食品ロスの2軸で取り組む

ループ・ジャパンのパイロットプロジェクトとして2020年12月より一部実施が始まった容器再利用の 「Takeout Bento Project」は、東京都から「プラスチックの持続可能な利用に向けた新たなビジネスモデル」に選定され、都から補助金を受けて実施されているプロジェクト。

すでに都内の丸の内エリアや六本木エリアの特定オフィスの社員限定で、リユース可能な容器での弁当販売は実施されているが、小売店の一般消費者向けの販売は今回が初となる。

「脱プラ・減プラと食品ロスを2軸に環境負荷の軽減に取り組んでいるが、今回の取り組みもその一環。オフィスワーカーの利用が多い日本橋三越本店でまず実験し、検証することにした。2月24日に、伊勢丹新宿本店にニューオープンした『京料理 美濃吉』では、店内厨房で作った惣菜を食卓にそのまま置いても映える紙の容器『WASARA』で提供している。今後も脱プラ・減プラと食品ロスの取り組みに力を入れていきたい」(三越伊勢丹・食品・レストラングループマーチャンダイジング部付計画担当スタッフの赤井捺美氏)

三越伊勢丹の赤井捺美氏

これに先立ち、三越伊勢丹の国内グループ百貨店では、容器リサイクル法関係省令改正によるプラスチック製買物袋有料義務化に伴い、20年7月1日より、自社製プラスチック買物袋を順次廃止した。
 また、プラスチック製買物袋だけではなく、紙製買物袋も含めた使用量削減のため、「マイバッグはお持ちでいらっしゃいますか?」の声がけを強化し、‟マイバッグの利用と持ち歩きが「スタンダードのライフスタイル」となることをお客とともに目指している。

その結果、マイバッグ持参への浸透が進み、20年7~10月のプラスチック袋辞退により、465CO2tの削減(杉の木約3万3000本のCO2吸収量に相当)に寄与した。

SDGsを重視した経営が求められる時代

三越伊勢丹グループは「人と時代をつなぐ」企業を目指し、社会に対する企業の責任として、社会のさまざまな課題と向き合い、企業活動を通じてその解決に貢献することで、人々の豊かな未来と、持続可能な社会の実現に向け役割を果たしていくということを、サステナビリティ推進の基本方針として掲げている。

お客や取り組み先などステークホルダーと共に4R(Refuse、Reuse、Reduce、Recycle)を進めており、資源の再利用、マイバッグ推進、食品ロスへの対応はいずれも過去に実施したサステナビリティアンケートにおいて取り組むべき課題として要望の高いものとなっている。

食品廃棄物削減への対応として、食品系廃棄物を焼却ではなくリサイクルをすることでCO2削減に寄与している。

伊勢丹新宿本店で、19年度は、311tの生ごみを加工し62tを飼料化、342tの生ごみを9万1930kWhの電力、8208㎥のガスにリサイクルした。

また、三越日本橋本店では、年間約30t排出される廃油を東京油田2017へ委託し、ベジタブル・ディーゼル・フューエル(VDF)の燃料として活用されている。

食品だけではなく衣料品でも取り組みが進んでいる。三越伊勢丹グループは、お客の不要になった衣料品を回収、リサイクルにつなげている。

16年度より、日本環境設計が行う、石油資源の使用削減を目的に、衣料品をバイオエタノールおよびポリエステル樹脂に再生するプロジェクト「BRING」に参加している。

19年度は初めて三越銀座店でも実施し、4476kg、5600枚(1枚当たり800gで換算)の衣料品や雑貨を回収した。衣料品がリサイクルできることへの顧客の認知にもつながった。

19年10月からは、リサイクル羽毛流通システムを運営するGreen Down Project(グリーンダウンプロジェクト)に賛同し、百貨店としては初めて店頭でのダウン回収を実施した。

グリーンダウンプロジェクトは、廃棄されるはずの羽毛を「Green Down」として再生し、再び製品化するという「羽毛循環システム」を構築し、羽毛製品の適正処理・再資源化による二酸化炭素の発生抑制や、羽毛の安定供給、障害者雇用の創出にもつながる取り組み。

持続可能な社会に向けて、事業活動を通じて環境・社会・経済に与える影響を考慮し、企業戦略を立てていくコーポレート・サステナビリティの重要性がますます高まり、SDGs(持続可能な開発目標)経営への理解が深まりを見せている。

そうした状況の中で、生活者にとって身近な存在である小売業は、さまざまな取り組みを行うことで、社会に与える影響も極めて大きく、先導的な役割も期待されている。

今後も、未来に向けて持続可能な社会をつなぐため、安全・安心な商品・サービスの提供や、環境負荷軽減につながる取り組みを推進していくことが求められている。(取材・文/西川立一)

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