東武ストア東雲店が3月23日オープン、若年層が多く人口増の湾岸エリア3店目でドミナント固める

2023.04.03

東武ストアは3月23日、同社64店目の新店として東京・江東に東雲店をオープンした。同店は勝どき店(東京・中央)、晴海三丁目店(同)に続く、同社3店目の湾岸エリア(ウオーターフロント)への出店となった。この3店によるドミナント構築を目指す。

東京臨海高速鉄道りんかい線の東雲駅、および東京メトロ有楽町線、新交通ゆりかもめの豊洲駅からそれぞれ徒歩約12分の中間に位置。店の前を走る晴海通りを挟んだ反対側にはイオンリテールの東雲店がある。

一方で周辺には多くのタワーマンションがある他、公園なども整備され、子育て世代のヤングファミリーから高齢層に至るまで人気の高い、開発著しいエリアだという。出店を決めた2019年時点でも500m圏内には8700世帯が住んでいたが、現在も人口は増加傾向が続く。

同圏内の30代、40代の構成比は47.6%を占め、これは同社64店の中で最も若いという。さらに14歳以下が20%を占める一方、65歳以上は9%と、若年層と子どもが多い商圏となっている。

同圏内には幼稚園、保育所が11施設あるのに加え、同一建物の上層階にも保育所ができるなど、子どもが多い商圏であることを物語る。そうした事情もあって、競合店が目の前にあっても十分に需要が見込めると判断した。

売場面積は413坪で同社としては大型店になる。年商は初年度21.1億円、3年目に24億円の水準を目指す。

マーチャンダイジング(MD)は、30代~40代の「ヤングファミリー層」に向けた時短簡便に特化。同様に子ども向けの商品も強化。さらに全世代向けの商品として、東京野菜や豊洲直行の商品など地場の商品に注力。「居心地の良い中食強化型店舗」をコンセプトに「東武ストアブランド」を発信していく。

MDの主な柱は「おいしさを訴求するMD」「健康を訴求するMD」「簡便、時短、個食に特化したMD」「子ども向けのMD」など。

特徴ある惣菜のラインアップ

特に惣菜に特徴的な商品を多数投入している。例えば、子育て世代は健康への関心も高いと想定し、オートミール使用の商品、大豆ミート使用の商品を展開。オートミール使用とはいえ、食感も重視し、あくまで白米の食感を損なわない程度に入れている。

オートミールは食物繊維などの栄養素が豊富で人気急上昇中ということで実験的に開発。オートミールご飯のキーマカレー膳、チキン竜田とオートミールご飯プレート、オートミールご飯の彩り野菜と甘酢肉団子弁当、オートミールご飯の和風膳といった弁当タイプの商品を展開している。

同店で実験導入だが、オートミール使用の弁当はアウトパック対応のため、早期に店舗数の拡大も可能だが、まずは需要を探る。

大豆ミートを使用した商品については、大豆ミート入りボロネーゼソースのオムレツ、大豆ミート入りタコライスソースのチーズドックなどを展開。

また、こちらも若年層やヤングファミリー層に向けた商品として、おにぎりを進化させ、「にぎらない“新感覚”のおにぎり」の「具だくサンド」を展開。中身の具材が見えるようにカットしてパック販売している。ハムエッグ、豚カツ、ヒレカツ、三陸産アジ塩麹フライ、とろサバきんぴら、カルビ ビビンバなどをラインアップ。

また、こちらもヤングファミリー層に向けて洋風米飯の「洋食米飯 ビストロ TOBU」をコーナー展開。ハンバーグプレート、ドリア、大人のお子様ランチなどをそろえた。「大人のお子様ランチ」は、大きな有頭海老フライと好評販売中の昔ながらの太麺ナポリタンを使用した食べ応えのある商品。新商品「合鴨ロースと長ネギの和風パスタ」も展開する。

他、鉄板を設置し、焼き物、炒め物を展開。鉄板焼きは再チャレンジの形となる。人手不足が恒常化しているが、中食強化の方針の下、新規に商品を開発して挑戦している。ランチタイムには焼きそば、焼うどん、チャーハン、お好み焼きなどを中心に品揃えし、夕方には、ガーリックシュリンプ、チヂミ、玉子焼きなどのつまみ系惣菜を中心に販売する。

1/3日分の野菜入ソース焼きそば、鉄板麺味噌だれ焼うどん、焼豚チャーハン、プルコギ丼、ガーリックシュリンプ、オートミール入りいかたっぷりチヂミ、キャベツたっぷりのお好み焼き、玉子焼きなどをラインアップ。

鉄板焼きではオートミール入りのチヂミなども展開

鶏惣菜の「南部どり」惣菜の集合展開も実施。既存の導入店舗でも好評を得ている「南部どり」を使ったお惣菜をコーナー展開。岩手県の自然の中で、フランスの赤鶏と国産の白鶏を掛け合わせて生まれたブランド鶏「南部どり」を唐揚げ、一口フライドチキン、レバー煮などバラエティ豊富に展開。

南部どりは畜産売場で素材として展開

また、ブランドを打ち出した展開として、ロック・フィールドの商品を新規に取り扱い。「神戸コロッケ」の揚げ物を店内調理、さらに対面で販売する他、仕入れの形で「RF1」のサラダも展開。

神戸コロッケの商品は、東武ストアの従業員が販売に当たるが、揚げ油、温度などはロック・フィールドの指定に沿う形としている他、事前に揚げ方、販売の仕方なども指導を受けた。そのため、こちらは店舗数の拡大は早期にはできないとみる。RF1のサラダは導入店で好評であることから東雲店でも展開。

神戸コロッケの商品は冷凍食品でも販売する

さらにコンセッショナリーとして中華惣菜の「香味楼」を導入。22年12月1日の松原店改装に際し、専用の厨房を設置して展開を開始したが、同店からのサテライト供給として東武スカイツリーライン沿いの店舗を中心に展開していく戦略の一環。

東雲店でも、ボリュームゾーンの若年層などに中華惣菜の需要が高いと判断した。湾岸エリア3店への供給として松原店から軽トラックで運ぶ。3店での展開のため、配送の効率化ができることもある。

需要が高まっているとみるスイーツについては再強化。惣菜ではシュークリームとコッペパンを展開しているが、今後、品揃えの充実と強化を図っていく。強化する価値のあるカテゴリーと判断している。

カットフルーツやフルーツサンドなどは農産売場で展開

また、日配部門では「紀ノ国屋」の商品なども導入するなど日配との連動を図る。紀ノ国屋の商品についてはパンも展開。

スイーツではベストセラーのカスタードプリン、珈琲ゼリーなどを品揃えする他、パン売場ではシナモンアップル、メロンパン、ベルギー産チョコのチョココロネ、塩バターパン、ロイヤルブレッド などをコーナー展開する。

主力商品の天重は季節によって中身を変え、季節ごとに展開。具材のグレードを上げるなど中身を見直し売価を100円上げた本体価格498円にした。油や原材料費が上がる中、中身を見直して単純ではない形で売価を上げた。

惣菜、水産の両部門に渡る形で「東信水産」の商品を仕入れて展開もしている。惣菜では焼き魚、煮魚を展開。比較的ロス率も安定し、朝の高齢層などを中心にコンスタントに売れているという。

寿司の商品は巻き物を含め、水産部門が手掛けるが、新たなフレーバーの寿司や特色ある太巻き寿司の他、「京樽」の寿司などを展開する。

また、新フレーバーとして「ゆずの酢飯」を使用した かつおのたたきの握り寿司、太巻き寿司では「あん肝太巻き」といった特色ある商品などバラエティ豊富に品揃え。また、「天然銀たら」を使用した握り寿司などさまざまな商品化にチャレンジ。「京樽」寿司では握り寿司、茶きん寿司、バッテラなどを展開している。

地場商品と冷凍食品を強化

品揃えでは随所で地場商品を訴求。水産では豊洲や東雲、勝どきなどの地場にこだわった商品やブランド商品を強化。豊洲市場が近い地域特性を生かして豊洲市場直送の魚や干物、仲卸「山治」の朝締めの養殖魚としてカンパチ、マダイ、シマアジなどを当日朝締めし、サク、刺身、寿司で販売する他、地元の老舗つくだ煮店や卵焼き、みそなどに加え、仕入れ商品として「東信水産」の刺身を展開。切り身は、「厚切り」にこだわって商品化するという。

水産売場では「家吞み」のテーマでコーナー化も実施

農産では、近郊野菜として「東京野菜」、畜産では東京ブランドの希少豚肉「TOKYO X(トウキョウエックス)」を新規導入。また、加工食品では、東京羽田発のクラフトビールなどを強化する。

農産売場は平台に柱を連動させる特徴的な造りとなっている
農産売場では有機野菜をコーナー化。ヤングファミリー層にも需要があるとみる

また、ヤングファミリー層からの需要が大きいとみる冷凍食品も強化。グループの東武百貨店池袋店がセレクトした上質の冷凍食品として本格窯焼きピザの「ピザレボ」、食べるスープの専門店「スープストックトーキョー」、デパ地下で人気ロック・フィールドの「ルフフフ」などを展開。

「スープストックトーキョーの商品などは500円台と高単価だが、よく売れているという。今回は「銀座アスター」の1500円~2000円台の商品にもチャレンジ。商圏内の所得が高いことも踏まえた対応で、品揃えは商圏によって変える。冷凍食品ではキッズコーナーも展開。

他、冷凍では商圏内の所得の高いことを受け、畜産でも品揃えを強化した。馬刺しやカモ肉などを展開している。

キッズコーナーを随所で展開。農産ではフルーツサンドやチョコバナナの加工品、畜産、日配、加工食品ではキャラクター商品を展開している。

SKU数は農産530、水産258、畜産372、惣菜イン87、アウト182、日配1900、加工食品5466で食品が8783SKU。ここのところ品揃えの2割カットということで、絞り込みを進めてきたこともあって同規模店と比べても特に多いわけではない。

サービス面ではUber Eats(ウーバーイーツ)のデリバリーサービスを11時~19時までの時間限定で実施する計画。5月から実施予定で、店内の約1000品目を最短30分で届ける。雨の日などは利用が増えると見込む。

また、セブン銀行のATMを導入。今後、キャッシュレス決済が増えていく中でのチャージ機能を店舗に置くため。自前で手掛けるのではなく、ユーザー目線でセブン銀行のATMが、利便性が高いと判断した。

レジではフルセルフレジを導入している

東武ストア東雲店概要

所在地/東京都江東区東雲1-5-19

オープン日/2023年3月23日

営業時間/9時~22時45分

建物構造/鉄骨造地下1階~地上9階建て

駐車台数/46台(共用、車椅子用1台含む)

駐輪台数/76台

売場面積/413坪

店長/白石拓也

従業員数/社員20人、パートタイマー・アルバイト・派遣70人(月170時間換算)

お役立ち資料データ

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