ファミリーマートがTOUCH TO GOの無人決済システムを採用した店舗の出店を開始

2021.03.31

1号店はサテライト店タイプの小型店での展開となったが、通常の店舗でも導入は可能

ファミリーマートは無人決済システムの開発を進めるTOUCH TO GO(TTG)が開発した無人決済システムを活用した実用化店舗としてファミマ!!サピアタワー/S店(東京・千代田)を3月31日にオープン。

ファミリーマートとTTGの両社は2020年11月、ファミリーマートの既存店の省人化やマイクロマーケットへの事業領域拡大を実現することを目指し業務提携を発表、21年2月26日には資本業務提携契約を締結している。

TTGは20年3月にJR高輪ゲートウェイ駅の改札内部分の2階に第1号店を出店し、10月に外部導入の第1号店として東日本旅客鉄道(JR東日本)完全子会社の紀ノ國屋の「KINOKUNIYA Sutto(キノクニヤスット)目白駅店」オープンするなど徐々に拡大してきた。今回のファミリーマートとの提携は、TTGにとっては導入店舗を拡大する大きな推進力となるとみられる。

一方のファミリーマートにとっても期待は大きい。ファミマ!!サピアタワー/S店のオープンに際した記者会見で細見研介・ファミリーマート社長は、「コロナ禍が、お客さまのライフスタイル、価値観を急激に変化させている。このたびの無人決済システムは、コロナ禍で急激にニーズが高まっているお客さまと店舗のスタッフが非接触であるためにはどうしたらよいのか、また人手不足の問題への有効なソリューションになると確信している。また、システムが広がることで店舗運営のコスト、オペレーションの負荷の軽減にも大きく寄与するものということで加盟店の支援にもつながると確信している」と意義を説明した。

特に天井に設置しているカメラによる人の追跡や商品棚に付けたセンサーによる商品の動きの認識、無人での決済といった技術を活用することによる店舗運営コストの削減には大きな期待がかかる。

天井には多数のカメラが設置され、人の動きを捉える
商品棚には全てセンサーが付けられている

「店舗運営のコストで大半を占めるのは人件費だが、人の部分には大きく2つの作業がある。1つはレジ業務、もう1つは商品を陳列すること。今回はレジ業務の作業の削減に取り組みたい」(狩野智宏・ファミリーマート執行役員ライン・法人室長)

通常の店舗の場合、全ての時間で2人以上での運営が基本となっているが、今回のTTGの技術を導入することで常時1人での運営が可能となる。損益分岐点を下げることで、これまでコンビニが出店できなかったマイクロマーケットへの出店を可能にする店舗形態の創出につながる。結果として、ファミリーマートとしての新たなマーケットの開拓にもつながると考えている。

これまでTTGは導入店舗から月額でシステム利用料を得る方式を採用してきたが、これはファミリーマートでも同様。導入のための工事費などは加盟店が負担するが、この工事費やシステム利用料を差し引いてもメリットがあるような店舗を追求していきたいとしている。

細見社長は、「コロナ禍の収束が見通せない中、都市部の流入がしばらく停滞すると予測される。その中で都市部において省人化の店舗、販売スペースを現状のお店に付加する、ないしは新たに設置することで、大きな効果が得らえるのではないかと予測している。従って、これから短期間の間に立地を確保しながら、このプロジェクトはなるべく早く進めていきたい」と語るなど、特に新型コロナウイルスによって大きく変化した都市部での活用に期待を寄せる。

事前の登録や認証は必要なく、「誰でも入店できる」が鍵

TTGの無人決済システムの店舗では天井に設置されたカメラ、商品棚のセンサーによって入店したお客とお客が手に取った商品をリアルタイムで認識。商品を手に取ったお客が出口付近の決済エリアに立てば設置してあるディスプレーに購入商品と金額が表示され、それに基づいて決済を行うというのが買物の流れとなる。

お客はゲートを通って入店し、商品棚の商品から買いたい商品を手に取っていき、最後に決済エリアのディスプレーで確認、決済を行って店を出るだけで買物が終わる。商品のスキャンと精算の時間が削減される。

店内で買いたい商品を手に取る
決済エリアに入ると、ディスプレーに商品が表示される。ここで修正なども行う
セルフサービスのコーヒーはカップを購入するが、その際はバーコードをスキャンしてもらう
何も買わずに店を出るときのために、ディスプレーには「お店を出る」の選択肢もある

また、今回、ファミリーマートがTTGの技術の活用に踏み切ったポイントに、「入店時に事前の登録や認証が必要ない」という点が挙げられる。「コンビニエンスストアはいろんなお客さまに来ていただく店。何かしらの登録や認証をしなければいけないということではなく、どなたでもご利用いただける仕組みであるということで、現実性が高いということでTTGの仕組みを使わせていただきたいと考えた」(狩野執行役員)。もちろん、アプリのダウンロードなども必要ない。

入口にはゲートがあるが、入店時に認証はない

TTGとしても、システムは進化を遂げており、例えばセンサーの改良によって商品の陳列時の密度を高めることが可能になった他、コンビニで多用されるウオークインのケースにも対応できるようになった。

カメラによる買物の認識率も95%まで高まっている。店内での商品の受け渡しや商品を持った子どもを抱きかかえるといったことにはまだ対応できておらず、現在は最後の確認の画面で修正してもらうフローになっているものの、次第に精度は向上してきている模様だ。今後、ファミリーマートでの展開によってさらなるシステムの精度向上が見込める。

また、当初は対応していなかった現金にも対応するなど支払手段の拡充も図っている。現在でもファミリーマートの決済手段の大部分を占める現金に対応していることも、今回の導入の大きなきっかけとなった。

現金での支払いも可能

店内に同時に入ることができる人数は、当面は7~10人程度で制限していくとしているが、特にそれに縛られるものでもなく、運営状況によって変更していくとしている。

ファミマアプリやコード決済には当初は非対応

もちろん、今後の課題もある。例えばファミリーマートが展開するファミペイを含むコード決済には対応していないが、それはTTGのシステムを活用した店舗をまずは出店することを優先したため。将来的には対応していきたいとしている。

また、酒については遠隔による年齢確認の態勢を敷くことで実現しているが、たばこについては年齢確認を含む販売方法がまだ確立できていないことから今回は取り扱いをしていない。

酒を買おうとするとバックヤードにいる従業員に知らせが行き、カメラの画面越しに確認するようになっている

TTGとしても、提供するシステムのコストを下げることに加え、システム導入の工数、時間を短期化していくことの2つは大きな課題となる。

それでも、展開初期と比べれば導入までの期間は約半分にまで短期化してきているという。商品についても、たばこを除けば、ファミリーマートで取り扱っている商品をほとんど全て取り扱うことができる上、店舗の規模についても大型の店であっても導入可能となっているなど、店舗数の拡大にとってはプラスの材料は多い。

ファミマ!!サピアタワー/S店は弁当など惣菜からグロサリー、雑貨などまで展開アイテムは600種類だが、大型店での展開も可能

阿久津智紀・TOUCH TO GO社長は、「われわれは17年から無人決済システムの実証実験を重ねて来た。今回、ファミリーマートの大きな力をお借りすることでわれわれの夢が1つ実現に近づいたと思っている」と力強く語った。

ファミマ!!サピアタワー/S店

所在地/東京都千代田区丸の内1-7-12サピアタワー1F

営業時間/7時~23時

支払方法/交通系電子マネー、クレジットカード、現金

店舗面積/約55㎡

取扱品目/約600種類

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