オーケー銀座店が10月17日オープン、都心部に640坪以上の売場を確保し、ディスカウント&ワンストップで攻める
2023.10.25
2023.10.24
10月17日、オーケーが銀座に出店した。
ファーストリテイリングがユニクロのグローバル旗艦店「UNIQLO TOKYO」をはじめ、ジーユー、PLST(プラステ)、Theoryなどグループブランドを展開する商業施設「マロニエゲート銀座2」の地下1階、地下2階の2フロアに647.47坪の売場を確保。都心部としては異例となる広さのスーパーマーケット(SM)が誕生したことになる。オーケーとしても東京都中央区初出店となる。
昨年7月、施設を管理しているファーストリテイリングからオーケー側に出店の打診があり、受けた形だ。もともとは飲食店などのテナントが出店していた場所となる。「B1、B2に食で生活者に密着、生活者に貢献するようなテナントを入れたいということで打診があった」(二宮涼太郎社長)
オーケーとしては、「賃料水準からみても何とかなるかなということで、ほぼ即決だった」(同)という。
オーケーとしては「銀座」という注目度が高い立地での出店を通して、地域住民の日常的な需要の他、近隣の業務用需要、さらに銀座で働く人、買物来た人など幅広い需要に応える店を目指すとしている。また、人流の回復に伴って増加している海外からのインバウンド需要にも対応した商品、売場を設置するなど、既存店とは異なるマーチャンダイジング(MD)を用意した。
また、売場面積の広さを生かして非食品も広範に取り扱う他、調剤も導入。周辺は医療機関や薬局なども多く、処方せんが多数出されている地域であることから、処方せんに対応する調剤を機能として持つことで集客につなげたい考えだ。「処方せんを持った方がオーケーの調剤薬局を選んでいただいて、薬を待っている間にお買物をしていただけるような取り組みをしていく」(二宮社長)
オーケーはもともと多様な規模で店舗を展開してきたが、昨今はより都心部への出店も見られるようになっている。今回はその象徴ともいえる出店となる。
2024年11月には大阪府東大阪市に関西1号店となる高井田店の出店を計画しているが、すでに関西圏でも25年の出店予定で複数店が視野に入っているという。今回、銀座という知名度の高い場所への出店を通じて、関西方面での認知度向上にも努めたいとしている。
「中央区銀座ということで非常に注目されるお店ということで、オーケーの代表的なお店になるように、しっかり売上げの大きいお店にしたい」と二宮社長。
11月14日には立川髙島屋S.C.店(東京都立川市)に出店予定で、大型商業施設への出店が続く。ただし、今後も従来多かった郊外も含め、都心部に限らず出店をしていく意向。やや都心に力点が置かれるというが、ここのところ志向している年間10店程度の出店をしていくとしている。
地下1階を「素材系」、地下2階を「簡便、即食系」でまとめる
売場は地下1階に生鮮、調味料やインスタント麺などのグロサリー、和日配、酒、日用品など「素材系」の商品をまとめ、地下2階に冷凍食品、洋日配、菓子、飲料、惣菜の「簡便、即食系」の商品をまとめている。地下1階からの入店が多いものとみられるが、エレベーターを利用しての地下2階からも入店も可能となっている。
処方の需要も見込まれることから調剤も併設しているが、同コーナーは地下1階に置かれている。
地代は高いとみられるが、前述の商圏対応のMDの他は、売価など通常店と同じ。また、同社の特徴として生鮮、惣菜は基本的にインストア加工となっているため、バックヤードや人件費の生産性の観点からアウトパック主体になりがちな他企業の都市型店とは一線を画す。あくまで経営方針である「高品質・Everyday Low Price」を推進するとしている。
二宮社長は、「まず、商品の価格はオーケーなので、他のお店と比べて高くすることはしていない。基本は、このお店は売上げが取れればちゃんと採算に乗る」との姿勢だ。
一方で、「価格は当然周辺より圧倒的に安いので、品質にもご満足いただけるように、しっかり注意してやっていきたい」と語るなど、価格の安さを武器としつつ、しっかり品質面でも満足してもらうことが売上げを高めていく上では重要との認識を示す。
都心の銀座ということで足元商圏の住民はそれほど多くはないが、そもそもスーパーマーケット自体が少ない地域であるため、広域からの集客が可能とみている。都心部としては異例の売場の広さによる非食品、調剤を含めたワンストップショッピングができる店として大きな存在感を示すものとみられる。
一方で、業務需要の配送サービスなどは視野に入れるものの、一部店舗で展開するネットスーパーについては当初は展開する計画はないという。展開可能なスペースは確保しているため、今後、需要を見ながら判断していくとしている。
今後の見通しとしては、通常の店と同じように認知度向上に伴って2年目、3年目と売上げを伸ばしていく計画で、全社でもトップレベルの売上規模に持っていきたいという。オーケーとしては、既存店では夕方以降の夜の商売があまり得意でないと認識しているが、銀座店に関しては特に夕方以降にも注力し、仕事帰りのお客をしっかりと取っていく。
都心ではあるものの、駐車場は施設全体で194台分と比較的多く確保している。ただし、商圏の特性上、徒歩客が多くなるとみられることから客単価は下がると想定。その分、客数を増やし、売上げを高めていく。実際、オーケー全体でも昨今は節約志向で客数の伸びが客単価の伸びを上回っている状況にあるという。
売場づくりはオーケーらしさを徹底し、銀座ならではを差し込む
売場づくりは既存のオーケーと同様、照明は明るく、青果では平台を使わず、壁面中心の展開、かつ陳列線が直線であるため、非常に分かりやすい売場となっている。
また、エンドにはスポット照明を用いたり、惣菜売場は照明を落ち着いたものに代えたりとこちらは銀座店に限ったことではないが、進化していることが実感できる。
価格についても、あくまで低価格を打ち出すが、一方でところどころに銀座ならではの高単価の商品やインバウンド対応の売場が差し込まれている。
商品では、まず、売場先頭の青果では高単価の果物や、秋の菌茸類の代表格のマツタケが並ぶ。「価格は一見高いが、品質はかなり良いものをしているので、分かるお客さまに買っていただいている」(二宮社長)
鮮魚では、急速凍結したマグロを冷凍の状態、店内で解凍した刺身の状態双方で販売するなど、家庭での保存の他、業務用需要も見据えた販売も実施。
また、精肉では業務用需要も視野に入れたブロック肉の大々的な展開がある。オーケーでは牛肉について国産はA4以上の和牛のみの取り扱いとしているが、銀座店オープン時にはA5の和牛を販売。ブロック肉、スライス共にA5の和牛が大々的に展開される迫力ある売場となっていた。ブロック肉は和牛の他、カナダ産豚肉も展開。
また、簡便商材の惣菜は外食など比較対象も多いため、特に低価格での提供が大きな武器となる。品揃えの多くが通常店と同じため、非常に値頃感があるが、こちらも一部、銀座店限定の高単価の商品を投入している。
例えば弁当では精肉でも販売するA5の和牛を使った「すき焼き弁当」(999円、本体価格、以下同)といった高単価の商品の他、値頃感ある商品として「希少部位トモサンカクローストビーフ重」(599円)、サケの厚さにこだわった「THE鮭弁当」(399円)を銀座店限定で展開。
その他、デパ地下の商品をベンチマークした399円の「生春巻」を展開するなど他店とはやや異なる趣きの商品が並ぶ。
寿司に関しても、一部の店でしか展開しないたね重視の「極み寿司」コーナーを設けている。
また、ベーカリーでも同社の核商品ともいえる店内焼成のピザに関しても、通常500~600円の価格帯のところ銀座限定で729円の「手作りきのことベーコンのトリュフソースピザ」といった商品を投入。
酒については高価格帯の品揃えを強化。中には5桁売価の商品もあり、それらは鍵付きのケースで販売している。
インバウンド需要向けの商品は売場づくりでもPOPを多言語化している他、同じ商品を大量陳列するなど分かりやすい。菓子やヘルスケア関係の商品などをインバウンド需要向けのコーナーで展開している。
オーケー銀座店概要
所在地/東京都中央区銀座3-2-1マロニエゲート銀座2 B1、B2
営業時間/8時30分~21時30分
駐車台数/計194台(マロニエゲート銀座2/37台、マロニエゲート銀座1/78台、マロニエゲート銀座3/79台、買い上げ3000円以上で1時間無料、5000円以上で2時間無料、利用時間、基本料金、車両制限などは建物ごとに異なる)
売場面積/2140.40㎡(647.47坪)
区分/賃貸