ヤオコー川崎枡形店がオープン、川崎市初出店、東京都と神奈川県の既存店をつなぐ新商勢圏への出店

2024.03.05

ヤオコーは3月5日、神奈川県川崎市多摩区に川崎枡形店をオープンした。川崎市には初出店となり、神奈川県は12店体制となる。14店出店する東京都と既存の神奈川県の店を結ぶ形となる。

今後の出店戦略上、川崎市南部、横浜市北部はさらにポテンシャルが高いと考えており、それらエリアへの進出に向けた足がかりとしたいという。

小田急小田原線向ヶ丘遊園駅北口から約1.3km、徒歩約18分、同生田駅北口からは約1.5km、徒歩約21分、JR南武線中野島駅からも約1.5km、徒歩約21分と、いずれもそれなりの距離があるが、周辺は住宅地が広がる他、県道9号線(府中街道)と県道13号線が交わる地点に位置し、アクセスは良い。

さらに人口は今後も増加傾向で、店舗前の府中街道沿いには、低・中層階建ての共同住宅が多くある他、店舗裏手には比較的新しい戸建て住宅もある。

また、小田急小田原線南側には大学が存在し、学生の多いエリアでもある。

1km圏内の人口は3万6000人、2km圏内は12万8000人、3km圏内まで広げると29万5000人と非常に人口が多い。

さらに1km圏内は30代~40代が全体の約3割を占める他、学生が多いことから単身世帯が最も多いなど若年層が多く、2km商圏以遠にかけて50代の構成比が高くなり、2人世帯、3人世帯のファミリー層が増えてくる。

メインターゲットは30代~40代のヤングファミリーで、夫婦共働きで小さな子どもを持つ世帯。即食ニーズが高いとみて、簡便、即食商品や冷凍食品などを訴求する。サブターゲットは、40代~50代のヤングミドル。子どもが成人し、食数が減り、素材や健康、産地などにこだわりを持ちながら適量での買物をする傾向が強いとみている。

今回、ヤオコーが土地を取得し、3階建ての建物を建てた。1階はピロティになっており、駐車場とテナントのクリーニング。ヤオコーは2階に出店し、3階にはテナントのダイソー、ノジマ、歯科、美容室が出店している。

ヤオコー川崎枡形店のストアコンセプトは、「『美味しさ』『楽しさ』『提案』で初出店の地、川崎にヤオコーの『魅力』を伝えよう!」。

精肉は、週末に黒毛和牛厚切りステーキなどごちそうメニューを、平日はおかずとして食べやすい輸入牛のスティックカットを品揃えするといっためりはりを付ける。

また、頻度品の大型パックを値ごろで提供するなど、食べ盛りの子どもがいる若いファミリー層に対する訴求力を高める。

特にヤングファミリーに向けて大容量の「大容量バリューパック」をコーナー化し、値頃を訴求

鮮魚も生マグロをメインに、サクやスライス、お造り、食べ比べなど品揃えを多様化し、訴求。

週末には既存店でも定着している「豊洲祭り」を開催し、お勧めの食べ方やさまざまな調理の仕方を提案するなど、鮮魚売場での差別化を図る。

豊洲祭りは通常1カ月に1回だが、この店では新商勢圏でもあることから毎週実施しながら特に鮮魚での集客力を高めたい意向だ。

野菜では高糖度や丸玉トマトなどトマトを強化。さらにクッキングサポートと連動しトマトを使ったメニュー提案や、大量目の特設コーナーも用意。

果物は1年を通して産地リレーで提案できるブドウとカットフルーツを充実させ、大粒やギフト、アソートなど「選べる楽しさ」を提案する。

「地元野菜」コーナー。地元の農家と作付けなどについても密なコミュニケーションを図りながら、地元野菜の産直フェアなどを催していく

また、花については長持ちする花と鉢物を強化した。

デリカの惣菜は、川崎市初出店ということで、ヤオコーの強みが発揮できる定番商品の訴求を強める。

特に甘さ控えめの粒あんにこだわった名物商品の「あずき香る粒あんおはぎ」や店内の鉄板で巻いて焼き上げる「自家製厚焼玉子」などを特にアピール。おはぎは1個入りから家族でシェアできるパックまでSKU展開。卵焼きは鉄板で焼くところを見てもらいながらライブ感ある売場づくりで、出来たて訴求。

長らくヤオコーの名物商品となっているおはぎなど「定番」を訴求。おはぎは横展開のマーチャンダイジングとして「あん」単体も販売
最近の新店では鉄板は広いサイズになっている
惣菜では、今回の店はバックヤードがかなり広く取れたという
冷惣菜は自社工場製造の商品に加え、店内加工の商品についてもラインアップが増えつつあるなど、強化カテゴリー

寿司は、若年層や子どもにも人気の生サーモンを使った握り寿司をメインに、1人前から大型パックまで豊富な量目で用意。

また、店内製造のおむすびは、1日を通して種類豊富な充実した売場展開とし、おかずといっしょに季節を感じられる具材も提供。

おむすびでは「肉手巻むすび」や「俵えび天むす」といった新規性のある商品を積極的に投入

インストアベーカリーでは、店内製造の「たまごフィリング」を使った「かつサンド&たまごサンド」をメインに、ワンハンド商品を強化。

インストアベーカリーは作業場も含め、売場は最近の店では広め

「GUシリーズ」では、季節ごとに具材を変えて焼きたてを提供する他、プチパンシリーズや自社製造の寄せプリン、杏仁豆腐、コーヒーゼリーも加えたスイーツをコーナー化。自社製造のスイーツは今回、特に小量目の個食サイズの品揃えに注力した。

また、これも小量目の文脈になるだろうが、売場を見て目立つのが、寿司、インストアベーカリーでの「セット商品」のラインアップの拡大だ。小量目の2つの商品をセットにしたもので、「少しずつ両方食べたい」というニーズに沿った商品といえる。

グロッサリーでは、日配食品は、素材や産地にこだわった豆腐の他、和食に限らずさまざま用途に進化している豆腐の品揃えを充実。また、クッキングサポートや他部門と連動して、豆腐にもう1品足すことでおいしく食べられるさまざまなメニュー提案を、コトPOPを通して実施する。

新商勢圏ということで、日配でもヤオコーの強みとなるプライベートブランド商品の定番商品を打ち出す。「本当に旨い肉饅」を平ケースで売り込む

また、簡便、即食ニーズに応える冷凍食品のラインを充実させ、プライベートブランド商品と併せ選べる楽しさを提供。

今年から新たにプライベートブランド商品のラインに加わった健康軸の「ハピネス」でも新商品が順次登場。冷凍食品では「食塩ゼロうどん」が発売

ドライ食品は、素材の良さを引き立てるスパイスと、汎用性が高く料理の幅が広がるシーズニングを豊富に取りそろえる他、豆菓子やナッツ、ドライフルーツについてオリジナル商品を中心に、こちらも選べる楽しさを提供する。

豆菓子やナッツなどつまみ系の商品は定番のゴンドラでも強化されているが、酒との関連販売でも存在感を発揮している

酒ではグループ企業の小川貿易が輸入するワインを強化。ゴンドラ3本分で展開している。

また、日用品では「歯の健康が食事の楽しさにつながる」ことから、オーラルケアを重点的に品揃え強化した。

初年度の年商は23億円を見込み、売上高構成比では生鮮33%、グロッサリー48%、デリカ19%を計画する。レジは通常時、セミセルフレジ4レーン、フルセルフレジが8台態勢になる予定。

SKU数は、生鮮が1087、グロッサリー1万3524、デリカが319。

イートインコーナーは最近の店ではかなり多い56席の席数を用意

ヤオコー川崎枡形店

所在地/神奈川県川崎市多摩区枡形1-5-1

オープン日/2024年3月5日

営業時間/9時~21時45分

敷地面積/8544.71㎡(2587.80坪)

延べ床面積/9590.60㎡(2901.16坪、ヤオコー床面積)

店舗面積/2085.55㎡(630.88坪、ヤオコー売場面積)

駐車台数/139台(駐輪場164台、バイク6台)

店長/加藤達也

従業員/正社員18人、パートナー・ヘルパー・アルバイト115人(延べ人数)

年間売上げ/初年度23億円(予定)

立地と商圏:

当店は、小田急小田原線「向ヶ丘遊園駅」から北西に直線で1km、「生田駅」から北東に1.2km、

JR南武線「中野島駅」から南に1.2kmの距離にあります。

商圏人口/1km圏内3万6000人(2万世帯)、2km圏内12万8000人(7万世帯)、3km圏内29万5000人(15万5000世帯)

お役立ち資料データ

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