オーケー日本橋久松町店がオープン、約220坪の小型店ながら都市部での高効率販売見込む

2024.03.21

オーケーが3月19日、東京都中央区・日本橋に出店した。マンション1、2階に2層、約220坪の売場を確保。駐車場はないが、人口が多い一方でスーパーマーケット(SM)の競合が少ない都市部での需要をつかみ、同社としても高い販売効率を挙げる店としたい意向だ。

マンションの1、2階が売場。生鮮、惣菜の作業場は2階、事務所は地下に設置し、売場を極力確保している

実際、昨年5月にJR田町駅前にオープンした札の辻店(東京・港)は1層ながら今回の日本橋久松町店とほぼ同規模で、高い販売効率を挙げ、かつ売上げも伸びているという。

二宮涼太郎社長は、「本当にようやく日本橋が開店という感じがある」と語る。日本橋はオーケー創業者の飯田 勧会長が小売事業としてオーケーの前身を1958年に創業した岡永商店(現・岡永)の創業の地であり、現在でも事業を展開する地でもある。

そうした経緯もあって、今回の出店はオーケーとしても特別な意味を持つといえるだろう。二宮社長も、「この辺りにお店を出したい思いはずっとあったが、なかなか物件がない中、本当に幸いお声がけいただいた」という。

既存店では北東に浅草店(東京・台東)、東に住吉店(東京・墨田)、南東に平野店(東京・江東)、南西に銀座店(東京・中央)が2~3kmの距離で存在しており、今回の日本橋久松町店はちょうどその中間地点といった場所にある。その意味では確実に都市部でのドミナント化が進んでいるといえる。

都営浅草線東日本橋駅、都営新宿線馬喰横山駅から徒歩約4分、東京メトロ日比谷線・都営浅草線人形町駅からは徒歩約5分の距離にあり、古くからの問屋街も近い。周辺にはまいばすけっとの他、SMもあるが小型店のみで、オーケーとしては約220坪売場が取れたということで競合優位性があると判断している。

売場は1階に惣菜の他、パン、菓子、飲料の他、防災用品と関連性の高い保存性の高い加工食品や水、さらに壁面を活用して冷凍食品を展開。レジも1階のみに設置ということで、総菜を始めとした即食、簡便商品のショートタイムショッピングが可能になっている。

惣菜の主力商品の「ロースかつ重」(本体価格299円)などを店内製造の惣菜大量に並ぶ
寿司も店内製造の握り寿司、ちらし寿司を含め、コーナー展開
平台は米飯に特化し、温惣菜は壁面で展開
ベーカリーの商品も一部展開。核商品のピザは4分の1カットを主力に販売。売価は120円~200円台で買いやすい
レジは1階にのみ8台設置。全てセミセルフタイプ
ホールセールパンは惣菜売場に隣接して設置
冷凍食品は壁面にリーチインケースのみで展開。タイのCPグループの商品など、業務用を視野に入れた商品もある
小型店ではあるが、既存店で定番となっている「災害対策」のコーナーをしっかり設置。保存性の高い水と連動させている
亀田製菓の菓子をエンドで売り込む。下段では箱売りも用意。業務用需要も視野に入れているとみられる
菓子は1階に配置。上に在庫を置く他、下段はかご陳列になっているなど、ローコストのための取り組みが随所に見られる

対して2階には生鮮食品の他、調味料など素材系の加工食品および防災用品以外の日用品といった構成で、2フロアをおおむね買物用途によってまとめている。約220坪とはいえ、商品構成としてはフルラインのSMの領域をしっかりとカバーしているといえる。

青果ではところどころで箱売りを展開している
既存店でもコーナー化されている京野菜や有機栽培のコーナーについても、非常にコンパクトながら展開している
青果ではカット野菜やミールキットなどもコーナー化して品揃え
売場面積が限られることもあって青果を含め、通路上に平台、平ケースはないが、鮮魚、精肉では1カ所ずつ、ゴンドラエンドを活用して平ケースを設置。売り込みを図っている。オープン日は一度も冷凍せずにフレッシュの状態でノルウェーから空輸しているアトランティックサーモンを展開
マグロでは、船上でマイナス50℃以下に凍結し、一貫して超低温で流通させているマグロを販売。一部の店では冷凍でも販売するが、日本橋久松町店では解凍して冷蔵販売
刺身盛り合わせの一部商品ではつまを省いた商品も展開。オーケーらしい商品
塩干は冷凍で販売。ワンフローズンの「旨い塩さば」など、こだわって開発している商品をしっかり売り込む
オーケーでは国産の牛肉に関しては和牛のみを取り扱っている。上段ではブロック肉も販売
精肉の豚鶏では産地パックのノントレーの商品も展開している
馬刺し、ホルモンなど販売量が多く見込めない商品も含め、精肉では冷凍の商品も充実させている
精肉売場の前のゴンドラエンドでは「カレー」提案。カレールウやレトルトの他、常温販売可能なラッキョウ漬けや福神漬けも展開
加工肉では以前から、無塩せきの商品を主力に取り扱っている
和日配では形状が安定しない商品については一部かご陳列を導入している
卵は売り込み商品については、什器ごと冷蔵ケースに入る設計にしている
洋日配では、オーケーだけの取扱商品として「茜丸」の北海道十勝産のあんを販売。和菓子コーナーではオリジナル商品としてこのあんを使ったどら焼きなどを販売するなど、横展開のマーチャンダイジングを展開している
飲料は1階での展開だが、酒については2階で展開するなど明確に分けている。牛乳など洋日配の要冷蔵の商品以外の缶飲料はあくまで常温販売
直輸入商品など、独自に調達したオリジナル商品もところどころで展開

生鮮の他、惣菜についても2階に作業場を設け、店内加工にも対応。立地としては居住人口も多いが、事務所も多いことから昼食需要が高いとみているが、その面で店内加工の惣菜は大きな差別化要素となる。

オーケーは昨年10月に、都市部の中でも特殊な立地といえる銀座に出店を果たしている。一部、インバウンド対応商品を展開する他、銀座店出店に際して惣菜でもデパ地下などを意識した新規商品を投入した。

例えば、A5の和牛を使った「すき焼き弁当」(999円、本体価格、以下同)、「希少部位トモサンカクローストビーフ重」(599円)、サケの厚さにこだわったのり弁型の「THE鮭弁当」(399円)などを投入したが、そのうちTHE鮭弁当については、売上げも好調ということで、もともと手間のかかる商品化であるところ、オペレーションに見直しをかけることで全店展開用の商品を開発。銀座店と同様、399円で水平展開を果たした。

銀座店から登場し、全店展開になった「THE鮭弁当」

「銀座店に向けて、まずはクオリティを重視した商品開発をしてみて、その中で良いものは全店展開で他のお客さまにも買っていただきたいと思っている」(二宮社長)。銀座店発でテスト的に販売し、その後、商品開発につながった事例といえる。

建築コストが高騰し、さらに人手不足も深刻化しているが、今後も年間10店前後の出店ペースを維持しており、今後もこのペースを崩さないといい。今年11月からは東大阪を皮切りに関西出店も始まる。すでに関西でも複数店の出店を予定している他、関東でも積極的に出店していく意向。これまでの関東に関西が加わり、日本の2大マーケットでのオーケーの存在感がますます高まりそうだ。

オーケー日本橋久松町店概要

所在地/東京都中央区日本橋久松町6-2

オープン日/2024年3月19日

営業時間/8時30分~21時30分

駐車場/なし

売場面積/218.32坪(721.72㎡)

区分/賃貸

お役立ち資料データ

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