マルエツ上井草駅前店がオープン、駅近、2層の売場262坪、マルエツ屋号ながら鮮魚、精肉は全てアウト供給

2024.05.20

マルエツは5月17日、東京都杉並区に上井草駅前店をオープンした。同社2024年度新店1号店で、東京都内150店目、杉並区内では4店目、全社では305店目となる。売場面積は2層、262坪で大型店とはいえないが、同社としては小型店フォーマットのマルエツ プチほど小型でもないことから、標準フォーマットの「マルエツ」屋号となっている。杉並区内の他店はすべてマルエツ プチとなっているため、マルエツ屋号としては杉並区内唯一となる。

西武新宿線の上井草駅北口から北側約100mの場所に立地。店舗前には千川通りが東西に走り、西側には都道444号線が南北に走るなど、通りに面した好立地。借地に新たに建てた建物にマルエツが入る形で、建物内の店舗はマルエツのみ。

店舗づくりや内装面では、親近感やブランドメッセージを体現した店舗づくりをを実践。健康で豊かな食生活を通した地域の人の「Well-being(ウェルビーイング)」への道のりを「Well-being Journey(ウェルビーイング・ジャーニー)」のコンセプトとしてたとえ、この旅に寄り添うことを目指した空間を目指し、店舗外装のグラフィックの他、内装でも調和した店内サインを統一するなど、店舗全体で「新鮮・おいしい・健康」「人や地域とのつながり」「居心地の良いほっとする場」を感じられる店舗づくりとした。

売場では「もっとからだにイイコト!」ということで、それぞれの項目を売場で説明。健康をサポートする姿勢を強調している

店舗周辺は一戸建て、中低層マンションが立ち並ぶ住宅地となっている。マルエツ調査による半径500m圏内の人口は1万901人、世帯数は5676世帯。2022年対比23年の世帯伸長率は100.5%、世帯当たり平均人員は1.92人。

世帯人員比率は2人世帯が21.4%、3人世帯が14.1%、4人以上世帯が13.0%で、杉並区と比較してそれぞれ1%ポイント、2.6%ポイント、3.5%ポイント高く、一方で、単身世帯が51.5%と同7.1%ポイント低い地域となっている。

年齢別人口構成比は20歳~64歳が65.8%と、杉並区と比較して0.9%ポイント高く、65歳以上が18.8%で、同2.3%ポイント低い地域となっている。

鮮魚、精肉は全てアウト供給

駅近の2層ということで、1階は「即食・簡便ゾーン」ということで、惣菜、飲料、酒、つまみ商材、菓子、冷凍食品、アイスクリーム、デザート、洋日配を配置。2階は、生鮮3部門、和日配、調味料関係、乾物など素材系の商品を品揃えする。

青果では、東久留米市、小平市産をはじめとした東京都産の地元野菜を販売する「農家さんの直売所」コーナーを展開する他、オーガニック商品を販売する。

トマトについてはアイテムを広げ、トマト、ミニトマトなどをコーナー展開。他、電子レンジ加熱で簡単に調理ができる簡便野菜も強化。

同店はマルエツ プチタイプではないが、今回、鮮魚、精肉のバックヤードはなく、それら2部門は全てアウトパック対応となっている。鮮魚、精肉のトレーの商品は子会社マルエツフレッシュフーズのプロセスセンター中心の供給となる。

それでも鮮魚では刺身の盛り合わせの品揃えを強化するということで、アイテムもしっかり展開されている他、サーモンなども強化するとしている。

また、新商品として「野菜と食べるかつおたたき」を販売する他、「あんきもポン酢」などの「お魚屋さんのおつまみ」、温めるだけで食べられる煮魚や焼き魚の簡便商品「膳彩」も展開する。

精肉では、黒毛和牛の他、オリジナルのブランドとして牛肉では交雑種の「優夢牛」の他、豚鶏では「桜もち豚」「みちのく森林鶏」の品揃えに加え、味付肉を、新商品を交えながらコーナー展開する。

その他、ローストビーフなどの「お肉屋さんのオードブル」や国産鶏を使用した焼き鳥など、電子レンジで簡単に調理できる「おつまMEAT」を品揃え。

惣菜では、3月から稼働を開始したマルエツフレッシュフーズの埼玉県草加市のデリカセンターの商品が入り始めている。センターで素材から取っただしを使用した「自社製出汁と3醤油の鶏唐揚げ」や「出汁がじゅわっと溢れだす玉子焼」を販売する他、「ロースカツ丼」や「親子丼」「豚汁」なども「マルエツの味」として訴求。

デリカセンターから供給される商品は冷蔵の商品だけでなく、一部、常温販売の弁当などもある
デリカセンター供給の電子レンジ加熱前提のチルド弁当。カツ丼などは常温販売の商品と併せ、用途による商品ラインの拡充が図られた

惣菜のセンターからの納品は1日、朝の1便態勢としている。3月の稼働から安定稼働の状況を見ながら徐々に供給店舗を増やしていて、計画では6月6日にマルエツ全店に供給するようにする。7月以降にはU.S.M.M内のカスミ、マックスバリュ関東の店舗への供給も始まる予定。

また、米の鑑定士が選定した、冷めてもおいしいといわれるミルキークイーンを使用した「手作りおにぎり」も販売する。

同店では鮮魚の寿司は展開せず、惣菜部門のみ。店内製造で提供する

日配食品では、冷凍食品について壁面リーチインが囲むような形で売場を広く取り、トレー入りの弁当の「ワントレー商品」などの冷凍食品など品揃えを強化して展開。

また、冷蔵でもパックのまま電子レンジで温めるだけで簡単に食べられる「チルドレディーミール」を多数品揃えする。

また、「クリスピークリームドーナツ」をコーナー展開する他、「太っちょマカロン」といった話題のスイーツも展開。さらに、ワインに合うつまみ商品として、「伍魚福」を品揃えしている。

伍魚福は「切り落としアイスバイン」など複数商品を展開

加工食品では、Z世代を意識した商品として、イオングループのPBのトップバリュから「トキメクおやつ部」シリーズ、アルコールでもソフトドリンクでもない新感覚ドリンク「クラフテルBAR-ish(バーリッシュ)」導入。

グループではまいばすけっとを中心とした都市型店での強化商品だが、立地としてはマッチするだろう。

若年層に人気の韓国系の商品もコーナー展開して売り込む

生活用品では、100円ショップ「DAISO」コーナーを3尺4本の規模で展開する。ダイソーの商品は数年前から既存店改装などに際して導入していて、上井草駅前店を含め25店で展開している。

一員であるユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)のサステナブルなプライベートブランド(PB)の「グリーングロワーズ」として、自社工場の密閉された衛生的な栽培棚で科学的に制御されて育った、洗わずに食べられるレタスを品揃えする。

また、6月4日から、「みちのく森林鶏」で新たに機能性表示食品のムネ肉、ささみを、環境に配慮したノントレーパックにて販売する予定。

決済手段と受取手段については多様性を重視し、U.S.M.Hのスマートフォン決済サービス「Scan & Go」やフルセルフレジを12台導入する他、対面レジを、サービスカウンターを含めて2台導入。セミセルフではなく、フルセルフか、対面かに振り切っているが、すべてのレジで各種スマホ決済や商品券、各種ギフト券が利用できるようになっている。多くがフルセルフということで、オペレーションの構造も以前とは異なってきている。

また、宅配サービスとしては「らくらくクマさん宅配便」として、店舗で購入した商品を3時間以内に配達する有料サービスを導入。折り畳みコンテナ5個分まで配送可能。

また、クイックコマースとして「Uber Eats(ウーバーイーツ)」を導入し、取扱商品の中から約3000品目を注文から平均30分程度で届ける。同社では、約120店でウーバーイーツのサービスを展開中。

販促面では、自信を持って厳選した商品を、「maruetsu365」として、食品から日用品まで各売場で展開。こだわりの品質の商品を「黒」、値頃を訴求する商品を「緑」のPOPを目印として展開する。

部門別売上高構成比計画、SKU数

部門売上高構成比(%)SKU数
精肉10.3311
鮮魚16.5315
青果6.2255
惣菜14.4247
日配食品22.51902
一般食品21.55482
(酒、たばこ)7.5
生活用品1.01136
合計100.09648

マルエツ上井草駅前店

所在地/東京都杉並区井草5-5-20

オープン日/2024年5月17日

営業時間/9時~22時

駐車場/24台(提携)

駐輪場/65台

売場面積/866㎡(262坪)

建物構造/重量鉄骨造2階建て

店長/横山 敦

従業員数/41.26人(正社員8.6人、パートナー32.6人、8時間換算)

年間売上高目標/11.6億円

お役立ち資料データ

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