売上高5000億円、経常利益300億円突破で勢い増すオーケーが登戸店をオープン

2022.04.12

2021.06.28

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登戸店は売場面積300坪型。1階は駐車場で売場は2階となっている

オーケーが6月22日、ディスカウントスーパーマーケットタイプの登戸店(神奈川県川崎市)をオープンした。売場面積はアンダー1000㎡の999.27㎡(302.28坪)の300坪型で、コンパクトな売場となっている。

フリースタンディングの賃借物件で、1階は駐車場に充てられ、売場は2階となっている。売場レイアウトは壁面側主通路に沿って青果から始まり、鮮魚、精肉、日配、惣菜と続く。和洋日配がまとめられている点は特徴的だが、全体的には比較的オーソドックスなパターンといえる。

300坪型の比較的コンパクトな売場ということもあってか、主通路に囲まれたグロサリーの売場はゴンドラに中通路を設けず、長い陳列線が特徴となっている。

また、平台や平ケースがほとんどなく、非常にすっきりした売場になっている。精肉の対面のエンドに1カ所、平冷蔵ケースの売り込みスペースがあるが、青果の平台を含め、平ケースが極端に少ないのはオーケーの特徴といえる。

客動線が複雑にならないことから、ショートタイムショッピングにも適した売場レイアウトといえる。

タイムライン
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店の上にある数種類の野菜
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青果は平台のない壁面のみの展開が定着している
壁面のみの展開であっても、ところどころで単品大量陳列による売り込みを実施することでインパクトを作り出している
トマトは品種をそろえ、用途を案内している
店のガラスに貼ってある数種類のパンフレット
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青果に冷凍ケースを導入して販売している冷凍の果物「凍眠市場」。新店では定番化していて、急速冷凍による品質の高さをアピールしている。デジタルサイネージによるメニュー提案なども実施
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オーケーでは刺身盛り合わせには基本的につまを付けず、別売対応(つま付きの商品を注文することは可能)
漁獲後、船上でマイナス50℃以下に凍結後、物流および店内でもマイナス50℃以下で管理している「超低温凍結本まぐろ」を売り込む。店内で解凍、翌日に食べる人に向けては解凍前の冷凍のサクを勧める
塩干の干物、ウナギなどは冷凍で販売。オーケーは伝統的に冷凍のメリットを打ち出してきた
精肉では国産牛は和牛のみの取り扱いに限定しているが、他に米国産、欧州産の牛肉も取り扱う。さらにニュージーランド産のラム肉もコーナー化している
豚肉や鶏肉ではノントレーを積極的に導入している。鶏肉では産地パックの商品も多く、ローコストオペレーションに寄与している
加工肉では無塩せきの商品を導入しているが、登戸店ではコーナー化して展開している
卵はかご車ごと冷蔵できる売場設計となっている。一部商品は陳列作業が必要ない
日配は冷蔵ケースに並ぶ商品が多いが、冷蔵する必要のないコンニャクなどの一部商品はあくまでも常温で販売。冷蔵ケースの間に常温の棚を入れるなど徹底している
和日配を青果売場近くに配置する企業が多いが、オーケーではあくまで青果売場は青果に徹し、和洋日配をまとめて第3主通路に配置。壁面側が和日配、ゴンドラ側が洋日配で向き合うような形となっている
和日配が第3主通路の壁面側にあるため、売場レイアウト上、和日配の惣菜的な商品から惣菜売場へと自然に続くようになっている
惣菜売場は第3主通路最後の角を活用してコンパクトに設置。売場はコンパクトながら、小型店ということもあり、売上高構成比は高まるとみる
300坪型のため、インストアベーカリーはないが、売れ筋商品のピザは惣菜部門が展開する。総額でも1枚500円前後で、補充するとあっという間に売れていく
中通路のない構造のため、300坪型ながら冷凍食品とアイスクリームは通路を挟んで両サイドをリーチインケースが占める迫力の展開
缶飲料は基本的に冷蔵ではなく、常温ゴンドラで販売、ローコストへのこだわりはこのようなところにも表れている
定番化した防災売場。水の定番売場と隣接させつつ、提案性を高めたPOPを掲示する

このほど、2021年3月期の決算が発表されたが、テナントを除く売上高は5076億4000万円で前年比16.8%増の2桁増収を達成。年商5000億円を突破した。経常利益は314億2900万円で、こちらは前年比32.9%と売上高以上の大幅な増益幅となっている。

昨年は新型コロナウイルスによる巣ごもり需要、およびワンストップショッピングができる店への来店集中といった要素が、スーパーマーケットの業績を押し上げたが、オーケーにも大幅増収増益という形でその影響が表れたようだ。

既存店売上高前年比は112.5%と大きく伸びた。既存店客数前年比は1.0%減の99.0%となっていることから、売上高の伸びは客単価の大幅な増加によってもたらされたことが分かる。

総経費率15.69%で、前年から0.42ポイント下がり、16%以下の水準になっている。結果、売上高経常利益率は前年比0.75ポイント向上し、6.17%の高水準となった。

20年2月18日に、全ての常温食品について自社物流センター経由での納品に切り替わったこともあり、コロナ禍による急激な物量増にも対応できたことも大きかったとする。一昨年から3カ所の物流センターの整備を進めてきたが、稼働の安定も図られてきた。常温商品の整備が進んだことから、今後は他温度帯の物流網の整備にも本格着手するとする。

今期はネットスーパーと調剤薬局を開始予定

高い売上げと経営効率を誇る競争力の高いフォーマットを展開する同社だが、高齢化が進行することによって来店が困難になってくるお客の増加、あるいはコロナ禍で来店を控えたいというニーズなどを受け、ネット宅配事業を始めることを発表。

小型店を除く店舗から商品を配送する店舗型のネッスーパーで、各店で実施する競合店対抗値下げは適用外であるものの商品の価格は店頭価格と同様にする。ただし、注文1回当たりの最低買物金額を1万円以上に設定する他、原則として買物金額の4%を配送料とするなど、一定の条件を設ける。

また、調剤薬局の「オーケー薬局」を始めることも発表された。既存店でも一部店舗で一般用医薬品を販売しているが、今回、処方せんに対応する調剤薬局事業を新たに開始するという。

「大型店には、名医がそろうクリニックも併設すれば、お客さまにとって誠に便利と存じます」(同社)ということで、新型コロナウイルスの影響もあって、さらにニーズが高まっているワンストップショッピングの機能を強化する意向だ。

6月の登戸店に続き、7月15日には東京都立川市のショッピングセンター若葉ケヤキモールの1階部分に売場面積1807.18㎡(546.67坪)の立川若葉町店を、8月12日には埼玉県川口市に同1773.83㎡(536.58坪)の川口芝店をオープンするなど、500坪超の中型店の出店が続く。

今期の出店目標は10店となっているが、低価格を武器に出店意欲も旺盛で、今後出店地域の中でますます存在感を増しそうだ。

オーケー登戸店概要

所在地/神奈川県川崎市多摩区登戸2535-1

オープン日/2021年6月22日

営業時間/8時30分~21時30分(当面の間、21時閉店)

駐車場/20台

売場面積/999.27㎡ (302.28坪)

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