イトーヨーカ堂が価格対応、ワンストップの利便性重視のドラッグストア型売場「iDrug Cosume」を開発

2022.04.22

2021.09.21

イトーヨーカ堂はイトーヨーカドー八柱店(千葉県松戸市)の1階を改装し、「新しいドラッグストア型売場」の「iDrug Cosume(アイドラッグコスメ)」として9月17日にリニューアルオープンした。

コロナ禍による総合スーパー(GMS)に対するワンストップショッピングの利便性への期待、あるいは節約志向の傾向、さらに外部与件としてのドラッグストアの成長という流れを受けてのもの。

八柱店は1982年の開業。開業から40年を迎え改装候補に挙がっていたが、今回改めて一からマーケットを捉えたところ周辺に各世代がまんべんなくいることが分かった。一方で現在の客層ではシニアが多い店であったことから、これまでのお客に加え、新しい客層を取り込むことを目指し、今回の改装のターゲットとして白羽の矢が立った。

セブン&アイグループは、もともとイトーヨーカ堂子会社で後に吸収した「セブン美のガーデン」というドラッグストアの売場を持ち、特にコロナ前にはインバウンドを含めた化粧品に注力し、販売においても接客によるコンサルティング販売を中心に事業を行っていた。

「今回、ウィズコロナ、今後のアフターコロナの時代には、やはり1カ所で食品と生活頻度品が手頃な価格で買える、こういったマーケットの変化に対応した新しい売場、業態が必要と考えている」(梅津尚宏・イトーヨーカ堂ライフスタイル事業部事業部長)

八柱店のドラッグストア型売場の面積は約250坪。イトーヨーカドーの売場の一部だが、医薬品を含むため、売場は囲まれている。什器の高さを高め、品揃えは1.3~1.5倍に増加している

セブン&アイとしては、いまの時代にあったドラッグストア型のショップとして、①価格対応の明確化、②ワンストップに対応、③健康志向に対応、④非接触への対応という4つのポイントで売場を構築した。

①では買い得商品の品揃えを心掛け、日常的に使用してもらえるように日用消耗品などの価格を見直し、ナショナルブランド商品についても競合店の価格も調査した上で価格を決定し、エブリデーロープライス化を進める。イトーヨーカ堂のプライベートブランド(PB)商品「ザ・プライス」の非食品分野の商品の展開を開始する他、「100円均一」商品の常時の展開、コーナー化も開始した。

店頭には100円均一を展開し、インパクトを作り出す
「ザ・プライス」は、かつて食品の低価格PBとして展開していたが、今回、生活必需品のフライパン、タオルなど非食品を展開

②については、生活必需品をワンストップで買うことができる品揃えの実現を図った。自社だけでなく、グループの仕入れルートも生かして品揃えの幅を拡大。

従来のドラッグストア型売場の商品に健康食品を連動させた上で、ドラッグストアでの品揃えが少ないカテゴリーで差別化。キッチン関連やタオル、補修、防災なども含めたルーム雑貨関連、文房具、子供関連、服飾雑貨、介護用品なども融合させる。

また、グループ内協業として、「アカチャンホンポ」の商品を新たに導入し、「アカチャンホンポセレクション」としてベビー用品の品揃えを強化した。

マーケット人口に対して対応できていなかったベビー用品は、認知度の高いグループのアカチャンホンポと協業

さらに日常生活に必要な商品が1フロアで買い回れるレイアウト展開を目指した他、従来の仕入分類、担当分類になりがちだった売場のくくりから、使用シーンに合わせた売場のくくりに変更することで関連商品が買いやすい売場づくりとした。

例えば掃除洗剤と掃除用品を一緒に展開したり、キッチン関連では料理のシーンを想定した売場づくりとして鍋、フライパン、調理小物、包丁、浄水器までトータルで提案することで買いやすさやショートタイムショッピングに対応している。

これまで品揃えを絞りがちだったし好性、専門性の高い商品分野について品揃えを充実。例えばペット用品は、猫関連の商品を中心に約1.2倍の品揃えに拡大。定番商品では「毎日いい値」のスポッターで買い得商品を訴求

③では、新しい「健康食品」売場を構築し、売場全体で「健康関連商品」を展開するための売場づくりとした。これまで食品売場で扱ってきた健康食品と、美と健康売場で扱ってきた健康食品を1カ所に集約して展開。仕入れに際しては、強みを持つ食品事業部のルートを活用することにした。

なお、今後、日用品や健康食品で、食品売場にあった方が良いと判断したものは食品売場でも取り扱いをしていく予定。基本的な考えは、専門性の高いもの、購買頻度の高くないものについてはドラッグストア型での展開に特化していくという方針を採る。

オーガニック商材やサプリメントやプロテイン、あるいはアレルゲンは糖質など特定のものをカットした「オフフード」、逆にビタミンやカルシウムなどを付加した「オンフード」などを展開。

また、医薬品については、薬剤師を配置して第1類医薬品までそろえた他、相談カウンターを設け、お客が気軽に相談できる環境づくりに努める。

医薬品も価格に踏み込んだ展開とし、薬剤師による接客と共に強みとする

④については、例えば化粧品でパーフェクトワンやラロッシュポゼなどセルフコスメブランドを5ブランド新規で導入し、強化を図った。

一方で接客カウンターのスペースを縮小し、韓国コスメのアイムミミやエスポアなど8ブランドを新規導入。いままで来店が少なかった若年層を含む幅広いお客に対応できるコスメ売場を構築した。

化粧品もセルフサービスでも買える環境づくりで利便性を高めた

梅津事業部長は、「品揃えの幅を充実させながら、価格認知の新しい取り組みをし、新規のお客さまを獲得していきたい。いま伸びているドラッグストアは、もともと医薬品や化粧品でしっかり利益を稼ぎながら、いま食品を低価格で提供する戦略を採っていると理解している。われわれは今回の八柱店では、医薬品や日用品をマーケットに負けない価格でEDLP化し、お客さまに来ていただき、もともと強かった食品、さらには衣料品などをお買い上げいただく」と今回の売場の狙いを説明する。

数日間のプレオープンでは想像以上のお客の評価を得たが、今後中長期的に支持を見極め、多店舗展開を図っていく。

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