ライフが恵比寿ガーデンプレイスにオープン、534坪で年商42億円狙う恵比寿ガーデンプレイス店の全貌

2022.04.18

2022.04.16

ライフコーポレーションが、「絶対に成功させなければいけない店。当社としては新しい時代のスーパーマーケット(SM)を創るぐらいの覚悟でチャレンジをしている」(岩崎高治社長)とするセントラルスクエア恵比寿ガーデンプレイス店が4月15日、オープンした。

サッポロ不動産開発が運営する「恵比寿ガーデンプレイス」商業棟を新名称の「センタープラザ」として今秋にリニューアルオープンする一環として、食品と生活雑貨のフロアである地下2階の「フーディーズガーデン」が先行オープンを迎える中、テナントとしてオープンしたものだ。

「セントラルスクエア」はライフコーポレーションの旗艦店の位置付けを担うフォーマットで、通常店と比べて大型、品揃えも多い特徴を持つ。

2013年11月に1号店として近畿圏の大阪本社移転に伴い本社隣接地に西宮原店(大阪市淀川区)をオープンし、今回のオープンまで近畿圏に5店、首都圏に1店体制となっていた。恵比寿ガーデンプレイス店は、首都圏2号店となる。

首都圏1号店の押上店(東京・墨田)は売場面積約1068坪で、直近では60億円近い年商を誇る繁盛店となっている。

一方、今回オープンした恵比寿ガーデンプレイス店は売場面積534坪と、旗艦店としては小ぶりだが、年商は42億円と高いレベルを狙う。1坪当たり販売効率は790万円近くになる計算だ。

恵比寿はライフコーポレーションにとって、「大事なエリア」(岩崎社長)。周囲に商圏が被るとみられる既存店が7店あり、1日平均約3万人、年間延べ約1000万人の来店、年商では約200億円を持つエリアになっている。「そのど真ん中に商業施設があるということで、ぜひともお任せいただきたいとお話しした」(岩崎社長)。

既存店の購買データを活用し、恵比寿の商圏にあった品揃え、レイアウトなどで出店した。同社にとって重要な位置付けの店となるが、今回、「やらなければいけないことは顧客層を広げること、商圏を広げることの2つ」(岩崎社長)だという。

半径1km圏内の商圏人口は5万1625人と多く、さらに約9万人のオフィスワーカーがいるなど、足元からの集客も重要になるが、既存店とのすみ分けの意味も含め、広域からの集客に期待したいところだ。その点では施設の駐車場が463台と、都心としては多い台数を持つことにも期待がかかる。

通常店の商圏は半径1、2kmといったところ、既存の「セントラルスクエア」の実績ではそれが10kmほどにまで広がっているということで、今回、面積は狭いものの、「セントラルスクエア」での出店になった。

取扱商品数(概数)は1万9870と、SMとしてはかなり多い。内訳は農産1000(野菜640、果実320、花40)、水産500(鮮魚380、塩干120)、畜産500(精肉320、加工180)、惣菜300(寿司20、弁当85、フライド90、要冷105)、ベーカリー60、加工食品9600(加食5600、菓子1300、酒2700)、日配商品3050(和日配960、洋日配850、冷食アイス770、卵30、パン和洋菓子430、チーズハウス10)、生活関連4860(日用雑貨2760、家庭用品1700、文化用品300、ホームファニシング100)。

マーチャンダイジングでは、商圏特性を受け、商品グレードの松竹梅に加え、店長の強い思いもあって、セントラルスクエアの中でも特殊な店として、さらにその上に「寿」を加えたという。

なお、今回、売場が限られていることから生活関連の売場について独自の取り組みを実施している。生活関連の売場がゴンドラ30本強と手狭になったことから4860種類の商品を全て売場に並べず、特徴ある商品に特化した上で残りについてはバックヤードに保管。

必需品に近い商品約3000についてはパンフレット、もしくは売場設置の商品リスト、あるいはタブレットやスマホでのオンライン経由で売場の従業員に注文、従業員がバックヤードから商品を持ってきて提供するという方式にしている。

また、かつて百貨店の三越が入っていたということもあり、接客面にも注力。ライフコーポレーションとして初めての取り組みとして、日本航空に研修を依頼。今後も定期的にフォローアップを受ける態勢になっているという。

セントラルスクエア恵比寿ガーデンプレイス店概要

所在地/東京都渋谷区恵比寿4-20-7恵比寿ガーデンプレイスセンタープラザB2

オープン日/2022年4月15日

売場面積/1765㎡

営業時間/9時30分~22時30分

駐車場/463台(施設内一般)

売上目標/42億円(2年目)

店長/松原雅昭

従業員数/177人(社員30人、パートナー147人)

レジ台数/19台(セミセルフ12台、キャッシュレス5台、サービスカウンター1台、ジュースバー〈フルセルフ〉1台)

主通路沿いに青果、鮮魚、精肉、惣菜と続くオーソドックスなレイアウトを採用。ベーカリーに続いて酒売場と連動した形で「ビオラル」を配置
地下2階に出店。先頭はオーソドックスに農産売場となっている
広域商圏を狙っているため、有機農産物などを展開している他、店内で栽培する商品なども展開。ただし、店内栽培は展示的な意味合いが強く、栽培後、商品の検査を必要とするため、そのまま販売するわけでない
青果では店内製造のカットフルーツ、サラダを展開。手の込んだ特殊な商品も多い
食べられる花のエディブルフラワーの他、カット野菜を花のようにあしらった「花咲くサラダ」といった見栄えにもこだわった商品も展開
店内製造ということもあって、かなり小さい量目の商品も品揃え。こうした単価の低い商品を作ることはトライアル購買につながる
農産で「黒トリュフ」を展開。1個3980円(本体価格、以下同)
既存店でもオイシックスのミールキットは取り扱っているが、恵比寿ガーデンプレイス店では「八百屋さんのミールキット」として他のミールキットにも品揃えを拡大
簡便商品の下ゆで野菜はコーナー展開。
水産の鮮魚はケース越しに調理を受け付けるなど対面販売的な構造としているなど、注力していることが分かる。近隣商圏内ではSMが少ない上、広域商圏狙いということもあって地域一番の鮮魚売場を志向していることが分かる
水産売場では活魚水槽を導入。1tの容積。水槽は首都圏で唯一の展開となる
自社で塩水漬けにして加工した干物を鮮魚売場で展開
水産部門が展開する寿司の「うを鮨」は、丸物などを販売する壁面とは逆の通路側にサークル型のケースを設置し、中で製造をしている様子をアピールしながら展開。握り寿司は惣菜部門では展開せず、惣菜部門の助六寿司などもこちらに商品を集積して展開
「うを鮨」では、握り寿司、海鮮丼などの他、ケーキ寿司などさまざまな華やかな商品を展開
「うを鮨」を展開するケースではうを鮨に続いて刺身を展開
オープン日ということもあるが、刺身でもハレ型の大型商品を展開するなど、ハレの日に利用してもらう店になることを目指す
「オープン日はお祭り」(岩崎社長)ということもあって、刺身でも盛り付けにもこだわったハレ型の商品が並ぶ。「ハレに強い」というイメージ醸成に努める
「自家製炙り刺身」といったひと手間加えた商品もコーナー展開
水産では冷凍の商品を強化。埼玉県加須市の自社センターにアルコールによる液体凍結機を導入し、切り身などを冷凍の商品に加工
こちらも加須市の自社センターで製造した冷凍のミールキット。3、4人前で1780円~1980円
畜産ではローストビーフや馬刺しなど冷蔵の即食商品を平ケースの先頭で展開し売り込む
ローストビーフは握り寿司も商品化
精肉でもさまざまな盛り付けの商品を展開
精肉の一部商品は冷凍、スキンパックのロングライフの商品として展開。ロス削減に貢献する
黒毛和牛を使用したステーキやハンバーグなどの弁当をオーダー式で提供する弁当を導入。このコーナーのみ、食肉専門企業の小川グループがコンセッショナリーで展開
オーダー式弁当以外、精肉は全て直営。「YEBISU MARCHE」コーナーとして展開し、量り売りとセルフサービスの売場を併設
オープン日は和牛でも特に知名度の高い「松阪牛」を半額で販売
壁面では広島県産「あまに牛」(交雑種)など、従来から販売してきた商品などを中心に展開
弁当はハレ用の商品なども展開し、1580円まで価格帯を広げている。巾着に入った「国産牛めしの二段御膳」は1580円、「鰻まぶし飯の二段御膳」は1380円といった商品も展開
「鰻まぶし飯の二段御膳」(1380円)
惣菜では、サラダ、焼き鳥で対面販売を導入。ビオラルでは一部店舗で展開しているが、ライフの店で常設したのは初めて
惣菜も製造しているところを見せる造りで、ライブ感を演出
鉄板で焼く「鉄板焼き」コーナーを展開。お好み焼きや焼きそば、チャーハンの他、卵焼きを展開
チャーハンも「焼き豚のせ」など商品化に工夫がみられる。さらにライフコーポ―ションの部門横串マーチャンダイジングの一例ともいえる「あごだし入り」
一部既存店では「生鮮惣菜」として、水産や畜産売場でコーナー展開していた生鮮素材を使った惣菜は、今回は売場面積の狭さもあって惣菜部門で製造、惣菜売場で展開するようにしている
焼き器を導入して「ロティサリー」の商品を展開
野菜などを強調した「グリル」コーナーなど売場の彩りも鮮やか
店内製造の「ラザニア」なども登場。「グリル」コーナーの目玉商品的な位置付け
店内製造のシズル感を打ち出しつつ、電子レンジ加熱前提のアウトパックの冷蔵商品も開発を進める。自社工場で製造しているカツ丼なども品揃えし、店内製造の商品と加え2ラインで展開することでそのときどきの需要に応える
自社惣菜工場製造のサラダ商品も積極的な商品開発が進む。カップに入った「2種チーズボロネーゼポテトクリーム」といった手の込んだ商品もある
サラダでも大豆ミートを用いた商品も展開
多くの企業が展開するようになったチーズケーキもオリジナルで開発。ニュージーランド産クリームチーズを100%使用した「濃厚チーズケーキ」。580円の「大」の他、円形の338円の「小」も展開
通常、ピザは円形だが、カットした商品を販売する際のトレーのすき間がないように、あるいは「もっと気軽にカットピザを食べてもらいたい」といったことを考え、同店のみピザを四角にした。「セントラルスクエア」の「スクエア(四角)」にかけてもいる
和日配なども日本各地の商品を含む多様な商品を展開。写真は秋田県のいぶりがっこ。スモークチーズと合わせたつまみになるような一風変わった商品なども品揃え
洋日配のデザートコーナーは惣菜に隣接して設置。ビオラルは別コーナーで展開しているが、ビオラルのプライベート商品はこちらにも差し込んでいる
冷凍食品はリーチイン主体だが、充実。ミールキットやスープなどこの間、開発してきた簡便商品を大々的に展開
冷凍のレディミールもコーナー化して展開する
オイシックス・ラ・大地のヴィーガンのブランドである「パープルキャロット」が発売した冷凍のレディミールを展開。ある程度ターゲットが限られる特殊な商品であるが、冷凍での展開でロスの問題を軽減できる
冷凍のカレーも品揃え。「専門店の味」を自宅で食べられることをアピール
チーズを専門店風に販売する「チーズハウス」は、今回は加工場を設けずに展開
銘菓はレジ前にコーナー化。需要も高いと思われるが、面積の狭さをこうしたところでカバーしている
オートミールやシリアルなどは品揃えも充実
米は10kgではなく、5kgまでの展開。雑穀なども品揃えを深めている
レトルトカレーは大々的にコーナー化。恵比寿ガーデンプレイス店では作業負担軽減などを狙い、生鮮や日配の一部を除いて電子棚札を導入している
エスニックの商品も充実。広域商圏をターゲットとするため、こうした分野で「当てになる」ことは重要になる
「北海道味巡り」コーナー
チョコレートの品揃えも深い。エンドではチョコレートの花である「フラワーチョコレート」といった華やかな商品も展開
ベビーフードでは冷凍の商品も導入
生活関連は売場の品揃えを特徴のあるものに限定し、それ以外の約3000種類については注文してバックヤードから持ってきてもらう方式を導入した。限られた売場をできだけ食品に割くため、恵比寿ガーデンプレイス店独自の取り組みとして開始
「オーガニック・ローカル・ヘルシー・サスティナビリティ」をコンセプトとする「ビオラル」コーナーを導入
ビオラルには押上店などでも展開しているジュースバーも展開。ジェラートやソフトクリームも販売する。ただし、店内にイートインコーナーはない(施設内にはテーブルと椅子のスペースもある)
ビオラルでは定番的な展開となっている米の量り売りとピーナッツバター
レジはセミセルフ主体だが、キャッシュレスのフルセルフレジを5台導入

お役立ち資料データ

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