ウツノミヤテラスが宇都宮駅東口側に開業、ヨークベニマル、カワチ薬品の都市型店が出店

2022.08.28

住友商事は、宇都宮市と企業グループが連携して推進する「宇都宮駅東口地区整備事業」の一環として複合施設「Utsunomiya Terrace(ウツノミヤテラス)」を8月26日に開業した。

まちびらき第一弾の高度専門医療施設(2021年12月開業)、第二弾の分譲マンション(22年6月下旬入居開始)に続く開業となった。

施設には宇都宮・栃木の魅力を発信するテナントや一部の行政機能などを誘致した他、今年11月に開業予定の隣接大型交流拠点施設「ライトキューブ宇都宮」とも連携、地域住民、出張や観光目的の来街者に本施設ならではの新しい価値を提供するとしている。

ヨークベニマルは初の駅前ビル出店で、都市型対応

核店のヨークベニマルは施設1階に出店。栃木県の店数は35店になる。他、福島県78店、宮城県63店、山形県22店、茨城県44店の全社合計では242店(実質稼動は240店)体制となる。

JR宇都宮駅の新幹線改札から約300mに立地し、周辺は単身世帯、ファミリー層など幅広い世代が住む地域だという。

JR宇都宮駅には、宇都宮市で進められている「ネットワーク型コンパクトシティ」構想の公共交通手段の「芳賀・宇都宮LRT(ライトレールトランジット、次世代型路面電車システム)」が乗り入れる計画もある。

LRTの発着場からすぐの場所にあり、利用者の利用も見込む。

宇都宮市へは2021年2月オープンの今泉店以来、12店目の出店。ヨークベニマルとしては地域のお客に加え、出張や観光で来店したお客の利用も想定した店づくりを目指す。

駅前の複合施設は同社としては初めての出店パターンとなるため、都市型マーチャンダイジングの店として数々の独自の取り組みを実施している。

駅前であることから、ピークタイムも18時~19時になると想定して人員態勢も組んでいる。

内装ではデザイン性を重視した他、柱を始め売場の随所でデジタルサイネージを設置。

また、8月30日から稼働予定で、お客自身が商品をスキャンしながら買物をし、レジでの会計時間を短縮できる「スキャンカート」を導入予定。

既存店でも導入が進み、今期中には十数店舗に導入見込み。比較的利用率も高いという。各店40台ほど導入しているというが、台数を増やせばもっと高まるとみている。通常カードに比べ投資はかかるが、生産性向上を考えると十分ペイできるという。

売場面積は約530坪で、標準規模の600坪ほどは確保できなかったが、商品面では商圏内に単身者や少人数世帯が多いことから、無駄なく買物ができるよう少量商品や簡便性の高い商品の構成を高める。

青果売場ではバナナ売場では計量器を設け、バナナの量り売りを実施する。通常は房単位で買うバナナを1本から買えるという意味では小量目対応といえる。

レイアウトは青果から始まり、壁面沿いに鮮魚、精肉、日配、デリカとつながるオーソドックスなパターンとなった。

ここのところ、小型店を中心に第1主通路に青果とデリカを配置するパターンを出店しており、今回も入口の位置からそれが好ましいとも考えられるが、バックヤードの配置などからオーソドックスなパターンとなったようだ。

壁面の洋日配の乳製品では、植物性ミルクの売場を「ミルクプロテイン」とコーナー表示

また、大型店ではないが、奥主通路は平ケースを配置したダブルコンコースとなっている。

一方で、需要が高いと想定されるデリカの惣菜、寿司、弁当、ベーカリーは売場のスペースを広げた。

惣菜では、彩り豊かなプレートタイプの「大人様ランチ」や季節の野菜を使用した弁当など、こだわり商品を提案。

寿司ではマグロを中心に人気の食材や季節の食材を組み合わせた少量の生寿司「海鮮アラカルト寿司」を展開。

ベーカリーでは、外側はフランスパンの食感、中は食パンのようなもっちり食感を実現した新商品「もっちり湯種の生フランスパン」やうま味のあるゴーダチーズをたっぷり巻き込むことで、つまみとしても楽しめるフランスパン「ゴーダチーズブレッド」など、食事パンの品揃えを強化する。

青果売場で販売する店内製造のタルトについては、青果の担当者がベーカリーのバックヤードで作業する態勢とした。

また、店内の生鮮素材を使ったサラダやレンジ調理商品を提供すると共に原木を展開でカットするカットチーズなども提案する。チーズの店内カットはロスの問題などハードルも高いが、商圏内に多い単身者向けの小量目対応が可能になる他、値頃も作れることから導入した。

地元対応では、栃木県の食材、菓子、スイーツなどを積極的に取り入れ、地産地消の取り組みに力を入れる。

生鮮食品で展開する店内製造の冷蔵のミールキットは継続的に展開している。定着まで時間はかかるものの、最終的には売れるようになってきているという。

精肉ではノントレーの商品を拡大している。

精肉では冷凍の品揃えを充実させ、ハレメニューなどにも対応。

酒についても単身者を意識して小容量の飲み切りサイズを強化した。

小量目対応としては、コーヒー豆について量り売りも展開。

冷凍食品はデリカと一体のゾーンを形成。

ホテル客もターゲットにしたワンプレートの商品や地元のベーカリー企業「ザ・スタンダード・ベイカーズ」の冷凍パンなどを導入。

「宇都宮みんみん」の商品をはじめ、ギョーザも多数導入しているが、実際、導入している栃木県の既存店では売れているという。

アイテム数は、デリカ230、食品9000、日用品1700。合計1万930。売上高構成比計画は、鮮魚8.9%、精肉14.1%、果実5%、野菜10.5%、日配品21.8%、加工食品23.2%、日用品1.5%、惣菜9.7%、寿司2.7%、ベーカリー2.6%。

ウツノミヤテラスは東口側の商業施設だが、駅反対側の西口側のトナリエ宇都宮の地下には来年1月にヤオコーの出店が予定されているなど、競合環境の変化も想定される。ヨークベニマルの都市型マーチャンダイジングの真価が試される店となりそうだ。

カワチ薬品や宇都宮みんみんなど新型店続々

2階にはドラッグストアとしてカワチ薬品の化粧品強化型の新フォーマット2号店の「アイココチ」宇都宮テラス店が出店。今回は初となる駅隣接商業施設に約100坪の規模で出店した。

ヘルス&ビューティに特化したフォーマットで、「私らしさを見つける、心地よい空間」をコンセプトにポイントメイク、基礎化粧品ブランドの商品が330アイテム、メーカーブランドが50ブランドを中心に医薬品や一部、日用品と飲料といった商品構成。

医薬品、化粧品についても専門の従業員を配置している。ビジネス客、学生をメインターゲットとしているという。

もともと今回の立地に駅東口店を出店していた宇都宮みんみんは2階に最大規模の宮みらい店を出店。

既存店があった立地のため実績もあることから席数は同社では最多の90席弱(現在は間引いているため約50席)とした。タッチパネルによる注文、セルフレジは初めての導入。持ち帰りのギョーザの販売にはレーンを導入するなど、新たな取り組みが多数。内装ではところどころで地元の建材の日光杉を使っている。

同じく2階にプロントコーポレーションは「昼はカフェ、夜はサカバ。」という「二面性」をキーワードとした「キッカサカバ形態」の店を栃木県初出店。

3階にはダイソーなどが出店する他、4階には核店クラスの店として「コジマ×ビックカメラ宇都宮テラス店」が出店している。

建物内で独立した駅側の2階、3階のスペースを使って地元宇都宮を代表する観光地「大谷」地区発祥のスペシャルティコーヒーショップ「ISLAND COFFEE ROASTERS」がカフェを出店。

ヨークベニマル宇都宮テラス店概要

所在地/栃木県宇都宮市宮みらい1-1

オープン日/2022年8月26日

営業時間/10時~22時

駐車台数/480台(Utsunomiya Terrace共用、初回入庫30分間は無料、買物割引きあり)

売場面積/1752㎡(ヨークベニマル)

年商見込み/15億円(初年度)

店長/吉田恒男

従業員数/117人(正社員14人、地元採用者103人)

商圏/0~1km圏内人口2万1100人、世帯数1万1207世帯、1~2km圏内人口4万9750人、世帯数2万2864世帯、2~3km圏内人口7万1820人、世帯数3万6103世帯

Utsunomiya Terrace(ウツノミヤテラス)概要

開業日時/2022年8月26日

土地面積/約7700㎡

建物構造/鉄骨造14階建て

延べ床面積/約3万7400㎡(別棟の駐車場も含む)

施設構成/商業施設(1~6 階部分、主なテナント構成6階オフィス、5階ウェディング・レストラン、サービス、4階物販、3階飲食、物販、サービス系、2階飲食、物販、サービス系、1階スーパーマーケット、飲食、サービス系)

宿泊施設(5~14階部分、屋号カンデオホテルズ宇都宮、客室数288室、部屋面積18㎡~42 ㎡、付帯施設大浴場、展望レストラン)

立体駐車場(別棟5階建て、収容台数480台)

お役立ち資料データ

  • 2023年 下半期 注目店スタディ

    2023年下半期注目のスーパーマーケット7店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・オーケー/銀座店 ・ヨークベニマル/仙台上杉店 ・ベイシア/Foods Park 津田沼ビート店 ・ヤオコー/松戸上本郷店 ・カスミ/…

  • 2023年 上半期 注目店スタディ

    2023年上半期注目のスーパーマーケット5店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・ ヤオコー/トナリエ宇都宮店 ・ サミットストア/川口青木店 ・ 原信/紫竹山店 ・ ライフセントラルスクエア/ららぽーと門真店 ・ …

  • 有力チェーントップ10人が語る「ニューノーマル時代のスーパーマーケット経営論」

    有力スーパーマーケットチェーンの経営者10人にリテール総合研究所所長の竹下がインタビューを実施し、そのエッセンスをまとめています。 インタビューを通じ、日本を代表する有力トップマネジメントのリアルな考えを知ることができ、現在の経営課題の主要テーマを網羅する内容となっています。 変化する経営環境において、各トップマネジメントによる現状整理と方向性を改めて振り返ることは、これからの新しいスーパーマーケットの在り方形を模索する上でも業界にとって大変有用と考えます。 ぜひ、今後のスーパーマーケット業界を考える材料としてご活用ください。 ■掲載インタビュー一覧 ライフコーポレーション 岩崎高治社長 ヨー…