ヨークベニマルいわき平店がオープン、品揃えの幅広げた旗艦店でいわき市ドミナント強化

2024.02.27

2024.02.26

ヨークベニマルは2月22日、福島県いわき市にいわき平店をオープンした。イトーヨーカドー平店跡地に建て替えオープンした複合商業施設「PaixPaix(ペッペ)」内への核店としての出店となる。

旧イトーヨーカドー平店は1971年オープンで、2021年に閉店するまで約50年間、この地を支えてきた。オープン当初はイトーヨーカ堂としても大規模商業施設、さらに本格的な東北への足がかりとして重要な位置づけを担っていた。

さらに当初はヨークベニマルが食品売場を担う形でスタートしたこともあり、ヨークベニマルとしてもなじみのある物件。店づくりについては米国を含め当時の最新のトレンドを踏まえたものとなり、大髙善興会長(3月1日から名誉会長)も、「今日のヨークベニマルの成長の基礎を作った店」と振り返る。

今回のいわき平店のオープンでヨークベニマルとして福島県80店体制、全社では248店体制となり、いわき市平へは、2015年2月オープンの上荒川店以来、3店目の出店。

PaixPaixは同店の他、100円均一ショップのダイソー、ドラッグストアのマツモトキヨシが出店する商業棟の他、コミュニティスペースや飲食店などが出店するサービス棟で構成される。また、ヨークベニマルが1階に出店した2階には昨今、スーパーマーケット(SM)との共同出店を戦略としている無印良品が出店するなど、商業集積としては強力なものとなっている。

JRいわき駅から500m弱の駅近で、1km圏の人口は約1万人ほどあるが、周囲は1、2人世帯の構成が78%、中でも1人世帯が54%と非常に高く、年齢では60歳以上が34%を占め、単身世帯、シニア世代の構成が高い地域となっている。

ヨークベニマルの売場は700坪超の大型店となる。同社の中では旗艦店的なマーチャンダイジングを展開する「ブランディング店舗」の位置づけで、内装や従業員の制服が通常の店と異なる。

「ブランディング店舗」として、内装などを既存店と変えている

いわき市内には大型店の谷川瀬店が約1.8kmのところにある他、同社としては全14店が店を構える体制となる。

「市内に14店舗あるので、街の旗艦店としては既存店とどうやって違いを出すかということで、ちょっと差別化した、品揃えの幅を持った店になっている。いわきの中心のお客さまのニーズに応え、併せて既存店と差別化を図っていこうということで、今回、あえてこの店を造った」(真船幸夫社長、3月1日から会長)

SKU数は鮮魚、精肉、青果、日配品、加工食品の食品5部門計が1万500、惣菜、寿司、ベーカリー計のデリカ200で、日用品は4100と特に多くなっている。合計は1万4800で同規模店の通常1万2000ほどと比べても多い。

これまで既存のブランディング店舗で培ってきた品揃えを生かし、その幅を広げることで、お客のニーズの掘り起こしを狙うこともある。

加工食品には「上質良品」コーナーを設けている
郡山市出身のヨークベニマルだが、いわき市はマルトの地盤でもある。日配品では地元の商品なども積極的に取り込み、地域のニーズに応える
品揃え強化の一環で、ワインなどでは扉付きのケースで6万8000円(本体価格)といった高単価商品も取り扱っている
日用品の品揃えは4100SKUと、とりわけ多い

鮮魚売場では、特に「常磐もの」の丸魚の他、マグロの品揃えに注力。また、地元の水産業者とタイアップした水産加工品の品揃えを強化する。

生魚を強化する一方、冷凍の商品も品揃えを増やしている

精肉売場では、福島県産和牛をはじめ、即食、簡便ニーズに対応した商品の充実を図り、同時に環境に配慮したノントレー商品の拡大にも努める。

精肉は牛豚鶏全て、店内加工に徹底的にこだわる。特に和牛の打ち出しにはこだわり、オープン日には松阪牛も並んだ
精肉では環境意識の高まりに対応し、豚鶏でノントレーの他、紙トレーも導入
馬刺しは冷蔵で販売。コーナー化でアピール
精肉では冷凍の商品も充実
ミールキットは惣菜売場で展開する冷蔵の商品(後述)に加え、特に冷凍の商品を充実させている

青果売場では、契約農家からの地元野菜を品揃えする他、旬の果物やカットフルーツに加え、花では季節を彩る洋花、鉢物商品を取りそろえる。

青果ではオーガニックコーナーを設けている

デイリー売場では、地域でおなじみの商品や、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などで話題の商品を取りそろえる。

また、冷凍の商品の売場の拡大を図り、電子レンジで温めるだけの「ワンプレート冷凍食品」の品揃えに注力。

入口の関係で、第1主通路の青果とデリカを配置しているため、第3主通路には冷凍食品を配置。需要の高まっている冷凍食品売場は拡大
簡便需要に対して、ワンプレート商品を強化。イトーヨーカ堂のプライベートブランド商品の「イーズアップ」も品揃え
ナショナルブランド商品も含め、ワンプレート商品を強化

グロサリー売場では、洋風菓子の品揃えを充実させる他、「安心・安全・健康」をテーマに、オーガニックコーナーを設ける。さらに、新商品、話題の商品の品揃えを強化し、各地の「産直フェア」も実施する。

既存の「ブランディング店舗」ではオーガニックコーナーを主通路の最終コーナーにまとめていたが、いわき平店ではゴンドラ内に設けている

惣菜売場では、健康をテーマに雑穀米を使用した弁当や、レンジアップ商品を品揃え。また、こちらも「常磐もの」を使用した、焼き魚、煮魚の夕方ピーク時の出来たて提供を目指す。

惣菜については、SMとして今後の差別化の鍵を握ると見ており、3月1日に社長に就任する大髙耕一路取締役専務執行役員営業本部副本部長は次のように語る。

「やはり、デリカを強くしなければいけない。いま4工場体制でやっているところ、将来的には5工場にすべく、25年春の稼働に向けて建設を始めた。古くなった工場をスクラップ&ビルドして強化していかないと新商品が出せない。今回、ミールキットを工場生産に切り替えたが、それはお店の働き方改革を含め、お店の負担が大きいためだ。ただ、ヨークベニマルの強みはインストアでのデリカの最後の仕上げの部分であったり、魚であり、肉であり、野菜であり、どうしても包丁を使う部分は、絶対にわれわれギブアップしたくない。幸い、われわれには旧ライフフーズのデリカの工場もある。そこは最大限使いながらも、他社さんとの差別化としてインストアにできる限り、こだわりたい。(お店での作業を残す)日本で最後のスーパーになるぐらい、やり切る覚悟でがんばりたい」

惣菜では商品開発を積極的に実施
中華を含む「アジアンデリ」
味と加工度に徹底的にこだわった「レストランデリ」は「福袋」でトライアルを促す
惣菜では非常に手の込んだ商品を展開。価値を高めた商品に積極的に挑戦している
惣菜では、小量目にも徹底的にこだわる
「ミール・サラダ」(サラダ)、「ミール・クイック」(レンジアップ、スープ)、「ミール・セット」(ミールキット)の冷惣菜については、一部店舗で店内製造を実施していたが、今回工場からの供給に切り替えた。1日1便体制の配送
惣菜では、工場製造の冷惣菜が売場を支える

また、寿司売場では、マグロを使用した生寿司、海鮮丼、手巻き寿司を展開。ベーカリー売場では、全粒粉を使用したパンを提供する他、石窯ピザの品揃えの充実を図る。

初年度年商は17億円を想定する。売上高構成比計画は、鮮魚8.1% 、精肉14.4%、果実4.3%、野菜8.7%、惣菜8.6%、寿司2.2%、ベーカリー2.2%、日配品20.5%、加工食品27%、日用品4%。

ヨークベニマルいわき平店概要

所在地/福島県いわき市平六町目6-2

オープン日/2024年2月22日

営業時間/10時~21時

構造/鉄骨造2階建て、屋上駐車場

駐車台数/267台(全体)

売場面積/2333㎡(ヨークベニマル)

店長/藤野浩明

年商見込み/17億円(初年度)

従業員数/100人(正社員19人、地元採用者81人)

商圏/1km圏内人口1万643人、5602世帯、2km圏内人口2万8119人、1万4421世帯、3km圏内人口4万8081人、2万4158世帯

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