フードスクエアカスミ東茂原店はフードスクエア第2のスタンダード「タイプB」として「既存店と違う店」目指す
2024.04.03
2024.04.01
カスミは3月29日、千葉県茂原市にフードスクエアカスミ東茂原店をオープンした。カスミとしては全社195店目、千葉県では40店目、茂原市では5店目の出店となる。
同店は、塚田英明社長が「フードスクエアの2つ目のスタンダードにしたい」と意気込む戦略的な店となる。
同社は、地域の旗艦店的な役割を果たす「フードスクエア」、より小商圏をターゲットとする標準店の「フードマーケット」、ディスカウントフォーマットの「フードオフストッカー」、さらに2022年から既存の枠組みを超えることを目指して新たな取り組みに挑戦する「BLΛNDE(ブランデ)」と多様なフォーマットを持つ。
今回は、そのうちのフードスクエアの新タイプの1号店ということになる。「既存を『タイプA』とすると『タイプB』といったところ」(塚田社長)となる。
売場面積は約603坪で、年商目標は約15億円と、規模としてはそれほど大型ではないが、内装、売場レイアウトなど、既存店とは変え、また、マーチャンダイジングについても、ブランデで導入したものを多数取り入れながら大きく進化させた。
売場レイアウトについては、ブランデの考え方に近い形となっていて、第1主通路を広く取り、そこに生鮮三品と惣菜をまとめ、売場を大きく生鮮、惣菜ゾーンと加工食品ゾーンに分けたような形となっている。
惣菜は奥主通路に鮮魚と隣接させた形で設置。ブランデ2号店の研究学園店(茨城県つくば市)と共通性の高いレイアウトといえる。
ただし、インストアベーカリーの「DELY BREAD」についてはやや異なり、東茂原店では生鮮と反対側のイートインコーナーの「Cafe&Dine」と連動させる形で設置。結果的に惣菜とベーカリーが離れた場所に配置されたことになる。
これについて、塚田社長はベーカリーを酒やデザート、イートインとしてのカフェに連動した「機能」として位置付けたためとしている。
惣菜とベーカリーは特に直営の場合、製造小売業として共通性も高いことから売場としても連動して設置しているケースが多い。この辺りはこれまでの一般的な考え方とは異なる方向性として注目に値する。
もちろん、作業場の設置などの連動性も含めて惣菜とベーカリーは隣接させた方が良い面もある。そのため、フードスクエアでもタイプAなどについては惣菜とベーカリーを連動させることを前提と考えている。
生鮮ではオリジナル商品の「MiiL」を多数導入
商品構成としては、オリジナル商品で、ブランデの出店と同時に展開が始まった「MiiL(ミール)」、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスのプライベートブランド(PB)商品の「eatime(イータイム)」、イオンのPB商品「トップバリュ」を品揃えする他、地元千葉県産の日本酒、地域米菓など、地域とのつながりのある商品を豊富に品揃え。
ミールについては、売上げの4割を占めるブランデほどではないが、生鮮では特に多数導入しているという。地元を重視した商品構成も、ブランデから始まったミールの考え方に通じるものがある。ミールは次第に既存店での展開も拡大しているが、その意味では、既存店と比べブランデの色彩がより濃いといえる。
青果では、野菜や果物について壁面、平台で訴求する他、売場先頭に作業場を設けた売場を設けカットフルーツ、フルーツタルト、店内加工のサラダなど一部素材と共に展開するなど即食商品と素材を連動させた売場づくりを実施。
続く精肉売場は、フードスクエアではコンセッショナリーの対面販売を導入するケースが多いが、今回は直営のみ、かつセルフサービスに特化。商品は自社プロセスセンターからの商品が多くを占めるが、今回はあえて作業場を設け、味付けなど店内加工の商品も一部展開する。
鮮魚は第1主通路突き当たりで勝浦、銚子直送の鮮度感ある近海魚の対面販売を展開しつつ、壁面と平ケースを活用し刺身、生鮮惣菜の「魚河岸の鮨」などを展開。また、店内で干し上げた干物や衣付け商品など、簡便商品の提供にも努める。
続く惣菜では、鮮魚で加工したアジを使った「アジフライ」や店内干しした干物を焼いた焼き魚など、各部門連携した惣菜を品揃え。生鮮と惣菜をまとめたレイアウトを生かした展開となっている。
米飯は平台で大々的に展開する他、店内で握ったおにぎりなどおにぎりをコーナー化、さらに壁面ではフライや天ぷらなど揚げ物などをばら販売する。
また、生鮮売場内に「クッキング・コミュニケーション」コーナーを設置し、店内で販売する旬の食材を使った料理の実演とメニュー提案を行うと共に商品選択に役立つ情報など食に関する専門的な情報を買物中のお客に提供。
こうしたコミュニケーションの要素も、ブランデで強化した機能として店を強く印象付けるものだ。
前述のとおり、ベーカリーの「DELY BREAD」はイートインコーナーの「Cafe&Dine」との併設で設置。デニッシュなど商品とコーヒーやスイーツ、さらにバイオーダーの形でパスタも含めた商品群を連動させた形で対面販売する他、店内で焼き上げるピザを冷凍の生地と連動させて販売するなど、コミュニケーションの要素と併せ、こちらもブランデの色彩の濃い売場を展開している。
サービス面ではオープンに際し、スキャン&ゴーアプリを利用した会員制プログラムの「ブランデプライム」も導入。年会費はゴールドが税込み5000円、シルバーが同3000円、ブロンズが無料。
ブランデで導入した一部有料のプログラムで、入会特典としてエコバッグをプレゼントし、年会費相当のポイントを付与する他、コーヒー、もしくは紅茶を1日1杯無料で提供する。また、4月中旬以降の開始予定でネットスーパーのオンラインデリバリーも導入する。
もともと地域の旗艦店的な位置づけだったフードスクエアをさらに進化させ、既存店と差別化するフォーマットとして開発されたタイプB。「ブランデはコンセプトが全く違う」(塚田社長)とはいえ、このフォーマットを開発するに当たっては、ブランデでの取り組みが大いに貢献している。
前社長の山本慎一郎・ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールデ ィングス副社長は折に触れて「ブランデはR&D(研究開発)拠点」と語っていたが、今回の東茂原店の各種取り組みを見ていると、まさにそのとおりの展開になっているといえる。
売上高構成比、SKU数
部門 | 売上高 構成比(%) | 総SKU | MiiL カスミ | MiiL マルシェ | MiiL プレミアム | eatime | BLANDE Selection |
鮮 魚 | 13.8 | 380 | 13 | 4 | 0 | 0 | 0 |
精 肉 | 11.5 | 543 | 26 | 0 | 3 | 0 | 16 |
和風日配 | 5.6 | 618 | 38 | 4 | 9 | 14 | 44 |
一般食品 | 13.0 | 2600 | 74 | 26 | 0 | 45 | 100 |
菓 子 | 9.2 | 2097 | 20 | 18 | 5 | 9 | 130 |
日用雑貨 | 0.8 | 767 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
果 実 | 5.4 | 250 | 73 | 7 | 2 | 2 | 22 |
野 菜 | 8.2 | 395 | 12 | 32 | 8 | 0 | 25 |
惣 菜 | 13.0 | 388 | 10 | 32 | 2 | 4 | |
洋風日配 | 11.8 | 1490 | 33 | 9 | 3 | 12 | 141 |
ベーカリー | 2.1 | 53 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 |
酒 | 4.3 | 1479 | 0 | 5 | 4 | 0 | 0 |
その他 | 1.3 | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
合計 | 100.0 | 11060 | 299 | 137 | 36 | 88 | 478 |
フードスクエアカスミ東茂原店概要
所在地/千葉県茂原市東茂原1-30
オープン日/2024年3月29日
駐車台数/198台
駐輪台数/85台
営業時間/9時~21時45分
売場面積/1994㎡
店長/西山正文
従業員数/正社員22人、パ-トタイマー・アルバイト60人(7.75時間換算)
年商目標/約15億円
主要商圏/1万2740世帯(0~2km圏)
km | 世帯 | 人口 |
0~0.5km | 1,266 | 2,911 |
0.5~1km | 2,456 | 5,785 |
1~2km | 9,018 | 20,147 |
2~3km | 9,655 | 22,273 |