ヨークパークがグランドオープン、イトーヨーカドー郡山店跡地をヨークベニマルが再開発し、新たな「総合」を構築

2025.03.15

2025.03.14

イトーヨーカドー郡山店跡をヨークベニマルが引き継ぎ、再開発した商業施設「ヨークパーク」が3月14日、グランドオープンした。

建物5階建て、売場が4層という多層階の総合スーパー(GMS)の建物を生かした上で、直営の食品、衣料品に加えて、グループ企業を含むテナントを配置した。外部の力を借りる形でのヨークベニマル流の「総合」店を実現した形だ。1階の食品売場を2月28日に先行オープンし、今回、直営の衣料品を含む2階~4階部分がオープンした。

「グランドコンセプトには、『世代を超えて集うコミュニティの場』を掲げさせていただいた。郡山の中心地として、愛される場所、皆さまが笑顔で集まっていただける場所をぜひ、提供させていただきたい。イトーヨーカドーの強かった時代の雰囲気を復活させたいという思いで、今回、ヨーク・ホールディングスのグループ各社にもご協力いただいて、この度、グランドオープニングを迎えることができた」(大髙耕一路・ヨークベニマル社長)

ヨークベニマルにとっては、商業施設全体を構築するということで新たな挑戦となったが、ロフトや赤ちゃん本舗といったグループ企業に加え、ユニクロや大創産業などのテナント約30店を誘致し、「一番上の階までまんべんなく、世代を超えてお客さまが楽しんでいただけるような思いを込めてフロアを作った」(大髙社長)。

グランドオープンに際して記者会見に臨んだ石橋誠一郎・ヨーク・ホールディングス社長(右から2人目)、大髙耕一路・ヨークベニマル社長(左から2人目)、安藤公基・ロフト社長(右)、味志謙司・赤ちゃん本舗社長(左)

1階はヨークベニマルの食品とファストフードなどの食品テナント群、さらにユニクロが出店する「食品・アパレルゾーン」、2階は直営の衣料品とヨークベニマルがフランチャイジーとして運営するstudio CLIP(スタディオクリップ)、ロフト、カジュアル衣料のハニーズ、カフェのタリーズなどで構成される「アパレル・雑貨・カフェゾーン」、3階はコスメ・ドラッグのアインズ&トルペ、大創産業の「DAISO」など複数フォーマット、シューズのABCマートなどで構成される「服飾・コスメ・雑貨ゾーン」、そして4階には飲食店やカルチャーセンターに加え、アカチャンホンポを配置し、さらにキッズゾーンの「おやまのひろば」やキッズ専用トイレ、赤ちゃん休憩室を設けるなど子育て層向けの施設を充実させた「キッズ・カルチャー・飲食ゾーン」とした。

ヨークベニマルとしてアダストリアが展開する「スタディオクリップ」をフランチャイズ運営する。衣料品に加え、雑貨系の品揃えが強み
キッズゾーンの「おやまのひろば」
カルチャーセンターや体操教室も誘致

また、1階正面入口のスペースでは週末を中心にイベントも開催していく。ヨークベニマルにとっては、まさに従来のスーパーマーケット(SM)の枠を大きく超えた多くの人が集まる「場」の機能も持つ施設への挑戦となった。

489坪のヨークベニマル直営衣料品売場の挑戦

1階にヨークベニマルと隣接して出店したユニクロは郡山市内では2店目の店となる。ただ、郡山市では以前から2店体制となっていて、今回は閉店した郡山大槻店の移転オープンという位置づけ。

もう1店は大型店の郡山日和田フェスタ店で、今回は標準店の規模での出店だが、集客力のある施設内への出店ということで高い売上げが期待できそうだ。1階への出店ということで、施設の集客にも貢献していきたいとしている。

ユニクロではセルフサービスで注文した商品が店舗で受け取れるロッカーを設置。今後、水平展開を図っていきたい意向
地域限定商品となるTシャツ、トートバッグを展開している。地域の企業、あるいは地域に本社のある会社とコラボレーションしている。まんじゅうの柏屋、ラーメン店チェーンの幸楽苑などのコラボレーションTシャツなどを販売。店自体を地域の情報発信拠点としていくことが狙い

グランドオープンに合わせて2階にオープンした直営の衣料品は、長期的に衣料品売場を縮小してきたヨークベニマルにとっては大きな挑戦となった。売場面積は約489坪。

「食品スーパーでやるべき衣料の売場とはということを、常々、われわれ問題意識を持って取り組んでいる」(大髙社長)。かつては多くのSMで衣料品を取り扱っていたが、現在では多くの企業が食品特化のフォーマットを主力とするようになっている。

その意味では、需要はあるにもかかわらず、「買い場」が減っていると見ることもできるわけで、今回は多くの集客がある施設での新たな衣料品売場の構築を目指す。施設としてはユニクロやハニーズなど、主に若年層に支持が高いテナントが入るため、ヨークベニマルとしてはターゲットとのすみ分けを意識しつつ、「子育て世代からシニア層まで幅広い年代の日常着、服飾雑貨、寝装関連までをトータルで提案」する。

直営衣料品の売上高構成比計画は13.6%、直営の初年度年商見込みが42億7000万円のため、約5億8000万円換算となる。

売場は横長で間口が広いことを生かし、柱周りを中心にゴールデンベア、クロコダイル、F.O.KIDS、東京イギン、ワコール、トリンプ、グンゼ、西川などブランドごとに展開。肌着など購買頻度の高い実用衣料は奥に配置した。

柱周りを活用し、11のブランドごとショップ的に売場を作り、ショップの集合体のような世界観を演出。それを各販売員がしっかりと提案するようにする
地域における「買い場」を維持するためにも、フォーマルまで取り扱うことは重要だ
高齢層に向けて、また、隣の敷地に太田西ノ内病院があることもあり、介護関連の商品も品揃え

ロフトは福島県初出店となった。安藤公基社長は、「念願の福島初出店でわくわくしている」と出店に対する思いを語る。「お客さまにロフトが支持されている一番のポイントは品揃えの豊富さにある。約1400社のお取引先さまからおよそ23万SKUの商品を登録、年間で約半分の商品が入れ替わっている」(安藤社長)

売場面積は約234坪(約777㎡)でロフトとしてはスタンダードの規模。文具雑貨1万200種類、健康雑貨6000種類、バラエティ雑貨2400種類、生活雑貨1200種類で4領域計1万9800種類を品揃え

需要に応じて、次々に新しい商品を投入する提案が奏功する形で、ロフトは業績も好調に推移。特に昨今はコスメ関連の売上げが高まっているという。安藤社長は同社の経営方針を次のように語る。

新作コスメを「コスメフェスティバル」としてイベント的に特集し、さらにソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を活用し、インフルエンサーと共に盛り上げながら消費も盛り上げる

「ロフトの創業以来のコンセプトは、『トキの器』。自らの変化を恐れずに、時代のニーズやトレンドをしなやかに切り取って、商品や売場を通してスピーディに情報発信していく。新しいもの、おもしろいものがないかとロフトに来てみると、『なにかある、きっとある』。そんな『雑貨文化のプロデュースカンパニー』を目指している」

ここのところ夏を中心に猛暑になることが多く、ハンディファンのような需要創造型の商品の登場、男性も含めた日傘の需要の高まりなどが起こっている。こうした状況を捉え、ロフトではこうしたホットアイテムの品揃えを深掘りすることで、売上げが上がっているという。

需要の高い商品の品揃えを広げることで、ディスティネーションストアになり得ているとも言えるが、こうした多数の取引先を生かした形のスピード感のある展開が好業績にもつながっていると考えられる。

出産準備から子育てに必要な「商品やコト、トキや情報」の提供を経営方針とする赤ちゃん本舗は福島県に14年ぶりの再出店となった。ヨークパーク郡山店では、ベビーカーの走行体験、赤ちゃんのお着替え体験などができる体験型売場を設置。「体験価値をかなり売場の中に作り込んだ。やはり、初めてご出産、子育てで、いろいろと迷われたり、分からないというお客さまに対してサポートをしていきたい」(味志謙司社長)

アカチャンホンポは子育て層のための施設が充実した4階に入る

今回、5km圏の郡山市の出生数と0~4歳人口を1万人以上と捉え、その層をターゲットに出産準備から家族のお出かけまで対応する5100アイテムを展開する。

アカチャンホンポでは売場の広さを生かして、ベビーカーやチャイルドシートの使用体験ができる体験型売場を強化した

味志社長は、「出産、子育てを迎えようとするときに、かなりの確率でお使いいただき、顧客接点を深く持っていることが強み」と語る。

先行してオープンした核店のヨークベニマル西ノ内店の食品売場は、衣料品売場と合わせて初年度年商42億7000万円と高い水準の売上げを計画しているが、先行オープンの2週間の段階では計画を上回る売上げの推移で、年商50億円超も視野に入れる。オープン日に28日は1万人を超えるお客が来店した。

「今年掲げている大きなテーマは『インストア調理とデリカの強化』。お店の中で、どれだけ鮮度高く、出来たて、作りたてのものをお客さまにお届けすることができるのか。いま、人手不足の中で、『工場で』『アウトパックで』というものが生鮮のものでも増えてきている世の中ではあるが、あえて私どもは店内にこだわっていきたいという思いを、どこまで究極的に実現できるかという売場を今回、用意した。横展開ができるかというと、なかなかそこまではいかないかもしれないが、『われわれがやって、くらいの売場ができるんだ』というところをわれわれ自身のグループの中にもお示しできるような、模範となるような売場づくりを今回、テーマに掲げた」(大髙社長)

西ノ内店の生鮮の取り組みについては、「ヨークベニマルの次世代MD構築と店内調理技術の進化」、デリカについては「デリカテッセンのさらなる強化~専門店化と商品の進化~」をテーマに取り組んだ。

デリカでは、ヨークベニマルとしてデリカの売上高構成比を15%にまで高めることを目指しているが、西ノ内店ではオープン後、ロスも少なく販売できていて、ベーカリーがない中でも15%を大きく上回る状況にある。

惣菜売場は同社最大級の売場スペースを確保。健康を意識した弁当が非常に好調で、弁当の売れ筋になっているという
デイリー部門管轄のチーズでは一部商品で店内加工も実施。酒の強化に合わせ、つまみ系商材の充実を図った
調味料は約300SKUの圧倒的な品揃えで、地域一番店を目指す。精肉売場と隣接させ、関連の購買も促す
鮮魚は各市場からの仕入れも活用し、丸物の対面販売を強化。マグロも希少部位を含め、品揃えを充実。売上高構成比計画では精肉の13.6%に対し、鮮魚は7.9%と低い水準を想定しているが、オープン2週間の数字では鮮魚の売上げの方が高くなった
隣の敷地に病院があるため、果物のギフトや花きの需要を見込み、売場も強化している。イトーヨーカドー時代にも花の需要は大きかったという
青果のカットフルーツコーナーでは果物をトッピングした杏仁豆腐、プリンを品揃えしている他、一押し商品として焼き芋のブリュレを店内で製造して販売。焼き芋もクリームも店内で製造。クリームを1日寝かせたり、盛り付けた後バーナーで炙るなど、手間をかけて製造している
「焼き芋ブリュレ」は値下げもなく売上好調。売れる日には1日80個ほど売れるという

イトーヨーカドー時代には18時以降の来店が少なかったことから、夕方以降の商売について関心が寄せられていたが、食品売場オープン2週間の状況では、19時~21時にもう1回ピークが来るなど、今後に期待ができる状況にある。

ヨーク・ホールディングスの石橋誠一郎社長は今回のヨークパークに期待する点について次のように語る。「イトーヨーカ堂においてもGMSの形態は非常に厳しくなっている。そういう意味では、われわれグループの成長を担うには、このGMSタイプでも食品を強くすれば集客になる、また、専門店にもテナントとして入っていただけることを実現することが非常に重要である。特に今回はヨーク・ホールディングスグループの各社にも入っていただいていることを考えると、このモデルが確実に成功すれば、GMS形態においても、もう一度、再生できる」。

構造改革の過程にあるイトーヨーカ堂は、やはり店舗の大きさから考えても売上規模的にヨーク・ホールディングスに対する影響が非常に大きい。今回、SM企業であるヨークベニマルが「総合」を実現するために挑戦したヨークパークが、ヨーク・ホールディングスグループにとって非常に重要な店であることが良く分かるというものだ。

ヨークパーク

所在地/福島県郡山市西ノ内2-11-40

オープン日時/2025年3月14日(1階のユニクロを除く食品ゾーンは2 月28日にオープン)

売場面積/ヨークパーク1万5424㎡

初年度年商見込み/84億円

構造/RC・S造地上5階建て(立体駐車場あり)

駐車台数/1305台(ヨークパーク共用・立体駐車場含む)

お役立ち資料データ

  • 2025年上半期 注目店スタディ

    これまで約30年間続いたデフレ傾向から一変し、インフレ傾向が続く2025年。値上げや人手不足の対策に追われたこの上半期ですが、引き続き注目新店は登場し続けています。今回もその中から厳選した6店舗を独自の視点でピックアップ。今回は出店背景、店舗運営、商品政策(マーチャンダイジング)について、押さえておきたいポイントをコンパクトな資料としてまとめました。引き続き、企業研究、店舗研究、商品研究の他、実際に店舗を訪問するときの参考資料としてご活用いただければ幸いです。 <掲載店舗一覧> ・ヤオコー/杉並桃井店 ・ヨークベニマル/ヨークパーク ・ヨークベニマル/ミライト⼀条店 ・サミット/サミットストア…

  • 2024年上半期 注目店スタディ

    2024年上半期も注目新店がたくさん出ました。今回はその中から厳選した6店舗を独自の視点でピックアップしました。今回もいつものとおり、企業戦略、出店背景、商品政策(マーチャンダイジング)までを拾いながら記事にまとめました。豊富な写真と共にご覧いただければ幸いです。 注目企業の最新マーチャンダイジングの他、売場づくり、店舗運営など、いまのスーパーマーケットのトレンドも知ることができる一冊となっています。企業研究、店舗研究、商品研究の他、実際に店舗を訪問するときの参考資料としてご活用いただければ幸いです。 <掲載店舗一覧> ・ライフ/ソコラ所沢店 ・ヤオコー/武蔵浦和店 ・サミットストア/ららテラ…

  • 2023年 下半期 注目店スタディ

    2023年下半期注目のスーパーマーケット7店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・オーケー/銀座店 ・ヨークベニマル/仙台上杉店 ・ベイシア/Foods Park 津田沼ビート店 ・ヤオコー/松戸上本郷店 ・カスミ/…