アマゾンがスーパーマーケットタイプのアマゾンフレッシュのリアル店舗で「ジャスト・ウオーク・アウト」を初導入

2022.04.12

2021.07.04

画像はアマゾンより

アマゾンはアマゾンフレッシュのリアル店舗で「ジャスト・ウオーク・アウト(ただ店を出るだけ)」の技術が、初めて利用可能になったと発表した。

ワシントン州ベルビューのファクトリア地区にオープンしたアマゾンフレッシュのリアル店舗でレジを通らずに精算を済ませることができる技術を導入した。

アマゾンとして野菜、果物、精肉、鮮魚、惣菜などフルラインの大型スーパーマーケット(SM)タイプの店で「ジャスト・ウオーク・アウト」の技術を導入したのは初めてとなるという。

コンピュータービジョン、センサーフュージョン(センサーの融合、ディープラーニング(深層学習)といった技術を組み合わせることで実現した。

お客が入店し、欲しいものを取り、そのままレジを通過せずに店を出る選択肢を提供することでお客の買物体験に利便性を追加するとしている。

「アマゾンダッシュカート」から「ジャスト・ウオーク・アウト」へ

アマゾンフレッシュのリアル店舗1号店は2020年8月にカリフォルニア州にオープンし、その後イリノイ州、バージニア州へと出店地域を拡大し、13店体制にまで広がっていたが、これら既存店で「アマゾンダッシュカート」と呼ばれるカートを導入していた。これはカートにサインインし、商品を入れていくことで、商品が認識され、最後にレーンを通るだけで精算が終了するというものだった。

今回のベルビューの店舗ではアマゾンダッシュカートは採用されていない。既存店では引き続きアマゾンダッシュカートを使用できるというが、今回の技術の導入によって、比較的広い店舗での「ジャスト・ウオーク・アウト」が可能になったことは大きな意味があるといえる。

一方で、「ジャスト・ウオーク・アウト」の技術だけでなく、従業員が配置された従来のレジでの買物も可能となっている。お客は入口で、「ジャスト・ウオーク・アウト」による買物か、従来のレジによる精算の買物かを選択する仕組み。

入口で「ジャスト・ウオーク・アウト」による買物を選択したお客は、①アマゾンアプリのQRコードをスキャンする、②手のひらをスキャンしてアマゾン・ワンを使用する、③アマゾンアカウントに登録したクレジットカード、またはデビットカードを挿入するという3つの方法を利用して入店することができる。

アマゾンアプリのQRコードスキャン(画像はアマゾンより)
アマゾン・ワンによる手のひらのスキャン(画像はアマゾンより)

「ジャスト・ウオーク・アウトゲート」が開き、入店後は普通に買物をしていく。アマゾンによると、棚から取ったものは自動的に「仮想カート」に追加され、逆に棚に戻せば仮想カートからなくなるようになっている。買いたい商品を取り終えたら、最後に入店時に行ったスキャンやカードの挿入を行えば買物が終了する。

画像はアマゾンより

従業員が配置されたレジの使用も可能。その場合は「ジャスト・ウオーク・アウトゲート」とは違うゲートから入店する。こちらではクレジットカードやデビットカード、アマゾン・ワン、アマゾンアプリのインストアコードの他、現金などで支払うことが可能。

通常のレジも用意(画像はアマゾンより)

レシートについては、「ジャスト・ウオーク・アウト」の買物客にはデジタルレシートが送信される。一方で従来のレジでの買物客には紙のレシートが渡されるが、デジタル上でアマゾンの顧客と認識されればデジタルレシートも送信される。

18年に登場したアマゾンゴーは、その「ジャスト・ウオーク・アウト」技術によって業界に衝撃を与えた。それ以来、アマゾンゴーグロサリーや英国のアマゾンフレッシュの店、さらにサードパーティにもこの技術を拡大してきたが、生鮮食品を含む大型SMでの導入のインパクトは大きい。「シームレスなオンラインとオフラインのショッピング体験」へのあくなき追求は続く。

ただし、今回の「ジャスト・ウオーク・アウト」技術を他のアマゾンフレッシュのリアル店舗やホールフーズ・マーケットに導入するかは未定だという。まずは今回のベルビューの店舗での検証に取り組むという。

アマゾンフレッシュのリアル店舗では、低価格にもこだわりを見せ、15セントのバナナ、89セントの焼きたてのパン、1.79ドルの焼きたてピザのスライス、4.97ドルのロティサリーチキンなど、「1ドル未満の食品」を多数そろえていることを強調している。

画像はアマゾンより
画像はアマゾンより
画像はアマゾンより
画像はアマゾンより

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