TRIAL GO(トライアルゴー)が11月7日に首都圏初出店、福岡で実験を重ねた都市型小型の「次世代ローコスト小売モデル」

2025.11.11

2025.11.10

西友を買収することで首都圏での存在感が高まったトライアルホールディングス(トライアル)が、かねてから、その具体的なシナジーとして示していたTRIAL GO(トライアルゴー)を首都圏で初出店した。

グループ会社であるトライアルGOを通じて11月7日、都内初となるトライアルゴーの西荻窪駅北店(東京・杉並)と富士見台駅前店(東京・練馬)を2店同時オープンした。

同社としてはトライアルゴーを、これまで出店していない都市部への出店を可能にするフォーマットと位置付ける。既存の大型店舗を拠点に、高頻度で商品を配送するサテライト型店舗として、限られた売場面積の中でバックヤードの在庫を抱えずに品揃えと生鮮や惣菜の鮮度高い供給機能を強みとする。

「現金・プリカのみ 近日中クレジット導入予定」とある

トライアルゴー自体はトライアルの地盤でもある福岡県に28店、他山口県に1店を展開済みで、今回の出店で全社では31店体制となった。今後、12月上旬に笹塚店(東京・渋谷)、中野中央店(東京・中野)をオープンし、2025年は首都圏4店体制で検証を図る。以降の出店は未定だという。

トライアルゴーのストアコンセプトは、『「毎日行きたい、何度でも行ける」忙しい日々が豊かになる必需店』。西荻窪駅北店はマンションの1階、ファミリーマート跡地に約50坪の規模で出店。規模はコンビニやイオングループの都市型小型店のまいばすけっとなどと同程度。

商品数は約1800で、こちらは2500~3000ほど品揃えするコンビニやまいばすけっとと比べてもかなり絞り込まれている。取扱商品は惣菜、弁当、寿司、ベーカリーの即食商品やミールキットなど簡便商品を主力に、バナナなど果物、玉ネギ、ニンジン、トマト、キュウリなどの野菜、カット野菜など青果の商品、精肉のパック商品、加工肉、鮮魚の魚卵、塩干など、わずかながら生鮮食品、さらに和洋日配、冷凍食品、加工食品、飲料、酒、日用品まで生活必需品を一通り品揃えしている。加工食品ではトライアルのプライベートブランド(PB)商品、さらに西友のPB商品である「みなさまのお墨付き」も一部取り扱っている。

フォーマット的には、コンビニ、あるいはまいばすけっとと立地、品揃え共に競合するもので、基本的には人口密集地の簡便需要に応える。営業時間は24時間。

首都圏初出店となった2店のうちの1店、西荻窪駅北店。店舗外観は一部サイネージとしている。トライアルゴーとしては富士見台駅前店と共に初めて導入した

今回は2店とも約50坪の売場面積ではあるが、これが標準規模というわけではない。そもそも都市部は建物自体がさまざまな規模で存在するため、規模にこだわった形での出店ではなく、あくまでさまざまな検証をしていくという。

ストアコンセプトにある「何度でも行ける」というところは大きなポイントで、頻度高く配送できることを強みとして、例えば朝食には卵サンドと野菜ジュース、昼食にはカツ重とシュークリーム、そして夕食にはミールキットや味付け肉などを買ってもらうといった購買行動を想定。購買動機に応じて「1日に何度でも来店してもらう」という「食のシェア」を重視した店づくりを意図している。

トライアルゴーの強みについては下記「TRIAL GOの概要」のとおりだが、既存勢力との大きな差別化のポイントは、「ローコストオペレーションに基づく都市部での価格競争力」と「職人が監修した惣菜の鮮度高い提供」の2つになりそうだ。

ローコストオペレーション面では、基本的には1日30人時で24時間営業ができる運営を実現。同社が強みとするテクノロジーを活用した省人、効率運営が大きな武器となっている。まず、小売業で多くの人時がかかるレジについてはセルフレジに特化。顔認証決済や、酒の販売時などのリモート年齢確認を導入することで、決済の完全無人化に近い体制を実現した。

レジは全てセルフレジ。決済は現金、もしくは自社のプリペイドカード、自社アプリのSU-PAYによるバーコード決済のみ。ただし、近日中にクレジットカード対応予定としている。プリペイドカード、もしくはアプリについては顔と銀行情報をひも付けて登録することで顔認証での決済もできる。つまり、顔認証を利用すれば、手ぶらで買物ができることになる

また、棚モニタリングシステム「Retail EYE」によって遠隔で店舗が管理できる仕組みを構築している他、店内の複数サイネージでお客の購買時間に合わせた商品訴求を実施するなど、販売促進に直結するリテールメディアも活用。発注も自動化、および遠隔管理によるものとなるため、結果的に従業員はほぼその作業を品出しと売場管理のみに充てることができるようになっている。同社は「都市型小売の新しい形を提案」すると意気込む。

そもそも商品構成上、酒は取り扱うものの、たばこは取り扱わない他、公共料金などの収納代行も行わず、店内調理を含むカウンターフーズも取り扱わない(ただし、温かい焼き芋は取り扱っている)ことから、その意味では商品回りのオペレーションは品出しに限定される。酒の販売においては年齢確認が必要になるが、これも顔認証の場合は顔認証、それ以外は遠隔管理で行うことで店舗従業員の負荷にならないようにしている。

惣菜については、かねてから日本では「おいしさ」が非常に重要という観点で取り組んできた。トライアルでは惣菜子会社を抱え、職人が監修したメニューをデータに戻づく科学的な知見を生かしながら、時には専用の調理器具を開発の上、量産、量販する態勢を築いてきた。惣菜子会社は直近の11月4日に従来の明治屋から商品のブランドとして使用していた「こはく本舗」に社名変更。西友との経営統合を通じてさらなる食への取り組みを強化する方針を掲げている。

トライアルゴーでも、職人監修による「出来たてのおいしい食」の提供を重視。近隣店舗で調理した惣菜や、包材メーカー提供の「レンチンしても熱くならない容器」の使用など、調理から提供までの時間を短縮し、簡便性を高めた商品を展開。弁当や寿司、ミールキットのような時短調理商品などの簡便商品が売場の半分弱を占めるメイン商材だが、精肉など一部、生鮮食品の他、冷凍食品、日配、グロサリーも取りそろえることで、「日常の“食”を幅広く支えます」としている。

西荻窪駅北店の場合、常温販売の惣菜は西友豊玉南店(東京・練馬)併設のトライアルカンパニー豊玉CK(セントラルキッチン)、同大宮CK(さいたま市北区)、サンドイッチを含む冷惣菜は大宮CK、巻き寿司といなり寿司、一部握り寿司の助六寿司も大宮CK、海鮮丼、握り寿司、海鮮巻きなどは西友吉祥寺店(東京都武蔵野市)の水産CK、ベーカリー商品は西友阿佐ヶ谷店(東京・杉並)、電子レンジ調理のミールキットや精肉がトライアルカンパニー筑西PC(プロセスセンター、茨城県筑西市)からの供給となっている。

西友と、既存のトライアルの拠点を商品ごとに使い分けているが、これは距離に加え、各拠点の現状の供給量なども踏まえたもの。そもそも西友の店舗自体、もともとサテライト供給を想定してバックヤードを設置しているわけではないため、そう単純に供給量を増やせるものでもない。その意味では、ある程度中長期を見据えた調整が必要となる。そのため、西荻窪駅北店の場合は200m強の至近に西友西荻窪店(東京・杉並)があるが、現状は同店からは商品を供給していない。

納品は1日複数回となっているが、やはり回転も速く、温かさなど鮮度の重要性が高い常温販売の惣菜などは配送頻度も高くなるだろう。逆に言えば、それだけ鮮度も高くなる。

惣菜、中でも米飯は主力中の主力商品。入口正面の平台では米飯の商品を大量陳列して売り込む
年間1300万食売り上げるという名物商品「ロースかつ重」は本体価格318円。この価格競争力が強みだ
ラップで包んだ大ぶりのおにぎり
平台の大部分を使って多様な弁当を売り込む。一部商品は時間経過と共に自動で値引かれる仕組みを導入。サイネージではその案内をしている他、バーコードをかざすと値引きされた売価が分かるようになっている。こうした点も店舗の作業を減らす要素として大きい
弁当では西友が開発した管理栄養士監修の「ヘルシーボックス」といった商品も差し込まれている
米飯の平台の後ろ側ではおかず系の商品、ベーカリーの商品を販売
ロースかつ重と共に名物商品といえる「白いたっぷりたまごサンド」。卵を3個分使用したボリューム感のある商品。本体価格185円、月間で40万食販売する人気商品
和惣菜など冷惣菜もそろえる
握り寿司や海鮮丼は西友吉祥寺店から供給。こちらでも名物商品として「まかない海鮮漬け丼・並盛」(本体価格528円、最下段左側の商品)を売り込む
小量目の商品も差し込むなど需要を探る意図が感じられる
電子レンジ加熱してもトレーが熱くならないシリーズを含むミールキットも簡便商品として展開
即食のサラダの他、簡便商品としてのカット野菜も販売
味付けを含む精肉の素材系の商品も取り扱う
精肉の並びで加工肉も展開。写真の「粗挽きポークフランク」シリーズはトライアルのオリジナル商品で、現在では西友でも販売。非常に良く売れているという
果物もバナナなど一部展開。また、加工食品も一通り取りそろえている
「甘やかしマーケット」のコーナー名でオリジナル商品を含むスイーツも展開。首都圏出店に当たっては新商品も準備した
冷凍食品は奥のスペースで展開。惣菜のブランドである「こはく本舗」を冠した冷凍のオリジナル商品のパスタは本体価格199円
西友PBの「みなさまのお墨付き」も展開。人気のレトルトシリーズも面で展開
約50坪の狭い店内ではあるが、サイネージを多数設置。「購買に最も近い場所」にあるというアドバンテージを生かしたリテールメディアとして今後、活用法を模索していく

前述のように、トライアルゴー自体は2022年4月から福岡で実証を重ねてきた「食」と「都市型ローコストオペレーション」を両立させる新たな小売モデルではあるが、今回、首都圏出店に当たっては調整も行っている。例えば、ロースかつ重では、九州と首都圏ではなじみのしょうゆの味が異なることからたれの調整なども行った。また、ストアコンセプトの「何度でも行ける」という要素に対応するために配送頻度について福岡より高めている。

「もう1回東京でゼロイチ(0から1)をやり直す。福岡ではゼロイチ(0から1)が終わってイチジュウ(1から10)のフェーズになるところだが、東京は福岡である程度支持を受けるのではないかとなったものについて検証してみる。お客さまの反応によって商売も変わるので、この形のまま進化するかどうかは分からない。結局、支持されるものを造っていかないといけない」(野田大輔・トライアルホールディングス広報部部長)

今後も仮説を基にさまざまな調整が行われていくものとみられるが、いずれにしても、西友との経営統合を経て、西友の店舗をサテライト店舗として活用することで首都圏での展開、検証をすることができるようになった。

運営会社トライアルGOの廣石 財社長は、今回のオープンに際して次のようにコメントしている。「今回の都内初の出店では、都市型小売の新しい可能性を、福岡での実証を経て東京で形にしていきたいと考えております。トライアル・西友の経営統合によるシナジーを最大限に活かすことができる大きな取り組みとなります。TRIAL GOを通じて、皆様の日々の食を支えながら、次世代の小売のあり方を検証して参ります」

今回のトライアルゴーはPCからの商品供給だけでなく、近隣にある製造設備のある店舗を活用することで、鮮度の高い惣菜を販売できることが大きな特徴で、その点がコンビニやまいばすけっととの大きな違いでもある。大きな差別化要素となるが、一方で首都圏では同様の商品供給体制を築いた存在として、マルエツが展開するマルエツ プチが、都市部でのドミナント構築を進めている。

2000年という早い段階から25年に渡って都市型小型店の可能性を模索してきた同社は、部分的な店内加工など多くの試行錯誤を経て、PCだけでなく、近隣の複数の店舗から分野ごとに惣菜の商品を供給する体制を構築してきた。

その意味では、店舗規模ではコンビニ、まいばすけっととの競合となるが、やや大型で、よりスーパーマーケットの要素が強いものの、マルエツ プチとの競合にも注目したいところだ。

TRIAL GO西荻窪駅北店概要

所在地/東京都杉並区西荻北3-21-8

営業時間/24時間

店舗面積/約50坪

お役立ち資料データ

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