SKUとは?意味や数え方、在庫管理におけるメリット、JANコード等との違いを解説
2022.10.27
2022.01.28
「SKU」とは在庫管理の最小管理単位であり、アイテムよりも小さな単位のこと。倉庫ではアイテム毎ではなくSKUごとに管理できると、今の残在庫が明確に把握でき、適切な在庫管理が可能になる。
この記事ではSKUの意味や数え方、JANコードやPLUコードとの違い、在庫管理にけるメリットなどを解説していく。
在庫管理の管理単位である「SKU」とは?
「SKU」は、「Stock Keeping Unit(ストック・キーピング・ユニット)」の略語である。在庫管理や受発注時に、商品を管理する際の最小管理単位のことをいう。物流では基本的にアイテム単位ではなくSKU単位で在庫管理を行うため、物流設計を考えるときにはSKU数を把握していなければならない。
「アイテム」は商品の種類で「SKU」はより小さい単位
「アイテム」は商品の種類を指し、「SKU」は同一商品でもサイズやパッケージ違いを分類するために付けられる。
例えばあるTシャツに3種類のカラーと、S、M、L、LLの4種類のサイズの展開がある場合は場合は「12SKU」となる。
また、一つのシャンプーを30㎖、230㎖、500㎖の容量違いで展開した場合は「1アイテム3SKU」である。そして同ブランドのシャンプーとコンディショナーのセット売りには、1セットに1つのSKUが付く。
小売業の業態別のSKU数の平均値
目安として、主な小売業の業種別の取り扱いSKUの平均値は以下とされている。
・百貨店 約100万SKU
・総合スーパー(GMS) 約10万SKU
・スーパーマーケット(SM) 約1万SKU
・コンビニ 約3000SKU
店舗数、路面店やロードサイトなどの店舗の形態、出店してからの年月なども影響するが、おおむね1店舗当たりのSKU数は数万〜数十万。1アイテムにつき平均16SKUあるとすれば、総アイテム数は数百〜数千ほどが目安である。
倉庫でSKUごとに在庫管理が必要な理由
倉庫ではアイテムごとではなく、SKUごとの在庫管理が一般的だ。サイズとカラー、ロット、消費期限などの商品の最小単位ごとにSKUを付けて管理すれば、販売によって変化した現在庫がわかりやすくなる。
取扱商品の数が増えたために在庫管理の手間が増えている、倉庫でカラーやサイズ違いの誤出荷が起きてしまっている場合は、アイテムごとではなくSKUごとの管理が適切だろう。
SKUごとの管理をすれば古いものから確実に出荷できるため、ロットや期限での管理が容易になる。
「JANコード」や「PLUコード」とはどう違う?
SKUに似たものに「JANコード」や「PLUコード」があり、在庫管理に使われることが多い。これらとSKUとの違いも、この機会にきちんと知っておこう。
「JANコード」は世界共通の管理コード
「JANコード」とは「Japanese Article Numberコード」の略で、世界共通の管理コードとして利用されている。一般社団法人流通システム開発センターが一括して管理と普及を行っている点は、自社で設定、管理するSKUと異なる。
国際的に「EANコード」と呼ばれているのはJANコードのことである。JANコードに含まれるのは登録された国とメーカーの情報などで、価格情報は含まれていない。
「PLUコード」は価格のみと紐付け
「PLUコード」は「Price Look Upコード」の略である。一般的に商品に付けられているバーコードはこのPLUコードであることがほとんどで、店舗が商品の価格を管理するために利用する。
POSレジでバーコードのPLUコードを読み取り、店舗のデータベースにアクセスすると、ひも付けられた価格情報を参照できる仕組みだ。
SKUとPLUコードはどちらも商品管理のために自社で設定可能だが、SKUは在庫管理用のカラーやサイズなどの情報を持つのに対し、PLUコードは価格情報と紐づいtei
る点が異なる。
SKUの数え方とは?どのように設定される?
店舗での商品の売り方、管理方法に応じてSKUを設定すると、在庫管理が効率的になる。以下ではアパレルと菓子のSKUの設定例を紹介する。
(1)アパレルに設定するSKU
例えばトレーナーにSKUを付けて管理することにする。同じ型のトレーナーをひとまとめに管理するよりも、カラーやサイズごとに分けた方が在庫管理が容易だ。
このトレーナーが青とグレー、黒、白の4色、SとM、L、LLの4サイズ展開とすると、SKUは4×4=16個必要になる。1つのアイテムを16に細分化するので、アイテムのどのカラー、どのサイズが売れているのかがすぐに確認可能になる。欠品しているカラー、サイズをすぐに把握して補充すれば、販売機会のロスを減らせる。
(2)お菓子に設定するSKU
お菓子にSKUを設定する際は、どのように売るかでSKUを決めるのが重要だ。菓子を1つずつばら売りする店舗であれば、最小単位の1個が1SKUになる。
しかし、菓子を常に5個セットで売る店舗にとっては、5個セットを1SKUとした方が在庫管理が容易だ。在庫管理をしやすくするためには、SKUは売り方に合わせて店舗が任意に決めるのが望ましいだろう。
SKUを使うメリット
店舗でSKUを使うと在庫管理がしやすくなり、発注作業も簡単になる。店舗での陳列が効率化され、多くの商品を扱う店舗では必須ともいえるだろう。
在庫管理がしやすくなる
SKUはJANコードと共に、メーカーから物流業者、卸売業者、小売業者に至る流通チャネルすべての共通言語である。SKUを使えば、それぞれの流通段階での在庫状況をカラーやサイズ別といった細かい単位でリアルタイムに把握できる。
ある程度の品数を扱う店舗であれば、アイテム単位ではなくSKUで管理した方が在庫管理の効率が上がる。カラーやサイズ別の在庫状況を把握していないと追加時に欲しいものは足りず、余分なものを発注しすぎてしまうことも起こり得る。
SKUで管理すれば、このような状況を解消できるだろう。そして在庫が少なくなった商品をシステムで自動検知し、発注を先んじて行うことも可能になる。
商品をリニューアルする際は少しの改良で済むのなら、新旧商品をともに同一SKUとすると商品切り替え時の在庫ロスを防げる。
在庫管理システムは、SKU管理に対応したシステムとPOSレジを選ぶことをお勧めする。商品を10種類程度しか扱わないといった極端な場合以外は、SKUを導入した方が在庫管理はしやすくなるだろう。
発注が簡単になる
商品をSKUで管理していれば、発注作業を機械的にこなせるように。例えば「半袖Tシャツ、イエロー、Mサイズ」を6枚発注するとしよう。
SKUを設定していない現場では「半袖Tシャツ、イエロー、Mサイズ、6枚」と書くときに誤記してしまったり、コンピューターで文字列一致処理をしようとしても、全角と半角の入力を間違えて不一致になってしまったりといった可能性が出てくる。
さらに「長袖Tシャツ、ホワイト、Sサイズ、3枚」などの同じような商品の発注品目が増えれば、ミスはさらに起きやすくなるかもしれない。
そうした場合でも「半袖Tシャツ、イエロー、Mサイズ」には「HTYM」、「長袖Tシャツ、ホワイト、LLサイズ」には「LTWLL」などとSKUを付けてデータ管理をすれば、発注作業のシステム化が実現する。
多くの商品を取り扱いやすくなる
SKUを設定せずとも店舗の品揃えは増やせるが、機械的な管理が難しいため商品管理は煩雑になる。豊富な品揃えを実現するためには、SKU管理は必須ともいえる。
ECはリアル店舗とは違い、利用者は購入後すぐに商品を手に入れられない。そのため、注文から配送までは極力短時間で済ませられることが求められる。SKUを設定しておくことで膨大な数の商品を手早く仕分けして梱包、出荷でき、質の高いサービスを提供できるようになるだろう。
店舗での陳列がしやすくなる
店舗の全商品にSKUを設定するには、取扱商品の全体像を把握していなければならない。例えば自店ではTシャツとスカートとジャケットの3種類があり、Tシャツは6カラー3サイズ展開、スカートとジャケットは2カラー4サイズ展開とする。
その場合は6×3+2×4×2=34SKUになることが、SKUを設定した時点で整理可能だ。
SKUで取扱商品の全体像がつかめていれば、商品入荷時の売場レイアウトが簡単になる。スカートとジャケットのハンガー陳列にどのくらいのスペースが必要か、Tシャツの6カラーを棚に置く順番、サイズは小さな順にしてカラーごとに重ねるなどを入荷前から計画できるだろう。
SKUなしでも商品陳列はできるが、店舗の規模が大きいほど陳列を単純化する方が効果的になる。SKUを使った商品管理は、大規模な店舗ほど効果を実感しやすい。
SKUのデメリット
SKUのデメリットはコストがかかることと、管理のノウハウを得るまでの難しさにある。SKUを運用するための在庫管理ソフトとバーコードリーダーなどをそろえるにはコストがかかるため、小規模店舗では負担になるだろう。
そのため個人経営の専門店では人力で管理できる範囲のアイテム数にとどめ、SKU管理にこだわらないのも一つの方法である。
また、SKUを設定した上での膨大なアイテム数の商品仕分けと陳列、販促施策のすべてをうまく回していくには、運用の経験値が必要だ。だが自社にSKU管理のノウハウが育ってくれば、全体の業務はSKU導入前よりも効率的になると考えられる。
自社に合ったSKUを設定して在庫管理の効率化を
自社に適したSKUを設定すれば、効率的な在庫管理が実現する。SKUに対応した在庫管理システムと連携可能なPOSレジなど導入し、運用するとよいだろう。
商品数が増えて在庫管理に苦労している、誤出荷や商品の期限管理の不徹底などはSKU管理で解決できる。商品をアイテムではなく、より細かいSKUで管理することにより売れ筋商品と現在庫の把握が容易になり、仕入れと売場での商品展開を最適化させられるだろう。