ベルク有明店が5月13日オープン、3層の近隣型商業施設の1階に出店した東京都10店目、標準化志向しつつMDを進化させる

2026.05.21

ベルクが東京都内10店目となる有明店をオープンした。東京都臨海副都心の有明北地区に開業した3層のエンクローズド型商業施設「minamoni」の1階部分に出店した。テナントはベルクの他、サンドラッグやセリア、医療モールなど近隣ターゲットのネイバーフッドショッピングセンターの顔ぶれといえる。

新交通ゆりかもめの有明テニスの森駅、有明駅、りんかい線の国際展示場駅の3つの駅から直線距離で600~700mに位置し、まさに湾岸エリアの一角に立地する。周囲には有明コロシアムを擁する広大な有明テニスの森公園が広がる他、埋め立て地という立地の性質上、商圏の広がりにも限界があるが、一方で高層マンションが林立していることもあって、ベルクとしても特にそうしたマンションに住む子育て世代をメインターゲットとしているようだ。

エンクローズド型の近隣型商業施設の1階に出店

minamoniのほぼ隣の敷地にある高層マンションの「ブリリア有明スカイタワー」の1階にはヤオコーが設立したブルーゾーンホールディングス傘下の文化堂の有明店があり、両店はおよそ100mの距離で競合している。お互いにとって最大の競合店となるだろう。

ベルクは全社では150店を超え、前期2026年2月期には売上高4000億円を突破するなど、80店超を出店する地盤の埼玉県から関東周辺に徐々に店舗網を拡大している。前期の新規出店は7店、今期も8店の出店を予定するなど出店環境が厳しい中にあっても着実に出店を重ねている。有明店は今期の新店2号店だが、今期末までに東京都は12店体制を予定するなど、ベルクとしても都心へのアプローチを徐々に強めているようにみえる。

業績は好調で、26年2月期も増収増益(連結)で着地。増収は35期連続、増益は7期連続となった。また、同社は店舗について売場面積600坪の標準化されたフォーマットを志向していて、それが強みにつながっている。

一方で、生産性向上に向けては積極的な投資を続ける方針を貫いていて、昨今では機械化やロボット導入の検証を続けながら、店舗では「人」にしかできない作業に注力するようにしたり、23年に開発した、より価格を強化した「クルベ」フォーマットでの成功事例を「ベルク」へ水平展開することで店舗作業オペレーションを抜本的に見直すといったことにも踏み込む。そのため、クルベ登場以降のベルクの売場づくりはクルベの雰囲気にかなり近づいているのが実感できる。

今回、有明店ではその方向性を踏襲しながら、一部将来を見越した実験的な取り組みも実施されている。例えば有明店では、オープンからしばらくの期間を経た後、サービスカウンターのレジ以外を全てセルフレジにする予定だという。ベルクとしては導入効果の高い店を見極めながらセルフレジの導入を進めているが、全てセルフレジでの運用は初めての試み。人手不足が深刻化する中、新たなオペレーションの構築に踏み切ったようだ。

レジはセルフレジを増やしてきたが、今回、全てセルフレジでの運用とする予定
ベルクではサッカー台にカートごと入る構造とし、袋詰めのしやすさに配慮している

一方で、クルベなど一部店舗で水平展開されている惣菜売場でのバックヤードと売場を結ぶローラーコンベアは、今回は建物の構造などの事情もあって設置は見送られている。

ただし、いずれにしても有明店も同社の他の新店同様、マーチャンダイジング(MD)面を含め、積極的に新規取り組みを導入するなど「売場を進化させる意欲」を強く感じる店となっている。特にMD面では、メインターゲットである子育て世代を意識しているとみられる分野の強化が目立つ。

ベルク(Belc)とウェルカム(Welcome、ようこそ)をかけ合わせた「Belcome」のメッセージでお客を迎える
建物内のエスカレーターのゾーンを抜けた内側から売場が始まり、かつ主通路が横に向かうため、入口は斜め方向に店内に入っていくような形となっている。コンクリート打ちっ放しで、クルベなどと同様、天井を貼っていないパターンで、最近はベルクの新店でも採用されるようになった
売場に掲示しているコピーには遊び心があふれていて楽しい。地域に溶け込む意志が感じられる
売場レイアウト図
花きは強化したカテゴリー。通常は切り花中心だが、鉢物など含め品揃えを強化した
青果のスイーツの品揃えの充実が図られている。カットフルーツだけでなく、パンケーキやケーキ、和の大福なども含め、フルーツ関連で集積している
ハーブ売場も強化されている
店内加工を含む品揃えの強化を図る半面、陳列するだけの商品についてはケースごとの陳列を多用している
精肉売場の先頭で平ケースで生食のローストビーフコーナーを展開。同様に生ハムも隣接して平ケースで展開するなど、打ち出しを強化
ローストビーフ関連で、「寿司ブーケ」といった手の込んだ商品も展開
ローストビーフ、生ハムの並びで、プライベートブランド(PB)商品のサラダチキンを平ケースで売り込む
多くの企業で売上げが伸びている味付け商品もしっかり展開。親鶏を活用した「鶏なのにまるでホルモン?!親鶏焼肉」といった新しい切り口の商品もある
豚肉の主力商材などはメガサイズのパックを多数展開し、買い得感を訴求
焼肉商材は畜種を超えて品揃えを充実させている
牛肉では松阪牛を展開するなど、和牛もしっかり品揃えし、さらに価格も打ち出す
豊洲市場が至近にあるため、それを生かした形で鮮魚を強化した。人を配置して、対面販売のような形で丸物を販売。対面鮮魚売場は、ベルク最大級となる21尺の売場とした。対面販売を導入することで、固定客が付くなどの効果が挙がり売上高構成比も高まる
貝は水中に入れた形で販売するなど、鮮度や演出面の強化が図られている
豊洲市場の仲卸として著名な「やま幸」のマグロをベルクとして初めて導入。刺身の他、寿司でも展開
サーモンは平ケースでの定番売場化が図られている
鮮魚売場は壁面も平ケース主体のため、通路上に設置されたものを含め、ほとんど平ケースでの展開。その分、各コーナーの区分けがしっかりと打ち出せる
味付け切り身などはばら売り
ベルクでは鮮魚の寿司も展開している。鮮魚の寿司は赤酢を使用するなど、惣菜の寿司と差別化している
ベルクでは精肉、鮮魚で温惣菜、米飯を含む生鮮惣菜を展開する。焼き鳥の串を外した商品など新鮮な切り口の商品も目立つ
精肉、鮮魚の温惣菜、米飯は両売場の中間にある平台でまとめて展開
魚惣菜では非常に大きなエビフライなど、インパクトの大きい商品も並ぶ
期間限定ではあるが、「あら汁」を作り、売場で振る舞う他、パックでの販売もしていた
惣菜売場でコーナー化されたパエリアは初めて定番売場として設置。生米から炊くため、芯が残るアルデンテの状態に仕上げることが可能になっているとする
惣菜で単品の展開として目立つ「手羽先甘辛揚げ」のばら売り
焼き鳥や揚げ物はばら売り。5月7日から8月4日までの期間限定で、料理研究家のリュウジ氏が監修した「リュウジの本気(マジ)とんかつ」など惣菜6アイテムを展開。話題を作り出すことで、お客の興味をかき立てる。新規顧客獲得にもつながるだろう
ピザは核商品となっている。本体価格499円の主力の価格ラインに加え、同777円の「ベルフィーチェ・シーフード(海老カニ)」、同999円の「広島県産牡蠣」といった高付加価値のラインも投入
フジテレビのドラマ「LOVED ONE(ラブドワン)」とコラボレーションしている丼などをシール付きで展開。こちらも話題を作り出す商品展開といえる
店内製造の温惣菜は、一部ばら売りなどを除いて通路上の平台で展開する一方で、アウトパックの冷惣菜は壁面で展開。壁にサイネージを設置し、自社の情報発信などを行っている。サイネージは広告によるリテールメディアとしての活用も進む
スイーツは惣菜でも強化。プリンやシュークリームなどラインアップも充実
店内で焼き上げたフレンチトーストは量販される
ベルクオリジナル商品の「鶴ヶ島まんじゅう」をおはぎと共に売り込む。和のスイーツも注目カテゴリーといえる
冷凍食品売場は、加工食品売場のゴンドラ内に設置されているが、一部PB商品については惣菜売場にケースを設置して販売。即食商品というつながりの他、1つの世界観を構築できる効果が見込める。ナショナルブランド商品と単純な価格比較がされづらくもなる
加工食品売場ではリーチインケースと平ケースで冷凍食品売場を形成。素材系から即食系まで幅広く展開
スーパーマーケットでは青果売場と関連付けて販売されることが多い和日配を、惣菜売場と隣接した場所で展開。即食商品に近い商品が多いということもあるだろう
インストアベーカリーは設置していないが、一部スチームコンベクションで焼く商品とアウト供給の商品のベーカリー売場を、ホールセールパンとは違う売場として惣菜売場内に設ける

加工食品では品揃えを強化したカテゴリーで「BELC Buyer’s Selection(ベルク・バイヤーズ・セレクション)」のコーナー名を掲示し、品揃えの深さを訴求している。

オリーブオイルは品揃えが強化されている
農産乾物も品揃えを強化されている。他、インスタントコーヒーや焼肉のたれ、クラッカーなどで「ベルク・バイヤーズ・セレクション」コーナーが設けられている
酒はワインを強化した他、洋酒も充実させている
PB商品は陳列量も多く、売場でも目立つが、さらに大型のスポッターを用いて商品を詳しく紹介しているため、売場での存在感は非常に大きい
こちらも大型のスポッターで訴求する「黄金PRICE」は、スポッター自体には価格を明記せず「???」としている。実際に売場まで行って価格が分かるという流れ
クルベで導入され、ベルクでも水平展開されているポップコーンの単品大量陳列。かご車での単品大量陳列はディスカウントのイメージを強く印象付ける商品だが、有明店は他店と比べて限定的な展開にとどまる。店の位置付けによって打ち出しに強弱を付けているようだ

沿岸部のマンションが立ち並ぶエリアへの出店ということで、特に夕方から夜にかけて売上げが伸びる傾向にあるとみられる他、駐車場もある商業施設への出店ではあるが、エリア的には自転車での来店が多くなると想定される。

ベルク有明店概要

所在地/東京都江東区有明1-4-34

営業時間/9時~24時

駐車場/200台(入庫1時間無料、以降30分ごとに400円、最大料金は当日24時まで1800円、土日休日は2300円)

売場面積/約600坪

お役立ち資料データ

  • noimage

    2025年 下半期 注目店スタディ

    2025年下半期も多数の注目店がオープンしました。25年下半期は特に首都圏に本格進出を果たしたバロー、トライアルの動きが大きな注目を浴びました。11月にバローとして首都圏に初出店を果たしたバローホールディングスは、その非常に力の入った店づくりが業界内外で大きな話題となりました。一方、7月の西友子会社化を経て、両者のマーチャンダイジングを融合した2つの新フォーマットを開発したトライアルは、その店づくりによる話題提供にとどまらず、このわずかな期間にも着実にそれぞれの店数を増やすなど、そのスピード感ある展開も注目です。もちろん、その他の店も注目店満載です。今回も上記2社の店を含む6店について、出店背…

  • 2025年上半期 注目店スタディ

    これまで約30年間続いたデフレ傾向から一変し、インフレ傾向が続く2025年。値上げや人手不足の対策に追われたこの上半期ですが、引き続き注目新店は登場し続けています。今回もその中から厳選した6店舗を独自の視点でピックアップ。今回は出店背景、店舗運営、商品政策(マーチャンダイジング)について、押さえておきたいポイントをコンパクトな資料としてまとめました。引き続き、企業研究、店舗研究、商品研究の他、実際に店舗を訪問するときの参考資料としてご活用いただければ幸いです。 <掲載店舗一覧> ・ヤオコー/杉並桃井店 ・ヨークベニマル/ヨークパーク ・ヨークベニマル/ミライト⼀条店 ・サミット/サミットストア…

  • 2024年上半期 注目店スタディ

    2024年上半期も注目新店がたくさん出ました。今回はその中から厳選した6店舗を独自の視点でピックアップしました。今回もいつものとおり、企業戦略、出店背景、商品政策(マーチャンダイジング)までを拾いながら記事にまとめました。豊富な写真と共にご覧いただければ幸いです。 注目企業の最新マーチャンダイジングの他、売場づくり、店舗運営など、いまのスーパーマーケットのトレンドも知ることができる一冊となっています。企業研究、店舗研究、商品研究の他、実際に店舗を訪問するときの参考資料としてご活用いただければ幸いです。 <掲載店舗一覧> ・ライフ/ソコラ所沢店 ・ヤオコー/武蔵浦和店 ・サミットストア/ららテラ…