市場占有率とは?考え方や計算方法、目安、相対的・絶対的占有率との違いと併せて紹介

2024.08.26

市場占有率とは?

市場占有率(シェア)とは、特定の市場において、ある企業や製品が占める売上高や販売量の割合を示す指標だ。企業の競争力や市場での地位を把握するための重要なデータとして利用される。市場占有率は通常、全体の市場規模に対して自社の売上高や販売量を算出し、百分率で表される。

例えば、あるスマートフォンメーカーが年間で100万台のスマートフォンを販売。その市場全体での販売台数が500万台だった場合、このメーカーの市場占有率は20%(100万台/500万台×100)となる。

この指標を通じて企業は、自社が市場でどの程度受け入れられているかや、競合企業に対する自社のポジションを理解することができる。市場占有率を高めることは、収益を増大させるだけでなく、ブランドの認知度や信頼性を高める効果もあり、長期的な成長戦略の一環として重要視される。

絶対的市場占有率と相対的市場占有率

市場占有率は絶対的市場占有率と、相対的市場占有率の2つに分けられる。

■絶対的市場占有率

絶対的市場占有率(Absolute Market Share)とは、特定企業が市場全体に対して占めている割合を示す指標だ。これは、市場全体の規模に対して、その企業の売上高や出荷量などがどれだけ占めているかを表す。具体的には、ある企業の売上高(または出荷量など)を市場全体の売上高(または出荷量など)で割り、その結果を百分率で表す。

例えば、ある企業Aが1年間に100億円の売上高を挙げていて、その市場全体の売上高が1000億円である場合、企業Aの絶対的市場占有率は10%となる。

計算式は次の通り:絶対的市場占有率=(企業の売上高/市場全体の売上高 ×100

この指標は、企業の競争力や市場での位置づけを評価するために重要となる。企業が市場全体でどれだけのシェアを持っているかを把握することで、マーケティング戦略や経営戦略を立てやすくなる。

相対的市場占有率

相対的市場占有率(Relative Market Share)とは、ある企業の市場占有率を、その市場での最大手企業、または主要な競合他社の市場占有率と比較した指標だ。この指標を使うことで、企業の市場ポジションや競争力を他社と比較して評価することができる。

具体的には、相対的市場占有率はある企業の市場占有率を、最大手企業または主要競合他社の市場占有率で割ったものだ。

計算式は次の通り:相対的市場占有率 = 自社の市場占有率/最大手企業(または主要競合他社)の市場占有

例えば、ある企業Aが市場全体に対して20%の市場占有率を持っており、最大手企業Bが40%の市場占有率を持っている場合、企業Aの相対的市場占有率は次のようになる:企業Aの相対的市場占有率=20%/40%=0.5

この数値が1より小さい場合、企業は最大手企業に対して弱いポジションにあることを示し、逆に1より大きい場合は、企業が最大手企業よりも強いポジションにあることを示す。

相対的市場占有率は、特に市場戦略の立案や競争環境を理解する上で有用だ。市場全体に対する自社の位置づけを確認し、競合他社との相対的な競争力を評価するために使われる。

市場占有率の目安(クープマンの目標値)

市場占有率の目安は業種や業界によってさまざまであるが、アメリカの数学者B.O.クープマンがランチェスター戦略を研究し算出した、市場シェア理論「クープマンの目標値」は参考になるだろう。

クープマンの目標値は「独占的市場シェア」「安定的トップシェア」「市場影響シェア」「並列的競争シェア」「市場認知シェア」「市場存在シェア」の6つに区分され、それぞれで目安がある。

■独占的市場シェア:73.9%
競争がほとんど存在せず、実質的に市場を独占している状態。確固たる市場リーダーとしての地位。。この状態では価格設定や供給など、ほぼ全ての市場の決定要素をコントロールできる可能性が高まる。

安定的トップシェア41.7%
競争環境にある市場、業界内で優位的な地位を確保できている状態。下位企業はシェアアップが困難となり、事業運営の安定性が高い状態となる。

■市場影響シェア:26.1%
新商品やサービスを導入したときなどに、競合企業が対抗手段を取らざるを得なくなる、企業の動向が市場全体に影響を与え得るシェア率。業界によってはシェアトップの企業となり得る水準。

■並列的競争シェア:19.3%
寡占、独占ではなく、市場内で複数企業が拮抗する状態によく見られるシェア。市場リーダーと言えるような安定的なトップの地位をどの企業も築けていない場合多いとされる。

■市場認知シェア:10.9%
消費者によって純粋想起されるなど、市場において存在が認知される水準のシェア率。市場において競合他社からも存在を認められるようになる。

■市場存在シェア:6.8%
消費者が「助成想起」が可能となるシェア率。市場でようやく存在が許される目安となる。助成想起とは、純粋想起ではなかなかブランド名が上がらない場合に、選択肢や商品の画像などヒントを与えてようやくブランド名が上がる状態を示す。

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