不良在庫とは?意味や発生する原因、処分方法や、防ぐ方法などを紹介

2024.07.24

不良在庫とは、企業が保有する商品や材料、部品などの在庫のうち、長期間売れ残っているため、企業にとって資産価値が下がったり、保管コストが増加したりする在庫を指す。不良在庫は、企業の財務パフォーマンスや効率性に悪影響を与える可能性があるため、適切に管理することが重要となる。

不良在庫が発生する原因

需要予測の誤り

不良在庫が発生する原因として、まず需要予測の誤りが挙げられる。これは市場の動向やお客のニーズを正確に見積もることができず、過剰な在庫を抱えることになる場合だ。

製品ライフサイクルの変化

次に、製品のライフサイクルの変化も大きな要因となり得る。新製品が投入されたり、技術が進化することで、旧製品の需要が減少したりすると、旧製品が不良在庫となってしまうことがある。

市場の変動

また、市場の変動も影響する。具体的には経済状況の悪化や消費者のし好の変化によって、特定の商品が売れなくなってしまう場合がある。それに加えて、品質の問題も考えられる。商品自体の品質が期待に達さず、お客に受け入れられない場合は、その在庫が不良在庫となり得る。

販売戦略の失敗

最後に、販売戦略の失敗も見逃せない原因となる。例えば、販売キャンペーンやプロモーションが効果を発揮せず、商品が売れ残ってしまう場合も、不良在庫の原因となり得る。

不良在庫の処分の方法

値引き、セール

不良在庫の処分方法として最も一般的なものとしては、まずは「値引きセール」や「特別なプロモーション」を行うことが挙げられる。通常よりも低価格で販売することで、値引きによる損失を受け入れる代わりに、在庫の保管コストの削減とキャッシュフローの改善が期待できる。

次に、リサイクルや再利用の方法も検討される。未使用の部品や材料の場合、それらを他の製品の製造に転用することも考えられる。

在庫の寄付

さらに、在庫を寄付することも選択肢の1つとなるだろう。たとえば、衣料品や日用雑貨などは、慈善団体や非営利組織に寄付することで、社会的貢献を果たしつつ、在庫の処分を行うことができる。

食品であれば、昨今ではフードドライブやフードバンクといった取り組みも増えている。特に昨今、フードロスに対する関心は高まりを見せていることから、地域のそうした団体、組織と連携することも選択肢となり得るだろう。

廃棄処分

最後に、在庫自体が劣化して価値がなくなってしまった場合、廃棄処分せざるを得ない場合もある。この際は、環境に配慮した処分方法を選び、法令に従って適切に廃棄することが重要だ。

いずれの処分方法を選ぶにしても、できるだけ早期に対応することで、企業の財務状況や経営の効率性に悪影響を与えることを防ぐことが求められる。

不良在庫を処分するメリット

保管コストの削減

不良在庫は保管スペースを占有し、その維持にはコストがかかる。不良在庫を処分することで、その保管費用が節約でき、そのスペースを他の有用な目的に利用することが可能になる。

キャッシュフローの改善

不良在庫は、倉庫内で保管され続ける限り「棚卸資産」として処理されるため、在庫は企業の資産となり、課税対象となってしまう。不良在庫を処分することは節税対策にもつながるのである。

不良在庫の発生を防ぐ方法

適正在庫を保つ

不良在庫の発生を防ぐためには、適正在庫を保つことが重要となる。適正在庫とは、欠品や過剰在庫を防ぎ、企業が利益を出すために必要な在庫量のことを指す。適正在庫を保つためには、需要予測や発注方法の見直し、製造リードダイムの短縮などが挙げられる。計算方法など詳細は次の記事に記載。

在庫の回転率を高める

在庫の回転率を高めることも不良在庫の発生を防ぐ上では重要なポイントとなる。在庫回転率とは、一定期間内に企業の在庫がどれだけ効率的に売れているかを示す指標だ。在庫の利用効率や販売のスピードを評価する際に非常に重要な指標となる。在庫回転率の計算方法などは次の記事に記載している。

不良在庫を抱えることは、保管コストの増加やキャッシュフローの悪化などのリスクを伴う。そのため、不良在庫は企業経営における重要な課題の1つであり、その発生を未然に防ぐための対策、あるいは発生した場合に放置することなく速やかに対処していくことは経営上、非常に重要になる。

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