ベイシアが新フォーマット第1号店となるBeisia Town新狭山店を「都市型旗艦店」として3月25日オープン、複合型で多様なライフスタイル捉える
2026.04.01
ベイシアは、埼玉県狭山市に「Beisia Town(ベイシアタウン)新狭山店」を3月25日、グランドオープンした。「ベイシアタウン」は商圏ごとのお客のライフスタイルの多様化を受けて開発した同社の新フォーマットの位置付けで、第1号店となった新狭山店は「都市型旗艦店」に位置付けられる。
売場はエンクローズド型の2層で、全体の営業面積は1772坪。ベイシアのスーパーマーケット(SM)フォーマットである「Foods Park(フーズパーク)」が1階部分に核店として出店し、14社のテナントと共に一体となって展開する複合型施設で、分類としては近隣型のネイバーフッドショッピングセンター(NSC)に位置付けられるだろう。同社としては商圏については5km圏をめどに比較的広域に設置、一方の来店頻度は週に2、3回の高頻度を狙いたいという。
ベイシアとしては地域密着型のフォーマットとして「人に出会う。居心地の良い時間に出会う。新しい日常に出会う~新たなわくわくとの出会いの場~」をコンセプトに掲げ、創業以来大切にしてきた「より良いものをより安く」の理念に加え、サブテーマとして「より良いことをより多く」を実現していきたいとしている。
敷地の制約大きい都市部に対応、テナント一体型の柔軟性を重視
ベイシアは同日段階で1都14県に138店を構えるが、2026年3月に営業開始から30年目を迎えた。今回のフォーマット開発はその皮切りとなる取り組みの一環で、今後の都市部進出に向けた新たな店舗戦略の一環としても位置付ける。従来は郊外の広い敷地に衣食住をフルラインで取り扱うスーパーセンター、あるいはSMでも郊外型が主力フォーマットになっていたが、今後は敷地の制約の大きい都市部に進出するため、ベイシアと商圏に合ったテナントを柔軟に組み合わせられる形式を選択した。日常消費の「ワンストップ型施設」であることに加え、地域に開かれた「新たなコミュニティ拠点」になることも目指す。
「やはり都市部においては、土地が狭くて、大規模店舗が造りにくい、あとは徒歩で、あるいは自転車でお越しになるお客さまが多い、そして時短、簡便、生活機能のワンストップを求めるお客さまが多くなるということもあって、少しやり方を変えていく必要があると感じている」(相木孝仁社長)

今回のタイミングで新フォーマットを出店するに至った経緯について、相木社長は次のように語る。
「私どもは、2020年代前半は改装に力を入れていて、新店をあまり造っていなかった。ただ、直近3年間は既存店の改装で大きな成果を挙げることができたこともあって、積極的に新店を造るようになってきている。明らかに成長フェーズに入ってきていて、直近3年間で売上げが600億円ぐらい増やすことができて、足元でいま3700億円ぐらいまで来ている。その背景としては、既存店の強化が軌道に乗ってきたということと、プライベートブランド(PB)の強化。さらにはアプリを始めとしたさまざまなマーケティング施策が功を奏したこともある。あとはさまざまな人材育成の積み重ねによって、この成果が出せたのかなと思っている」

まさに改装が効果を挙げ、それによって新規に出店するフォーマットが構築された流れといえるが、実は、今回のベイシアタウンの開発につながる動きが、特に既存店の改装において行われていた。従来の主力フォーマットであった衣食住を直営で総合的に品揃えするスーパーセンター内に積極的にテナントを入れる改装をしてきた。自社のマーチャンダイジング(MD)にテナントを付加することで施設全体の機能を充実させる動きで、まさにベイシアタウンの原型のような店づくりといえる。
「衣食住自営のフルラインの出店を得意としてきて、それがワンストップショッピングの強みになっていたが、近年のライフスタイルの変化、競争環境の変化、お客さまの求めるニーズの多様化などに対応するため、新たなワンストップショッピングに組み替えていく必要があるのではないかと考えていた」(安田恵一・役員待遇営業企画本部本部長)
実際、テナントを入れることで来店目的が増え、客数向上に寄与する効果も見られたという。出店環境としても、日本が人口減少局面に入る中、都市、地方問わず、必然的に出店するエリアそれぞれに多様な生活者が存在するようになってくる他、中長期に生活需要が持続する可能性が高いエリアということになると、どうしても都市部がターゲットになりがちといった状況になっている。
「世の中を見渡すと、環境はものすごい勢いで変化している。ライフスタイルの多様化、単身、2人世帯の増加、あとは都市部への人口流入といったものが進んでいて、買物に求められることが日々、変わってきていることを痛切に感じている。従来、われわれの得意技であった、ワンフロアで大型で、郊外型のお店で、衣食住をご提供することはこれからももちろん、続けていくが、それだけに頼るのではなく、新しい形のお店を造っていきたいと考えていた」(相木社長)
そこで、都市部を含め、それぞれに多様な生活者が共存するエリアに展開可能な、次世代型の施設を追求した結果が、今回の「直営」+商圏の生活者に応じた「テナント」の組み合わせとなったのは自然な流れといえる。しかも、テナントは物販に加え、体験型やサービス系のテナントを多く含む形だ。
安田本部長が既存店でのテストケースとして示した2層の総合スーパー(GMS)型の渋川店(群馬県渋川市)では、昨年4月の改装で直営を1階に集約した上で、2階に体験型、サービス系テナントを増やしたところ、来店客の多様化、客層の変化が起こったという。
そうしたことも踏まえ、今後の出店については引き続きスーパーセンターも視野に入れつつも、SMのフーズパークを軸とし、それにテナントを加えた形を中心に「サービスなど体験機能をより多く取り入れた新しいワンストップショッピングが提供できるショッピングセンターづくりに挑戦してきたい。さらに土地の制約が出る都市部では多層階になる想定」(安田本部長)となる。
今回、新狭山店が「都市型旗艦店」に位置づけられたのは、西武新宿線の新狭山駅北口から徒歩約10分と駅からも比較的近く、さらに商圏内に多様な生活者が共存していることからベイシアタウンを検証するのに適していると判断されたためだ。「この商圏内には(東京)都内に通勤に向かわれる方々、工場で働かれる方々、地域で生活される方々、また、ますます増加するシニア層の方々、ファミリー層の方などが共存しているエリア」(相木社長)であり、「日本の一般的な人口構成といえる狭山市を1号店にふさわしいと考えた」(安田本部長)という。自社の既存店は最寄りでも約8kmのひだかモール店(埼玉県日高市)と遠く、ベイシアにとっても新商勢圏への進出といえる。出店エリア内からは非常に大きな期待の声があったという。
ただし、ベイシアタウンは「都市専用のフォーマットではない」(相木社長)とも言う。今後、都市部に限らず、出店する立地ごとの多様な生活者に向けて、必要とされる機能をSMとテナントの組み合わせで提供していくことになる。また、出店に際しては、居抜き出店についても積極的に検討していきたいという。
第1号店となった新狭山店ではテントとしてドラッグストア、100円均一ショップ、携帯電話販売、カフェ、買取専門店、クリニック、フィットネス、ヘアカットなど14店を誘致。日常使いの物販に加え、健康、飲食、サービスなど体験機能も含む多様なニーズを1施設で完結できる構成とした。ドラッグストアやクリニックに関しては、商圏の特性として70歳以上の構成比が高く、健康に対する意識も高いと考えられることも踏まえた。





また、今回、特に意識されたのは物販だけでないサービス、クリニックなどのテナントの導入、さらにテナント以外の、休憩などができるスペースの設置だ。滞在すること自体に価値を感じてもらう、極端に言えば買物の用事がないときであっても来店してもらう仕掛けともいえる。
「新たなワクワクと出会いの場として買物だけでなく、ここで過ごすことを体験価値として味わっていただきたいと思っている。(休憩スペースの)『ひだまりコート』『とまり木コート』などのように、買物をしていないとき、買物の前後にもゆっくり過ごしていただけるような空間も用意した」(相木社長)
ベイシアタウンは、直営の食品にテナントを加えた形のフォーマットであり、直営か、テナントか、あるいはどのようなテナントを導入するかといったことも、あくまで商圏内の需要や競合状況に基づいて決めるという考え方だ。
ここで重要なことは、食品であっても全て直営にするとは限らないということだ。鮮魚はテナントとして専門店の「海宝丸」を導入しているが、これも競合店を含めた商圏内の状況を鑑みた上で、自社、テナントのどちらがよりショッピングセンターの魅力を高めるか、あるいは競合と勝負で勝てるかといったことを検討した結果だという。「ただ、鮮魚のチーフは悔しい思いをしている。自社で取れるようにがんばっていく」(神戸執行役員)といった形で、切磋琢磨の要素も入れているようだ。
衣料品についても、「競合各社、競争が激しい状態で、またネットショッピング含めたアプローチが多様化しているので、正直、競争力は落ちてきているものの、やはり実用衣料を含めてコモディティの肌着、靴下中心にまだまだニーズはあると思っている。そういう意味では売場の集約という形は取っているが、決してそこはあきらめていない」(安田本部長)。
フーズパークは都市型対応で、商品力強化図る
核店のベイシアは、ここのところ出店の主力フォーマットとなっているフーズパークを冠しつつ、その都市型版のような店となっている。改めて今回も含め、都市部への出店が視野に入ってくることから、商品面でも強化が図られた。

「新狭山店を皮切りに、今後都市部を狙っていく。都市部は競合店の数がいろいろな業態を含めて増えてくる。その中でも競合と差別化して、ベイシアにお客さまに来ていただくには、やはりベイシアでしか売っていない、オリジナルの商品、オリジナルの売場が増えなければいけないということで、新狭山店ではPB商品やオリジナルの商品を増やそうということで、取り組んできた。いまベイシアの自営ゾーンで扱っている商品は全部で約1万5000SKUあるが、そのうちの1100SKUがオリジナル商品。いま既存店の売上高構成比は17%ぐらいだが、この店はいったんの目標としていま全社で掲げている20%を早く達成することを目指していく」(神戸達也・執行役員商品本部本部長)
そのために、新狭山店のオープンに合わせて自社内のPBの位置づけも見直した。ベイシアは23年3月に、既存の「Beisia(ベイシア)」ブランドに加える形で、新たに「目利き」による品質と価格を強調した「Beisia Premium(ベイシアプレミアム)」をローンチしたが、結果、既存「ベイシア」ブランドの立ち位置があいまいになっていた。
そこで、「今回、2本立てにした」(神戸執行役員)。「『ベイシアプレミアム』は『目利き』という言葉を使っているが、より品質が高いもの、こだわりのある商品に関してはベイシアプレミアムとする。こちらをプレミアムPBとして、(既存『ベイシア』を)プライスPBとする。その中で安心・安全を絶対に担保しようということで、春に向かって2つとも添加物を極力減らすPBにしようとしている。中でも合成着色料は100%取り除く」(神戸執行役員)
売場では、家族連れのお客に対してはコストパフォーマンス(コスパ)高く楽しめる商品、単身、2人世帯など少人数のお客に対しては簡便、即食商品を充実させるといった取り組みを実施する。








生鮮では特に精肉を強化。立地する狭山市で肉類の支出が多いことを受け、精肉売場を同規模の既存店と比べ15%ほど拡大したという。
精肉売場ではベイシアオリジナルブランドの交雑牛の「とろ牛」に加え、埼玉県産の和牛「武州和牛」を新狭山店限定で展開。また、「ベイシア焼肉専門店」の看板を掲げ、素材、味付けのバリエーションをそろえた他、味付け肉、焼くだけ、レンジ調理、即食対応の「Smart Meat」など簡便商品も充実させた。





鮮魚売場は直営ではなく、鮮魚専門店の「海宝丸」を導入。市場直送の朝市やマグロの解体即売会など、臨場感あるイベントも実施していく。

惣菜売場では、チルド肉で改良を図ると共に素材や味付け、製法にこだわった「香味醤油の極旨唐揚げ」や改めて強化に踏み切ったコロッケを約10種類展開。
唐揚げは以前は作業を優先し、冷凍の原材料を使っていたが、チルドに変えて味の向上を図った。「効率を上げるところは上げるが、人が必要なところには人を投入して商品を強化する方針に変えて、よりお客さまの満足度が上がる商品づくりに変えていく」(神戸執行役員)

コロッケについては、「揚げ物コーナーも、いままではいろんなばら(売り)フライがあったが、やはりベーシックなコロッケをもう1回強化しようということで、今年は全社を挙げてコロッケを強化していく予定」(神戸執行役員)という。

また、ボリュームとコスパが魅力のBBB(ベイシアビッグ弁当)も8種類ラインアップ。BBBでは新狭山店限定で「ガーリックペッパーポークステーキ弁当」(本体価格990円)も展開する。


さらに中華惣菜も改めて強化し、盛り合わせなど各種弁当も展開。



ベーカリーでは、クロワッサンやインストアバーガーに加え、新商品のベーグルもラインアップする。



加工食品売場では、生鮮食品との組み合わせを意識し、ドレッシングを種類豊富に展開。また、「ラーメン」関連の商品をコーナー化して強化した他、菓子では特に「チョコレート」カテゴリーを強化している。



酒では、輸入ワインのバンドル販売を強化している他、日本酒、サワーなどの飲み方提案も実施、家飲み需要に応える。さらに日配品のつまみチーズの品揃えを強化した上でワイン売場と連動させるなどしている。
また酒については、家飲み需要も視野に入れ、惣菜売場と隣接させていることも今回の特徴の1つ。一般的なスーパーセンターでは行わない都市型対応の一環だ。

強化中の冷凍食品では、あえて「弁当惣菜」を中心とした冷凍食品のラインアップを拡充した他、ストック需要の高い冷凍野菜、冷凍果物を充実させた。
また需要が伸びているワンプレート商品や幼児食、健康に配慮した商品まで幅広く展開するなど、日々の生活をより便利にする商品構成を目指した。冷凍食品売場は時短、簡便商材の充実を図る目的で拡大した。フーズパークではない同規模の既存店と比べて50%ほど売場の陳列線を増やしている。

ベイシアパークは今後、同社の成長エンジンになるか
相木社長は「今回の新狭山店は、今後ベイシアが進めていく都市型フォーマット展開の中心を担っていくことになると思う」と新狭山店の重要性を強調する。
特に今後の出店戦略として、得意の郊外型は継続して模索する一方で都市部など人口減少の影響を受けにくいエリア、また、ドミナントなどシェアを拡大しやすいエリアなどに出店をしていく中では、柔軟な店づくりができるフォーマットの重要性は高い。
「ベイシアは、これまでは『より良い物をより安く』ということで事業を展開してきたが、今後はそこに加えて、時間価値、体験価値、健康価値、コミュニティの価値といった暮らしの質を高めるようなサービスを提供していきたいと考えている。この新狭山店がその最初のステップになると考えている」と相木社長は力を込める。
相木社長は続けて次のように強調。「目指す方向性として、私どもは『日本で一番、お客さまにありがとうと言っていただけるスーパーになろう』ということをビジョンとして掲げている。業績目標は売上目標として5000億円、長期的には1兆円を目指している。その柱となるのが出店の加速と、新しいフォーマットをしっかり型にしていくということになる」。今回の新狭山店が今後のベイシアの成長にとって、非常に重要なフォーマット、店であることは確かだ。
Beisia Town新狭山店概要
所在地/埼玉県狭山市新狭山2-20-3
オープン日/2026年3月25日(グランドオープン)
営業時間/9時~22時
駐車場台数/208台
営業面積/5856㎡(1772坪、うち食品548坪、住関連47坪、共用・催事など262坪、テナント914坪)
従業員数/正社員11人、パート・アルバイト社員126人(1月時点)
レジ台数/通常6台、セルフ18台、合計24台









