ヤオコーが日立、オプティマムアーキテクトと組み、需要予測に基づく自動発注システムを全店で稼働
2023.02.21
ヤオコーは、日立製作所、オプティマムアーキテクトとAI(人工知能)による需要予測に基づく自動発注システムを導入し、2022年11月からヤオコー全182店で稼働を開始したと発表した。
導入後、発注業務に要していた時間が約3時間から約25分へと約85%短縮した他、在庫を約15%削減できたという高い精度を確認しているという。
導入したのは日立の「Hitachi Digital Solution for Retail/需要予測型自動発注サービス」をベースに構築したシステムで、さらにオプティマムアーキテクトのCategory Profit Managementをコア技術として活用している。
ヤオコーが従来採用していた自動発注システムは、イレギュラーな需要変動や棚割システムには対応していなかったことから、それらについては熟練担当者が一定の時間をかけて発注業務を行っていたという。今回のシステムは、AIによる需要予測に基づいて発注推奨数を提示するもので、一般食品や雑貨などのグロッサリー部門におけるヤオコーでの自動化率は従来システムの約65%から約98%に向上、発注業務の負担をさらに低減することが可能となったとしている。
また、店舗ごとの棚割システムと連係させることで特売や商品入替も考慮した発注量を提示できることから、在庫、納品量の削減と適正化も実現した。店舗での品出し作業が軽減されるなど、売場における業務効率化にも貢献しているという。
今回のシステムは「どの商品を」「どこにどのくらい陳列し」「いつ販売するか」などの棚割りに関する情報を入力された棚割システムと連係しながら、AIが需要予測を行い、それに基づく発注量を決定するもの。各店では毎朝、システムが推奨した発注量を確認するのみで発注作業が完了できる。
システムの特徴は以下のとおり。
①30種類のコーザルデータを分析する需要予測計算によって、従来は難しかった消費期限の短い日配品についても需要や適正在庫を予測できる
➁特売や季節行事などのイベントを加味して需要を予測できる
③シーズンごとに実施する商品の入れ替えなどの棚割計画情報との連係によって、棚替時の垂直立ち上げを支援
④棚割計画の作成時に登録された商品の棚落ち予定日に向けて、販売ロスを最小化するよう、在庫を抑制しながら発注停止を提案
⑤非定番商品の売場展開において、販売期間や棚割りの情報を考慮して発注量を変動
⑥賞味期限の長い商品について、納品の前倒しによって毎日の納品量を平準化する発注数を提案
ヤオコーとしては今後、発注の自動化だけではなく、発注や納品のタイミングをコントロールすることで、店舗での品出し作業を省力化すると共に、物流センターに対して、3日先までの納品予定を提示することで店舗への配送遅延防止につなげる実証を開始するなど、物流部門における効率的な出荷計画策定にも寄与していくことを検討しているという。
3社は今回の自動発注システムの高度化プロジェクトに21年12月から着手。ヤオコーとしては、実際にシステムを活用する業務部門が使いやすく、かつ完成度の高いシステムを構築するため、プロジェクト開始直後から業務部門が現場視点での課題と要件を提示、IT部門が業務部門とベンダーの仲介を行うことで、ベンダーは現場課題の改善施策をスピード感を持って実施できた。
また、本プロジェクトでは、実現すべき機能を定義した上で、システム設計、実店舗での実験運用、検証のアジャイル開発を3社で繰り返し行うことで、業務現場で利用できるシステムに完成度を高められたとしている。