イトーヨーカ堂が9月3日、ヨークフーズMARK IS葛飾かなまち店をオープン、旧金町店を再開発したSC内、ハレ型SM

2025.09.08

イトーヨーカ堂は、東京都葛飾区にヨークフーズMARK IS葛飾かなまち店を9月3日にグランドオープンした。1976年にオープンしたイトーヨーカドー金町店を建て替え、三菱地所が主体となって開発したショッピングセンター(SC)の1階、食品部分を担う形でオープン。旧店の閉店からは約3年での再オープントなった。

JR線、京成線の金町駅から約400m、JR線金町駅からは徒歩約7分、京成線金町駅からは同9分の徒歩圏内に位置する駅近店舗。子育て世代からシニア層まで、幅広いお客の暮らしを支える「地域密着型の食品スーパーマーケット」として再出店する。

旧金町店は駅近の総合スーパー(GMS)だったが、2008年には2階部分を同社が展開するホームセンターフォーマットの「セブンホームセンター」に転換、その後、22年に閉店していた(ただし、共同出店する自動車教習所は継続していた)。

GMS型だった店が大型SCに生まれ変わった。ただし、自動車教習所と共同出店しているのは以前と変わらず。2期のマンションはSCができるまで自動車教習所として運営していた場所に建設される

「地域のお客様がより楽しく豊かに食生活ができる」をコンセプトに、葛飾区の地元野菜や、松戸・矢切地区周辺の近郊野菜をはじめ、合同会社金町おこしが手がける「金町ゴールデンラガービール」、大越飲料商会の「柴又ラムネ」など、地域ならではの逸品を多数そろえ、地域の魅力を発信していく。

「9月1日に親会社であるセブン&アイ・ホールディングスからヨーク・ホールディングに経営が変わった。この第1号のお店に向けて、この1年間、たくさんの新しいチャレンジを盛り込もうということで、商品部、販売部一同、作ってきた」(伊藤弘雅・イトーヨーカ堂取締役執行役員営業本部長)

MARK IS葛飾かなまち店オープンに際し、同店の重要性について語る伊藤弘雅・イトーヨーカ堂取締役執行役員営業本部長

ヨークフーズの売場は1階で、売場面積は592坪。今回の館のSCは2期に渡っての開発となっているが、今回の1期だけでもテナント数約50、年商規模で約100億円を想定するSCの核店の位置づけとなる。

ハレ消費も視野に入れたマーチャンダイジング(MD)にも踏み込むこともあって、年商規模では約36億円と、高いレベルを見込む。2期にはテナントも増え、1.4倍の規模になる他、隣の敷地に約900戸のタワーマンションができることも今後の可能性を感じさせるものだ。

半径1km圏内には約2万5000世帯、約5万人の人口があるなど、人口密度はかなり高い。

「われわれは3つの大きな方針を掲げている。『二極化への対応』『簡便・即食』『新しさ』。特に今回は地域に根差した商品、そして地域のお客さまに合った売場づくり、品揃えをしていこうということをポイントとして置いている」(伊藤取締役)

売場レイアウトとしては、デリカ(惣菜、寿司、インストアベーカリー)と青果を第1主通路にまとめた。

ヨークフーズ部分の売場レイアウト図

デリカコーナーでは、店内の鉄板で丁寧に焼き上げる人気の「だし巻き玉子」に加え、「とん平焼き」などの鉄板焼きメニューを新たに展開する他、ヨークフーズとして初登場となる「格之進の肉おじさん特製ハンバーグ」を時間限定で出来たての状態で販売。

惣菜は青果と共に、第1主通路にまとめた。週末の利用が多いと想定し、デザート軸、つまみ軸での充実を図った。生鮮と惣菜を隣接させることで、部門横断型のつまみ、デザート売場の品揃えの充実を図った(写真左側の壁面)
壁面をベーカリーの流れからサンドイッチ、スイーツ、つまみと流れるようにすることで、「楽しみ」「ごほうび」といったコンセプトの売場で構成、写真は売場奥のつまみ売場側から惣菜、ベーカリーを臨む構図。右側の生鮮系のつまみ商材から、スイーツ、ベーカリーへとつながっていく
旬の果物を使って店内製造したデザートを展開。旧ヨークの青果部門が得意としていたMDだ
ブルーベリー果肉を練り込んだベーグルにブルーベリージャムと濃厚なクリームチーズをサンドしたベーグルサンドを「スイーツ軸」で展開(右側)、左側は東京・荒川にある西日暮里キッチンで製造したベイクドチーズケーキ、シュークリーム。ベーカリーカテゴリーのスイーにはかなり注力していることが分かる
惣菜は平台で展開。ブランディング化時の目玉商品の1つ、自社工場で丁寧に配合したこだわりのだしを使用した「店内焼きのだし巻き玉子」
卵焼きに続く鉄板焼きMDとして「とん平焼き」を導入
「手作りおむすび」は、ランアップを増やした
東小金井店で展開が始まった数量、時間限定で出来たて商品を販売する格之進の「肉おじさん」特製商品。今回、メンチカツに続く第2弾として肉汁たっぷりの「格之進肉おじさん特製旨味ハンバーグ」を展開する(写真の時間帯はメンチカツの展開のみ)
時間帯別の販売強化の一環として「葛飾かなまちカレーパン」を導入。店舗従業員の要望も取り入れ通常より具が2倍入ったカレーパンを開発、店内で1つ1つ丁寧に包み込むビーフカレーのフィリングがたっぷり詰まったオリジナルカレーパン。揚げたてを限定数量で販売
軽食軸で、「ランチセット」を3種類開発。至近に東京理科大学の葛飾キャンパスがあるなど、学生が多いエリアということを受け、本体価格398円のセットとして開発。ランチ需要に向けてバーガーなどと骨なしのフライドチキン、ポテトの組み合わせ
今回、惣菜とベーカリーの中間のカテゴリーとして「軽食」分類を意識し、さまざまな商品を投入。各社強化中のバーガーについては、一食完結型の「具沢山バーガー」として展開
同じく軽食軸でイトーヨーカ堂が運営しているフードコートの「ポッポ」のフレンチフライも販売
軽食(スナック)のコーナー。デニッシュにチーズやカレーなどの具を入れた商品も開発した。ポイントは惣菜とベーカリーが融合している点

また、新たな取り組みとして、湧き水わらび餅(きなこと抹茶)、黒糖揚げまんじゅうをおはぎに続く和のスイーツとして開発。「スイーツ需要を惣菜で取っていこうということで、まだまだ惣菜はチャンスのあるカテゴリーだと確認しながらチャレンジしている」(西山英樹・イトーヨーカ堂執行役員フード&ドラッグ事業部長)

惣菜のスイーツを深掘りする延長線上で、和のカテゴリーにチャレンジ。わらび餅は店内でカットしてパック詰め
黒糖揚げまんじゅう(かりんとう饅頭)は油調

「今回のお店をつくる中で最大のポイント。壁面のベーカリーからスタートし、軽食、スイーツ、おつまみといった形で、即食・簡便の中でも、いまお客さまが手軽に、簡単に食べていただけるような、そしてちょっとハレの日にも使ってもらえるような新しい商品、カテゴリーを展開している。いままでとは違う売場をつくれていると思っている」(伊藤取締役)

開店時を含めた売場での「品揃えの維持」についてはアウトパックの商品の活用が鍵となる。オリジナルのチルド弁当のランアップも充実してきている
惣菜製造の子会社であるピースデリの工場製の商品も武器となる。小量目の商品もしっかり投入
特に冷惣菜はピースデリの商品も含め、充実が図られている。特に手間のかかるメニューなどについて、惣菜活用のメリットをアピールする
ヨークベニマルが飲食店レベルの完成度を狙って手の込んだ商品を投入する「レストランデリ」のブランドをイトーヨーカ堂も採用。SC核店のハレ型MDであることから、こうした商品も重要になる
コストコなどで古くから展開され、昨今ではスーパーマーケット各社でも展開されるようになったシェア前提の「大容量」の商品も開発
惣菜の寿司は握りから巻き物まで大々的に展開
惣菜の寿司では熊本発の「桃太郎サーモン」の商品をコーナー化

惣菜、寿司、インストアベーカリーのデリカは15%の売上高構成比がめどとなる。

青果では地域対応として地場野菜コーナーを設置。オープン時には15軒の農家と連携。葛飾水元地区や松戸地区の農家が生産した野菜や果物を展開する。葛飾野菜ではシーズン中には「今朝どり野菜」をその日の夕方に提供するという。

葛飾水元地区の野菜は現状写真左側の一部にとどまるが、今後交渉をしながら拡大してきたいという、右側は買い得品や大量目の商品をディスカウント展開
入口の青果のトップにイトーヨーカ堂との取り組みの歴史も長い山梨県のブドウ農家である「古屋さんのシャインマスカット」を展開
赤や黄色など、色とりどりのミニトマトの量り売りを展開。4月オープンの東小金井店(東京都東小金井市)で導入したところ好評で、現在、5店舗まで拡大している
新たなチャレンジということで平台のエンドで薬味の量り売りにチャレンジ。ニンニク、ミョウガ、ショウガ、シシトウ、オクラ、万願寺トウガラシなど。需要に合わせて好きなだけ買える利便性の他、使い残しがないようにといった狙いもある
焼き芋が全国的に広がりを見せる中、今回、秋に向けた「新しいMD」ということで、焼きグリにチャレンジ。大粒の焼きグリを販売すると共に、電子レンジでも楽しめるということで冷凍の商品も展開
冷凍スイーツは本体価格99円のシャーベットが人気の他、夏場に食べられるイチゴということで、イチゴの冷凍も良く売れている。ケーキ店の需要もあるという
「新しい価値」として、環境配慮の観点も含め、水耕栽培の根付き野菜

鮮魚コーナーでは、豊洲市場から商品を引く他、週末限定で専門仲卸「やま幸」が厳選した 最高品質の「生本マグロ」も展開。「プロの目利きによって選び抜かれたこだわりの食材」として訴求する。

豊洲市場からの商品を丸魚で展開する対面販売売場を設置
週末限定で「やま幸」のマグロを展開。店内では、マグロをサクやお造り、握り寿司に加工して販売
イトーヨーカ堂では「専門店化MD」ということで、鮮魚でも寿司を展開している。今回、ヨークフーズタイプとして初めて鮮魚の寿司を「魚華堂」のブランドで展開。山幸のマグロを使った握り寿司などを訴求。惣菜では海鮮丼がなかなか表現が難しいというが、鮮魚であれば実現しやすいという

精肉コーナーでは金町駅周辺に多くの焼肉店が立ち並ぶ地域特性に着目し、黒毛和牛の生産が盛んな鹿児島県の「薩摩和牛」、個食需要、つまみ需要を見込み、「ローストビーフガーリック」や「つまんで食べるおつまみチーズソーセージ」などの1品メニューも充実させながら、夕食や晩酌シーンにも対応する。

「簡便・即食」として「焼肉」の需要が上がっているということで、イトーヨーカ堂では最大級の売場を設置。いままであまり販売してこなかった豚のホルモンなど内臓や特殊部位などにも冷凍の商品でチャレンジした。地域としても需要は高いという。

黒毛和牛の生産が盛んな鹿児島県で育てられる「薩摩和牛」を壁面で展開する他、平ケースでは通常より2割ほど割安で仕入れられる国産黒毛和牛の経産牛を初めて取り扱う。経済性の意味も込め、チャレンジした
焼肉は同社で最大級の売場を設置。牛タンをエンドで訴求するなど注力している
ホルモンを冷凍でコーナー化
精肉でも冷凍を強化。冷凍の馬刺しは非常に伸びている
精肉では冷凍デリカも強化。品揃えを拡大。選べる2パック1000円(本体価格、以下同)といった打ち出しで経済性も出しながら、新しいMDを模索する。簡便・即食、ニューファミリーのキーワードで品揃えを充実させていく
簡便・即食のキーワードで、「お肉屋さんのレンジ麺」ということで混ぜ麺を展開
鶏肉が高騰する中、年末に鶏天が非常に売れているということで、精肉売場の加工食品として「とり天」にもチャレンジ

日配ではスイーツの商品開発に注力。イトーヨーカ堂オリジナルの「エニタイムドルチェ」、旧ヨークが開発した「紅雫プリン白玉本舗」などオリジナル性を高め、ナショナルブランドにない価値を訴求していく。今回、同店で展開するオリジナル商品としてロールケーキの「かなまちロール」をニューファミリーに向けて開発した。

日配のスイーツも強化カテゴリーで、イトーヨーカ堂オリジナルの「エニタイムドルチェ」の他、旧ヨークが以前から売り込む「紅雫たまご」を使用した「紅雫スイーツ」などオリジナリティを高めて訴求
オリジナル商品として開発したロールケーキの「かなまちロール」

同社が掲げる3つの方針の「新しさ」には、「地域性」も含まれるということで、特に和日配、加工食品では地域商品の展開にも注力している。和日配では柴又・浅草で親しまれている漬物店の「おつけもの丸仁」の漬物とつくだ煮を品揃え。

限られた売場ということもあり、日配ではエンドで価格を打ち出した商品を含む売り込み商品を大量陳列し、目立つようにした

また、酒では無濾過製法で「コク」と「キレ」を両立させ、「懐かしさと新しさの共存」をうたう「金町ゴールデンラガー」を導入。飲食店向けのスポット商材を仕入れる態勢を敷いた。

関連してクラフトビールも充実、近隣の東京・足立の「あだちブルワリー」の商品を含めたクラフトビールをコーナー化している。

また、SC内の核店ということで、加工食品では百貨店で販売しているような商品の充実も図った。「沢屋」のジャムなど松グレードの商品をグループ企業のシェルガーデンと共同で調達。加工食品は「地域性」と「松グレードの充実」がキーワードだという。シェルガーデンの売れ筋商品も展開するなど、SC内ということで、ハレの日の需要も含め、一定の需要が見込めると判断している。

また、冷凍食売場は需要が高まる中、もう少し確保したかったところだという。「デイリー食品と加工食品がMDとしてまだ足りない。あと50坪あればもう少しできた」(西山事業部長)。売場が限られる中、コンパクトな売場となった。東京駅の駅弁のヒット商品を冷凍で販売するコンセプトのコーナーを設けている。

西山事業部長は「SC内でどんな商売ができるのかを試行錯誤しながら今回、売場をつくった」と話す。一方で、週末型ではあるが、足元を含め、日常の集客の重要性も高いため、価格も出していくという。

菓子のグミの需要が高まっているが、今回、初めてUHA味覚糖のグミサプリを健康軸で展開。健康軸での取り扱いのため、菓子売場のグミとは売場を変えている

同店から約3km圏内にあるイトーヨーカドー、ヨークの店数は今回のMARK IS葛飾かなまち店を含め6店。イトーヨーカ堂としても、同店をエリアにおけるドミナント戦略の重要な拠点と位置付け、「地域シェアNo.1」の実現を目指す。

ヨークフーズMARK IS葛飾かなまち店概要

所在地/東京都葛飾区東金町1-10-1

オープン日/2025年9月3日

営業時間/10時~21時

売場面積/592坪

敷地面積/約2万4755㎡(MARK IS葛飾かなまち全体)

店長/山﨑正義

従業員数/108人(社員28人、パートタイマー80人、8時間換算)

お役立ち資料データ

  • 2025年上半期 注目店スタディ

    これまで約30年間続いたデフレ傾向から一変し、インフレ傾向が続く2025年。値上げや人手不足の対策に追われたこの上半期ですが、引き続き注目新店は登場し続けています。今回もその中から厳選した6店舗を独自の視点でピックアップ。今回は出店背景、店舗運営、商品政策(マーチャンダイジング)について、押さえておきたいポイントをコンパクトな資料としてまとめました。引き続き、企業研究、店舗研究、商品研究の他、実際に店舗を訪問するときの参考資料としてご活用いただければ幸いです。 <掲載店舗一覧> ・ヤオコー/杉並桃井店 ・ヨークベニマル/ヨークパーク ・ヨークベニマル/ミライト⼀条店 ・サミット/サミットストア…

  • 2024年上半期 注目店スタディ

    2024年上半期も注目新店がたくさん出ました。今回はその中から厳選した6店舗を独自の視点でピックアップしました。今回もいつものとおり、企業戦略、出店背景、商品政策(マーチャンダイジング)までを拾いながら記事にまとめました。豊富な写真と共にご覧いただければ幸いです。 注目企業の最新マーチャンダイジングの他、売場づくり、店舗運営など、いまのスーパーマーケットのトレンドも知ることができる一冊となっています。企業研究、店舗研究、商品研究の他、実際に店舗を訪問するときの参考資料としてご活用いただければ幸いです。 <掲載店舗一覧> ・ライフ/ソコラ所沢店 ・ヤオコー/武蔵浦和店 ・サミットストア/ららテラ…

  • 2023年 下半期 注目店スタディ

    2023年下半期注目のスーパーマーケット7店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・オーケー/銀座店 ・ヨークベニマル/仙台上杉店 ・ベイシア/Foods Park 津田沼ビート店 ・ヤオコー/松戸上本郷店 ・カスミ/…