小売業で取り組みが遅れていた「ロボティクス」は今後急速に進むのか?

2020.09.24

更新:2020.09.23

ラディック代表 西川立一

AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)との融合で進化が著しいロボティクス。スーパーマーケット(SM)や百貨店などの店頭でソフトバンクのロボット「ペッパー」が案内する光景はよく見られるが、製造業と比較して小売業では取り組みが遅れていたが、物流を中心に売場などでも導入が進み始めた。現状の動向を整理したい。

イオンがAIとロボティクスを活用した倉庫を建設

イオンは、8月に、子会社のイオンネクストが、千葉市緑区に国内初となる最先端のAIおよびロボティクス機能を導入した日本初のCFC(顧客フルフィルメントセンター)の建設予定用地の取得に関する予約契約をエム・ケーと締結したと発表した。

2万7500㎡のセンター内で約5万品目の商品を取り扱うことができ、さらにロボットとAIによる24時間稼働や効率的なピックアップにより、安定的な供給力を実現、CFC内のロボットは50点の商品を約6分間で処理することが可能となる。

また、最先端のAIアルゴリズムを用いて、常に最適な配送ルートを特定することができることから、最も効率よく 顧客に商品を届けることができる。

2023年に稼働開始予定で、千葉県および首都圏を対象に生鮮食品を含む暮らしの必需品を中心に、オンラインで顧客から注文を受けて宅配するオンラインSMのサービスの本格稼働を目指す。

新たなCFCは、ロボットとAIを活用したイオンネクスト第1号の大型自動倉庫として、日本事業のモデルと位置付け、さらに数年以内に同様の施設の計画を予定している。

ユニクロは自動倉庫で物流改革、効率的なサプライチェーンを構築

ユニクロは新たなモノづくりの仕組みを構築するために、「有明プロジェクト」を始動させ、17年2月 に有明倉庫の6階へユニクロの本部を移転した。

いままでの製造小売から抜け出て「情報製造小売業」に変貌を遂げる新たな挑戦をスタートした。

情報製造小売業の究極の目的は、「無駄なものをつくらない、無駄なものを運ばない、無駄なものを売らない」こと。

この実現のために、企画・計画・生産・物流・ 販売といったサプライチェーンの全てのプロセスを、有明プロジェクトを推進することで変えていこうとしている。

有明プロジェクトの推進で見えてきた大きな成果の1つが物流改革。物流は製造小売りにおける重要なテーマとなっているが、効率化することでサプライチェーンがより機能し、収益性も向上することに直結する。

そこで、物流機器メーカーのダイフク との協業により、最新の自動化機器とシステムを有明倉庫に導入し、18年秋からユニクロのEC(電子商取引)専用の自動倉庫としてフル稼動を開始した

すべての 商品に電子タグ(RFID)を導入し、倉庫内での商品の搬入、仕分け、ピッキング、検品などの作業プロセスをほぼ無人で行い、24時間稼動のため、繁忙期 の人手不足による配送遅延という問題も解決した。 

今後3年間で約1000億円の投資を行い、将来的には世界中のすべての拠点に自動倉庫 を導入していく考えだ。

ニトリも製造物流小売業として倉庫の自動化を推進

ニトリでも取り組みが進んでいる。グループ企業で物流機能を担うホームロジスティクスが、ECによる物量の増加に対応するために、「オートストア」を導入している。

「オートストア」はノルウェーのAutoStore AS社が開発した自動倉庫型ピッキングシステム。ロボットが作業者の手元まで荷物を運び、作業者はポートから動くことなく入出庫作業が可能となり、省力化などにより業務の効率化や人員削減につなげ、労働環境の改善にも貢献している。

16年にECの物流拠点「通販発送センター」に国内で初めて導入し、翌年、「西日本通販発送センター」には、80台のバトラーロボットを採用した。

ニトリは「製造物流小売業」として、サプライチェーンの改革に取り組み、進化を続けており、今後もロボティクスに力を入れていく考えだ。

小売業でも、さらなるロボティクス導入が予想される

物流における人手不足やコスト削減のため、ロボティクスは確実に広がりを見せるが、店頭でも作業効率の改善や、従業員の負担軽減のために取り組みが進む。

ウォルマートは、商品の在庫状況や価格を点検するBossa NovaRobotics社の「棚管理ロボット」を導入している。

国内ではパルコが、日本ユニシスと08ワークスと共同開発した営業中は来店客の案内、閉店後は在庫確認業務を行う自律移動ロボット「Siriusbot(シリウスボット)」の導入実験を17年から店舗で実証実験している。

また、SM、ドラッグストア、ホームセンターなどでは、作業者の体の負担を軽減するアシストスーツのようなツールを導入していくことも予想される。

さらにソフトウェアのロボットによる業務自動化「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の採用も検討されており、多方面でのロボティクスの取り組みが活発化することが予想される。

ロボティクスの取り組みは、効率化やコスト削減にとどまらず、従業員の負担軽減でES(従業員満足)にも貢献し、最終的には顧客の利便性の向上や利益の増大に貢献しCS(顧客満足)の向上につながる。こうした点を視野に入れて、ロボティクスを推進していくことも必要だ。

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