店舗従業員を疲弊させない業務指示、デジタル活用のススメ
2022.04.21
2020.08.07
ドリーム・アーツ 小坂麻里子
目次
チェーンストア企業は働き手不足により苦しい状況
実店舗を運営する企業にとって、新型コロナウイルスは大きな影響を与えました。本部・本社で働く従業員はテレワークを実施している企業もありますが、実店舗で働く従業員はそういうわけにもいきません。一方で、多くのチェーンストア企業が働き手不足により苦しい状況にあります。
そんな状況だからこそ、チェーンストア企業は、これまで以上に店舗業務を軽減させることに注力しています。そもそも店舗に存在する業務は、「本部の指示によって決められていること」が大半です。つまり、本部から店舗への業務指示のやり方によって店舗の負担は増大もするし、軽減につなげることもできるということです。
しかし多くのチェーンストア企業における店舗従業員は、本部から届く情報(またはそこから生まれる業務)によって疲弊しています。
なぜ店舗従業員が疲弊してしまうのか、店舗従業員を疲弊させないために何ができるのかを考えてみましょう。
本部が考えた施策を店舗が遂行するということ
チェーンストア本部は、店舗運営にかかわる戦略や施策を考えることが大きなミッションの1つです。そしてその施策を売上げなどの成果につなげるために、店舗に対して業務指示として届けることになります。
店舗においては、届けられた情報から自店舗のタスクを整理し、適切なタイミングで遂行していきます。どれだけ優れた施策であっても、店舗において施策が立ち上げられなければ、無意味なものになってしまいますから、これは店舗にとって大きなミッションの1つです。
最近では、「現場の声」を生かす取り組みも盛んではありますが、本部で考えた施策・業務を店舗が遂行するという構図自体は、チェーンストアという業態において今後も不変なのではないでしょうか。
店舗の業務は、本部都合でよいのか?
本部が考えた店舗の業務は、本部都合になってしまいがちと言われています。
私の前職のSPA(製造小売業)企業では、店舗の負担を意識するため、本部は店舗の作業工数(人時)をしっかりと見積もってから店舗に対して作業指示を出していました。
しかしほとんどの企業では、本部が考えた施策などの都合によって、店舗が「無理なく遂行できるか」などを考慮することなく店舗の業務が決められてしまうようです。
そのため作業内容によっては、あまりに店舗の時間を使いすぎてしまい、接客に時間を使えないであるとか、残業時間の増加につながってしまうということも起こってしまっています。本部では自分がかかわる業務を無意識に「重要な業務」だと思いがちです。しかし、店舗にとっては実は必要のない業務も存在しているのです。
私たちが多くのチェーンストア企業と向き合う中で見えてきた「チェックポイント」を、次のURLからダウンロード可能な資料にまとめています。こちらもぜひ一読ください。
https://shoprun.jp/muda-check/
また近年、ビジネスチャットなどの普及により、タイムリーなやり取りを好まれる傾向も出てきました。本部従業員同士でのやり取りには有効に使えるのですが、店舗に対しても即時返答を求めているケースも散見されています。店舗の本業は店舗業務であり、本部からの連絡に即時返答することではありません。そこを見誤ると、便利なはずのツール導入によって、逆に店舗が疲弊してしまうということになりかねないことは意識した方がよいでしょう。
店舗のことを考えた本部-店舗間の情報共有を
本部と店舗間での情報共有において大事なことは、店舗従業員が無理なく遂行できることです。そして、そのアプローチは次のようなことがあります。
- 店舗に届ける情報量(発信通数)
店舗にどの程度の量の情報が届いているかを確認したことはあるでしょうか?
情報量を半分にするだけで、店舗が情報を確認する時間を半分に減らすことができます。 - 店舗に情報を届けるタイミングと、店舗が情報を確認するタイミング
店舗従業員は、いつでもパソコンやスマートフォンを確認できる状況にはありません。
そのため店舗に情報を届けるタイミングをしっかりと決めておくことで、店舗の余裕を作り出すことができます。 - アルバイトでも理解できる内容
店長しか理解できない指示の出し方をしていると、店長にばかり負荷がかかってしまいます。他の従業員が見ても理解できる内容にすることで、店長の負担を軽減することができます。
このような取り組みが、「店舗従業員が疲弊する環境」を脱する第一歩です。
店舗従業員にとって物理的・心理的な余裕をつくりだすことで、良い店舗運営につながります。ぜひ皆さまの店舗運営に役立ててください。
こさかまりこ 新卒で大手グローバルSPA企業(製造小売アパレル)に入社。複数店舗の店長経験後、チェーン本部に異動し商品関連業務に従事。現在はドリーム・アーツにて、3万7000店舗以上が利用するチェーンストア企業向けコミュニケーションツール「Shopらん」のカスタマーサクセスを担当。前職の経験を活生かして、顧客の業務改善の支援に尽力している。
Shopらん https://shoprun.jp/