サミットストア浦安駅北口店オープン、特殊な形の売場を即食と素材にゾーンに分け、500坪型で年商28億円見込む

2022.04.12

2022.03.31

3月30日、サミットは千葉県浦安市の浦安魚市場跡地にサミットストア浦安駅北口店をオープンした。東京メトロ東西線浦安駅北口、東口より約200m、徒歩約4分ほどの新築マンション「プラウド浦安」の1、2階部分への出店。

売場面積は496坪とやや大型で、年間売上目標は28億円と大きな売上げが期待できる店だ。

マンションの1、2階部分への出店だが、サミットの建物自体は大部分が平屋建てとなっている。出入口を2カ所、即食側と素材側に設置している

今回のオープンで全社では119店体制、千葉県では6店体制となった。浦安市内では2010年に開店したサミットストアライフガーデン浦安富岡店以来の出店となる。

駅からのアクセスが良い他、低地で平坦なため、徒歩、自転車での移動がしやすい商圏であるという。

500m商圏内の人口は1万6407人、世帯数は1万130世帯(2020年住民基本台帳、15年国勢調査調査、以下同)で、サミット平均を大きく上回る密度の高い立地。

年齢別人口比率では20~29歳が21.5%と千葉県平均を11.5ポイント、浦安市平均を6.9ポイント上回る。30~39歳は18.2%で千葉県平均を7.3ポイント、浦安市平均を5.1ポイント上回など、20代~30代の構成比が突出して高い。また、単身者世帯率も61.9%と非常に高い。

売場が特殊な形をしているため、レイアウトなどは苦慮の跡がみられる。細長いスペースと比較的奥行きのあるスペースがくっついたような形をしているところに部門を配置。

特殊な形を利用して細長いスペースを総菜、インストアベーカリー、飲料など即食に充て、奥行きのあるスペースに生鮮食品、日配、加工食品などの素材を配置している。

外からの出入口を3カ所設置しているが、それぞれがちょうど即食、あるいは素材の売場先頭に位置している。さらに駅側に近い入口は即食、反対側の住宅地側の入口は素材の先頭になっていることからも、特殊な形を活用した感もある。

即食を担う総菜売場では、近隣に多い就業者の昼食需要に対応しつつ、単身者やファミリー世帯の需要にも対応するため、曜日や時間帯によって品揃えや容量を変化させる。

特に店内製造の温総菜については小規格の品揃えを徹底。また既存店で好評な「店内手作りだし巻き玉子」や、「桜姫鶏の焼きとり」など特徴ある商品の出来たて販売を実施する。

生鮮部門の素材を用いた店内製造の半加工商品の「レンチンパスタ」は即食の文脈で総菜売場で展開

総菜は売上高構成比計画で11.5%と21年3月期の全社平均と比べ2.5ポイント高く見込む。レジと併せ即食、飲料、酒をショートタイムショッピングできるような売場構成とし、駅乗降客を含む即食需要を狙う

インストアベーカリーは売上高構成比計画で4.1%と、21年3月期全社平均の1.7%の2倍以上の構成比を見込む

インストアベーカリー売場でも、昼食需要への対応として「冷蔵サンドイッチ」、あるいは「ピッツァ」は6分の1カットまで品揃えするなど対応を徹底。さらに夕方以降は、主力商品の「ショコラ」「カレーパン」「ピッツァ」の焼きたて、出来たて販売を実施。

また、ファミリー世帯に人気のスイートドーナツのアイテム数を増やし、コーナー化して販売する。

また、ホールセールパンはインストアベーカリーと連動させて、即食ゾーンを構成。

飲料、酒も即食側に持ってきている。酒では「クラフトビール・輸入ビール」「ワイン」などの品揃えを充実させた
レジはセルフレジを主体とし、かつ即食売場側に持ってきている

素材側の売場は青果から始まる。単身者の多い地域であることから、少量、適量商品の品揃えを充実させる。

また、同市内の既存店であるライフガーデン浦安富岡店では花きの売上高構成比が2.9%と既存店比で0.8ポイント高いことから「花き」の販売を強化。「鉢物」「洋花」の品揃えを充実させた。

好評を博している「農家さんから直送」コーナーは素材側の出入口正面に設置。千葉県の農産物を中心に販売する。

鮮魚売場では、東京湾、千葉県、神奈川県産の生鮮魚を豊富に品揃え。特に主力の丸物は「まあじ(3枚卸)」「まいわし開」「するめいか(輪切り)」「さんま(頭・ワタ抜き)」など調理の手間を省く商品をしっかりと品揃えする他、食べ方や調理方法も積極的に提案する。

「刺身」は平日と週末で売場づくりや売り込む魚種を変え、特に週末は「大型パックの盛合せ」なども販売。

精肉売場では、特にファミリー世帯に需要の高い「焼肉商材」について、平日でも和牛希少部位を品揃えすると共に、週末は盛り合わせ、セット商品を品揃えするなど売場を充実させる。

また、周辺の店舗で品揃えのない「黒豚」「赤どり」などは売場をまとめて販売する。

さらに生鮮素材を使用した「レンジアップ商品」、生肉を使用した「味付肉」などの即食、簡便商品の販売も強化する。

サミットの特徴として、生鮮部門がそれぞれ総菜など即食商品を手掛けていることが挙げられ、特に大型店では専門性を打ち出す目的で、それぞれの部門の売場でコーナー展開するようになっている。

青果部門の即食商品の「フレッシュサラダ&カットフルーツ」コーナーは店内加工のメリットを生かした品揃えを増やし、昼・夜のピーク時間帯に出来たて販売を強化。

「フレッシュサラダ&カットフルーツ」コーナーの隣りに「焼きいも」コーナーを設置。即食商品をまとめている

鮮魚部門の「煮魚・焼魚」コーナーは、売場から見える作業場に設置した専用のコンベクションオーブンで店内調理することでライブ感を演出すると共に、昼、夜のピークに合わせて出来たての商品を拡販する。

精肉部門の「グリルキッチン」コーナーは作業場を全面ガラス張りにし、ライブ感、シズル感を演出し、曜日、時間帯によって品揃えや内容量を変化させ、生活シーンに合わせた売場づくりを行う。

「グリルキッチン」コーナーは冷蔵のつまみコーナーと隣接。即食商品がまとまった

今回は500坪弱と大型であることからそれぞれのコーナーは各部門の売場の展開となっているが、そのため、ある程度売場を明確に分けた「即食」側の売場とやや距離が離れてしまっている。

その点、青果の「フレッシュサラダ&カットフルーツ」コーナーは即食側を向く形で設置。即食側の入口から入った奥に目立つようにするなど工夫がみられる。

グロサリー部門では、「アレルゲンフリー」商品をコーナー化。さらに単身者が多い地域特性に合わせて支持の高い「カップ麺」「レトルトカレー」の品揃えを充実。

デイリーでも地元の和風総菜や漬物などを品揃えするなど地域対応を強化。

グロサリーでは、関心が高まっている「大豆ミート」を使用した商品など「植物由来」の商品のコーナー化などもみられる
乳製品でも植物由来のミルク類の存在感が高まっている。柱回りの常温のスペースを生かして常温販売可能な商品を展開
即食と素材に売場が大きく2分されているため、結果的に家庭用品は売場のほぼ中央での展開となった。売上高構成比計画は3.1%と、21年3月期の全社平均の4.9%よりは低いが、視認性が高いことから買い上げが高まる可能性もある

サービス面では新店などで導入を進める専任の「案内係」の配置、収納代行や配達サービスの実施など地域のお客に寄り添った対応を実施。

大型店のため、イートインの「サミCafé」も設置

また、会社として制定した「GO GREEN」チャレンジ宣言に基づき、地域との絆を築くため、小中学校と連携した店舗見学、職場体験学習の受け入れや環境問題、社会課題への取り組みの紹介など、地域に寄り添った企画を実施していく。

サミットストア浦安駅北口店概要

所在地/千葉県浦安市北栄1-10-20

営業時間/9時~24時

駐車場台数/51台(うち車椅子用1台、2階)

駐輪場台数/96台

売場面積/1647㎡(496坪)

店長/久保田誠

従業員数/98.3人(うち正社員23.5人、パートタイム・アルバイト74.8人〈173/月=1人で計算〉)

年間売上目標/28億円

商圏/1次商圏(半径500m以内)1万130世帯、1万6047人

2次商圏(半径1km以内)3万3461世帯、5万8521人

3次商圏(半径1.5km以内)6万6164世帯、11万8543人

お役立ち資料データ

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