三越伊勢丹が伊勢丹新宿店に店内「ガイドマップ」のショップ「イセタンシード」を開発

2020.09.11

三越伊勢丹は9月2日、伊勢丹新宿店本館1階に「毎日が広がる、 デイリーライフライブラリー」をコンセプトにした「ISETAN Seed -Daily index-」をオープンした。

「百貨店は広すぎてどこに何があるのか分からない」「何か欲しいけれど、欲しいものが見つからない」「長時間の滞在を避けたい」などといったお客の声を受け、「繋がるための、 ガイドマップ」 をエリアコンセプトに、伊勢丹新宿店の各フロアから売れ筋を中心に約100ブランド、約1300アイテムを選定し、1つの売場として編成した。お客と商品が出会う場と位置付ける。

「あたらしい時代に、 あたらしいショッピングスタイルを。」

同売場を担当した小林嵩・伊勢丹新宿本店婦人雑貨MD統括部新宿婦人雑貨営業部 婦人雑貨バイヤーは今回のショップをつくった経緯を次のように語る。

「日本の百貨店の婦人雑貨は、靴下、傘、ハンカチが定番アイテムで、この3アイテムでお客さまに季節を感じていただくということで運用してきた。ただ、コロナ前から全体的なアパレルの苦境、婦人雑貨アイテムの不振、季節感の喪失といった課題があり、今回改めて新しいショップコンセプトを設定した」

小売業の代表的存在として長年にわたって全社売上高でも、単店の売上高でもいまだ上位に君臨する百貨店だが、さまざまな商品を取り扱う大商圏型ゆえの「大型の売場」は、ややもすれば「分かりづらさ」も生み出している。さらに新型コロナウイルスの登場前から表面化していた不振が、今回の売場誕生のきっかけとなったということだ。そこに新型コロナによる生活への大きな影響が加わった。

小林バイヤーは今回の「ISETAN Seed -Daily index-」には3つのポイントがあるという。

1つ目は「インデックス機能」。新型コロナの登場によって、リアル店舗での買物に感染リスクに伴うストレスを感じるようになったことを受け、以前にも増して「ショートタイムショッピング」が求められるようになっている。

「リアルショップの恐怖感、不安感もある。新宿のグランドフロアを担うショップとして、より早く、より深く、より広い商品を紹介したい」(小林バイヤー)との思いから、今回、メンズを含めた全ての商品領域から商品を集めている。新宿本店は婦人が9割の売上げを占めているが、今回、それにとらわれず「ボーダレス、エージレスに品揃えを」(小林バイヤー)した。

ポイントの2つ目は「開かれたリソースであるべき」ということ。百貨店に限らず多くの小売業の売場づくりは、どちらかと言うと「バイヤーからの発信」の性格が強いといえる。しかしながら、昨今は小売業とお客との情報格差が小さくなり、場合によってはお客の方が情報を持っていたりする。

そこで今回は、バイヤーも多数の人間で話し合いながら売場をつくった上、さらにお客の声なども反映した売場づくりとなっている。小林バイヤーは「百貨店がより広く愛される存在になることを目指す」と意気込む。

セルフサービスでインフォメーション機能を果たす

3つ目のポイントは「快適さ」。いままで百貨店、特に服飾雑貨領域においては「少数陳列でいかに美しく見せるか」ということでディスプレー重視の売場づくりだった。売り方も、対面で接客して商品について説明しながら販売するのが一般的だ。

今回、その条件をゆるめ、「いかに快適に買ってもらえるか」を重視。スーパーマーケットやコンビニなど「セルフサービス」の業態を参考に、「自ら選び、在庫も自ら取るようなシンプルな快適さを目標にした」(小林バイヤー)。

その上で、対面での接客がストレスになっているのではないかという仮説の下、全ての商品にできる限り詳細なPOPを付けた。さらに全ての柱にタブレット端末を設置。商品についてより深く知りたい場合、そこから情報を得てもらうのが目的だ。

ショップ名の「ISETAN Seed –Daily index-」のSeedは種(たね)を表すが、同社としては「伊勢丹を知るきっかけとなる一つ一つのアイテムを種と捉えました」という。「伊勢丹新宿店という様々なアイテムの森の中で、きっかけと繋がりを生む種を摘み取っていただける様なショップを目指しています」(同社)

小林バイヤーは、「ショップを起点として、新規客に知ってもらう。より深く知りたい人にはそれぞれの売場に行ってもらうインフォメーション機能を果たしたい」とその位置づけを語った上で、分かりやすさを実現するための売場づくりの要諦を「顧客起点」であると総括する。

「いままで婦人雑貨は、やや売り手目線、われわれの商品領域上の分類で売ってきたが、いま価値観の多様化、時代の変化に応じて、お客さまの日常に使うものは本当に多岐にわたっている。百貨店はどうしても大規模小売店舗なので、商品分類で売場がつくられていたり、あるいはブランドフロアが設立されるが、今回は全ての商品領域を、お客さまの関心に合わせて、顧客起点で品揃えしている」(小林バイヤー)

限られた面積のショップだからこそ、こうした業態の視点がより重要になってくる。

展開商品はあくまで百貨店らしく、新たなアイテム多数

具体的に売場を見ていこう。ショップは限られた面積ではあるが、「生活で使う全ての日用品」を取り扱っている。服飾雑貨に限らず、食品、リビング雑貨、さらにはデジタルガジェットなどさまざまなものを取り扱っている。

食品は「デパ地下」という言葉があるように、新宿店本館にも地下には広大な食品売場がある。それをインデックスとして紹介するため、今回、伊勢丹新宿店の食料品フロアから特に売れている人気商品100点を紹介したカタログの『伊勢丹FOODIEが選ぶ-愛される食品100』を中心に品揃えした。

小林バイヤーは、「お客さまが品揃えしていると言っても過言ではない。一番売れているものに加え、バイヤーのセレクトを加えた」という。特に主通路に面した飲料は、酒では女性の家飲みに対応したカップ酒やノンアルコールのシャンパン、ソフトドリンクでは伊良コーラなど独自性ある品揃えとなっている。

また、食品売場の隣りには食器を配置。新宿店本館としては、食品売場は地下にあるのに対し、食器売場は5階にある。それを隣りに配置することで提案性を高めている。食器については、日本各地の窯元の職人が手仕事で製作を手掛ける「ユミコイイホシポーセリン」の食器や東京湯島の木村硝子店とダブルネームで製作したシリーズを展開する。

書籍は、銀座 蔦屋書店による選書を展開する。「リアルショップにお越しいただくのに、ただ物が並んでいるだけではEC(電子商取引)購買を超越できない」(小林バイヤー)と考え、日々の学び、商品の使い方、生活のエッセンスを、書籍を通じて伝えることが狙い。書籍を接点として、各商品に入っていくというカスタマージャーニーを想定している。

デジタルガジェットは、世界中からファッショナブルな商品を集結。ポラロイドカメラのようなアナログアイテムをあえてそろえたり、5階で扱っているビーツバイドクタードレ、バングアンドオルフセンなどのオーディオ機器の他、レトロゲーム、絵文字を模したモバイルバッテリーなど「ファッションとしての」デジタルガジェットを販売している。

真ん中に島型の什器で展開されるデイリーケアアイテムはコンビニのアイスクリームの什器をモチーフにしたという。「ファッションも『わくわく感』を持って選んでもらいたい。テーマは『カラー』と『チョイス』」と小林バイヤーはその狙いを語る。

目玉は伊勢丹新宿店限定品のアメリカ発のヘアアクセサリーブランド「フランスラックス」の人気アイテムであるポニーテールチューブ。お客自身が自由に8本チョイスし、メッセージカードを添えるという方式で2300円(本体価格、以下同)で販売するなど「楽しみ」の要素を演出する。

また、エイチエムエスとコラボレーションし、時計とウオッチバンドを合わせながら選べるといった仕掛けも用意。

ステーショナリーではドイツのラミー、トロイリブン、450年の歴史を持ち、ミケランジェロも愛したというイタリアのファブリアーノ ブティックなどの高級ステーショナリーブランドの商品を展開。「海外行きづらい中、こうしたものを品揃えしていくことが百貨店として大事なことと考えた」(小林バイヤー)

同じく主通路側の島で展開される売場と柱を使ってプロモーションコーナーの位置づけで中川政七商店が「THE」ブランドをファッショナブルに商品提案。

柱回りでは他にアニヤ・ハインドマーチがアイテムの用途をラベル付けした遊び心あふれるデザインが特徴の新しい提案としてレーベルドコレクションの国内本格展開の商品などを色鮮やかに展開。

レジ側にある柱回りには化粧品、歯磨き、タオル、洗剤などを品揃え。化粧品などは本館地下2階にコスメや健康食品、サプリメント、ルームフレグランスなど世界各国のナチュラルアイテムをそろえたショップの「ビューティアポセカリー」の商品から選定。ブランド別分類が多いところ、日々の生活に寄り添って用途別に編集するなど売場づくりにもこだわった。

レジカウンターに面した場所には単価が高くてなかなか手が出せないナチュラルコスメをトラベルコスメティックとして「紹介」するような形で販売。

また、サニタリーアイテムも用途に応じた自然な形で販売。洗剤は全館で4カ所にあったが、それらの売場から商品を集め、ワンストップで買物できる空間を実現した。

特別企画として伊勢丹シードという新しいショップを記念して、伊勢丹新宿店でも人気の日本発のアクセサリーブランド「ナナナナ」と現代美術家の井田幸昌氏がコラボレーションした「RE:STANDARD」を企画。初登場の絵を飾ると同時に、絵をモチーフにしたバッグやTシャツなどのアイテムを期間限定で販売。

また、フランスのパリ発のキャンドルなどのブランド「ローラ・ジェームス・ハーパー」の伊勢丹新宿店限定品のキャンドルとして新宿店の所在地に「新宿区新宿3-14-1」にちなむ「3141」のフレグランスキャンドルも6800円で販売するなど、百貨店らしい特別な商品も用意している。

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