イオンタウン旗の台がオープン、同社東京23区初出店、敷地面積約372坪の最少SC、核はビオセボンとウエルシア

2022.12.20

イオンタウンは12月17日、東京都品川区旗の台に「都市型」ショッピングセンター(SC)の位置づけのイオンタウン旗の台をグランドオープンした。前日の16日にソフトオープンしている。

東急大井町線、池上線の旗の台駅の東口改札前、商店街の一角を占める。周辺には住宅街が広がるが、旗の台駅からは大井町駅、五反田駅、自由が丘駅まで10分未満でアクセスできるなど、都心に近い立地となっている。

商店街の一角を占める。オープンに際しては商店街に横断幕が掲示された

イオンタウンとしては154カ所目のSCで、東京23区内への初出店店舗、「都市型」SCの位置づけとなる。利便性を重視した機能をコンパクトにまとめ、「ヘルス&ウエルネス」に重点を置き、ライフスタイルを提案していく。

「近隣型SCを展開しているが、都市型にシフトしていこう、都市型の店舗をつくっていこうということで、都内でも物件探索をしていた。その中で魅力的な立地ということで進めた」(富澤照彦・イオンタウン関東事業部長)

立地として重点項目の「ヘルス&ウエルネス」ともマッチすると考えた。

敷地面積は1229㎡(約372坪)、総賃貸面積は1690.39㎡(約511坪)と、SCとしてはかなり小型で、イオンタウンとしても敷地面積は最少の案件となる。

そのため、核店はイオンタウン初出店となるオーガニックスーパーマーケット(SM)のビオセボンと調剤薬局併設型ドラッグストアのウエルシア薬局が担当。今回は立地の状況などを鑑み食品についてはビオセボンが入ることになったが、物件によってはSMが入るケースも想定されるという。

他、マクドナルドと内科、耳鼻咽喉科、整形外科、歯科などのクリニックモールで構成される。SCは3層で、1階に2店の核店、2階にマクドナルド、クリニックモールは2、3階に出店している。

年間入館者は61万人を見込む。1日当たりでは平日1600人、休日2400人を想定する。

テナントのオープンは順次となり、マクドナルドは12月22日開業、クリニックモールは2023年1月、4月に順次診療開始予定となっている。

ビオセボン、ウエルシアが担うヘルス&ウエルネス

「オーガニックを日常に」をテーマとしたパリ発のオーガニックライフスタイルSMのビオセボンは27店目で、売場面積は43.36坪。路面店から商業施設のインテナントまで、面積も含め多様な出店をしている同社だが、今回は同社の中でも小型店になる。

農産は常時200種類ほどの品揃えができている。ほとんどが有機の商品になっているが、価格面も意識し、特にニンジンなど定番の野菜などは2本99円(本体価格、以下同)と、日常的に使ってもらえるような売価設定としている

取扱SKU数は、開店時段階で2689。分野別には、輸入グロッサリー670、国内グロッサリー790、農産183、デイリー127、その他生鮮(肉、魚など)59、デリカ135、ウエルネス558、バルク販売57、リカーなし、冷凍110。

サステナブルストアとしてのさらなる進化を目指し、環境にやさしい素材を使用した店舗内装・什器を導入するなど新たな取り組みを導入した。

棚にプライスカードを入れるPOPレールについて、前回オープンした自由が丘店では木製にしていたが、今回はさらに再生紙に変更するなど脱プラスチック化を図った。商品開発は常に強化しており、写真のケーキミックスはドバイのSMのプライベートブランド商品を調達したもの

昨今の原材料の高騰や値上げなどによる調達面の影響が大きくなっているが、直輸入商品も多く、さらに売上げも増える中、調達面の機能強化やサプライヤーとの関係を深めていることもあって、特に直輸入商品についてはむしろ値入率しているという。

11月にオリーブオイルで新たに調達した商品を投入。直輸入による価格メリットをアピールする
フレーバーオイルの需要があることから、小容量の商品を調達
世界で初めてMSC(海のエコラベル)認証を取得した牡蠣を販売
小豆や大豆の取引先に有機認証取得を促し、有機商品としてビオセボンが販売するようにしている
有機のマーガリンを開発、植物性の有機スプレッドと併売
イオンの空輸便を生かし、消費期限の短いブッラータチーズのオーガニックの商品を調達し、販売している。希少価値をうたう
ビオセボン・ジャポンが直輸入で調達している植物性ミルクの「イソラビオ」のアーモンドミルクを用いたパンを敷島製パンが開発。販売開始をした
1日の外来が約2000人ほどあるという昭和大学病院が近くにあるため、患者関係者だけでなく職員も含めた需要があるとみて、惣菜を強化している
スタブラのフィッシュパテは、小量目の商品がほしいとの声を受けて使い切りのサイズを直輸入し、販売開始した
フランスで100年の歴史があるファミユマリーの蜂蜜を直輸入。大容量の商品を開発してもらい販売しているなど、調達力は次第に高まっている。蜂蜜は需要が高まっている重要な商品
イタリアから直輸入の植物性ミルクのイソラビオはソイのバリスタの新商品が登場し、全21種類となった。シリーズの充実によってビオセボン・ジャポンの植物性ミルクの多くを占めるようになっている
フランスで100年以上の歴史のあるコンフィズリーアダムのチョコレートも直輸入。バルクで仕入れ、日本で包装して販売している
21年から一部店舗で導入が始まったペットボトル回収機を導入している

「19年下期ぐらいから、既存店の1人当たり買上点数と客数が伸びている状況にあった。その中でコロナが重なったが、19年から22年にかけては既存店は年率で110%ぐらい伸びている。19年比でいえば22年は140~150%ぐらい。そこにお店が増えていっていることが重なっている。客層も広がってきた」(八木盛之・ビオセボン・ジャポン社長)

ビオセボンはコロナ禍に大きく売り上げを伸ばしたが、徐々に人流などの回復が見られる中、22年は4月までは好調だったが、やはり5~8月にかけては客数は厳しくなったという。一方で9月の後半から徐々に客数は伸び始め、11月、12月には伸長傾向にある。

イオンタウン旗の台店オープン日の12月17日前後では既存店売上高は110%弱になっているという。客数は100%程度、1人当たり点数は103%104%程度、1品単価は102%程度といった状況だという。

ウエルシア薬局は、「日常に健康と彩りをプラスする物販店舗」として医薬品、化粧品、生活雑貨、食品をひととおりそろえる売場面積約120坪の標準的な店舗だが、処方せん調剤を導入している他、売上高構成比で46%を目指す主力部門としている。調剤薬局は23年1月3日の開局を予定している。

昭和大学病院という医療機関があることは調剤薬局主体の店としては大きな成立条件になった。

主力部門の調剤薬局は大きくスペースを確保。2400種類ほどの医薬品をそろえ、対応を強化している

イオンタウン旗の台では、SC施設全体として、イオングループの方針とも連動し、サステナブル社会の実現に向けた取り組みも実施。多摩産材などの天然木を3割ほど屋外軒天井に使用し、森林の適切な整備や山村をはじめとする地域経済の活性化など、東京の健全な森づくりへの貢献を目指す。

断熱効果、調湿効果、吸音効果の他、人の心を和ませる効果などの特性も有し、建築物に利用することで快適な空間を創出する効果も期待できる。

また、太陽光発電設備を屋上に導入し、23年2月稼働予定で年間約3万kWh(脱炭素率約3.1%相当)を発電、CO2フリー電気の活用によって使用電力の100%を再生可能エネルギーで賄うことを目指す。

さらに館内複数箇所に自動潅水システムを備えた壁面緑化を実施。雨水を給水タンクに貯め、ソーラーパネル電源を利用した自動潅水システムも一部導入する。

さらに今回、旗の台駅前東口商店街への出店ということで地域との連携としてコミュニティ拠点となる取り組みも実施。地域のにぎわい創出に貢献すると共に、お客同士の交流を深める場や新たな発見に出会える場の提供に努める。

2階テラスをはじめSC内に緑豊かな植栽を施し、いやしや安らぎを感じられる空間を創出する他、共有部には自由に利用できるスペースを設け、ワークショップなどのイベントの開催も計画している。

イオンタウン旗の台概要

所在地/東京都品川区旗の台2-7-2

開店/2022年12月17日

営業時間/ウエルシア薬局8時~23時、ビオセボン9時~21時、マクドナルド6時~24時、他、店舗により異なる

構造/鉄骨造3階建て

敷地面積/1229㎡

延べ床面積/2041㎡

総賃貸面積/1690.39㎡

駐車台数/2台

駐輪台数/76台

店舗数/8店舗

従業員数/約150人

基本商圏/半径1km圏、世帯数約4万1300世帯、人口約7万3400人

お役立ち資料データ

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