サミットがサミットストア川口青木店を改装、部門横断の取り組みをさらに進化させた実験店
2023.03.07
サミットは3月1日、埼玉県川口市のサミットストア川口青木店を改装オープンした。これまで同社が取り組んできた部門横断をベースとした「大総菜プロジェクト」をさらに進化させ、生鮮原料や、店内で加工済みの商品を組み合わせた弁当や総菜を充実させるなど、幾つかの実験要素を持たせた改装となった。
同店は1998年10月オープン。至近にヤオコー、ベルクという埼玉県の有力2チェーンを競合に抱える中、3つ巴の戦いをしてきたが、今回の新規軸の改装で前年比約135%となる23億円の年商を目指す。
大きな特徴としては、従来の部門を大胆にクロスさせ、同一素材の加工度別の売場、あるいは購買動機に沿ったまとまりで売場を構築していることが挙げられる。同時に、売場だけでなく、例えば弁当など1つの商品についても各部門から加工を含めた素材の提供を受けての総菜部門での製造などに挑戦。
これまでも大総菜プロジェクトの中でも鍋セット、レンジアップ商材やミールキットなどでこうした取り組みは実施してきたが、今回はその取り組みをさらに進化させた。
新規取り組みとしては他、手作りスイーツやつまみ、レンジ調理商品の新商品を多数取りそろえる他、嗜好性の高いチーズの店内加工を同社初展開し、ワイン、フレッシュデザート売場の品揃えを増やし売場も拡大するなど、「新たな発見と選ぶ楽しさ」を加えた。
青果売場の壁面では「フルーツ&サラダ」コーナーを設置し、店内で販売している素材を使ったピクルスや野菜スティックなど店内で手作りしたフレッシュサラダや旬の果物を盛り込んだカットフルーツを展開。人気の焼き野菜では「野菜チップス盛合せ」を新規に販売開始。
また、同コーナー内には青果とベーカリー部門で店内製造したデザートをまとめた「インストアデザートコーナー」を新設。サミットオリジナルの北海道牛乳を原料とした手作りの杏仁豆腐に加え、川口青木店から品揃えを開始したバナナオムレットなど、店内製造のスイーツなどもそろえる。
続く鮮魚、精肉売場では鮮魚部門、精肉部門の素材を使ったミールキットを新たに品揃え。「肉や魚、野菜、たれ」がセットになった店内加工の「ミールキット(2~3人前)」を新たにラインアップし、既存のレンジアップ商品と併せて平冷蔵ケースで販売する。
一方で、総菜売場では、生鮮部門が手掛ける「レンジアップ麺」を新商品を含めてを計6アイテム販売するなど、かなり部門をクロスした展開がみられる。
鮮魚売場では生鮮総菜の「煮魚・焼魚コーナー」を新設する他、総菜部門の「寿司コーナー」を移設。刺身と寿司の売場連動を図っている。
生魚では魚、海そう、野菜を盛り合わせた「おつまみ商品」を新規に4種類品揃えするなどつまみ用の商品を新規に品揃えする他、従前からの取り組みである「お魚キッチンコーナー」でお客の要望に合わせた調理承りも実施する。
精肉売場ではつまみからおかずまでそろうグリルキッチンを新設。さらに同じ「肉総菜」として総菜部門の焼き鳥の作業場もこちらに設けている。冷惣菜で既存のローストビーフの品揃えを充実させ、オードブルセット商品(ローストビーフ、ローストポーク、ロースハム)も品揃えする。
総菜売場では、グラタンやラザニアなどが並ぶ「チーズ総菜コーナー」や新商品の「やさしい甘さの粒あんの店内手包みいちご大福」が並ぶ「和スイーツコーナー」を新設。
チーズ総菜コーナーでは「グラタン」「ラザニア」に加え、チーズをふんだんに使った総菜3種を新規に品揃え。和スイーツコーナーでは既存の「おはぎ」に加え、果実を使用した手作り「和スイーツ」を2種類販売する。
また各部門の原料を使用したローストビーフ丼などの弁当など、新商品を大幅に増やすと共に売場を拡大した。
ベーカリー売場においては、ゴマの香ばしさが香る全粒粉パンを使用した「合鴨オニオンサンド」やピリ辛の「本格!タコスミートトルティーヤ」など、サンドイッチ系を中心に新商品を多数取りそろえている。
日配では、同社で初めて店内でカットする「フレッシュチーズ売場」を新設。ゴーダ、チェダー、ブリーなどのフレッシュチーズを店内でカットし、パッケージされたチーズ売場に隣接した平冷蔵ケースで販売。「ブリ―&クリームラム&クリームチーズ」などワインに合うチーズを豊富に取りそろえ、同時にワイン売場ではチーズに合うワインを充実させるなどワイン売場との連動を図っている。
その他、新規サービスの導入として、買物した商品を店舗から1.5km圏内の家などまで配達する配達サービスを3月6日に開始した他、お薦め商品を試食、試用してもらう「おためし下さい。」コーナーを新設。お客の要望に応じて商品を導入した「“置いてね”におこたえしました」コーナーも新設した。また、セルフ精算レジ(セミセルフレジ)に加え、セルフレジを設置。
また、ローコストオペレーションの実験として、缶のビールやレディトゥドリンクの売場に関して、冷蔵ケースのばらの売場とケース売りのゴンドラを向かい合わせる形で設置。ケース売りはそのままケースで販売すると同時に、在庫として向かい合うばら売場への補充をそこから行うというオペレーションの設計とした。
今回の各種実験要素は、オープンからそれなりの期間を経た店、熟練度の高い従業員が前提にあってこそのものとなった。ヤオコー、ベルクという強力な競合に対し、最新のマーチャンダイジングの導入に加えた形のこれら新規取り組みで、前年比135%という高い目標をクリアできるか。
オープン後の動向が注目であると同時に、改めて実験にふさわしい店であったといえるかもしれない。
サミットストア川口青木店概要
所在地/埼玉県川口市青木2-11-12
営業時間/9時~22時
駐車台数/120台(うち、車椅子用2台、建物2階屋上)
駐輪台数/140台
建物構造/地上2階建て
売場面積/1900㎡(575坪)
バックヤード面積/1274㎡(385坪)
レジ台数/14台(セルフ精算レジ4台、セルフレジ10台)
店長/岸本 健
従業員数/59.3人(正社員15.0人、パートタイム・アルバイト社員44.3人、パートタイム・アルバイト社員は173時間/月=1人で計算)
年商目標/23億円
商圏内世帯数(人口)/1次商圏(半径0.5km以内)5310世帯(1万874人)、2次商圏(半径1.0km以内)2万5092世帯(5万1017人)、3次商圏(半径1.5km以内)5万4948世帯(11万2037 人)