そごう・西武がRaaSモデル採用のデジタル基軸、メディア型OMOストアを西武渋谷店に9月オープン

2022.04.21

2021.04.06

そごう・西武が今年9月からメディア型OMO(Online Merges with Offline、店頭とEC〈電子商取引〉で顧客、商品、在庫情報が統一されたストア形態)ストアの展開を開始する。

西武渋谷店パーキング館1Fを全面リニューアルし、CHOOSEBASE SHIBUYA(チューズベースシブヤ)をオープン。ミレニアル世代(1980年代後半~90年代前半生まれの世代)やZ世代(90年代後半~2000年代前半生まれの世代)の支持を集めるD2C (Direct to Consumer、お客への直接販売)ブランドと協業しながら展開していく。

同店ではお客が没入感のある空間の中で、オンラインとオフラインを融合した新しい購買体験をスマートフォンにて楽しめるという。

ミレニアル世代やZ世代の関心事である社会課題をテーマに設定し、テーマに寄り添った商品やブランドが編集されたストアを目指す。「モノ」に込められた想いや意味をオンラインとオフライン双方で発信することで、お客とブランドをマッチングの場を提供する。テーマや商品は一定期間で入れ替え、お客がいつ来店しても新しい出会いと学びのあるストア体験創出を目指す。

機能としては、昨年8月に日本でも事業を開始した米国発祥のb8taと近く、RaaS(リテール・アズ・ア・サービス、サービスとしての小売り)と呼ばれるビジネスモデルの一環といえそうだ。

店頭とECの垣根を超えた自由な買物体験を提供

リアル店舗と同時にECサイトもオープンし、オンラインで購入した商品を店頭で受け取れる販売形態をはじめとした新しいショッピングサービスを提案する。

来店したお客にはまず、店内専用Webカタログを配布する。お客は自身のスマートフォンでカート追加、お気に入り登録、決済などが可能。店頭決済は、完全キャッシュレスとするなどスムーズな購買体験を目指した。

店頭ではWebカタログを閲覧、活用することで、従業員を介すことなしに関心がある商品や製造背景の理解を深められる。非接触で購買体験を完結することも可能で、デジタルを生かした形で新型コロナウイルスによって関心の高まる非接触の買物を実現した。店頭決済後に持ち帰るのはもちろん、自宅配送も可能ということで、多様なニーズに合わせた受け渡し手段も用意した。

さらに店頭販売商品はすべて専用ECサイトでも購入可能。ショールーミング展示など一部の商品を除いて店頭とECサイトの在庫情報はタイムラグなしで完全連携しているという。ECサイトでの注文商品を店頭で受け取るBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)にも対応。 店頭で購入しなかった場合、あるいは遠方で来店が難しい場合でも、オンラインで新しいブランドや商品と出会える機会を創出する。

デジタル技術活用で出品者の業務負担軽減とデータ提供を実現

一方、出店者には実店舗を出店した実績の少ないブランドでも商品展示、販売接客業務の追加負担なしで出店を可能にする仕組みを用意した他、AI(人工知能)カメラなど最先端のテクノロジーを活用し、テストマーケティングや商品企画、サービス改善に活用できるデータの提供も行う。

出店者側の業務は販売商品のシステム登録と店舗への商品配送のみ。店頭とECにおける陳列、販促、在庫管理、販売売上管理などはすべてそごう・西武が代行する。店内業務オペレーションについても、最新のデジタルツールを活用することで効率化。

実店舗を出店する際の業務負担が軽くなることで、D2C専業事業者を含めた幅広い出品者によるコンテンツ展開が見込めるとしている。

さらに今回、ECサイトの訪問、購買データはもちろん、リアル店舗でのAIカメラによる店内動画データや店内専用Webカタログの行動ログデータなどを収集・解析し、オンライン、オフライン双方でお客の購買動向を把握。出品者は管理画面から随時データを閲覧可能となっている。

最新のデジタルテクノロジーを活用することで、出品者に対して販促プロモーションはもちろん、テストマーケティングなど商品企画にも生かせる有益なデータを提供したい意向だ。

出品企業としては、オーダーメイドのビジネスウェアを提供するFABRIC TOKYOや「TAILORED CAFÉ」を展開するカンカクなどの出店が予定されている。

リアル店舗も14店舗展開するFABRIC TOKYOは今回のオープンに合わせて新しくレディースブランドもオープンする予定。一度店舗で採寸すると体型データがクラウドに保存されるので、 以降はオンラインからオーダーメイドの1着を気軽に注文することができることを打ち出す。

TAILORED CAFÉは専用のモバイルアプリと連動したOMO型、完全キャッシュレスのカフェで、店頭注文の他、アプリ上でドリンクやフードメニューを事前注文が可能。店舗での待ち時間や決済の手間なしにスペシャルティコーヒーが楽しめることを特徴とする。

b8taのオープンが話題となるなど、日本でもオンラインを活用したRaaSのモデルを活用した店舗が見られるようになった。既存小売業の強みである「リアル店舗をどのように活用するか」というテーマは、オンラインチャネルが発展する中にあって喫緊の課題となってきている。

今回のチューズベースシブヤは、そこにコロナ禍における新たな関心事となった「非接触」の要素を付け加えた点が注目される。

CHOOSEBASE SHIBUYA概要

所在地/東京都渋谷区宇田川町21-1西武渋谷店パーキング館1階

オープン時期/2021年9月予定

面積/約700㎡

出品企業/約30社

扱品目/洋品雑貨、衣料品、インテリア用品、化粧品など

お役立ち資料データ

  • 2025年 下半期 注目店スタディ

    2025年下半期も多数の注目店がオープンしました。25年下半期は特に首都圏に本格進出を果たしたバロー、トライアルの動きが大きな注目を浴びました。11月にバローとして首都圏に初出店を果たしたバローホールディングスは、その非常に力の入った店づくりが業界内外で大きな話題となりました。一方、7月の西友子会社化を経て、両者のマーチャンダイジングを融合した2つの新フォーマットを開発したトライアルは、その店づくりによる話題提供にとどまらず、このわずかな期間にも着実にそれぞれの店数を増やすなど、そのスピード感ある展開も注目です。もちろん、その他の店も注目店満載です。今回も上記2社の店を含む6店について、出店背…

  • 2025年上半期 注目店スタディ

    これまで約30年間続いたデフレ傾向から一変し、インフレ傾向が続く2025年。値上げや人手不足の対策に追われたこの上半期ですが、引き続き注目新店は登場し続けています。今回もその中から厳選した6店舗を独自の視点でピックアップ。今回は出店背景、店舗運営、商品政策(マーチャンダイジング)について、押さえておきたいポイントをコンパクトな資料としてまとめました。引き続き、企業研究、店舗研究、商品研究の他、実際に店舗を訪問するときの参考資料としてご活用いただければ幸いです。 <掲載店舗一覧> ・ヤオコー/杉並桃井店 ・ヨークベニマル/ヨークパーク ・ヨークベニマル/ミライト⼀条店 ・サミット/サミットストア…

  • 2024年上半期 注目店スタディ

    2024年上半期も注目新店がたくさん出ました。今回はその中から厳選した6店舗を独自の視点でピックアップしました。今回もいつものとおり、企業戦略、出店背景、商品政策(マーチャンダイジング)までを拾いながら記事にまとめました。豊富な写真と共にご覧いただければ幸いです。 注目企業の最新マーチャンダイジングの他、売場づくり、店舗運営など、いまのスーパーマーケットのトレンドも知ることができる一冊となっています。企業研究、店舗研究、商品研究の他、実際に店舗を訪問するときの参考資料としてご活用いただければ幸いです。 <掲載店舗一覧> ・ライフ/ソコラ所沢店 ・ヤオコー/武蔵浦和店 ・サミットストア/ららテラ…