イオンリテール「レジゴー」とは?使い方から仕組み、導入店舗まで徹底解説
2022.04.21
2021.04.19
イオンリテールは新たな買物の方法として、お客自身が商品のコードをスキャンしながら買物を進める仕組みである「レジゴー」の導入を進めている。2021年4月16日現在、イオンリテールの32店、イオン東北を含めると合わせて35店で展開中だ。
本記事では、イオンリテールのが導入を進める「レジゴー」とは何か、その使い方や仕組み、ニューノーマル への対応としてレジゴー精算機に「非接触パネル」をいち早く導入した「イオンスタイル千葉みなと」の事例などを解説していく。
イオンリテールの決済DX「レジゴー」とは?
レジゴーは、2020年3月から本格展開されている、「レジに並ばない」「レジ待ち時間なし」の買物スタイルを実現する買物システム。
お客は、店内で貸し出されている専用スマホで購入する商品のコードをスキャンしながら買物を進めていき、最後に対応する精算機に買物のデータを送信し、決済する仕組みとなっている。
イオンリテールとしては、『“レジに並ばない”お買物スタイル「どこでもレジ レジゴー」』として打ち出しているが、他にも買物途中に購入商品や買上金額が確認できることで買い忘れ防止にもつながるといったお客からの支持もあるという。30代~40代のファミリー世帯が多い地域にある導入店では利用率が3割を超えている店もある。
もともと新型コロナウイルスの問題が表面化する前から提案していたが、新型コロナウイルスによる「非接触・非対面」のニーズの高まりにも対応した方式として、2020年3月から本格展開を開始し、より注目を集めている。
レジゴーの利点・メリットとは?
●お客側のメリット
お客側の最大の利点は、レジに並ぶ手間が省ける点にある。特に、子供連れで買い物をする場合などは、レジ待ちの時間の短縮は、買い物の負担を減らす上でも大きなメリットがある。
また、イオンスタイル有明ガーデンの谷本和彦店長は、「レジゴーを使うことで、子どもが商品をスキャンするなど家族で楽しく買物ができるとの声がある。レジに並ぶ時間がほとんどなくなったこともあって、2つの利点から好評に利用されている」と語っており、時間短縮だけではなく、子供自体がレジゴーによる商品スキャンを楽しむという副次的な効果も見られている。
また、お客自身がバーコードをスキャンするため、自分のペースで買物ができる他、スマホ画面上で購入商品の確認ができることから買い忘れ防止の効果も期待できる。
●店舗側のメリット
店舗側では、商品のスキャンやお会計をお客自身が行うため、レジに関与する人時を効率的に運用できるメリットがある。これは昨今の人手不足の課題解決や、人件費の圧縮といった効果が期待できる。
また、新型コロナウイルスの蔓延で非接触が求められる昨今において、対面による会計がなくなり、対人接触の機会が減少するというのは、お客側だけではなく店舗で働く従業員にとっても大きなメリットといえる。
一方で、お客自身がスキャンを忘れるなど、精算漏れというリスクもある。これには防犯カメラの増設などセキュリティを強化するなど、不正を見抜く手段が必要となりこれはデメリットといえる。
レジゴーの基本的な使い方
レジゴーは、商品のスキャンができる専用の貸出用スマホを使用するか、もしくはiOS版の専用アプリを自身の端末にダウンロードし、自身のスマホ端末を使用する。専用スマホはカートに設置することもできる。
スマホにて、購入する商品のバーコードを読み取りつつ、お買物カゴに入れていく。スキャンした商品一覧はスマホ画面で確認できるため、買い忘れも防ぐことができる。当然、一度スキャンした商品は削除して取り消すこともできる。
会計の際は、レジゴー専用のレジを使用して、決済を行う。「レジゴー」のアプリに表示されるバーコード読み取るだけで買い物データを連携。そのまま支払い方法を選択するだけで会計を済ませることができる。
支払いは、通常のセルフレジと同じく、現金や電子マネー「WAON」、クレジットカードが利用可能。
レジゴーの導入店舗
2021年4月16日現在、イオンリテールの32店、イオン東北を含めると合わせて35店で展開をしている。以下では、レジゴーの導入・対応店舗を紹介していく。
●東京都でレジゴーを導入している店舗
イオンスタイル有明ガーデン・イオンスタイル品川シーサイド・イオン東久留米店・イオンスタイル板橋前野町・イオン東雲店
●神奈川県でレジゴーを導入している店舗
イオンスタイル戸塚・イオンスタイル東神奈川・イオン横浜新吉田店・イオンスタイル新百合ヶ丘・イオン横浜新吉田店・イオンスタイル東戸塚
●千葉県でレジゴーを導入している店舗
イオンスタイル幕張新都心フードストアイオンスタイル幕張ベイパーク・イオンスタイル千葉みなと・イオン市川妙典店・イオンスタイル幕張新都心・イオンスタイル新浦安・イオン八千代緑が丘店
●埼玉県でレジゴーを導入している店舗
イオンスタイル美園三丁目・イオン吉川美南店・イオンスタイル上尾・イオンスタイルふじみ野・イオンスタイルせんげん台
●その他地域でレジゴーを導入している店舗
イオン岡崎南店(愛知県)・イオンスタイル名古屋茶屋(愛知県)・イオン三好店(愛知県)・イオンナゴヤドーム前店(愛知県)・イオンスタイル長久手(愛知県)・イオンスタイル新津(新潟県)・イオン広島祇園店(広島県)・イオン四日市北店 (三重県)・イオン清水店(静岡県)
参考:https://www.aeonretail.jp/pdf/210416R_1.pdf
レジゴー専用iOSアプリを配信開始
2021年4月22日より、レジゴー専用のiOSアプリの配信を開始した。これにより店舗に置かれた専用スマホだけではなく、自身のスマホでレジゴーを使用できるようになった。アプリのダウンロードはApp Storeから可能。
【「レジゴー」アプリの操作ステップ】
iOSアプリ版の場合、スマホの位置情報の取得を許可にしておく必要がある。アプリ起動後は利用店を選択するだけで、そのまま貸出端末と同様に使用することができる。
お会計チェックコードをかざすと緑色の画面が表示され、「ちゃんと支払いが完了した」という安心感も得られる。
Android版アプリの配信は5月下旬に予定されている。
レジゴー精算機の非接触パネルの導入開始
4月16日にオープンしたイオンスタイル千葉みなとでは、精算機のタッチパネルに非接触センサーを取り付けることで、パネルから約2㎝のところに指を近づけるだけで操作ができるようにした「非接触パネル」を初めて本格的に導入。
今後、既存の店舗も順次、非接触に対応した仕様に切り替えていく。まずはレジゴー専用精算機から導入を進め、4月末までにレジゴー導入店舗全店で非接触パネルに切り替える予定で、さらにセルフレジ、セミセルフレジのタッチパネルへの導入も検討していくとしている。
イオンスタイル千葉みなとでは、これまで従業員が端末を受け取って確認していた会計完了の確認も非対面でできる「レジゴーゲート」も設置。ゲートに端末をかざすだけで会計完了の確認ができ、お客、従業員の双方にとって接触機会の低減につながる。
完了後の画面は緑色で分かりやすく表示されることもあって、「ちゃんと会計が完了しているか不安」といった声にも応えるものとなる。ゲートは、4月16日段階で既存15店に導入済みで、4月末までにレジゴー展開の全店へ導入予定となっている。
「レジゴー」は、お客が所有するスマホではなく、店頭で貸し出した専用スマホを使用し、さらにスマホ自体では決済はせずに精算機にデータを送信して決済することが特徴だが、これにはスマホを持っていない人でも、個人情報を登録することなく、気楽に利用できるというメリットがある。
不特定多数のお客をターゲットにする小売業として、利用するためのハードルを下げることは有効だが、一方で同じイオングループ内のユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスが取り組む「Scan&Go(スキャン&ゴー)」を含む他の多くのケースでは、自身のスマホでスキャンができるような仕組みが多い。
それに対応するため、上述の、4月22日10時からiOS版アプリを皮切りに「レジゴー」アプリの配信を開始した。Android版アプリの配信は5月下旬を予定している。このアプリを使用することで、お客自身の端末でレジゴーの操作が可能となる。
ニューノーマルに対応した店舗環境やサービスを提供
イオンスタイル千葉みなとは、「ワンストップ」「おうち需要」「非接触」をキーワードに、ニューノーマルに対応した店舗環境や商品・サービスを提供する店舗としてオープンした。
売場構成としては、食品売場と同社のヘルス&ビューティ売場である「グラムビューティーク」がセットになった「フード&ドラッグ」の業態となる。
比較的購買頻度の高い商品に特化した商品構成だが、一方でインナーを中心とした衣料品のiC(アイシー)はなく、食品とヘルス&ビューティに挟まれるような形で100円均一のダイソーが出店している。
JR線外房線、内房線の本千葉駅から徒歩約15分、JR京葉線、千葉都市モノレールの千葉みなと駅から徒歩約20分の住宅地に立地し、周辺にはJR千葉駅周辺や都心部への通勤の利便性からファミリー世帯が多く住む。店舗周辺には既存マンションに加えて新築マンション建設の計画もあるという。
一方で、店舗周辺にはグループを含むイオンの店舗が多く、例えば北西側約6kmにはイオンマリンピア店(千葉市美浜区)やイオン稲毛店(千葉市稲毛区)、その先には多数のグループ店舗がある幕張エリアがある他、南東約7㎞にはイオンスタイル鎌取(千葉市緑区)など大型のGMS(総合スーパー)を含む多数の店舗に囲まれている。
イオンスタイル千葉みなとは、ちょうどその中間に出店したわけだが、その意味では商品構成として、既存店とのすみ分けが前提となった。
そこで新型コロナウイルス感染防止の観点も含めて「短時間で一通りの買物を済ませたい」という需要に対応し、食品をはじめ一部実用衣料を含む日用品、化粧品、医薬品に100円均一ショップを加えた形で、日常使いの商品が「ワンストップ」で買える品揃えにした。直営のアイテム数は約2万となっている。
商圏は3km圏の小商圏の設定で、ネットスーパーについても同店では手掛けず、商圏内のネットスーパーの需要は近隣の店でカバーする。
食品では、「千産千消!」のコンセプトで地元千葉県産品を充実させることで「高鮮度」を追求。農産品では、「JA千葉みらい」の生産者による野菜、水産品では、内房、外房の各漁港から直接仕入れる商品も展開する。
また、大容量の冷凍食品や大容量パックの肉や魚をそろえる他、健康や環境への意識の高まりも受け、近年注目されている大豆ミートや植物性ミルクなどの商品も品揃えする。
また、生鮮、惣菜売場には「デジタルサイネージ」を設置し、商品提案や買い得情報の提供などを実施する。
ヘルス&ビューティを展開する「グラムビューティーク」では、長時間のマスク着用で需要が高まっているスキンケア用品を豊富に品揃えする他、ヘルスケアコーナーでは、マスクをはじめ殺菌消毒剤や手指消毒剤などの感染症対策商品を集合展開する他、健康維持や体力増進をサポートする医薬品や健康食品を取りそろえる。
【無料】参考資料はこちら▼
イオンスタイル千葉みなと概要
所在地/千葉県千葉市中央区問屋町2-29
オープン日/2021年4月16日
営業時間/食品売場、グラムビューティーク9時~22時、イオン薬局(調剤薬局)10時~19時、専門店:ダイソー9時~21時、ポニークリーニング9時~20時
建物構造/地上1階建て
駐車台数/118台
駐輪台数/168台
敷地面積/約9450㎡
売場面積/約3280㎡(直営2640㎡、専門店約640㎡)
店長/越後直樹