フードスタイル三田店が3月7日オープン、新生イオンフードスタイルの価値提案型スーパーマーケットの新フォーマット1号店

2026.03.11

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)の一角であるマックスバリュ関東は、イオングループの首都圏におけるスーパーマーケット(SM)の再編の一環として3月1日、ダイエーの関東事業の吸収分割、イオンマーケットの吸収合併を経て社名をイオンフードスタイルに変更し、新たにスタートを切った。

「店舗数は125店舗で、売上げは約1800億円。平均の売場面積は370坪という状況。ビジョンである『豊かで健康的な食生活の価値提案型のスーパーマーケット』をつくり上げたい」(平田 炎社長)

その上で同社は3月7日、新屋号を冠した新フォーマット1号店となるフードスタイル三田店をオープンした。目指す店舗像を生鮮・デリカを強化した「鮮度・活気・楽しさ・安さを感じる店舗づくり」とし、「家族層をターゲットにした商品、売場、環境の若返りと生まれ変わり」(平田社長)を図っていくという。

三田店オープンに際し、「フードスタイル」フォーマットの具体的な考え方を発表した平田 炎・イオンフードスタイル社長

3月1日の誕生時点では、マックスバリュの他、ダイエー系、イオンマーケット系のそれぞれ複数の屋号を抱えるなど、7つの屋号が存在している。「課題は店舗年齢で、躯体年齢で会社計で29歳。これは老朽化が進んでいるということ。いままで都内の、小型店舗は特にあまり手がかけられていない。立地のメリットを生かすために、大型の投資をしながら生まれ変わらせていくのがメインの考え方になる。屋号については125店舗全部を『フードスタイル』にしたいということで、原則は考えている。エリア的には東京都内の23区のダウンタウンエリアから集中的に進めていく」(平田社長)

今回の新フォーマットは、平田社長が光洋(3月1日付でダイエーに吸収合併)の社長を務めていた2024年からの光洋やダイエー、さらに社長就任後にマックスバリュ関東、あるいはイオンマーケットで行ったPOC(Proof of Concept、概念実証)の成果を踏まえた。

その上で、マーチャンダイジング(MD)、販売(セールス)に関してそれぞれ3層構造を設定。MD軸については下から「Main(主力商品)」「Derivative(派生商品)」「Challenge(チャレンジ商品)」、セールス軸については下から「Basic(重点商品)」「Season & Trend(旬・季節・トレンド商品)」「Promotion(企画&広告商品)」を位置付ける。

さらに双方の一番下の主力商品、重点商品が「安定の美味しさ(既存顧客リピート率UP)」、真ん中の派生商品、旬・季節・トレンド商品が「行くたびに楽しい(既存顧客トライアル率UP)」、そして一番上のチャレンジ商品、企画&広告商品が「新しい美味しさ(新規顧客創造)」を担うという構造だ。

「これをぐるぐる回していきながら、お客さまに飽きない売場、目新しさをいかに提供していくかが商品全体の考え方」(平田社長)。現在はこの中でも特に、焼き鳥、カツ丼、水産部門の寿司など特に主力商品、重点商品の改廃を重点的に進めているという。併せてEDLP(エブリデーロープライス、毎日低価格)、特価特売を組み合わせながら価格面も強化していく方針となっている。

同社が強みとするダウンタウンは、人口が多い半面、不動産費がかなり高い、あるいはそもそも物件自体が少ないことから相対的に競合が少ないという利点を持つ。売場も小型化、あるいは不規則化しがちで、現在、多くのプレーヤーがその人口の多さを背景に出店を模索するものの、売場の小型化が必要となるなど、SMとしての競争力を高める上でのハードルが横たわる。

その点、イオンフードスタイルがすでにダウンタウンに店を抱えていることは大きい。日本で最も人口減少の影響を受けづらいとみられるこのエリアで強いフォーマットを確立すれば、経営面でも大きなインパクトとなるからだ。フォーマットを確立する上では、必然的にエリア内の「地域一番店」を目指すことにつながっていく。

フードスタイルの1号店となった三田店は東京都港区、東京メトロ南北線白金高輪駅から徒歩約7分、都営地下鉄浅草線泉岳寺駅から徒歩約5分のまさにダウンタウンの象徴のようなエリアの住宅地に立地。マンション1階に出店するSMで、現在の形でオープンしたのが2007年2月。この間19年が経過している。

もともとは1998年9月に平屋建てのピーコックストア三田店としてオープンし、04年の三田伊皿子店への名称変更を経て05年に建て替えのため一時閉鎖。上層階のマンションと合わせた形で07年に再オープンした形となる。

店舗はマンションの1階部分。イオンフードスタイルとして新たなスタートを切るに当たり、コーポレートロゴなどに用いるイメージカラーを瑠璃(るり)色に定めた。日本の伝統色であると同時に名前に使われることも多い色で、同社としても「美しく聡明で、芯のある人に育ってほしいという思い」を込めた。これはフードスタイルのブランドカラーも同様

三田店の売場面積は約335坪。同社の平均の売場面積の370坪よりはやや小さいが、これは東京都23区のダウンタウンエリアから転換を進めていく方向性が反映されているためだろう。改装に際しては、「300坪の店舗であっても、空間の広がり感だったり、見通しの良さを重視し、尺数についても述べ尺を含め以前よりも取れるレイアウト、什器の配置にした」(平田社長)。

品目数は食品計で約7290、衣料・住居余暇を含めると約8350。基本的にイオンフードスタイルとしては商品の絞り込みを進めていく方針で、それが反映されている。「一番分かったことは、2割削減しても、売上げは変わらないことだった。削減することで重点商品のフェースが広がり、見栄えが良くなる。そこに販促のPOPが付いて見え方が変わることによってそこの売上げが上がってくる。2割削減して売上げが上がったという店舗が多く、下がったという店は1店舗もなかった」(平田社長)

フォーマットとしては当初、粗利益率26~28%、経費率26%、営業利益率で1、2%を想定。当然、営業利益率が1%程度で良いというわけでなく、中期目標としては「2030年度をめどに2%近くまでは持っていきたい。26年度は1%をするのは正直、いまの段階では厳しい。少しずつ上げていきたいと思っている」(平田社長)。

売場先頭の農産売場は通路も広く、解放感のある空間になっている
オープン日ということもあって単品量販が目立つが、同社として商品の絞り込みと価格強化を進めている。プロモーションの「パワープライス(厳選超お買得)」は人気商品、トレンド商品を1週間~4週間(約1カ月)の期間で特売するもの
「バリュープライス(家計応援!)」はシーゾナル、もしくは通年定番商品を4週間の比較的長期間特売するもの
ダイエー時代から展開するカットフルーツのバイキング形式での展開。好みの商品を組み合わせて買える。オープン日は1個で本体価格198円、3つで同555円
水産は強化部門。対面販売的な丸物の氷上販売なども実施する。小型店であってもこうした売場があることが来店動機を生む
水産部門では寿司を展開。海鮮丼、握り寿司共に彩りにもこだわりが感じられる
水産部門では焼き、揚げなど温惣菜、米飯も展開
水産部門の惣菜ではオープン日、サケフライやキンメダイのフライなど、他ではあまり見かけない商品を展開し、目を引いていた
畜産では肉質がきめ細かく、脂肪に甘みがある「やまと豚」を売り込む。骨付き肉の「トマホークステーキ」といった商品化も
精肉はアウトパック活用も強化しながら、人員的にも効率化を図っていく。「スペシャルプライス(今週の超お買得品)」は各グループから1~3SKU選定される週替わりの週間売り込み商品。価格強化の目玉となる
主通路沿いの最終コーナーにデリカ売場を設置。ピーコックストア時代はインストアベーカリーのバックヤードも設置されていたが、改装に際し移設し、売場面積を増床させた。焼き鳥はばら売りでシズル感を出している
デリカでは「フィッシュ&チップス」をコーナー化。独自性の高い商品にチャレンジしている
デリカの商品はソースのかけ方やあしらいなど、見た目に対するこだわりも感じられる
弁当はデリカの主力商品として平台で売り込む。エスニック系の商品は単品ではく複数開発、売場での存在感を高めている
開店記念の「ダブルカツカレー」。カツが2列に渡って並び、その間にキャベツの千切りを配置。見た目のインパクトや中身にもこだわりが感じられる
主力中の主力のカツ丼は小サイズの本体価格268円の商品も用意
デリカの寿司は巻き物とちらし寿司に特化
オープン日は土曜日だったが、3人前など量目の大きな商品も目立った
デリカのサラダ売場では、生のマッシュルームとこだわりのドレッシングを合わせた「フレンチレストランサラダ」を販売。ダイエー時代からの商品
インストアベーカリーはバックヤードを移設して残した。ベーカリーの他、コッペパンやソースにこだわったバーガー類、ピザなど約45種類を展開
スイーツコーナーを設置し、とろける食感と生クリームのボリューム感が特徴の手作りシュークリーム、卵、砂糖、牛乳だけで店内で製造した昔ながらの手作りプリンなどオリジナルスイーツを売り込む
トレンド商品などが対象になるパワープライスで長野県の伝統食である「おやき」を量販
売場面積が限られることもあって、冷凍食品はリーチインケースのみで販売。ただし、通路を広く取るなど、買物環境に配慮
ワインなど酒の一部は扉付きの特殊な什器を用いている

売場や商品を変えながら1号店の出店となったフードスタイルだが、もちろん、課題も残る。代表的なものが物流。

「昨年の8月から統合準備を進めてきたが、物流については正直なところあまり手が付けられていない。システムの統合、制度の統合が重かったため、そこに集中してきた。当然、物流を改善することによって、もっともっと効率的な働き方ができると思うし、商品の仕入れの部分についてもメリットは多々出てくる。それについては基本的に26年度の上期にある程度のめどを付けたい。併せてU.S.M.Hとの協業も進めているので、U.S.M,H全体としての効率化も図れる」(平田社長)

加えて6月1日付でイオンフードサプライと合併する予定のアルティフーズ、また、ダイエーの一部店舗に設けられたプロセスセンターの衛生基準を整備した「マイクロプロセスセンター」(MPC)といったダイエー由来のインフラなども課題などを整理した上で今後も継続的に活用することを視野に入れている。

フードスタイルの2号店はすでに決まっていて、4月に改装オープンする代官山店が2号店となる。さらに「その後、3号店、4号店、5号店と続くが、立て続けに月間1、2店舗は毎月、フードスタイルを誕生させていきたい」(平田社長)と、かなりスピード感を持って投資をしながら転換を図っていく意向だ。

「投資をするからには、相応の売上目標を立てないといけない。(フードスタイルへの転換で)売上目標として1.2~1.3倍には最低限持っていきたい。あとは働き方について、ピーコックストアの店舗は(正)社員比率が高かったので、パート(タイマー)・アルバイトの比率に代えていくことで構造を変えていきたい」(平田社長)

補充のしやすさに配慮した引き出し式の什器など、効率化のための取り組みを導入しながらオペレーション効率を高める。今後は物流などにも着手し、さらなる効率化を図る

三田店では正社員は21人配置されているが、これは2号店の代官山店の担当者なども入っている。正社員については今後は300坪クラスでは農産1、2人、水産は生魚や寿司もあることから強化方針のため最低でも2人、畜産はセンターも活用するため1人、デリカもインストアベーカリー含め強化方針のため2、3人、それ以外に店長、副店長でデイリー、グロサリーはパートタイマー・アルバイトのみで合計8、9人を想定する。

現在のところ今後、2、3年は新規出店の計画はなく、投資を改装に集中させながらフードスタイルへの転換をしていくという。

レジは基本的にはフルセルフレジを主体とし、有人レジはサービスカウンター機能を含めたものに絞っていく意向

フードスタイル三田店概要

所在地/東京都港区三田4-9-7

オープン日/2026年3月7日

営業時間/9時~23時

駐車台数/41台

駐輪台数/66台

売場面積/約1154㎡(うち直営売場約1107㎡)

店長/石川義幸

従業員数/正社員21人、パート・アルバイト45.5人(8時間換算)

年商目標/約21億円

主要商圏/1次商圏7436世帯(0~500m商圏)、2次商圏2万9686世帯(0~1km商圏)

お役立ち資料データ

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