トライアルが最先端のスマートストアとなる宮田店をオープン、ムスブ宮若プロジェクトの実証実験

2022.04.22

2021.10.28

トライアルホールディングス傘下のトライアルカンパニーが10月28日、スーパーセンタートライアル宮田店をオープンした。

写真は一部イメージ

IoT(モノのインターネット)機器やAI(人工知能)技術を導入し、データの利活用をもとに新しい購買体験を提供したり、効率的な運営を可能にしたりするスマートストアの最新店となる。

宮田店は2021年7月に発表した産官学協働で推進するリテールDXを軸にしたまちづくり「リモートワークタウンムスブ宮若」プロジェクトの実証実験の場として、トライアルとして最先端の買物体験を提供することを目指す。

リモートワークタウンムスブ宮若は、トライアルと宮若市が協働して推進する地方創生、まちづくり構想。産官学による「リテールDXの拠点づくり」を目指し、リテール企業とメーカー共同で実証実験を行っている。

研究・開発施設には、花王グループカスタマーマーケティング、サントリー酒類、日本アクセス、日本ハム、P&Gジャパン、フクシマガリレイ、一般社団法人リテール AI研究会(五十音順)の他、菓子メーカー、飲料メーカー、他2社の合計10社、1団体の入居が決定。今後も複数企業の入居が予定されているという。

今回オープンする宮田店は、スマートショッピングカートをはじめとしたデバイスの開発センター「トライアルIoTラボ」、トライアルと取引先企業が共同でリテールAIの仕組みを作る「MUSUBU AI」で開発されたリテールテックや IoT機器の実証実験を行う場として活用される。

同店では、自社開発の「スマートショッピングカート」を約200台、「リテールAIカメラ」を約200 台、「デジタルサイネージ」を約120台導入する他、店舗初実装となるAIカメラとセンサーを備え、欠品検知・情報連携で店舗運営を効率化する冷蔵ケースの「AI冷蔵ショーケース」を18台設置。

スマートショッピングカートは、専用のプリペイドカードをカートに登録し、付属するスキャナーでお客自らが商品バーコードを読み取ることで通常のレジでの商品登録や会計の手順を省き、専用ゲートを通過するだけでキャッシュレスでの会計ができることが特徴。レジ待ちの時間を大幅に短縮すると共に、店舗オペレーションの省力化を実現する。売場でスキャンした商品に応じたレコメンドをカート付属のタブレット画面に表示したりその場で使えるクーポンを配信したりするといった機能も搭載。すでに全国269店のトライアルのうち47店舗、合計約5000台が稼働している。

リテール AI カメラは、小売店での使用に特化したAIエンジンを搭載したカメラ。商品棚の監視やお客の店内での動線分析を行うことで、発注や補充オペレーションの最適化を図り、お客が欲しいものを欲しいときに買うことができるような、快適な売場づくり実現を図る。リテール AIカメラはトライアル64店舗で合計約3800台が稼働している。

デジタルサイネージの活用では、店舗全体もしくは売場単位で、全ての機体が同一の音声付き動画・静止画を表示する「フィーバータイム」、惣菜売場で作りたて、揚げたて商品の品出しを知らせる「出来たて動画」など、お客に新たな価値を提供するための試みに積極的に取り組むとしている。

デジタルサイネージは、トライアル37店舗で約1200台が稼働中。

AI冷蔵ショーケースは、AIカメラやセンサーで商品の欠品を監視する冷蔵ケース。従来は欠品が発生していないかどうかは担当者が目視で確認していたが、AIカメラやセンサーでこれを代替できるようになる。欠品した商品、欠品したタイミングが担当者に情報連携され、商品の発注や補充業務に活用できる。

また、ケースにはLEDが設置され、色によっていつ欠品が発生したかが分かるようになっているという。

日本語が不得意な外国人の担当者でも直感的に理解できるように、実際の店舗オペレーションを想定した工夫を施した。コンセプトは「商品を陳列するケースが人をサポートし、一緒に売場づくりをより良くしていくこと」だという。

Retail AI(トライアルホールディングスの技術開発を主導)の永田洋幸社長は次のようにコメントしている。

「すでに複数の企業・団体さまがMUSUBU AIに入居を決めてくださったことはもちろん、想定より多くの企業さまから参画の打診をいただいていていることをありがたく感じています。今回、重要な実証実験店舗となる宮田店が開店したことで、私たちと参画企業さまによるリテールDXのオープンイノベーションを一層スピードアップさせていきます。産官学連携、参画企業・団体さまとの協働により、『宮若=日本のシリコンバレー』実現を目指します」

トライアルでは、リアル店舗での買物では約8割が「非計画購買」といわれていることから、スマートショッピングカートのレコメンドやクーポン配信、デジタルサイネージを活用した独自コンテンツでの訴求など最新テクノロジーによる「リアル店舗のメディア化」をテーマとした取り組みを実施することで、商品とお客のマッチングを促進し、買物体験の向上を図っていくとしている。

スーパーセンタートライアル宮田店概要

オープン日/10月28日

所在地/福岡県宮若市宮田109-1

営業時間/24 時間

店舗面積/約1100坪

駐車場/188台

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