話題のメタバースを体感できるアプリとは?代表的なアプリ・サービスをまとめて紹介

2022.11.08

2022.08.31

昨今のトレンドと言えるほど、ゲーム領域やビジネス領域などで頻出するようになったメタバース。曖昧に捉えられるケースの多い用語で、意味を把握し切れていない人もいるはず。

本記事では、メタバースの概要から注目される理由、実現できること、メタバースを体感できるアプリ・サービスまで解説していく。

メタバースとは?

メタバースとは、インターネット上に構築された仮想空間を意味する用語。明確に定義はされていないため、今後用語の意味が変わってくる可能性も考えられる。

自分自身の分身であるキャラクターのアバターを操作し、仮想世界を体験できるのがメタバースの大きな特徴。オンラインゲームで活用されるケースも多かったが、昨今ではバーチャルオフィス・バーチャルショッピングなど、ビジネス領域での利用も増えてきた。

メタバースは、Meta(超越)とUniverse(宇宙)の2つの用語を組み合わせた造語であり、「メタバース元年」とも呼ばれる2022年から世の中に浸透し始める。しかし、用語自体は1992年に発行されたSF小説『スノウ・クラッシュ』内で初めて登場。その後、2003年にはメタバースの先駆けとして、現実世界と異なる生活を3次元空間上で送れる「Second Life」や、2009年には仮想空間アバターコミュニティである「アメーバピグ」といったサービスもリリースされていた。

これらは「早すぎたメタバース」と揶揄されることもあるが、デジタル・イノベーションが進む現代において、メタバースは着実に普及。旧Facebookも社名をMetaへ変更し、メタバースの構築に躍起になっている。

メタバースが注目される理由や実現できること

古くからプラットフォーム自体は存在していたメタバースだが、なぜ急に注目が集まったのか、その背景や実現できることを解説していく。

コミュニケーションのデジタル化

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、各企業でリモートワークが推奨されているが、同時にICTを活用したコミュニケーションのデジタル化も加速した。そのコミュニケーション方法の1つとして利用されるツールが、メタバースだ。

コミュニケーションツール自体はテレビ電話など、コロナ禍以前も数多く提供されていたが、業務に積極的に取り入れる企業は少なかった。しかし、オンライン上でのやり取りがやむを得ない現代においては、ZoomやMicrosoft Teamsをはじめ、メタバースを活用したコミュニケーション空間の構築も進んでいる。

チーム・複数拠点間で連携を図れるのはもちろん、アバターで臨場感溢れるコミュニケーションを取れるのも、メタバースの魅力と言えるだろう。

VR機器の普及・技術の進歩

VR機器の普及およびその技術が進歩したのも、メタバースが注目を集める背景の1つである。メタバースとVRは混同されがちであるが、メタバースは仮想空間そのものを意味し、VRは仮想空間を感じ取れるデバイスなど手段を指す。

VR空間では、映像を立体的に捉えられるだけでなく、移動する・物体に触れる・顔の向きを変える・音の方向を感じるなど、現実さながらの動作を実現できる。また、機器の軽量化やワイヤレス化も進み、VRはますます注目を集めている。

VR技術の発展に加え、新型コロナウイルスの流行も後押しし、VRの市場規模は年々拡大。年率20%に近い成長率が見込まれており、VR技術の延長線上にあるメタバースも、今後市場規模は拡大すると予測されている。

NFT市場の拡大

NFTとは、「Non-Fungible Token」の略称で、「代替不可能なトークン」という意味を持つ。デジタルデータの一種であり、偽造・改ざんが困難なブロックチェーン技術を利用しているのが特徴。鑑定書の役割を果たすことで、デジタルコンテンツの所有権を明確化でき、NFTの出品者は一点ものとしての価値を証明可能となっている。

NFTはアート・ゲーム・チケット販売・不動産・金融・スポーツなどさまざまな分野で利用され、市場規模は伸長しているが、メタバースでデジタルデータを作成するといったNFT活用事例も増えてきた。注目を集める2つの技術の融合で、両市場のさらなる拡大を期待できるだろう。

メタバースを体感できるアプリ・サービス

先述の通り、2022年から大きく関心を向けられるようになったメタバースだが、すでにアプリ・WEBサービスなど多様な分野で活用が進んでいる。ここでは、メタバースを体感できるアプリおよびサービスを見ていこう。

ゼペット

出所:ZEPETO

進化し続けるメタバースとして、iOS・Android向けに提供されているアプリが「ゼペット」だ。仮想空間上でオリジナルアバターを自由自在にカスタマイズし、自分だけの可愛いを表現できる。

ゼペットはこれまでグッチ・クリスチャン ルブタンといったハイブランドをはじめ、ナイキ・アディダスなどのスポーツブランド、ディズニー・サンリオともコラボを実施。おしゃれなファッションアイテムで、アバターを着飾ることも可能だ。

ゼペットの最大の特徴としては、世界中のユーザーと楽しくコミュニケーションを取れる点が挙げられる。オリジナルアバターを共有し、投稿・掲示板・メッセージ機能を使用して趣味の合う友達を発見。さらに、ボイストークやチャットトークだけでなく、一緒にゲームをプレイしたりと、メタバース上でワールドワイドな交流を楽しめる。

メタパ

出所:Metapa

リアルとバーチャルを融合した、メタバースショッピングモールを提供しているのが「メタパ」だ。スマホアプリ内のバーチャルな空間に商品が陳列され、実際に店舗を訪れているかのようにショッピングを楽しむことができる。

商品に触れることで、バーチャルな商品体験が始まるのも魅力。製品を使用する流れやAR表示機能を利用して実際のサイズ感もチェックでき、実物とイメージのギャップを埋めることにもつながる。気に入った商品があれば、そのままECサイトへ遷移して購入も可能だ。

メタパの由来は「メタ」+「パーティ」であり、友達や家族と一緒にバーチャルショッピングを行えるのが1つのコンセプト。時間・場所の制約なく、みんなでショッピングを楽しみたい人に最適なアプリと言えるだろう。

クラスター

出所:cluster

メタバースプラットフォームとして、累計100万ダウンロードを突破している人気サービスが「クラスター」だ。オリジナルのアバターを作成し、メタバース上で開催されるイベントに参加するなど、非日常的な体験を行える。

2022年にリリースされたワールドクラフト機能も、人気コンテンツの1つ。現実では実現できない空間を、プログラミングの知識・技術不要でバーチャルに作成可能。クリエイティブな感覚を養うことにもつながる。

また、クラスターはスマホだけでなく、パソコンやVRヘッドセットからもアクセスできる。ワールドクラフト機能はVR機器でも利用可能なため、壮大なスケールを楽しみながら、自分だけの空間を作り上げていけるのも魅力だろう。

フォートナイト

出所:epicgames

バトルロイヤルゲームとして、子供から大人まで幅広い世代で人気を博しているのが「フォートナイト」だ。武器を集めたり建築物を作りつつ、最大100人で生き残りをかけて戦うゲーム。課金要素はあるものの、プレイヤーのコスチュームやスキンを変更でき、好みの容姿でゲームをプレイできる。

フォートナイトでは、ボイスチャット機能も利用可能。展開の早いシューティングジャンルのため、テキストチャットではコミュニケーションのやり取りが追い付かないが、ボイスチャットで仲間と戦略的にゲームを進められる。自宅にいながらも、リアルと遜色ない臨場感のある対話を友達と楽しめるコンテンツとも言えるだろう。

あつまれ どうぶつの森

出所:nintendo

プレイヤーが無人島の住人になり、島を自由に開拓していくゲームが「あつまれ どうぶつの森」だ。ジェラートピケ・アナスイ・ユニクロといったファッションブランドや、八景島シーパラダイス・近鉄・日本ハムなどの企業、メトロポリタン・漢字ミュージアムなどの美術館ともコラボ。現実世界と仮想空間を融合した数多くのコンテンツが提供されている。

また、ゲーム内では現実と同じ時間が流れているのもポイント。季節のイベントを楽しめるだけでなく、月に応じた魚や虫を捕まえることも可能で、仮想空間ながら現実に寄せたコンテンツが非常に多いゲームだ。

ポケモン GO

出所:pokemongo

現実世界の位置情報と連携し、スマホ越しにポケモンと遭遇・入手できる拡張現実を実現しているのが「ポケモン GO」だ。昨今のメタバースはVRをベースとしたサービスがほとんどだが、ポケモン GOはARベースのメタバースとなっている。

ARメタバースのポケモン GOは現実を主軸としているため、唯一無二の世界と言える。その一方で、VRメタバースは無数に仮想空間を構築可能。

多様性の高さが魅力のVRメタバースだが、現実世界と完全に遮断せず、家族や友達とのつながりを喪失しにくいARメタバースの必要性も一部企業は呈している。

バーチャルマーケット

出所:summer2022.vket.com

メタバース上でアバターといった3Dデータ商品や、飲食物・ファッションアイテム・PCなどのリアルな商品を購入できるのが、バーチャルマーケットだ。2022年の夏は「バーチャルマーケット2022 Summer」と題し、8月13日~28日まで期間限定で開催。

株式会社HIKKYが2018年から企画・主催するマーケットイベントで、世界中から100万人以上が来場し、ギネス記録にも認定されている。過去には80以上の企業も出店した大規模なイベントだが、ここではスーパーのベルクと大丸松坂屋百貨店の出店事例を見ていく。

ベルクは、ニューヨークのタイムズスクエアを模した仮想会場「パラリアルニューヨーク」に、「ベルク VRニューヨーク店」をオープンした。現実では実現できないバーチャルストアならではのコンテンツとして、ショッピングカートに乗ってタイムを競う「Belc Kart」を開催。ストア内のドリンクを取得すると、カートのスピードがアップするなど、スーパーの商品に即したゲーム要素も盛り込んでいる。

大丸松坂屋百貨店は、メタバース上に虹色ラムネ・しろくまアイス・盛岡冷麺・藁焼きカツオなど、夏を感じるごちそうグルメ600点以上を販売。購入品は後日配送で受け取れる。

大丸松坂屋百貨店の400年の歴史を学べるアトラクションや、ビアガーデン・遊具も用意。さらに、スタッフアバターがおすすめ商品の魅力を紹介するメタバース接客を受けることも可能だ。

REV WORLDS(レヴ ワールズ)| 三越伊勢丹

出所:rev-worlds

三越伊勢丹ホールディングスが、コミュニケーションプラットフォームとして展開する仮想都市が「REV WORLDS」だ。メタバース上に出店されている仮想伊勢丹新宿店では、洋菓子・ワインが並ぶデパ地下や、婦人服のスタイリングショップ「ReStyle」などでショッピングが可能。

その他、バーチャル東京ドームやルーフトップガーデンといったフォトスポットも実装されている。スマホアプリさえインストールすれば、24時間いつでもどこからでもアクセスでき、加えて友達ともショッピング・街歩きを楽しめる新しいデジタル体験である。

Horizon Workrooms

出所:Horizon Workrooms

VRヘッドセットのMeta Quest 2を利用し、メタバース上でバーチャル会議室を構築できるのが「Horizon Workrooms」だ。Metaが提供するツールであり、自宅にいながらチームワークを形成できるのが大きな特徴である。

例えば、ホワイトボードにアイデアを書き出して共有、バーチャル画面を映し出してプレゼンを実施、隣の人とジェスチャーでコミュニケーションを取って一体感を高めるといった生産性を向上させる多様な仕組みを用意。また、チームで集まって雑談するなど、在宅でも会話の機会を容易に創出できる。

さらに、自身のPC・キーボードをメタバース上に実装し、タスクをこなすことも可能。リモートワークで集中力が低下してしまう人に、作業環境を整えられるHorizon Workroomsはおすすめと言える。

Mesh for Microsoft Teams

出所:microsoft

複合現実プラットフォームである「Microsoft Mesh」と、チャット・ファイル共有・ビデオ会議などの機能を有する「Teams」を融合したツールが、「Mesh for Microsoft Teams」だ。

昨今、ツールを用いて社員同士がオンラインで容易にコミュニケーションを取れるようになったが、ビデオ会議では相手のパーソナルな部分を読み取りにくく、人間関係やキャリアを築く機会が減少。また、ビデオ会議でカメラをオンにせず、静止画像やイニシャル入りアイコンで参加し、相手の表情すら確認できないケースが頻発していることも、Microsoftは問題視した。

そこで、Microsoftはこの課題を解決すべく、Mesh for Microsoft Teamsを発表。アバターでオンライン会議に参加することが可能であり、お互いの存在を感じながらプロジェクトを共同で進められる。

その他、3D空間にチームメンバーを集結させてイマーシブなミーティングを開催したり、ドロップインスペースを設けて社員同士の雑談の機会を作り、信頼関係の構築につなげていく。

メタバースのまとめ

メタバースは次世代のSNSと言われるほど、経済規模が拡大している。現に、MetaやMicrosoftをはじめ、パナソニック・ソニー・キャノンといった日本の大手企業も、メタバース事業に参入。新たな顧客体験を提供し、ビジネスモデルの変革を目指す企業が増加してきた。

多様な可能性を秘めているメタバース市場は、まだまだ発展途上。参入する場合は市場動向にアンテナを張り、事業を展開していきたい。

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