サミットとAIソリューション提供のPKSHAがアルゴリズムによる店舗の作業割当表作成支援システムを共同開発
2023.03.24
サミットは、自社開発の機械学習、深層学習領域のアルゴリズムを用いたAI(人工知能)ソリューションの開発およびAI SaaSの提供を行うPKSHA Technologyと組み、アルゴリズムによる作業割当表作成支援システムを共同開発。2023年4月よりサミット全122店舗に展開すると発表した。
首都圏にスーパーマーケット122店(2023年3月時点)展開するサミットではアルバイト、パートタイマーを含め従業員約1万8000名が働く。サミットでは業務効率化、生産性向上のため1985年から独自の人材配置手法「L.S.P.(レイバー・スケジューリング・プログラム)」を導入してきたが、今回、その作成作業についてAIによる自動化を図る。
L.S.P.は、効率的な人員配置を可能にする仕組みとして機能発揮してきたが、他方、実態として時間がかかる場合は1日30分〜1時間程度をかけて当日の人員稼働計画の作成を行う必要があり、効率化が大きな課題となっていた。
また、高度な店舗マネジメントのためには従業員それぞれの習熟度や運営状態の可視化も必要であるが、これも課題となっていた。
これらの課題解決と高度化を目指し、サミットとAIの社会実装実績をもつPKSHAが協働し、システムの開発に至った。
サミットの人材配置手法であるL.S.P.は、前月に予測した売上計画に必要な作業量の基準値に対し、スキルに応じて人員を配置するプログラム。約200の作業項目や優先度をはじめ、多数の要素を考慮して10分単位で作業の割り当てを行っている。
一方で、必要な項目は時間帯や作業区分、担当者、業務内容など多岐に渡る他、店舗責任者の経験値が必要となっている。
今回、PKSHAが提供するアルゴリズムにこれらの情報を入力することで、設定された優先順位と出勤情報に応じて最適な作業割当表作成が約1分で自動化されるようになる。膨大な組み合わせの中から、ある条件のもとで目的関数を最大、最小にする解を求める数理最適化アルゴリズムを使用。
具体的には、出勤者データ、作業や時間帯ごとに設定されている作業割当ルール、作業区分の優先順位、作業者の優先順位といった複数のパラメーターを元にアウトプットを出すことで、開店から閉店までの10分刻みの作業割当表を数万通り作成した上で最適な1パターンを推奨することで作業割当表作成を支援する。
さらに、機械的に作業割当情報を出すだけではなく、その日特有の条件を加味した店舗責任者のリクエストを事前に入力し、その情報を考慮したアウトプットデータを出せる柔軟性の高さも特徴となっている。
これを使用することで作業割当表作成業務の95%が自動化される見込み。1日30分〜1時間かかっていた作業時間が10〜20分程度に短縮することから、年間8万時間程度(人件費換算1.2億円相当)の業務削減効果が見込めるという。
また、2週間先まで作業割当表を作成できるため、出勤依頼や変形労働などの計画を早期に行い、特定の従業員に偏らないバランスの良い勤務シフトを組むこともできる。人事異動や中途入社などで店舗責任者となった経験が少ない従業員の場合でも、着任後スムーズに作業割当表が作成できるなど、先回りした稼働計画の策定が実現可能だという。
さらに、これらの自動化により創出された時間と蓄積されたデータを元に、効率的な売場検討、人員計画や課題分析を行い、より高度な店舗マネジメントも目指す。
今回の取り組みに当たっては、22年9月から6店舗で試験的に導入を開始。23年4月に全店舗への導入が完了する。
今回の取り組みに当たって、サミット執行役員山元淳平氏は次のようにコメントしている。
「今回ご縁あってPKSHA Technologyの皆さまと一年越しで議論し、全店導入まで進められたことを心からうれしく思っております。単純にAI活用ありきではなく、弊社のオペレーションにきちんと向き合っていただいた上で、弊社として大事にすべき不変のものと、変えるべきものと、整理する良い機会にもなりました。PKSHA Technologyさまのビジョンである『人とソフトウエアの共進化』と、弊社事業ビジョンである『サミットが日本のスーパーマーケットを楽しくする』の視点が掛け合わさった、意欲的なプロジェクトになったと感じております。ここからが本番ですので、弊社社員のより働きやすい環境づくりに寄与し、お客さまがお買物を楽しんでいただけるお店づくりに引き続き努めてまいります」