日本IBMと順天堂大学がメタバース面会アプリMedical Meetup」を共同開発
2023.07.26
順天堂大学と日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は、メタバース上で入院患者との面会ができるメタバース面会アプリ「Medical Meetup(以下 本面会アプリ)」を共同で開発し、2023年7月31日よりアプリストアでの一般配信を開始する。
また、翌日2023年8月1日より順天堂大学医学部附属順天堂医院にて、本面会アプリの運用・臨床研究を開始する。順天堂大学と日本IBMは今後、本面会アプリを、他の医療機関へ展開したり、講演会・遠隔診療などへユースケースを拡張していくことも検討していく。

入院患者にとって家族や親しい人との面会は、ストレス軽減や癒しを与え、病気に立ち向かう力にも繋がってくるほど重要と言われているという。しかし、高度な医療を受けるために入院していると容易に面会ができなかったり、感染症の流行等で面会の制限を受けることもある。
また、身じたくや装いなど面会をすることへの気遣いや遠慮、時間的な制約によって面会がかなわないことも少なくない。電話やオンライン面会は、このような状況下でも気軽に使えるコミュニケーションツールとして多く利用されているが、対面のような「ぬくもり」に欠けるところがあった。
順天堂大学と日本IBMはこうした状況に対し、2022年に発足したメディカル・メタバース共同研究講座の複数あるテーマの一つとして医療サービスの向上を検討してきた。そしてこの度、患者と病院外の方が様々な制限や制約などを乗り越え、実際に対面で会わなくても「ぬくもりのある面会」が実現できるメタバース面会アプリを共同で開発し、一般配信を開始する。
本面会アプリでは、患者と面会者のアバターがリゾート施設等の非日常空間で会話をしたり、お出かけや乗り物での移動、ハイタッチ等で擬似的に触れ合えるなど、通常の面会の枠を超えた体験を楽しむことができる。
また、2023年8月1日より順天堂医院小児医療センターに入院している小児患者と家族がメタバース面会アプリでふれあう機会が増えることでより元気で心穏やかにすごせることを目指した運用・臨床研究を開始する。
運用・臨床研究では、賛同してもらえる一定期間以上入院している小児患者とその家族を対象に、本面会アプリを実際に使用して評価してもらう。そして、面会をサポートする医療従事者も、本面会アプリの評価を行い、ニーズに添えるように改善も検討していく。
今後は本面会アプリを様々な医療機関へ展開し、国内外の患者の面会体験の向上、及び、病気に立ち向かう力を支援する基盤にすることを目指す。
また、身近な方との面会のみならず、医療講演会や遠隔診療、国内外コミュニティー広場などの各種医療サービスも提供できるよう、患者家族間のみならず医療従事者とのコミュニケーションも含めて活用シーンを広げていくことを検討していく。
■メタバース面会アプリ「Medical Meetup」の特徴

・医療機関が監修する、患者面会支援メタバースアプリ
点滴を受けている等で腕の動作に制限がある患者向けに、アバターを操作するコントローラーの位置を自身でカスタマイズできる機能があるなど、患者・医療従事者にとっての使いやすさを考慮してデザインしている。そのため、患者がすぐに利用でき、どの施設でも導入しやすくなっている。
・非日常空間での面会・お出かけが可能
通常の病院の中での面会ではなく、リゾート施設等の非日常空間でよりリラックスした面会が可能。また、気球などの乗り物に乗ったり、ビーチで動物とふれあうなど、一緒にお出かけをしているような面会体験ができる。
・アバターを通した、ぬくもりのあるコミュニケーションの実現
音声会話だけでなく、ハイタッチ等の擬似的な触れ合いにより、リモートでもよりぬくもりのあるコミュニケーションが可能になる。また、あえて顔が見えないアバターを通して、より気軽に、遠慮なく自分を表現して会話できるようにしている。
アプリケーション基本情報
アプリ名 : Medical Meetup
対応OS:iOS、iPad OS (11.0以降)
対応デバイス : iPhone 8以降、iPad第7世代以降対応
配信開始予定日:2023年7月31日
価格:無料
なお、本面会アプリは、複数の利用者同士のコミュニケーションを支援するための環境を提供するものであり、医学的アドバイス、診断、治療、予防などは目的としていない。
注釈
※1 アバター:バーチャル空間などにおいて、操作者本人や他の利用者に紐付けられたキャラクターの画像やアイコン、3Dモデルなどのこと。バーチャル空間内で活動できるテクノロジー。
※2 メタバース:現実世界とは異なる3次元の仮想空間(オンライン空間)のこと。バーチャル空間では、アバターを通じ様々な人が自由に活動・交流できる。
※3 メディカル・メタバース共同研究講座:2022年4月に順天堂大学内に設立された共同研究講座(講座代表者:順天堂大学医学部長・研究科長服部 信孝)。メタバース技術の活用による時間と距離を超えた新たな医療サービスの研究・開発に取り組んでいる。