データ活用が現場従業員の意識を変えるウイングアークが小売企業に提案する最適なデータ可視化の仕組み

2023.09.15

2023.09.05

リテールDX(デジタルトランスフォーメーション)への注目が高まり、多様なデジタルツールを導入しデータ活用に取り組む一方で、現場でのデータ活用が定着していないという悩みを抱える小売企業も多いのではないだろうか。

[PR/ウイングアーク1st]

全体最適化されたデータの活用は現場の動きを変え、従業員に意識変革をもたらす。2023年7月5日に開催されたオンラインイベント「リテールDXカンファレンス データから市場を読み解くこれからの小売マーケティング」において、データ活用ソリューションを提供するウイングアーク1st(以下、ウイングアーク)の大沢氏が、小売企業に最適なデータ活用方法とその仕組みづくりについて語った。

小売業が抱える課題と消費者の行動変化、双方に対応する必要性

冒頭で大沢氏は、小売業界が抱える環境の変化と課題を整理した。1つめは「既存店での売上げの減少」、2つめは「人手不足」、3つめは「人材育成」である。

まず売上げについては、「もともと人口の減少とし好の多様化というトレンドがあったが、コロナによって購買行動が激変し、物価上昇による節約志向が拍車をかけ、従来のマーチャンダイジングでは対応できなくなっている」と大沢氏は指摘する。

さらに、業界全体で人手不足と人材育成が深刻な問題になっているという。「小売業界では慢性的な人手不足の状態が続いている。社員は新卒2、3年ですぐに辞めてしまい、アルバイトを含めて人を確保できないという問題が常に付きまとっている。また店舗では、業務が属人化・ローカルルール化していて特定のアルバイトしか対応できない、引継ぎができないというケースが多く、そもそも店舗の中での活動や取り組みをデータ化することが難しい。その結果人も育たず、店舗やスタッフを評価する際にもエビデンスに基づいた正しい評価ができない」(大沢氏)

小売業界が抱える3つの環境の変化と課題

続いて大沢氏は、消費者側の行動変化に言及する。まず、IBMのInstitute for Business Valueレポート2022のデータを引用し、コロナ禍の急激なオンラインシフトでEC(電子商取引)市場は伸びているものの、店舗での売上げが占めている割合は依然として高いことを指摘する。

その中で消費者行動を年代別に見てみると、年代が若くなるにつれてデジタルとリアルを組み合わせたハイブリッドショッピングを選択する割合が増えているという。

それを踏まえて大沢氏は、「デジタルとリアルが常時つながった状態で、より満足度が高い購買体験が求められている。具体的にはチャネル間の一層の連携が消費者のニーズに応える鍵になっており、単純にEC化やデジタル化を進めればいいのではなく、店舗運営も今まで以上に魅力的にしていく必要がある」と、小売企業が置かれている市場環境を分析する。

デジタル化が進む裏側でシステム・データのサイロ化が問題に

デジタル化に関しては、実際に多くの小売企業がDXブームも相まってECやマーケティングの販促ツール、店舗の決済システムなどのシステムを続々と導入している状況である。ただし「現状では個別最適にとどまり、データ分析にも弊害が生じている」と、大沢氏はデジタルを有効活用できていない小売各社の現状を指摘する。

「それぞれデータが分かれてサイロ化しているため、全体的なデータを見ようとすると時間がかかってしまう。結果として、正確な効果検証や要因分析が困難になり、受け皿である店舗に情報過多やオペレーションの複雑さというしわ寄せが生じ、パフォーマンスの低下という現象も見受けられる」(大沢氏)

実際に、現状の環境下で小売企業が売上分析や効果分析によって店舗での取り組みを評価する際には、POSや基幹システムのデータの数値だけを見て評価をし、その他の情報は“感想”という形で上積みしていくケースが多い。

例えば、キャンペーンを実施して商品の販売数が伸びた場合、従来のレポートでは購買人数、時間帯、客単価程度の情報しか記されていないため、明確な理由が分からずに客観的な判断ができず、結果として施策の改善や横展開になかなかつながらないという悪循環が生じている。

「レポーティングをする側も、フィードバックがないので最終的に何となく作業をするようになってしまい、ルーティン的な作業になってしまう。作業化されてしまう事で、工数や人材が無駄になってしまうという事も問題になっている」(大沢氏)

さらに組織の上のレイヤーでも、売上げを管理しているエリアマネージャーがある店舗で客単価が下がった理由を尋ねた際、店長からは推定レベルでしか答えが返ってこない。会議のためにデータを集めて分析しようとしても、情報システム部門に頼んで分散したシステムからデータを集めてまとめるまでに時間がかかってしまう。当然切り口を変えた多角的な分析もできず、結果的にタイムリーなデータ活用ができていないという状況が生じている。

大沢氏は、「小売業でデジタル化を進めて現場に生かしていくためには、『現状の個別最適に導入されて全然つながっていないようなシステム』『感覚的な要因分析で本質の課題や良かった取り組みが把握できていないこと』『分析のためのデータを取り出すためのリードタイム』――という3つの問題を解決していかねばならない」と語る。

社内でのデータ活用を高度化させるDr.SumとMotionBoard

これらの課題を解決するためにウイングアークでは、データ分析ソリューションとして「Dr.Sum(ドクターサム)」と「MotionBoard(モーションボード)」を提供している。Dr.Sumは、様々なデータをためて高速に集計するデータベースエンジンであり、MotionBoardは、Dr.Sumなどに入っているデータをわかりやすく直感的に可視化するダッシュボードツールとなる。

「社内のデータを一旦Dr.Sumにため、それらをMotionBoardやDr.SumのDatalizerというインターフェース製品で分析していく。それを情報システム部門でとりまとめて展開するのではなく、直接本社や店舗の担当者が自由にアクセスできるという運用が可能になる。

今までは設定されていた帳票やデータでしか集計ができず、さらにデータが分散していたことによってタイムリーな分析ができていなかったが、そのような課題も解決できる。分析時には、ダッシュボード上で直感的に画面を見ながらマウス操作で分析を進めていくことができるので、リアルタイムで必要なデータを取り出すことができる」(大沢氏)

Dr.SumとMotionBoardの概要
Dr.SumとMotionBoardでできること

セッション内で大沢氏は店舗でのデータ活用イメージとして、店舗運営に必要なKPI(重要業績評価指標)を一元化したMotionBoardのダッシュボードを紹介。画面には、売上げや客数、客単価、人件費、廃棄金額などの項目が一覧表示されているが、BI(ビジネス・インテリジェンス)を導入していない多くの小売企業では、それらのデータについて個別のシステムでデータを確認していくことはできても、一画面ですぐに確認することはできない。このように一元化して分かりやすく、すぐに確認できる状態を作っておくことで、店舗レベルでデータ活用の定着が促進されると大沢氏は語る。

「例えばキャンペーンや注力商材を登録していくと、キャンペーンの進ちょくや併売の状況が確認できる。他にも客単価が下がっている場合などは、一週間を通してどの曜日、どの時間帯が下がっているのかをワンクリックで深掘りできるようになっていて、そこからデータに基づいた改善策を検討できるようになる。操作が簡単なので誰でも使うことができ、全員がデータを扱う状況を作っていくことができる」(大沢氏)

店舗のKPIを一元化したMotionBoardのダッシュボード例

デジタルツールはいくら機能が優れていても、現場に定着しないと意味を成さない。ある意味、導入以上に高いハードルであるともいえる。そこでウイングアークでは、現場でルール化をして意識づけを行うことを推奨している。

「例えば店舗の場合、スタッフがシフトインするときや朝礼の際に必ずボードの画面を見て、店長と数字をもとにどのようなアクションをするか相談し、結果をフィードバックするようにする。手を打った施策の成果に関して次の日にリアルタイムにデータが見られるので、結果がどうなったかを振り返ることができ、従業員のモチベーションアップにつなげていくことができる。アクションとフィードバックを繰り返し行い、日々変わるトレンドへの対応や改善をして、施策実行のサイクルをスピードアップさせることで、魅力的な店舗運営につなげていくことができる」(大沢氏)

店舗スタッフの意識変化を起こし業績改善につながったデータ活用の事例

セッションの最後に大沢氏は、ダッシュボードを有効活用している小売業のユーザー事例を紹介した。同社では、以前は実績資料を毎日2人がかりで2時間の作業時間を費やしていたが、MotionBoardの導入によって、最新データが自動的にダッシュボードに反映されるため、資料作成の工数がほぼゼロになったという。

さらに、それぞれのスタッフが勘と経験でばらばらに買入価格や販売価格を決めたり、売れない店頭在庫をそのまま放置して“どんぶり勘定”の経営に陥ってしまっていたところを、各店舗の買取、販売、在庫データを可視化して適切なアクションを取ることで、各店舗スタッフの意識変化を起こし、業績改善につなげているとのことである。

小売業でのユーザー事例概要

「現在はDXの名のもとで、さまざまなシステムが導入されてデータの可視化やデジタル化が進んでいる。その際にウイングアークの製品群を活用すれば、あらゆる部署に対応した全社のデータ基盤を1つのプラットフォームとして構築し、小売企業の本部と現場をリアルタイムにつなぐデータドリブンの環境を実現することができる。データ活用を一気通貫で現場の人にまで定着させるために、Dr.SumやMotionBoardを役立ててほしい」(大沢氏)

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