750種類のアプリ運用で見えた成功事例 成果に差が出る小売アプリの“鉄板施策”をヤプリが語る

2023.09.29

2023年7月5日に開催されたオンラインイベント「リテールDXカンファレンス データから市場を読み解くこれからの小売マーケティング」にて、ノーコードのアプリ開発プラットフォーム「Yappli(ヤプリ)」を提供するヤプリ神田氏が、成果が出る小売アプリ運用の仕組みづくりについて語った。

[PR/ヤプリ]

昨今のtoCビジネスでは、多くのサービス事業者が顧客との関係を強化するために自社アプリを活用している。顧客チャネルの一環として自社アプリを有効活用することで、既存のファンはもちろん、新たに接点を持った顧客と良い関係性を築けるようになる。

ただしそのためには、アプリ開発そのものに加えて、顧客の声を踏まえた上での打ち手と運用の仕組みが必要だ。2023年7月5日に開催されたオンラインイベント「リテールDXカンファレンス データから市場を読み解くこれからの小売マーケティング」にて、ノーコードのアプリ開発プラットフォーム「Yappli(ヤプリ)」を提供するヤプリ神田氏が、成果が出る小売アプリ運用の仕組みづくりについて語った。

「アプリ経由売上50%超え!成果に差が出る小売アプリの鉄板施策」
株式会社ヤプリ マーケティング部 神田 静麻氏

コロナ禍でECアプリのセッション数が急増

昨今ではコロナ禍とデジタルツールの普及により、顧客の購買行動に変化が生じている。その中で神田氏は、「コロナ禍を経てEC(電子商取引)が伸びており、特にECアプリのセッション数が大幅に増加している」という現状を指摘する。

実際にAdjustとLiftoffが公表している「モバイルアプリトレンド2022」によると、20年から22年で国内のECアプリセッション数は約30%増加し、21年と22年の比較でも同様に伸びているという。つまり行動制限が緩和されて外出できるようになり、デジタルでもリアル店舗でもモノが購入できる中で、依然としてECアプリの利用は伸びているということになる。

「消費者が利用シーンに応じて便利な方を選択できるようになっている中で、消費者のデジタルリテラシーが上がっている。モノを購入してもらったり、サービスを利用してもらったりするためには、どれだけデジタル化できているかがポイントになってくる」と神田氏は語り、事業者側のEC対策の重要性を訴える。

ECにおいて顧客の認知から購買に至る導線としては、主に「Web」「SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)」「自社アプリ」という3つのルートが挙げられる。ただし、「どれか一つを整備すれば良いという事ではなく、用途に応じて使い分けるという意識が必要」と神田氏は説く。

「新規顧客との接点を獲得していきたい場合は、Webが適している。消費者は、グーグルやヤフー検索を通じて製品やサービスを知り、より理解していく。認知を得た後は、SNSを通じてコミュニケーションを取っていく形が有効となる。その他に、新しい情報の取得でも使われる。自社アプリは、最初に獲得した接点から長期的に関係を深く、長くつなげていきたいというコアなファンの育成に適している」(神田氏)

それを踏まえた実際のユースケースとしては、「メルマガやSNSを通じてアプリのダウンロードを促したり、購入体験もアプリへ誘導していくいくという施策を取る企業が増えている」と神田氏は説明。

その結果として、ファン化の促進が売上げにつながる例も増えているとのことである。Yappliのアパレル領域のクライアントでは、「店舗もECも利用しているユーザーのECへの誘客やLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の伸長率が大きく上がった例が目立つ」という。

消費者がデジタル購買する際の自社アプリの立ち位置

成果が出ている小売アプリの鉄板事例と共通プロセス

それでは、そのように成果が出た小売アプリはどのように開発し、運用しているのか。セッションの中で神田氏は、“成果に差が出る小売アプリの鉄板施策”の例として、Yappliユーザーの中から複数パターンの成功事例を紹介した。

まずは、アパレルを中心に全国で380店舗を展開するパレモの事例である。同社は、2018年からYappliで自社アプリを運用しているが、22年に「パレモストア公式アプリ」として、ブランドの統合アプリという形でアプリをリニューアルした。

その中で鉄板施策となっているのが、スタッフのコーディネート画像だという。「実際のスタッフが投稿しているので、利用者はスタッフに親近感を抱き、コミュニケーションが活発化している。またその際に、実際のアイテムと画像をセットにしていくことによって、直感的・視覚的にわかりやすいような導線づくりをしている」と神田氏は解説する。

具体的な成果としては、「アプリをリニューアルしたことでECの売上げが145%にアップした。特にアプリのパフォーマンスが良く、EC全体の中でもアプリ経由で入ってきた売上げが36%と非常に高い比率になっている。喜ばれる内容をしっかりと精査して載せているので、直帰率も3%低下した」(神田氏)という。

リニューアルしたパレモ公式アプリの画面

続いては、高級青果店として有名な新宿高野 タカノフルーツパーラーの事例である。同社は、ユーザーにタカノブランドを訴求することを目的として自社アプリを導入。その際、デザイン性やリアルタイムで施策を打てる仕組みとして、Yappliを活用している。

同事例での最大の効果は顧客とのコミュニケーションが活性化したことで、実際にMAU(Monthly Active Users:月間アクティブユーザー)率は40%を超えているという。鉄板施策としてはプッシュ通知の内容を精査していて、どのような内容が開封されるか、喜ばれるかという仕組みづくりのPDCAサイクルを回していることで、「通知の開封率は常に10~20%と高い数字を誇っている。その結果、ECでの売上げは導入前に比べて約150%に増加した」(神田氏)という。

新宿高野 タカノフルーツパーラーのアプリ画面

アクティブユーザー率が高いもう1つの事例が、高級アパレル/紳士服のPaul Stuartである。同社では、高級品のためショップへの来訪や購入のシーンがなかなか訪れないという販売条件の中で、おもてなしをするためのコミュニケーション戦略の一環として自社アプリを通じたアプローチを実施している。

自社アプリの運用に当たっては、最重要視する項目を“どの媒体よりも早い情報をアプリで受け取れること”に設定。さらに店舗に併設するバーのイベントにアプリ経由限定で招待するなど、「特別な体験を提供することでファンに特別感を付与するという鉄板施策で、40%という高いMAU率を維持している」(神田氏)という。

Paul Stuartのアプリ画面

最後に神田氏は、リテールDXで自社アプリ導入の効果を最大限発揮している事例として、女性用靴下・インナーを製造販売するチュチュアンナのケースを紹介した。

同社では、「アプリのダウンロード数が300万件を超え、ECが伸びている中で特にアプリ経由での売上げが50%を超えている。さらに、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)に至っては年間110%という凄い効果が出ている」(神田氏)という。

同社事例の最大の特長かつ鉄板施策が、顧客にアプリを通じてより良い体験をしてもらうためにはどういう形が適切なのか、負荷にならないかを考え、常にPDCAを回して日々アプリの改善を重ねている部分である。

実際にアプリを開発した20年から23年では、コンテンツの配置もUIも全く違う形になっている。同社では、「1日1、2回中身を更新して、とにかく早くアプリの運用を回して適切なコンテンツを見やすいような形で提供できるように、内部の体制も整えられている」(神田氏)のだという。

チュチュアンナのアプリ画面比較

これらの成功事例を踏まえて神田氏は、アプリの運用を回すためのプロセスを可視化。「まずは勝っている方法の情報を収集し、ベンチマークを徹底する。そこからとにかく試してみて、うまくいくか、どのような効果が出るのかを試し、再構築を徹底する。その結果、うまくいった施策を継続して残していく」と説明する。

開発ツールとCRM、アプリ内プロモーション機能を備えたYappli

一方で、現状での自社アプリの導入率は、アパレルをはじめ各業界で3割程度に過ぎないという。ただし、「大手に限ると100%に近い導入率となっていて、自社アプリは必須になっている」と、神田氏は導入の重要性を訴える。

その際にアプリの開発や運用でさまざまなハードルが生じて導入の障壁になっているが、Yappliを活用することでそれらの部分は容易にクリアできるという。

「Yappliはアプリ開発が簡単で、最短1カ月でリリースできるところが最大の特長。導入後の機能のアップデートやOSバージョンアップにもYappliが全て対応するので、ユーザーは常に最新テクノロジーや機能を活用できる。開発の際には、スマートフォンとつないで画面を見ながらドラッグアンドドロップで機能を追加しつつ、実際にどのような画面になっているのかを確認しながらコンテンツを作っていくことができる。マーケティングの視点では、DBと連携したコミュニケーション戦略も実行でき、分析も簡単で担当者自身がPDCAを素早く回していける作りになっている」(神田氏)

その他にも「Yappli CRM」を活用することで、Yappliと連携した顧客管理やポイント管理、アプリCRMの施策が簡単に行えるようになる他、「Yappli for Retail App Ads」によってYappliのアプリ内に広告を挿入し、利用シーンに応じたプロモーションが可能になるという。

モバイルアプリを中心としたCRMが可能に
Yappli for Retail App Adsで利用シーンに合ったプロモーションが行える

Yappliは現在750以上のアプリを支援しており、Yappliで作られたアプリの累計ダウンロード数は1億5000万超、小売業でも導入が広がっているという。

最後に神田氏は、「Yappliは数年前にできなくても今はできるようになっていることも多い。詳しい事例を知りたい業界でどんな効果が出ているかなど、モバイルやアプリの施策を考えている方は、ぜひご相談いただきたい」と視聴者にメッセージを送り、セッションを締めくくった。

お役立ち資料データ

  • 2023年 下半期 注目店スタディ

    2023年下半期注目のスーパーマーケット7店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・オーケー/銀座店 ・ヨークベニマル/仙台上杉店 ・ベイシア/Foods Park 津田沼ビート店 ・ヤオコー/松戸上本郷店 ・カスミ/…

  • 2023年 上半期 注目店スタディ

    2023年上半期注目のスーパーマーケット5店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・ ヤオコー/トナリエ宇都宮店 ・ サミットストア/川口青木店 ・ 原信/紫竹山店 ・ ライフセントラルスクエア/ららぽーと門真店 ・ …

  • 有力チェーントップ10人が語る「ニューノーマル時代のスーパーマーケット経営論」

    有力スーパーマーケットチェーンの経営者10人にリテール総合研究所所長の竹下がインタビューを実施し、そのエッセンスをまとめています。 インタビューを通じ、日本を代表する有力トップマネジメントのリアルな考えを知ることができ、現在の経営課題の主要テーマを網羅する内容となっています。 変化する経営環境において、各トップマネジメントによる現状整理と方向性を改めて振り返ることは、これからの新しいスーパーマーケットの在り方形を模索する上でも業界にとって大変有用と考えます。 ぜひ、今後のスーパーマーケット業界を考える材料としてご活用ください。 ■掲載インタビュー一覧 ライフコーポレーション 岩崎高治社長 ヨー…