セコムがAIを活用して巡回・侵入監視を行うセキュリティドローンを開発

2023.10.12

セコムは、日本初※1となる、AI を活用して巡回・侵入監視を行うセキュリティドローン「セコムドローンXX(ダブルエックス)」を開発。2024年春の発売を予定している。

日本社会は深刻な人手不足に直面しており、省人化・効率化を目的にロボットを活用した取り組みが加速している。政府においても小型無人機による「空の産業革命」に向けた法整備等が進められており、点検や測量、農業、物流など多様な分野でドローンが普及・活用されている。

国内のドローンビジネスの市場規模は、2022年度は3,086億円、2028年度には約3倍にあたる9,340億円に達すると推測されるなど※2、さらなる市場拡大が見込まれている。

セコムは2015年12月に、敷地内への侵入があった際に不審者を自律飛行で追跡し、その映像をセコムのコントロールセンターに送信して迅速・的確な対応につなげる、民間防犯用として世界初の「セコムドローン」を実用化。契約先の敷地内において、レベル3飛行※3による商用サービスを日本で初めて実現し、約8年もの間、運用実績・ノウハウを積み上げてくる。

今般開発した「セコムドローンXX」は、その「セコムドローン」の機能をさらに進化させたもので、新たに人や車両を検知する画像AIを搭載し、監視員が不審者・不審車両と判断して指定した物体を自動で追跡・撮影する。

飛行時間・速度を大幅に向上させ、最大で半径約6km のエリアを警備することが可能となった。また、耐風性能を高め、赤外線カメラも搭載しているため、悪天候や夜間の監視能力も格段に向上した。LTE通信等を使用できるので敷地内へのWi-Fi通信設備の設置が不要で、より低コストで容易に導入できるようになった。

新たに開発した格納庫では、ドローンの格納・離着陸・バッテリー交換/充電、機体のセルフチェックを全自動で行っている。バッテリーを自動で交換できるため、短時間で次の飛行を実施できる。

「セコムドローンXX」は、これらの特性を活かし、あらかじめ決められたルートを飛行し安全確認を行う「巡回監視」、敷地内に設置してあるセンサーや監視カメラが検知した侵入者を追跡する「侵入監視」を提供する。また、公共施設の点検業務や災害時の安全確認、河川の見回りなど、セキュリティにとどまらず、さまざまな用途に活用することがが可能だ※4。

なお、「セコムドローンXX」は防衛装備庁の新技術短期実証事業「ドローン等を用いた監視・検査の自動化・効率化」で実証した内容をベースにしており、航空自衛隊、海上自衛隊の防衛施設向け監視システムの現地実証試験も進行している。

※1 2023年10月現在(セコム調べ)
※2 出典:株式会社インプレス『ドローンビジネス調査報告書2023』
※3 無人地帯における、第三者の立入制限等を行う補助者を配置しない目視外飛行(詳細は国土交通省HPの確認を)
※4 航空法に基づく飛行許可・承認が得られる場合に限る

「セコムドローンXX」の特長

1.画像AIを活用した多彩な機能

「巡回監視」では、あらかじめ決められたルートを飛行し、巡回中に侵入者を発見した場合は対象者を指定することでドローンが自動で追跡する。

「侵入監視」では、外周センサーが敷地内への侵入を検知すると、ドローンが飛び立ち接近。AIで侵入者を検知し、対象者を指定すると自動で追跡するとともに、映像をリアルタイムで確認できる。

また、監視カメラとの連動も可能で、防災センター等で監視カメラ上に不審者を発見した場合、対象者を指定してドローンに急行・追跡させることも可能だ。

<巡回監視>

<侵入監視(センサー連動)>

<侵入監視(監視カメラ連動)>

2.機体性能を大幅に向上

飛行時間は約2倍、最高速度は約4倍と従来の「セコムドローン」から大幅に向上し、従来の約50倍の広さとなる、最大で半径約6kmのエリアを警備することが可能となりた。耐風性能も上がり、悪天候下でも利用できる。

また、従来の「セコムドローン」では敷地内のドローン飛行エリアにWi-Fi通信設備を設置する必要がありましたが、データ通信にはキャリアLTE通信等を使用することで、Wi-Fi通信設備の設置が不要となり、より低コストで容易に導入できるようになった。

セコムグループで地理空間情報サービス事業を担う㈱パスコが提供する3次元立体地図を活用することで、斜面や建物が並んでいる複雑な地形でも対応できる。

3.ドローン格納・離着陸・バッテリー交換/充電まで全自動、柔軟で高品質な警備運用を実現

新たに開発した格納庫では、ドローンの格納・離着陸・バッテリー自動交換/自動充電、機体のセルフチェックを全自動で行う。

また、従来の「セコムドローン」では再飛行まで約2時間の充電時間を要していましたが、自動でバッテリーを交換する方式としたことにより約3分で再飛行できるようになり、より柔軟性に富み高品質な警備運用が可能となった。

ドローンが捉えた映像はリアルタイムで防災センター等に送信するとともに、より高画質な映像をドローン内部に蓄積する。現地の防災センター等では状況をリアルタイムに確認した迅速な判断・対応ができ、セコムのセキュリティシステムを導入している場合は、セコムの画像センターでもリアルタイムで映像を確認し、必要に応じて緊急対処員が駆け付ける運用も可能だ。

また、ドローン内部に蓄積した高画質映像は、ドローンが帰還した後に格納庫を介して防災センターに送信されるので、巡回監視・侵入監視中に発生した事案の確認・解決に役立てることが可能だ。

■「セコムドローンXX」のスペック

※株式会社ACSLと共同で開発した機体を使用している。
※正式発売時は仕様が異なる可能性がある。

■格納庫の概要・スペック
「セコムドローンXX」の格納・離着陸・バッテリー自動交換/自動充電・機体のセルフチェック機能を持つ格納庫だ。離陸する際は六角形の格納状態から、上部の自動開閉式屋根が放射状に展開し、リフト機構でドローンを持ち上げ、離着陸台を自動で展開する。ドローンが飛行から戻ってくると、着陸後にはドローンの位置を自動で修正し、格納する。格納後は自動でドローンのバッテリー交換を行い、短時間で次の飛行を実施することが可能だ。飛行前のセルフチェックも定期的に実施する。

※正式発売時は仕様が異なる可能性がある。

■名称について
「セコムドローンXX(ダブルエックス)」

「安全管理(Safety)」「巡回(Patrol)」「監視(Surveillance)」といった「セキュリティ(Security)」用途だけでなく、「撮影(Photography)」「点検(Check、Inspection)」「防災(Disaster)」など、さまざまな用途(X)において変革(Transformation=X)を起こしていく。

そうした決意を込めて「セコムドローンXX」と名付けられた。

■航空法との関係について
「セコムドローンXX」は、夜間飛行、目視外飛行、契約先建物から30m以上の距離が確保できない飛行を行う可能性があることから、2022年12月5日施行の航空法ならびに関連する施行令におけるカテゴリⅡ(レベル3)飛行※5に該当する。

セコムでは2015年12月の「セコムドローン」のサービス開始以来、民間防犯用に適した機体、格納庫、独自の飛行マニュアル、警備サービスで培った24時間365日の監視体制などを組み合わせて、サービス提供の実績を積み重ねてきた。そのノウハウを活かし、「セコムドローンXX」のサービス提供にあたっては、場所、電波状態、立入管理措置など、お客と事前調整を行う。また、本サービスの開始に際しては、国土交通省への飛行許可・承認申請が必要となる。

※5:特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下において立入管理措置を講じたうえで行う飛行(=第三者の上空を飛行しない)

お役立ち資料データ

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