バローが関東初出店、横浜下永谷店を11月21日オープン、生鮮強化型デスティネーション・ストアの「ショールーム」
2025.11.25
地盤の岐阜から東海、北陸、甲信、最近では関西への出店を重ねながら商勢圏を拡大し続けているバローが、かねてから表明していた関東に初出店を遂げた。11月21日、スーパーマーケット(SM)バロー横浜下永谷店を神奈川県横浜市港南区に出店。
関東には千葉県のてらお食品や地盤の山梨県から神奈川県にも出店している公正屋など買収したグループ企業による出店はあるものの、今回はSM事業の主力の事業会社であるバローによる出店ということで、大きなインパクトがある。
横浜下永谷店は交通量の多い環状2号線沿いに立地、ヤマダデンキ跡の建物を活用し、1階部分にSMを出店。2階にはテナントとして100円均一のダイソーが11月28日、ベビー服の西松屋が12月5日、ドラッグストアのマツモトキヨシが来年に2月上旬にオープン予定となっている。

核店舗のSMは純粋な売場だけの面積は約617坪だが、バックヤードや共有面積を含めると約1091坪となる大型店。売場は先頭の青果から鮮魚、精肉、惣菜、そして日配を挟んでインストアベーカリーという流れとなる。
売場には店舗のコンセプトである「食べて美味しい価値ある食材をバローから食卓へ」という言葉が随所に掲げられるなど、新商勢圏に対してバローの存在意義を強く訴求する。関東1号店のオープンに際し、バローホールディングスの小池孝幸社長は「ここがスタートになる。ここからわれわれのいろいろなストーリーが始まる」とコメント。その言葉どおり、バローがこれまで他のエリアで積み上げ、強化してきたカテゴリーや価値をさらに進化させた売場を表現している。

同社としては今回の横浜下永谷店を「関東バローの旗艦店舗」との位置づけとしてバローの店づくりをアピールしていく。関東出店に際してはエース級の店長を配属。また、一部従業員は公募によって募集した。公募の際は、SM事業のトップから「いよいよ関東に初進出をする。おそらく、うちの歴史が変わる店になってくる」と説明しながら人材を募ったという。結果、28人の正社員のうち若手を中心におよそ10人が公募からの配属となった。
バローではかねてから商圏人口が減る時代にあっては、SMは商圏内で選ばれる店、つまり、「地域一番店」にならないと生き残れないという認識の下、「デスティネーション・ストア」(遠くても買い物に行きたい店)の構築に勤しんできた。
特に生鮮部門を「旬」「鮮度」「価値」にこだわりながら徹底強化。チラシで集客するのではなく、圧倒的な専門店の集合体として買物の際に第一想起になるような目的的来店性を創り出す。売場では「買物の楽しさ」と「驚き」を感じてもらえるようなダイナミックな売場展開をしていく。
標準店は半径3km圏程度からの集客を想定しているが、デスティネーション・ストアの場合はより広域からの集客を想定。「昔は、SMは『近い』ことが来店理由になっていたと思うが、オーバーストアでお客さまが自分の家に帰るまでにSMがある、ドラッグストアがある、コンビニがある、外食産業もある中で、それではどこに寄るかを考えると、SMにとって『近い』ことがメリットにならなくなっている。来店理由として『近い』がなくなっても、『魚がいいから』『デリカがいいから』『ベーカリーがいいから』という形で飛び越えて来てもらえるのがデスティネーションと考えている」(小池社長)
こうした店舗運営のベースとなっているのが、長年の自社の取り組みに加え、商品調達面での垂直方向のグループ企業と店舗運営面でのノウハウを持つ水平方向のグループ企業群だ。もともと惣菜は自社で設立した中部フーズが継続的に支える構造だが、昨今では後に買収したさまざまな生産背景を持つ企業が商品の至るところに組み込まれるようになっている。
また、店舗運営面では特に2005年に買収したタチヤの存在は大きいといえるだろう。同社が持つ市場での機動的な商品調達と商品化、売り切りのオペレーションは高い競争力をもたらしている。
バローホールディングスの場合、買収した企業について一体化を志向せず、独自性を生かす性格が強く、実際、グループ企業の店舗は全く異なる個性を持っている。一方で、そうした中でも、商品調達面も含めたグループのノウハウを生かす取り組みも進めてきた。それがデスティネーション・ストアの構築に大きく貢献したことは確かだろう。現在、事業会社バローの社長を務めるのはタチヤ社長であった森 克幸氏である。
その意味では、今回の横浜下永谷店は、十分な面積の下、同社のデスティネーション・ストアの最新の取り組みがふんだんに投入された店だといえる。売場先頭に位置する青果では平台に並ぶ大量陳列がインパクトを生み出している。



一方で青果では「八百屋のフルーツデザート」などスイーツ売場を核売場として設けていることが大きな特徴となっている。カットフルーツにとどまらない多様なスイーツが冷蔵ケースに並ぶ。カラフルで目を引く売場となっている。こうした売場を設けている背景には、果物の消費を活性化するために新しい仕掛けをしていきたいという思いがあるという。
これらの商品は、現在は店内加工をしているが、今後はスポンジや生地、クリームなど横串が刺せるような共通項を見いだし、適宜プロセスセンターなどアウトでの加工を模索し、店内で作業することで付加価値が付く部分は店内に残すといったことを追求していく。「われわれの強みは、裏側の仕組みも含めて作っていくこと」(小池社長)というわけだ。



第1主通路途中から突き当たりにかけてゾーニングされる鮮魚は特に力が入る売場。「鮮魚は商圏を広げる」ということで、競合店を越えて来店してもらうための重要な役割を担う。
「『魚肉売場』にならないように。『頭から尻尾まで見える魚屋』というコンセプトでやっているが、魚種の多さなど、『こういう商品をこうやって食べるとおもしろい』といったような発見があるようなことを大事にしている」(小池社長)

相場を見ながら市場とも連携し、値打ちの商品を目利きしながら仕入れるように努めているという。調達に関しても、グループ企業のてらお食品や公正屋なども通じながら早期から豊洲市場からの調達も準備してきた。
関東の取引先の商品を新たに取り扱うケースも多いが、バローを通じて他の地域の販路への広がりを期待する声もあるという。








精肉は飛騨牛のA5等級を取り扱っていることをアピールしながら売り込む。ブロック肉なども展示し、専門性を打ち出している。もちろん、店内でも切っているが、牛肉を含め静岡のプロセスセンターから供給できるようにもなっている。冷凍も含む多様な商品を展開し、こちらも専門店のような売場づくりだ。











売場を見ていると生鮮を重点的に強化してきたことの成果が出ているといえるが、現在ではその中で、「それぞれの生鮮からもう1回SMを考えること」(小池社長)に取り組んでいることが分かる。「魚屋が魚寿司、魚惣菜、魚弁当をやったり、肉も加工してチャーシューやローストビーフを作って、さらにローストビーフ寿司、ローストビーフサラダをやったり、八百屋はフルーツデザートに入ろうといった話で、生鮮を核としながらSMの品揃えをもう1回組み立て直している」(小池社長)
ここまで来ると、「惣菜」というものの所属がどこにあるべきかということを改めて考えさせられるが、精肉に続いて展開されるデリカ(惣菜)売場では、多種多様な分野の惣菜が展開され、やはり、こちらも存在感を発揮している。生鮮3品とデリカを合わせた売上高構成比は全店ベースでは50%にまでは到達していないが、デスティネーション・ストアに関しては十分に過半を超える。


















横浜下永谷店の初日の予算は4000万円と非常に高いレベルで設定された。バローとして勝負どころの店で設定する予算だというが、大幅に上回った模様。「やはり、(年商)50億円ぐらいはいきたい」(小池社長)とするなど、旗艦店らしい高い年商が期待される。
高い売上げ見込みの背景には関東特有の事情もある。「時給も家賃も高く、いろいろな間接コストが上がるが、それ以上に売上げがある、お客さまが来てくださるというところは、小売業にとっていろいろなものを潤す要因。やはり、トップラインを上げられる店を早く作っていきたい」(小池社長)
また、今後の出店についてはかなり積極的だ。「最低でも早めに10店ぐらいは出していかないと面としての戦いはできないだろう」(小池社長)。すでに5店舗程度の物件は候補として検討中だという。
「関東のエリアでは、物件としてはどこでも手を挙げている状態。われわれは八百鮮、たこ一は100坪ぐらいからできるし、SMバローだと1000坪ぐらいまで行く」(小池社長)。商圏、立地を選定するのではなく、さまざまな物件に対応した形の出店ができる態勢になっているという。
「新規の土地で開発するところはなかなか出てこないと思う。一流の立地のところはすでにどこかが出ている。二流の立地や居抜きのところを上手に活用することが、いまの時代の建築コストなど投資コストが上がっている中では理に適っている」(小池社長)
また、デスティネーション・ストアとして、全ての要素を盛り込むためには横浜下永谷店程度の面積が理想だが、決してそれにこだわるわけではないという。実際、ホームセンター内に400坪程度の規模のデスティネーション・ストアを実験したところ手応えを得ていることから、「デスティネーション・ストアの400坪でのやり方も少し見てきているので、いろいろなパターンのそれぞれの振り幅を少しずつ増やしていこうと考えている」(小池社長)。当然、ホームセンター内への出店も検討していく。
ただ、2号店を直近に出店する見込みはなく、現状、抱えている物件についても出店までには1年程度かかる模様。ただし、居抜きの物件では条件次第では早期のオープンもあり得る。また、関東ではこれまでほとんど経験のない2層の売場、あるいは地下の売場といったケースも出てくるとみる。
「われわれは、『流通業』として『店舗』だけの戦いではなく、店舗の『裏側の仕組み』を作り込むことを大事にしている。プロセスセンターや物流などいろんなものを持ち込んで、その中でバリューチェーンの強さを作っていきたい。物流を回すには最低でも(年商)500億円は必要だし、さらにいろいろな裏側のバックシステムを生かすには(同)1000億円が必要。時間軸は正確にはまだ置き切れていないが、狙っていこうとしている」(小池社長)
ただし、現状、静岡に物流センターがある点、グループ企業の公正屋がすでに八王子など東京西部を視野に入れていることから神奈川県、東京西部当たりが当初の重点出店地域となる見とおし。
また、プロセスセンターや物流施設については、出店していく立地が流動的であることもあってまだ具体的な設定はしていない。候補地、あるいは取引先の連携の模索には着手しているものの、当初は卸や物流業者の施設を活用しながらある程度固まってきた中で自社の比率を上げていく意向。
大型の売場に、これまでのノウハウを総動員した横浜下永谷店は、まさに同社の店づくりをまずはお客、そして取引先に向けて発信するショールームのような位置づけを担うといえる。
「この店を見にきてくれて、いろいろな物件の舞い込み方も変わってくると思うし、いろんな情報がどんどん日進月歩で動いてくると思うので、それをしっかり捉えていけば、スピードが意外と早く行くのではないかと思う」(小池社長)

少子高齢化が進む日本にあって、人口が集中していることから業界の熱い視線が注がれる関東に大型店で出店を果たしたバロー。オープン日には開店前に500人ほどが並び、開店後も入場制限による行列が途切れなかった。関東のお客の期待の大きさがうかがえるが、同時に競合企業の注目度も非常に高いといえるだろう。満を持して関東に出店し、今後の積極出店を宣言するバローのインパクトは極めて大きいものがある。
スーパーマーケットバロー横浜下永谷店概要
所在地/神奈川県横浜市港南区下永谷5-2-1
オープン日/2025年11月21日
営業時間/10時~20時
駐車場/292台(1階24台、3階65台、4階97台、屋上駐車場106台)
建物構造/S造地上4階て屋上駐車場
敷地面積/6658.22㎡
建築面積/4442.95㎡
延べ床面積/1万5479.41㎡(SM店舗占有面積3607.80㎡)
店舗概要/SM売場2041.27㎡、バックヤード1339.50㎡、共用面積227.03㎡、合計3607.80㎡
店長/須貝和行
従業員数/28人、パートタイマーなど210人









