ドンキが仕掛ける小型店新フォーマット「Re:Price」、買い得商品をそろえ、商業施設での立ち寄りルーティン化目指す
2025.12.22
パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)傘下のドン・キホーテは、主に商業施設内を狙った小型店フォーマットとなる「Re:Price(リプライス)」を開発し、第1号店を12月16日、JR・秩父鉄道熊谷駅から徒歩約3分の至近の大型商業施設である「ニットーモール」(埼玉県熊谷市)内の1階部分にオープンした。ニットーモールは売場4層のエンクローズドモールで、ヤオコーが核店で1階に出店する他、マツモトキヨシやザ・ダイソーといった日常使いの店舗の他、多様な専門店、フードサービスが出店する。

「ある調べによると年商50億円以上の商業施設が国内に約438カ所あるとのことだが、その中でPPIHが商業施設に小型店で入っている特殊なところが現状22店舗ある。つまり、PPIHが商業施設にまだまだ出店していないということがある。その中で現在、われわれが商業施設に複数店を出店している『キラキラドンキ』は、メインターゲット層がZ世代の10代~20代後半。しかしながら、今回の(ニットーモールの)ような『ファミリーモール』といわれるような商業施設に実際に一番多く来店している層が30代~50代の女性ということがあり、やはりそこを狙った新たな業態開発が必要ということで、今回、開発した」(竹田友頼・パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス新規業態開発本部小型業態プロジェクトマネージャー)
今回、ドン・キホーテとしては、専門店区画の2区画分、217.1㎡(約66坪)の規模で「Re:Price熊谷ニットーモール店」として出店。30~50代女性に向け、「美容」「健康」「タイパ(タイムパフォーマンス)」の「驚安商品」に特化した店として「実験的な新業態店舗」の位置付けを担う。
フォーマットの考え方は、『「普段のお買い物のついでに、タイパとコスパよく買い物したい」という30~50代女性に向けた店舗』。一般的に「アウトレット品」や「オフプライス」と表現されることの多い特価商品群を、「価格を再発見」との意味に置き換え、「Re:Price」と表現した。ちなみに、そもそも英単語の「Reprice」自体にも「価格改定、価格再設定」の意味がある。
品揃えする商品数は約2000~3000点。商品構成上では、コスメ・スキンケア関連商品を約4割、その他を食品、日用雑貨、理美容、衣料品などで構成した。特に基礎化粧品については売場面積を広く取ったという。オープン時には90%台のオフ価格の商品も用意するなど、価格インパクトを大きくしている。






食品については集客に貢献する分野として重視。「やはり、食品は価格の安さを判断する上で分かりやすい。集客装置として食品を置いている」(竹田マネージャー)。そこに、女性の関心が高いコスメ、スキンケア、日用消耗品を加える形となった。



また、プライベートブランド(PB)も品揃えに加えているが、これは特に最近オープンのキラキラドンキでの要望が多かったことが背景にある。「PBの『情熱価格』のブランドが認知されてきたこともあってか、『同じドンキだからあるだろう』という問い合わせが多かった。今回のコンセプトとは若干ずれるのだが、顧客が求めているものということで、売れ筋のオールスターを入れた」(竹田マネージャー)
PBは商品構成的には1割程度で、売場でのアクセントのような形となっている。あくまで売れ筋商品が中心ということで、他の商品のようなアウトレットの位置付けではなく、販促による価格の打ち出しはするものの、基本的に価格も他店と同様だという。




売場では家電なども置かれていて思わず、立ち止まって見てしまう。「家電も多少入れたのは、この店のコンセプトが、その時々のスポット品を主軸にやっているため」(竹田マネージャー)だという。つまり、このフォーマットのコンセプトにある「宝探し」のように掘り出し物を探すような買物の楽しさが想定にある。

さらにもう1つ、スポット品を主軸にしたのは、小さな店舗は飽きられやすいためでもあるという。「飽きてしまって来なくなってしまうことがないように、飽きさせないことをコンセプトに置いている」(竹田マネージャー)。結果として、カテゴリーの展開比率は常に変化することを想定している。
「ファミリーモールの商圏、30代~50代の女性をターゲット層とし、その現状の市場背景を踏まえ、ターゲット層のお客さまが何を意識しているかといったことを分析した。価格もそうだし、商品もコスメといったものになる」(竹田マネージャー)
あえて女性をターゲットとしている理由としては、まず、商業施設内を視野に入れていることが挙げられる。商業施設は、週末はファミリーでの来店も多いとみられるが、平日は現状、女性が多いと想定されることを踏まえている。また、現状、例えば駅前のドン・キホーテなどは男性客の比率が高いということもあって、ひとまず女性をターゲットにしたということもあるようだ。


看板には小さく「Produced by ドン・キホーテ」とあるが、基本的には「ドン・キホーテ」とは違う店であることを強調していく。「ドン・キホーテを小さいところで展開すると、全部が中途半端になってしまう。期待して実際にお店に行ってみると『商品があまりない』『おもしろくないドンキ』というマイナスイメージが付いてしまう。だから、ドン・キホーテ(の魅力)は少ない坪数だと伝えることができない」(竹田マネージャー)。それで今回はドン・キホーテとは異なる新しいコンセプトの店としたという。
同社によると、「35年以上ディスカウントストアを営んできたドン・キホーテが培ってきた仕入れ力をフルに活用し、Re:Price(リプライス)された驚安商品が売り場の大部分を構成し、店内を“美容”“健康”“タイパ”の3つのカテゴリーに分けて商品展開します」としている。スーパーマーケットやドラッグストアなど普段の買物のついでに、「ふらっ」と立ち寄り、コスパの高い商品を、「掘り出し物市」の感覚で発見できるような買物行動を想定している。「それをルーティンにしてもらいたい。だからスーパーやドラッグストアの近くがベストで、例えば(1階などではなく)4階などだとちょっと難しい。立地は大事」(竹田マネージャー)。
今回実験的に第1号店として出店する熊谷市は埼玉県北部に位置する人口約20万人の都市で、最寄り駅のJR・秩父鉄道熊谷駅は、2路線で1日に6万超人の乗降客数がある。ニットーモールは駅近であるが、1000台の駐車場を擁するなど、駅からの徒歩客だけではく、車客の利用も見込める。ドン・キホーテとしては、フォーマットが主要ターゲットとする30代~50代女性の利用も多いことから、第1号店としては最適な立地だと考えているという。
売場面積は200㎡ぐらいがベストと考えているが、これはそうした売場の考え方が背景にあるため。スポット品の確保や売場の維持の面、また、広くしていくと定番品を置くことになり、前述の「飽きられる」要素につながってしまうということもあって、この規模を基準としている。また、既存ドン・キホーテが広い売場での「時間滞留型」の買物を想定しているとは反対に、こちらは短時間での寄り道のような買物を想定していることもある。
価格については、売場でのインパクトが大きいが、やはり、「リプライス、価格を付け直すという意味で、攻めている」(竹田マネージャー)という。「攻めているが、その代わりお客さまにお願いしたいのが、『majica』アプリ(グループの電子マネーであるmajicaのアプリ)会員に入っていただくこと。だから、majicaアプリ会員さま限定価格がざっくり半分以上を占める。ドン・キホーテ既存店以上に振り切って、majicaアプリ会員さまに向けたチャレンジをしている」(竹田マネージャー)

ただし、インパクトのある価格戦略を採りながらも、スポット品の活用や見せ方、展開の仕方などのノウハウもあって、利益を確保できるモデルになっているという。



ドン・キホーテでは、これまで商業施設内に出店するような小型店のフォーマットとして、「ココなら見つかる最新コスメショップ!」を目指してトレンドの韓国コスメを含むアジアンコスメなどを充実させた「コスメドンキ」、「3世代で楽しめるお菓子の殿堂」をコンセプトとする「お菓子ドンキ」、さらに「旨辛~異次元⁉レベルの驚辛の世界へ」をテーマにさまざまな辛さが楽しめる商品を取りそろえる「驚辛ドンキ」、また、PBを品揃えの中心とした「ドミセ」といった尖ったコンセプトの小型店を幾つか開発してきたが、キラキラドンキ以外は多店化できていない状況だ。
特に「ドミセ」については、現在は第2号店のアリオ八尾店(大阪府八尾市)の1店の展開となっているが、第1号店の渋谷道玄坂通ドードー店(東京・渋谷)を1年未満で閉店した際にニュースリリースを出し、理由として「オープン前に想定していた売上に届かない期間が続いたことが挙げられます」と発表するなど、小売業界では異例の対応ともいえる情報発信が話題を呼んだ。
こうした姿勢について竹田マネージャーは、「あくまでわれわれはまずは実験店をやって、ある程度フォーマットを確実にし、『これだったら行ける』となった段階で多店舗化していく」と語る。「仮に(ある店が)目標値に行ったとしても、さらに合格点を高く目指していて、『確実に大丈夫だろう』『多店舗化しても、大きくぶれないだろう』という確証が取れてから多店舗化する」(同)
その意味では現在のところ、「キラキラドンキ」がその多店化の段階に至り、出店を重ねている状況にある。今回のリプライスは、キラキラドンキに続く2番目の商業施設内ターゲットのフォーマットとしての確立を目指して行くことになる。
「キラキラドンキはやはりZ世代をターゲットとしていることもあって、30代~50代の女性層が実際に入りにくいという結果が出ている」(竹田マネージャー)。同社ではアプリを含む電子マネーのmajicaを通じて客層を把握しているが、実際、キラキラドンキはmajicaを通じた自社決済の9割が10代~20代になっているという。まさに狙いどおりといえるが、一方で商業施設の来店客に多い30代以上の掘り起こしが課題であることが浮き彫りになる結果といえる。今回のリプライスの開発はまさにそのためのものといえる。
実際、今回、ターゲットとしている商業施設の利用者層は、既存のドン・キホーテは意外に利用していない傾向にあるという。「名前は知っているが、実際には行ったことがない人が多い。だから、普段のスーパーの買物とは異なる、ドンキの買物の楽しみ方を、短時間で味わってほしいという思いがある」(竹田マネージャー)。
結果、ドン・キホーテについて知ってもらい、既存のドン・キホーテにも行ってもらうことも視野にある。「商業施設を皮切りに、新規顧客を獲得していって、既存店につなげていく。そこでグループのシナジーを拡大していく意味も、戦略的には入っている」(竹田マネージャー)。既存店以上にmajicaアプリ会員を重視していることもその一環だという。
今後の多店舗については、あくまで熊谷ニットーモール店の結果次第。年商目標などは非公表だが、「数字の実績、オペレーション、スポット(の調達)、売れ筋なども確証を取って、商圏としてどのような立地に出店するのが良いのかといったことを踏まえる」(竹田マネージャー)とする。
ちなみに、ドン・キホーテの公式キャラクターは男の子の「ドンペン」が有名だが、実際には女の子の「ドンコ」も同様に公式キャラクターを務めている。今回は女性ターゲットのフォーマットということで、ドンコの知名度を向上させることも目的に、ドンコを前面に打ち出している。

「しっかりと、次につなげるものをいっぱい散りばめている。実はドンコを打ち出そうということも、ターゲットと同じ30代~50代の女性の従業員にアンケートを取って決めた。当社は顧客親和性を重視していて、ターゲット層と同じライフスタイルになっていないとだめということで、色合い、ネーミングなど全部、意見を聞いている」(竹田マネージャー)
例えば、必ずしも価格だけというわけではなく、肌に付けるコスメ品などでは品質も求められるといった微妙な部分を見極めながら、あくまで「コスパ」の観点でマーチャンダイジングを構成したという。
売場づくりでは、今回初めて、陳列什器については業者に依頼するUL什器ではなく、自分たちで組み立てるラックを採用。圧倒的にコストが安いため、スピード感のある多店舗展開や、場合によっては既存ドン・キホーテへの導入も視野に入れる。今回の導入に当たっては半年間、既存の小型店で陳列方法などを実験した。

ドイツ発で、海外にも広く進出しているアルディやリドルなどハードディスカウントストア、あるいはリミテッドアソートメントストアと呼ばれる小型店がその価格の安さでシェアを拡大しているが、こうしたアルディなどもスーパーマーケットやドラッグストアの近くに出店し、お客が日常の買物のルーティンとして食品や掘り出し物的な非食品を購買するといった買物行動がみられる。
ドン・キホーテとしては、「モデルとした店はない」とするが、そうしたことを考えると今回の新フォーマットが目指す購買行動の需要は少なくないといえよう。
Re:Price熊谷ニットーモール店概要
所在地/埼玉県熊谷市銀座2-245-1F
オープン日/2025年12月16日
営業時間/10時~20時30分
駐車場/1000台(施設共用)
駐輪場/460台(施設共用)
売場面積/217.1㎡









