マルエツプチ西横浜駅前店が4月9日オープン、U.S.M.Hダウンタウン向け「100坪モデル」として生鮮とデリカ、利便性重視

2026.04.13

マルエツは4月9日、神奈川県横浜市にてマルエツ プチ西横浜駅前店をオープンした。同社311店目の出店であり、これまで25年以上に渡ってノウハウを構築してきた都市型小型フォーマットの「マルエツ プチ」による出店ではあるが、同店はユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)としての構築を目指す「100坪モデル」としての位置付けを持つ点で、特別な存在でもある。

駐車場はないが、店前に駐輪場は設置している

U.S.M.Hの前期2026年2月期決算は増収減益となったが、井出武美社長は決算発表で27年2月期の方針について次のように語った。「キーワードは個社最適からグループ最適へ。そして標準化を通じた一体経営で、エリア戦略、店舗戦略、構造改革と、3つのテーマに分け実施していく。これまでは各事業会社がそれぞれで工夫し、それぞれで努力をしてきたが、今後はグループとして何を標準化し、グループとして効果を最大に創出していくことをいままで以上に明確にしていく」

その上で、エリア戦略としては展開エリアである首都圏をダウンタウン、アーバン、ルーラルの3つに分け、それぞれで展開していく店舗モデルを含めたエリア方針を定めた。

井出社長は、「ダウンタウンエリアでは、日常使いを前提とした100坪タイプの新モデルを構築し、小商圏でも選ばれる店舗づくりを進めていき、既存の300坪クラスの店舗については活性化を進めることで、さらなるシェア拡大を図っていく。都市部特有の厳しい競争環境の中で、来店頻度と利便性を重視した戦略エリアとして位置付けていく」とした上で今回の100坪モデルについて次のように語った。

「このモデルはダウンタウンエリアを中心に展開していく日常使いに適した小型店舗の新しいモデルとなる。コンセプトは日々の食卓に必要なものが迷わず選べる売場。商圏が限られる中でも、お客さまにとって使いやすさ、来店頻度の高さを最優先に設計していく。西横浜駅前店はこれまで他の店舗で実施してきた生鮮・デリカ部門のリニューアル施策の中で、特にお客さまから評価をいただいた取り組みを結集させた店舗となる。実際に農産(青果)やデリカでは売上げが大きく伸長していて、小型店舗であっても売場の作り方、売り方次第で十分に成長できることを確認している」

U.S.M.H副社長も務めるマルエツの本間正治社長は、「マルエツ プチは現在45坪から100坪で展開しているが、やはり、まいばすけっとなど直近に出てくる小型店と競争していくとなると『100坪』が1つ特徴付けられる規模だと考えている。デリカ、生鮮、やはりSMの商売をしっかりやっていくことで、コンビニ、まいばすけっと、トライアルゴーに対応していきたいと考えている」と語る。

結果として、以前であればマルエツ プチとして開発したかもしれない40~50坪の規模については、今後は展開しない方向性となる。むしろ、そうした規模の物件がある場合は、イオングループ全体の戦略としてまいばすけっとが出店するといった流れになるということだろう。

西横浜駅前店は、相模鉄道本線の西横浜駅から徒歩約1分、南口直結の歩道橋を降りてすぐという駅前立地に平屋建ての建物の1階、111坪の売場を確保した。西横浜駅は相模鉄道本線で横浜駅から2駅目という利便性がある一方、生活圏が広がるエリアでもある。そのため駅前立地でありながら店舗周辺は戸建て住宅や中・低層マンションが立ち並ぶ住宅地となっている。

ただし、神奈川県平均と比べ単身世帯の構成比が高く、2人世帯以上の比率が低いことから、駅前立地で単身世帯の多い商圏の環境を踏まえ、即食・簡便ニーズへの対応を行うと共に、青果、グリサリー、デリカを強化部門として周辺のお客にとって、「毎日に必要な食材がそろう売場」を提供する。考え方としては「都市の生活環境の中で、日々の暮らしに必要な、スタンダードな品揃え」を提供し、「地域になくてはならない店舗」を目指すとしている。

駅前の平屋建ての建物に出店。店の前にバス停がある。また、正面の道路の反対側にはまいばすけっとがある

売場は奇麗な長方形で、主通路沿いに青果、精肉、鮮魚、洋日配、惣菜と続き、内側のゴンドラを囲む形のオーソドックスな流れとなっている。総尺数は約580尺。

新モデルとして特徴的なのは商品の絞り込みで、取扱SKU数は精肉約270、青果約190、鮮魚約130、デリカ約140、日配食品約1060、一般食品約2600、生活用品約820の計約5210。ほぼ同規模の売場面積120坪で2024年9月にオープンした稲荷町駅前店(東京・台東)の取扱SKU数が約6400だったことから、絞り込みが進んでいるといえる。

商品を絞り込みながらオペレーションも効率化し、重点商品をしっかり売り込むことで需要に応えながら売上げを高めていくサイクルの構築を目指しているわけだ。

売上高構成比の計画値は、精肉約9.5%、青果約15%、鮮魚約6%、デリカ約17.5%、日配食品約23%、一般食品約23%、酒・たばこ約5%、生活用品約1%。特に強化部門の1つであるデリカについては、インストアベーカリーなしでも17.5%という高い水準に設定していることは大きな特徴といえる。

「デリカの作業場をしっかり設置して、生鮮がしっかり買えるお店ということをU.S.M.Hの開発部隊としっかり連携しながら多店舗化をしていきたい」(本間社長)

一方で、マルエツ プチではこれまで、ドミナント出店のメリットを生かし、デリカにおいて製造機能のある店舗からのサテライト供給による品揃えの充実を図る店も少なくなかったが、今回は近隣から供給できる店、物流がないため、あくまでセンターからの供給、もしくは店内製造に特化した形となる。インストアベーカリーを導入しなかったのも、近隣から商品を供給する店舗がないためで、こうした点については今後、機会を見ながら品揃えのブラッシュアップを図っていきたいという。

デリカ同様、強化部門の青果ではベーシックな品揃えに加え、伸長しているカットフルーツやカットサラダ、簡便野菜などを一通り展開。青果を強化しているのはやはり集客部門であり、来店頻度を高めるためにも重要な商材であるという位置付けであるためだ。

青果は新モデルとしても強化部門。100坪モデルであっても平台を設置し、単品量販でしっかり売り込む
カットフルーツはカップタイプの容器ではなく、袋に入ったものを展開。絞り込みを進めつつ、果物の品揃えとしてはドラゴンフルーツなども品揃えしている

精肉、鮮魚は全てプロセスセンターなどからのアウト供給だが、鮮魚では即食商品の「お魚屋さんのサラダ」なども展開する。一方で、一部マルエツ プチタイプでもサテライト供給などで展開することがある鮮魚部門の寿司は展開していない。

精肉は主通路沿いに青果に続いて展開。全てアウトパック
鮮魚も全てアウトパックの品揃えだが、刺身やサラダ、つまみ系商品など即食商品も展開している

強化部門のデリカ売場は、マルエツ草加デリカセンターなど冷惣菜をはじめアウト供給の商品を品揃えの充実に生かしながらも、店内加工の設備を設けていることを他の都市型小型店との差別化要素とし、手作りおにぎりなど出来たて商品の展開を前面に打ち出す。SKUを絞り込んだことも生かし、しっかり製造し、売場に並べ、売り込むことを重視する。

SKUを絞り込みつつ、17.5%という高い売上高構成比を目指すデリカは店内製造を含む常温販売の温惣菜を売場中央の平台でしっかり量販できるかが問われる
平台で温惣菜を売り込み、壁面はアウトパック中心の冷惣菜を展開。寿司はアウトパックの商品にとどめている

オペレーション面でも店舗での負荷を減らすための工夫を凝らし、例えば弁当では全社的な取り組みとして、「カセット弁当」方式を導入するなどしている。これは、ご飯と副菜についてはあらかじめマルエツ草加デリカセンターで盛り付けた上で店舗に納品し、店内で調理した主菜を加えることで完成するというもので、店内製造の負荷を減らしながら出来たて感のある商品が提供できる。さらに主菜を変えることで、多アイテム展開もできる。

オープン当日にカセット弁当として展開された3アイテム。左から「ジンジャーポーク弁当」「グリルチキン弁当(照焼)」「さばの塩焼き弁当」、全て本体価格599円。左の2アイテムはベースが同じで店内で加える主菜を変えている。さばの塩焼き弁当は、白米ともち麦入り十八穀ご飯の2種類展開している
マルエツの弁当でナンバーワンの売れ筋である「厚切り鮭弁当」、本体価格699円。原材料の高騰から100円値上げしたが、引き続き売れ続けているほど、圧倒的な支持を獲得している商品。こちらも、もち麦入り十八穀ご飯のバージョンを用意している
おにぎりも一部商品を店内で製造することで差別化を図るが、アイテムは絞り込まれている

また、こちらも全社的な展開商品である肉惣菜の「おつまミート」や魚惣菜の「おつなフィッシュ」など即食対応の商品については、売場面積が限られるマルエツ プチのためデリカ売場での集合展開としている。今回、西横浜駅前店のオープンとほぼ同時期に新たな商品ラインとして精肉惣菜のアッパーグレードシリーズ「おとなMEAT」の展開が始まった。

新ラインの「おとなMEAT」は西横浜駅前店ではオープン日、「おとなの黒豚焼肉(レモンペッパー)」「おとなのミートローフ」の2アイテムを展開。価格は本体価格299円で、量目にもよるが、他の商品と同等ということで、値頃重視の姿勢が伝わってくる

日配食品、一般食品ではイオンのプライベートブランド商品であるトップバリュの低価格ラインであるベストプライスの品揃えを拡大し、地代やその他経費の高さから相対的に価格が高くなりがちな都市部での低価格の打ち出しに活用する。

トップバリュベストプライスを売り込むことで価格面で強みを発揮したい意向

また、グロサリーも強化部門に位置付けられているが、これも同店に限ったことではないが、イオングループとして取り組むカテゴリーマネジメントの「カテゴリープレイブック」による共通棚割りを導入するなどして売り込みを強化しているのはその一環といえる。イオングループのデータを活用し、カテゴリー、SKUなどの数値について市場との差異を比較することで、売れ筋の取り扱いを増やしたりすることで、売上げを高めていく取り組みだという。

冷凍食品は壁面のリーチインケースのみで展開。「カテゴリープレイブック」に基づいて、冷凍フルーツや冷凍野菜の大袋やトップバリュのワントレーの商品の展開を拡大するなどしている

生活用品については既存店でも一部店舗で導入している100円均一ショップのダイソーの商品について、大幅に拡大した新しいパターンとしている。「生活に必要なものがそろう」という考え方から来るもので、新モデルとしての対応だという。この辺りは都市部の店だからこそ、一定のワンストップショッピングが求められるという側面もあるだろう。

ダイソーはゴンドラ1列分全て展開。自前調達は紙製品やペット用品、文具などで同じゴンドラ1列の展開で、両者は向かい合う形となっている

レジは基本的にセルフレジに特化し、他、スマホPOSのスキャン&ゴー用の端末と顧客対応用の有人レジを1台ずつ置くのみ。既存のマルエツ プチではスキャン&ゴーを含めたセルフレジの比率は97%に上るなど、利便性もあってか高いセルフ比率を達成している。

レジは完全にセルフレジ主体。その分、レジのスペースを削減できている

3月にオープンした「300坪モデル」のフードスタイル三田店(東京・港)もそうだが、都市部の限られた面積の中で一定のワンストップを想定しながら需要に応えつつ、一方で絞り込みをしていくという難しい作業をしていくことになる。

マルエツ プチも、以前は限られた面積の中での「品揃えの多さ」が競合との差別化として強みとなっていた時代もあったが、グループ最適による一体経営に向かう中、次第に変わりつつあることが実感できる。ただ、いずれにしても、サテライト供給を含む多様な商品供給による都市部でのSMとしての品揃えの充実度は、25年以上、このフォーマットを磨き込んできたマルエツならではの強みといえる。

現状、80店弱の店舗数を抱えるマルエツ プチが「100坪モデル」として、これまでの強みに加えてどこまでパワーアップし、激化する都市部での食マーケット争奪戦においてシェアを向上させていくか。U.S.M.Hのダウンタウンエリア戦略を担うフォーマットとして大いに注目したい。

マルエツ プチ西横浜駅前店概要

所在地/神奈川県横浜市西区久保町1-6

オープン日/2026年4月9日

営業時間/9時~22時

駐車台数/なし

駐輪台数/42台

店長/鈴木達也

売場面積/111坪

従業員数/正社員3人、パートタイマー・アルバイト16人(8時間換算)

年商目標/4億7000万円

商圏情報/3369世帯、5090人(300m商圏)

お役立ち資料データ

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