カスミがブランデ塩浜店を7月24日オープン、ブランデ5店目は生鮮、デリカ強化の一方で通常店の要素も取り入れ

2026.07.30

カスミは7月24日、東京都江東区塩浜にBLΛNDE(ブランデ)塩浜店をオープンした。東京メトロ東西線木場駅の徒歩圏、都営バスのバス停にも近い利便性の高いマンションの1階に位置する。ただし、木場駅からは徒歩約9分、都営バス塩浜二丁目、塩浜橋から徒歩約4分といった距離で、「駅近」といった立地ではない。

周辺はオフィスや工場、生活圏が混在する人口密集地区で、40〜50代のファミリー層が多く暮らす。同店はブランデフォーマットとして5店目、東京都の店としても5店目に当たり、この出店で全社では201店体制となった。売場面積は約450坪でブランデとしては最小規模となる。

総戸数563戸の高級賃貸マンションの1階に出店。建物が横に連結しているような形で、店舗の建物自体は平屋のような構造になっている

一方で折本文孝社長は今回、5店目の出店となったブランデについて次のように表現する。「もともとの要素である『突き抜けた鮮度』と『商品との出会い』などについては変わっていない。ただ、この店はデイリー、グロサリーについては通常の商品もしっかり置いていこうというコンセプトで進めている」。ある種、ハイブリッドともいうべき形だが、こうなったのには理由がある。

「(茨城県)つくば市の2店舗はいま順調に進んでいる。(1号店の)つくば並木店は当初目標としていた数値をクリアして黒字にもなっている、(2号店の)研究学園店はもう少しだが、営業利益では今年問題ない水準に達している。ただ、(3号店の)三郷店(埼玉県三郷市)、(4号店の)オリナス錦糸町店(東京・墨田)はブランデのコンセプトではお客さまから支持を得られない部分があった。そこで生鮮、デリカの強化は続けつつ、デイリー、グロサリーには通常商品をしっかり入れ込む形に昨年末ぐらいに入れ替えたところ、どちらも数字は(前年比)110%ぐらいに伸びている」(折本社長)

今回の塩浜店も商圏の状況を踏まえ、デイリー、グロサリーで通常商品をしっかり入れることにした。同店のSKU数は全体で1万567。そのうちのブランデ独自の商品は約1500SKUにとどめている。ただ、一時期は他のフォーマットにもブランデの商品の導入を進めていたものの、現在ではそれをしなくなっていることから、約1500SKUを導入していること自体は他店との大きな違いではある。

部門別SKU数、売上高構成比計画
ブランデではイオンのプライベートブランド商品のトップバリュの取り扱いは限られていたが、塩浜店では低価格ラインのベストプライスを含め価格訴求としてしっかり活用している。トップバリュのSKU数は1267
もちろん、加工食品の品揃えにブランデらしさも残す。通常店では取り扱わないレトルトカレーなどではエムアイフードスタイルの「ISETAN MITSUKOSHI THE FOOD」の商品もそろえる
ワインでは鍵付きの什器を導入し、10万円のものも販売している

「つくばは、カスミとして品揃え豊富なフードスクエア(旗艦店フォーマット)があって、その隣りにアップグレードの店(ブランデ)があるということで当たっているが、それでは単体でこのエリアに出た店が当たるかは検証してみないと分からない」(折本社長)

やはり、つくばエリアについては既存店の存在感が大きい。ドミナントエリアだからこそ、既存店との使い分けが前提にあり、通常商品をそれほど取り扱わなくても良いということになるからだ。ドミナントエリアでの既存店とのすみ分けについては手応えを得つつ、単体のフォーマットとしての模索が続く。

塩浜店はもともと東京都内におけるブランデ1号店となる予定だった。オリナス錦糸町店を改装の形でブランデに転換する前からブランデとして出店する計画があったためで、その意味ではブランデ自体が22年1月の1号店・つくば並木店のオープン以来、さまざまな検証をする中で、また、この間の消費トレンド自体も変化する中で、ブランデとしてのマーチャンダイジング(MD)の調整が行われてきたということだ。

東京都内への出店ということで、カスミが地盤とする茨城県の打ち出しを強化している

商圏は折本社長が「われわれの感覚からするとすごい(人口が多い)エリア」と評するほど分厚い。主要商圏とみる1.5km圏内の世帯数は6万5471世帯、人口は12万8635人と非常に多い。500m圏でも6866世帯、1万3929人、1km圏でも3万992世帯、5万9506人が居住する。密度が高い分、商圏は広がりにくいと見ていて、来店は徒歩、自転車が中心で、車での来店は多くないと想定する。特に1km圏の住民に毎日買ってもらえるよう、生鮮とデリカを強化する構えだ。

それもあって需要が高まっている冷凍食品については取り扱いが少な目。「売場の面積上、品揃えし切れない。1km圏の近所の方が商圏なので、冷凍食品よりはデリカを強化した」(折本社長)。

売場レイアウト図
冷凍食品は平ケースとリーチインケースで展開しているが、生鮮、デリカを優先したため、やや手狭になっている
阿見よしわら店(茨城県阿見町)併設の子会社ローズコーポレーションの工場で製造されたオリジナルの中華の冷凍食品も販売されている

競合店としては間に川や道路が走るとはいえ、200m強の至近にあるイトーヨーカドーの大型店の木場店(東京・江東)の存在感が大きい一方、直線距離で約1.6kmには同じ茨城県地盤のタイヨーの都内唯一のSM店であるイキイキ市場東陽町店(東京・江東)がある。折本社長はイトーヨーカドーと「同じことをしてもしょうがない」としつつ、茨城県での競合も踏まえタイヨーを「最大の競合」と位置付けているとした。

生鮮、デリカ強化の中でも鮮魚は特に店の顔として強化している部門。まずは全国各地の旬の魚の対面販売を、豊洲市場も近く、毎朝の買い付けを軸にしっかり売場を設けて展開。加えてカスミが地盤とする茨城県の大洗町や那珂湊などの水産加工業者の加工品を打ち出す。対面販売ではお客の要望に合わせた加工に対応する他、寿司は鮮魚のみでの展開として握り寿司、海鮮丼、さらに巻き物など助六寿司も取り扱う。

鮮魚売場は青果に続く第1主通路突き当たりに対面販売売場を配置
平ケースではマグロをコーナー化
茨城県大洗町で製造した干物、那珂湊でゆでたしらすなど、カスミの地盤である茨城県の商品を打ち出し、差別化策とする
寿司は鮮魚のみの展開。海鮮丼、巻き物など助六も含め、品揃えも多様

精肉は、牛肉は茨城県の銘柄牛である黒毛和牛の「常陸牛」を前面に打ち出す他、丁寧に下処理したホルモン特有の臭みの少ない国産牛ホルモンなどを豊富にそろえる。

牛肉は常陸牛をコーナー展開
馬刺しを冷蔵で取り扱う

売場先頭を飾る青果は旬の訴求と共に普段はなかなか出会えない希少なフルーツや、新鮮な野菜でつくる店内手作りサラダを用意。野菜でも茨城産を数多く扱う。

青果の平台は低めで、奥までの見とおしが良い
輸入フルーツをコーナー化。最近ではこうした果物を取り扱う店が増えてきたが、ブランデとしても差別化となる
青果ではカットフルーツと関連させて、シフォンサンドやタルトなどスイーツも展開を強化。これもブランデが強化してきたMDだ
茨城県は随所で訴求。青果では茨城県が主要産地である干し芋を展開

デリカはだしや旬を意識し、彩りにこだわった弁当をはじめ、「ロコモコBOWL」、こだわり具材の手作りおにぎり、店内で香ばしく焼き上げた炭火焼き鳥などをそろえる。スイーツにも力を入れ、今回、デリカとベーカリーのスイーツを初めて展開。デリカではバスクチーズケーキを店内で製造して販売する他、ベーカリーではクッキー生地のクッキーシューなどをコーナー展開する。また、デリカではユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)グループ各社の商品で導入できるものは幅広く取り入れた。

弁当では「だし」を打ち出したシリーズを投入。天丼、カツ丼などの他、鶏飯風の商品はだしをかけて食べる「だし茶漬け」タイプになっているなど多様な設計
おにぎりは店内製造の商品をそろえる
デリカとベーカリーでスイーツを初めて展開。デリカでは店内製造のバスクチーズケーキなどを販売。ベーカリーではクッキーシューを展開。両社を併せて平ケースで展開する。バスクチーズケーキはプレーンと抹茶の2アイテム。ホールとカットを展開し、価格はホールで本体価格2300円
鮮魚は寿司だけでなく、米飯を含む惣菜も展開する。売場はデリカ売場内に融合させている
U.S.M.H各社で展開が始まっているグループ内他社の商品の仕様の共有による水平展開。いなげやの大海老天重などが自然に並ぶ

また、ベーカリーでは既存ブランデでも人気の高いクロワッサン食パンに加え、店内で製造するクロワッサンサンドなどサンドイッチ、ピッツァを訴求。

ハイブリッドの食パンとして、クロワッサン食パンを打ち出す
クロワッサンサンドを開発。サンドイッチを含め店内製造で売り込む

一方、他のブランデで強化してきたツー(バイ)オーダーメニューを含むイートインコーナーや有料会員プログラムについては、同店ではあえて大々的な展開しない。イートインコーナーについては、人手がかかることや売場面積の制約もあって今回はあえて絞り、その分、商品を詰め込むことを優先したという。また、有料会員プログラムについては、仕組みの見直しをかけていることもあるとした。

イートインコーナーはブランデとしては小規模だが、23席を用意

売上構成比は、生鮮で約55%、デリカで約14%を計画し、生鮮とデリカで約69%を占める見込み。客単価は、通常店が約2000円であるのに対し、ブランデは約2300円と高め。一方で買上点数は通常店より少なく、一品単価が高い傾向にあるという。

同店でも徒歩客中心で点数は稼ぎにくいものの、一方で単価偏重に振れ過ぎるのもSMとしては難しいことから、実際の推移を見極めながら調整を図っていく。商圏の厚さもあって将来的な売上目標は30億円と高く、2年後程度をめどに達成を目指す。

徒歩客中心ではあっても、55台の駐車場を備えていることもあって、飲料のケース販売などはしっかり棚割に組み込まれている

塩浜店でハイブリッド型のブランデが検証されていくが、同社としては今後のブランデの出店計画はいまのところないという。

折本文孝社長。自身が出身の鮮魚打ち出し強化の方針を語る。今回のブランデは、人口が多い商圏で高い販売効率を実現することが求められる

BLΛNDE塩浜店概要

所在地/東京都江東区塩浜2-8-4

オープン日/2026年7月24日

営業時間/10時〜22時

売場面積/1475㎡(446坪)

駐車台数/55台(駐輪87台)

店長/中山 太

従業員数/正社員20人、パートタイマー・アルバイト40人(8時間換算)

年間売上高/将来目標30億円(2年後程度をめど)

主要商圏/6万5471世帯、12万8635(0~1.5km)、内訳:1次6866世帯、1万3929人(0〜0.5km)、2次2万4126世帯、4万5577人(0.5〜1km)、3次3万4479世帯、6万9129人(1〜1.5km)

お役立ち資料データ

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